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ひさびさはしごはやっぱりたのしい

実は日曜日、映画をはしごしていました。

水曜日お休みだから、レディースデイ利用すればよかったよね、
と、気づいたのは月曜日の夜というとほほぶり。
その話を(火曜日に)知人にしたら
『水曜日に、また観に行けばいいじゃない』
と言われて、そのときは笑ったけど、ありだったかもしれない。
スケジュール的に難しいけど、もう一回観ると理想。

一回最後まで観終えていて、印象が鮮やかに残っているけれど
消えていないこのタイミングは、再鑑賞するのにはベストかも。
いろいろおさらいしたくなる作品です。

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』

※公式サイト



本年度アカデミー賞作品賞・監督賞・脚本賞・撮影賞受賞。
(たたみません。ちらっとも知りたくない人はご注意ください)
(なので、ちょっとだけ下げます)











素晴らしかった。
鑑賞直後より(4日後の)現在の方が、
じわじわじりじりしみわたりつづけています。
こちらも予告とチラシをざっと見ただけ、程度。
でもすごくおもしろそうだったんですよね。予告だけで。
見るからに奇妙で。

『セッション』とはしごということで、やはりそれなりにつかれました。
けれど、心地よい疲労感。

予告とは印象が違いますが、大変面白かったです。

以下、映画.comの『解説』より一部抜粋。

・・・引用ここから・・・
かつてスーパーヒーロー映画「バードマン」で世界的な人気を博しながらも、現在は失意の底にいる俳優リーガン・トムソンは、復活をかけたブロードウェイの舞台に挑むことに。レイモンド・カーバーの「愛について語るときに我々の語ること」を自ら脚色し、演出も主演も兼ねて一世一代の大舞台にのぞもうとした矢先(以下略)

・・・ここまで・・・

コメディ映画、と紹介されていることに、軽い驚き。
たしかに笑えるシーンやせりふはふんだんですが、
それ以上にずっしりと響くもののある作品です。
アメリカのエンタメ業界のコメディに対する懐の深さ。

印象としてはやや『アメリカン・ビューティ』に近いかもしれない。
でも似ている映画と言う意味ではないのですが。

観終わって、ぼおっと反芻しているうち、
ゆっくりとこころの中に沈んでくる澱のようなにかが、
共通しているのかもしれない。
誰にでも(かたちはどうあれ)バードマンがいるのだと思う。
私にも、もちろんいる。
自分自身と、人生と、バードマンと歩んでゆく道のりを思う。

監督は『バベル』のイニャリトゥ監督。
菊地凛子さんと役所広司さんのあれです。
本作でも、機能不全気味の父と娘が登場していて興味深い。

撮影監督は『ゼロ・グラヴィティ』でもアカデミー賞撮影賞を受賞した
エマニュエル・ルベツキ。
なんと“全編ワンカット撮影”
(実際には『ワンカット』のようですが、それにしてもカットは少ない)
緊迫感のある長いシーンに、演劇の舞台裏、
あぶりだされる人間関係、思惑、愛とか情とか絡みまくる。
面白くないはずがない! 私はこの手の映画大好きなんです。

そしてアメリカはやはり、「栄光とそれにまつろう陰影」を
描くことに長けているような気がします。
しかもそれをコメディの味付けをして、さらっと差し出してくる重み、凄み。
劇中の舞台劇として
『愛について語るときに我々の語ること
(What We Talk About When We Talk About Love)』
が登場します。私は春樹経由で知ったカーヴァー。
個人的には、こちら由来で馴染みぶかいタイトル。

走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)

村上 春樹 / 文藝春秋


(春樹のエッセイ。ランニングについて語っていながら、
そこにとどまらないところが例によって見事)

夫婦の問題を抱えた舞台劇というとどうしても
『欲望という名の列車』
を連想してしまう。しかもなつかしのシンプソンズ版。




カーヴァーも読もう、そして『欲望という名の列車』を観よう、
とも思いました。こういうリンクが一番楽しい。

ひさびさはしごはやっぱりたのしい_f0257756_15218100.jpg


うちのヴィヴィアン・リー。
※個人の認識です

しかしワンカット撮影と言えば何といってもこちら。
『エルミタージュ幻想』





一日だけ撮影許可のおりた、本物のエルミタージュ美術館が舞台。
エルミタージュ宮殿(あえて美術館でなく宮殿と言いたい)の中を
巡りながら、ロシアの歴史をゆるゆるとなぞる、
夢幻の美しさにみちた物語。圧巻。
なんと90分勝負のワンカット撮影です。
WIKI先生曰く、3回ほど『技術的な問題で』失敗して
4回目に成功したのだとか。





いつまでも終わらないでいてほしい、酩酊させてくれる素晴らしい作品。
たしか上映館は、旧ユーロスペースはじゃなかったかな??

そして、これを見たときは感極まりました。



by chico_book | 2015-05-01 02:13 | 映画 | Comments(2)

Commented by Linda at 2015-05-03 13:58 x
バードマンは珍しくこちらで日本より早く公開されました。
(ちなみにアニーが先週くらいに公開)
たしか私がイーダを観た頃だったかな。
フィンランド語の先生が観て良かったよーと言ってました。
図書館にDVDが入りそうな気がするので、その時には観たいです。

イニャリトゥ監督作品は、アモーレス・ペロスを劇場で観たけれど
その時の私には暴力的すぎると感じ(印象だけかも知れない)
よく覚えていません。
wikiで監督のこと読んで、一歩ひいて鑑賞すればよかったなぁと思いました。
過去作品のビューティフルにも興味がわきました。

村上さんのところで監督の名前が出た気がしたので探してみたら、
ビューティフルの予告で『海辺のカフカ』の文章が使われたそうですね。

もしかして、
走ることについて語るときに僕の語ること を読んで、
愛について語るときに我々の語ること を用いるアイデアを得たりして!?
なーんてね。

ブログに励ましのコメントありがとうございました。
とても嬉しかった!勇気百倍です。

ジブリのかぐや姫DVDが発売され、夫が速購入、
(宮崎監督のドキュメンタリーとセット割引あり)
観ることができました。とてもとてもよかったです。
ご紹介ありがとうございました。

日本は5日までお休みでしょうか。
楽しくお過ごしくださいね。

ちこにゃんのヴィヴィアン・リーに
私からも一票!
Commented by chico_book at 2015-05-04 10:07
Lindaさんこんにちは。
試験の準備で忙しいところに、
コメントいただいてありがとうございます。
ねたばれになっちゃったかな?? でも素晴らしい映画です。
機会がありましたら是非。

私実は『アモーレス・ぺロス』観てないんですよね。
『ビューティフル』も。
フランソワ・オゾン監督とならんで
『観たいんだけど近くのレンタル屋さんにないのでついつい後回し』
にしてしまっている監督さんです。
ちなみに『バベル』の監督さん、なんて堂々と書いてますけど
しばたく『クラッシュ』と勘違いしていました。
違うーー(こちらも好きな作品ですが)

『かぐや姫の物語』、絵巻物がするすると流れてゆくような
イメージの豊かさが好きです。
宮崎監督のドキュメンタリーって砂田麻美監督の
『夢と狂気の王国』
でしょうか。こちらも濃厚ですごかった印象です。

いま横浜そごうで開催中のエロール・ル・カイン展に
行ってきたのですが、ル・カイン挿画の『かぐや姫』の英語タイトルは、
『The child in the bamboo grove』
で、こちらもさくっとしていていいなあと思いました。

わたしのうちは日当たりがそんなに良くないのですが、
(ベランダ真正面に桜の木があるせいでもありまあすが、
明るい日陰という具合です)
これからの季節は却って落ちつくことができて気に入ってます。
ねこの機嫌優先で、ゆっくり家しごともろもろをするつもり。

……体型はまったくヴィヴィアンではないんですけども、えへへ(小声)
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