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おもしろくはないかもしれないけれど

大変良い映画だと思います。

『ターナー、光に愛を求めて』



ここ数年、19世紀美術の展覧会に行く機会が多くありました。
アールヌーヴォーとか印象派って、どうしてそんなに人気あるの?
(ロートレックと、モリスは好きだけど、ごにょごにょ)
(シャノワールは言うに及ばず)
という素朴な疑問からはじまり、
ラファエロ前派、印象派、ホイッスラー、ターナー(順不同)と
立て続けに見る機会がありました。
いちばんよかったのは『点描の画家たち』という切り口で、
印象派の発生からスーラ、マティス、モンドリアンへの縦軸で
説明した新国立の展示。ものすごくわかりやすかったです。

そして、上野のターナーは、大回顧展というだけあって
ターナーの生涯を振り返ることのできる
かなりしっかりした内容で、強く印象に残っています。
と言う訳で、久しぶりにジャック&ベティへ。

確実に変人なんだけど、嫌な人ではない。
むしろ愚直なほどに、絵に向かう作家です。
でもその愚直さに主張がない。
『不器用ですから』式の言い訳や説明にしているのではなく、
(この発言を引用されるときに使われがちな文脈として、
という意味です)
ただ淡々とそこにある、やりたいからやりたいようにやっている、
それだけのことを、ひたすら唸り続けるわかりにくい
相槌で周囲に伝えてゆくターナー。
最初はナニコレ? と思っていたもののだんだん
クセになっていき、最後は期待する始末。さすが150分もある作品。

大芸術家だから、偉大な画家だから許される、
ということがないのですね。
そして『芸術家だから』過剰にエキセントリックな訳でもない。
平然とやなやつであり、傑作をものする作家であり、
そのために身を投げだし、躊躇ということをしない。

大きなエピソードもなく、しずしずと歳月が経過してゆく。
そこが素晴らしかった。画家の日々の生活や息づかいが伝わる作品。
矛盾や欺瞞もそのままに提示される。

エポックメイキングなエピソードは随所に織り込まれるし、
(基本的に説明がない作品なので、私も
ターナー展で知識を得ていなかったら置いてきぼりだったと思う)
有名な作品もばしばし登場するのですが、
過剰な演出や盛り上げを徹底的に排除していました。
そして人生をきちんと描ききる。力のある作品です。
くわしい方が見るとまた印象が違うのでしょう。
とにかくジョン・ラスキンの
ぼっちゃん全開・鼻持ちならなさっぷりが完璧でした。
(個人的に『小宮豊隆』と読んでさしあげたい)
ターナーの絵画そのものが再現された映像を
大画面でがっつり観ることができるということが、大変素晴らしい。
劇場で観てよかったです。

厳密には伝記映画ではないけれど、画家の登場する映画。
『たまたま』観てしまったのですが、
その幸運を感謝せずにはいられない大好きな作品。
私の映画好きを決定的にした作品のひとつ。
まさかYOUTUBEにあるなんて!!(絶版作品なんです)

『マ ル メ ロ の 陽 光』(一応ね、一応)



いつまであるかわからないのでこっそりひっそり楽しみます。
大変静かで美しい作品。にもかかわらず渋谷でのロペス展に
行きそびれたことに(閉幕一週間後に)気づいて悶絶していたおととしの夏。

予告で見たこれは、絶対に観ます。断言。宣言。

『さよなら、人類』



なんと本日(8/8)公開。ジャック&ベティでは8/15から。タイムラグなくてうれしい。
そのぶんうっかりしないようにしないと。

『共犯』



台湾青春映画。この予告だけだと(個人的には)あまり魅かれないけど
ジャック&ベティのプロモーションが素晴らしかった。
台湾は中国とも香港とも違って、
緑が濃いのにどこかひっそりしている印象。

そしてyoutubeが勝手に再生した予告(笑)。



……おすすめってことでしょうか(笑)
いやこういう超くだらなさそうな映画も好きですけど。
キャメロン・ディアスのこういうところすごく好き。


おもしろくはないかもしれないけれど_f0257756_2244151.jpg


最近腰を据えてお相手できておりません。申し訳ない。

おもしろくはないかもしれないけれど_f0257756_2244324.jpg


いーっだ。

おもしろくはないかもしれないけれど_f0257756_22183220.jpg


写真までご機嫌ななめで回転してくれません。ごめんよう。

by chico_book | 2015-08-08 22:19 | 映画 | Comments(2)

Commented by Linda at 2015-08-13 00:10 x
ターナーのことは全く知りませんでした。それでも面白そう。

マルメロの陽光も知りませんでした。

新しく知ることが出来るから映画について話すことが好きです。

スウェーデン映画も予告から愉快ですね。やられたなぁ。フィンランド勢もがんばれー。国営放送からしてかなりブラックコント流すのでコメディではほんっと満足してるんです。

最後の写真のちこにゃん、いつにもましてかわいいですね。
お目目ぱっちりくっきりで悩殺されました。
Commented by chico_book at 2015-08-13 23:41
コメントありがとうございます。

私も、都美術館での大回顧展に行かなかったら、
ターナーのことは全然知らないままでした。
そしてふつうの展覧会だったら、
この映画にはかなり置いてきぼりにされたとも思うので、
ああ、めぐりあわせだね、と有難く思っています。ふふ。

奇人というほどエキセントリックではなく、
ただ黙々とマイペースな巨匠。
偏屈とでも、言えばいいのかな。

『マルメロの陽光』、
ほんとに大好きな映画なんです。
リアリズム絵画の巨匠(巨匠だらけですね(笑))が
ただひたすら、まいにちまいにち
庭のマルメロの絵を描き続ける作品です。
監督のヴィクトル・エリセのことも何も知らない時に
ふらっと観ました。福岡時代。
当時の福岡は、ミニシアターが3館ほどで、
見逃しが少なくてスケジュールしやすかったんですよね。
ここの劇場がやってくれるんなら、
試してみようかな、みたいな感じで。

フィンランドのブラックコント、すごそうですね。
フィンランド映画でみかけるざくっとした味わいを
思いきりあじわいたいなぁ。

ちこにゃんの写真、シッターさん撮影なんです、うふふ。
自慢の一枚です。でも私にも、こんな表情みせてくれるかな、と、
ちょっと不安になったりもします。かわいすぎてかわいすぎてもう。
たぶん心配しすぎなんだとは、自分でも思うのですが。
(自覚はあるのですけども、ごにょごにょ)
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