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傲慢でかわいい秘密のおしゃべり

眠くてぼんやりしたまま、機械的に職場へ向かって歩く。
ずいぶん陽ざしが強くなった。もう春だもの。
結局今年は雪は降らないままなのだろうか。そういう年もあるってことかしら。
ちょっと残念なようなありがたいような。
そんなことをぼんやりと考えながら足だけはしゃきしゃきと
進んでゆく。無意識の動きが自分でも少し不気味で、でもありがたくもある。
もたもたしている暇はないし、油断すると
いくらでもたもたする人間なのだから。

登校中の小学生がばらばらと私のまわりを走ってゆく。
まさに三々五々、集まっては離れ、歓声を上げる小さなひとたち。
みんなしっかりとランドセルを背負っている。
私がこどものころは
『いかに早くランドセルを卒業してマイバッグに移行するか』
競争のような風潮があって、早い子どもは3年生くらいから
もう使わなくなっていた。
ランドセルそのものも、当時のものは(きっと)使い勝手が悪かったり、
品もよくなかったりしたのかもしれない。
いまどきのランドセルは色づかいもデザインのディティールも
様々で、身長の高い子どものものでもそんなにくたびれている様子はない。
もしかしたら、手入れしながら大切に使っているのかも。
だとしたらそれはよい変化ではないですか。
高度経済成長・大量生産・バブルでイケイケどんどん期を経て、
いまや子供の意識も変わってるのかもねえ、と、勝手に思いを巡らせてみる。

わたし自身は身長が伸びなかったことと、
両手がフリーになって、本を読みながら歩くことができる、
というメリットを感じていたので、6年間みっしり使い倒しました。

そして近所のおじちゃんおばちゃんに
『二宮金次郎』『ものを大切にするこども』
と、うつくしい誤解の要素のある評価をいただいておりました。
あぶないでしょ! と(強くは)言われないほど、交通量の少ない田舎のお話。

短いパンツからすんなりした足を突き出して、
気持ちいい切れ味でしゃきしゃき歩く女子ふたり。
いわゆる『恋人つなぎ』をした手を軽く揺らしながら、
肩を軽くぶつけないながら。
長い髪は朝日を受けて信じられないくらいいつやつやしている。
ひとりはポニーテール、ひとりはツインテール。
盛大に揺れる髪のふさふさ、傲慢なほどの髪の艶までがなんだか楽しげ。
でも聞こえてくる会話の内容は、ちょっと意外でした。
夢遊病者のような(やる気のない)私と、彼女たちの歩く速度が
たまたま一致した、短い時間に聞こえてきた内容をキキミミ頭巾。
そしてその記録。だってあまりにかわいくて!!

「ああ卒業式めんどくさいねえ」

「ねえ」

「ずっと小学生でいたいのになー」

「私もそう言ったらママすごく怒ってた。びっくりだよ」

「うちもだよ。行かないって言ってるわけでもないのに
なんであんなにむきになるんだか不思議」

「行きたくないけど行くに決まってるじゃんか。
ママってさ、よくあんなにむきになれるよね。
わたしだってぐちくらい言いたいよ」

「やだよねえ中学。髪の毛とか好きにできないんだよ」

「ほんとほんと」

うーんそうだねえ。
わたしに子供はいませんが、中学の校則の不合理性に
異を唱えられた場合、説得できる自信は正直ないなあ。
(もちろん内容にもよりますが)

「制服やだよねえやだやだ」

「ママがさあ、『ぜいたくねえ。○中の制服あんなにかわいいのに』って。
そういう問題じゃないよね」

「いやいくらかわいくてもね、たまには別の着たいじゃない」

「そう! 」

「『私が着たいくらいだわ』だってさ。バカみたい」

オオなんとも辛辣な。
しかしこのくらいの年ごろの万能感とか
さわるものみな傷つけるとげっちさとか
じぶんたちは一番賢いわよフンフフーン!! なイキオイが、
(はたから見る分には)嫌いではないのでほのほのと
聞こえてくるままに任せる。

「だいたいスカートしかはけないじゃない。
それがすっごく嫌。さむいって」

思わず少女たちの足もとに目をやる。
ショートパンツから出ている足は鮮やかなカラータイツにつつまれている。
ひとりはマスタードイエロー、ひとりはカーキ。

「双子コーデとかふたりならんだときの色のバランスとか
配分とか、一生懸命工夫するのたのしかったのに。
制服なんてなんにもできないじゃん。台なしじゃん」

「そうそう。みんなとおそろいなんてまっぴらだよね。
ふたりでおそろい、は、こんなにたのしいのにねぇ。
知らないひとと、何の工夫もなくまるっきり
おんなじ服なんてぜったいやだやだやだよね」

「ねー!!!!」

なるほど。なーるーほーどー!!

いやはやなんとも興味深い。
こうやって(そんなに大都会ではないけれど)都市に住む
ふつうの女の子たちは爪を磨くのね。
桜色のつやつやしたツメを。
そしてその爪は守られて宝石に変わるのです、
と言うと、まるきりサードガールになりますが。

失礼しちゃうわ! とか言いそうな、オシャレ小学生のリアルボイス、
(期せずして)聞くことができて、なんだかちょっとたのしかった。
小鳥のさえずりみたい、意味がなくて生意気で、
甘やかでかわいくて傲慢。まさに天使な小生意気(読んだことないけれど)

春が来ようと強いる季節の、まぶしい朝のスナップショット。

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こちらはエリザベス女王のように威厳に充ちたねこ。
威厳ありすぎて見切れてしまってます。

傲慢でかわいい秘密のおしゃべり_f0257756_01101150.jpg
最近のお気に入りはねここたつの『上』。
春先はちょっとアレルギーぽく、涙目でかわいそう。
(なのでちょっと写真を控えめ)

基本おっとりとくつろいで、毎日を過ごしています。

すこしおばあちゃんぽくなったかな。
基本的によく食べよく眠り、ご機嫌で日々を過ごしているので、
心配はしていないのですが。


ふわふわ

村上 春樹,安西 水丸/講談社

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大きくて年老いためすねこのすばらしさ。


by chico_book | 2017-03-07 01:14 | 日々 | Comments(6)

Commented by momokissa at 2017-03-07 05:15
双子コーデ!!
朝日より眩しいお嬢ちゃんたち。たのしい。私も間違いなく聴く!
ちこぼんさんと一緒に聞き耳を立てている気になりました。

そういえば中1の姪もいつからか自分のことを 「うち」と呼んでます。
LINEの投稿を見て、こういうことに興味持ってるのかぁとぼんやり想像してます。

ちこにゃん、よく食べよく眠り、ご機嫌で日々を過ごしているのはとっても素敵なことですね。
それを傍らで眺める幸せよ。
Commented by pinochiko at 2017-03-07 13:05
眩しい。まだほんの少し男の子っぽい体つきでもある女子の会話。
話すことに偽りがなくて、全部正しい。
いつの間に、周囲に気を遣う大人になっちゃうのかなぁ~。

ふふふ。マイショップのおにぎり、いいんですよ~。
いや、ただのおにぎりなんですけどね。
塩っ気の強い白米に、シナシナの海苔。洗練された大手コンビニのおにぎりとは違います。
お母さんが作ったみたいなおにぎりかな。
でも、これが軽井沢まで来る理由のひとつだなんて、大げさ過ぎますよ~(笑)
Commented by にゃおにゃん at 2017-03-07 19:11 x
今日も雪、吹雪。東京から戻ってちょうど一年。地震やら大雪やら、あんた帰って来て災難じゃったね⇦岡山からお嫁に来たジム友より。
さくらも元気にしてますよ。左足をくじいたみたいでちょっと不便そうだと聞いて心配してなでなでしに帰ったけど、トイレもご飯も二階に上がって済ませてるから問題なし。
春が来るのに、モタモタしてます。あははは。
ちこにゃん、キバがキュートょ。
Commented by chico_book at 2017-03-10 00:27
momokissaさんコメントありがとうです☆

聞き耳たててネットに公開しちゃうおばちゃんと言うのも
ずいぶん不気味なものかしらね、と、実は一週間くらい
転がして、でもあまりのかわいらしさまぶしさが
この季節の明るい朝の陽ざしっぽいので
えいやっと上げることにしました。

ちなみに
「ママはずるくてパパは生意気」
なんだそうです。
この傍若無人さがひたすらまぶしい。

私も友人のこどもに
「その洋服かわいいね。いつもそういうのきてたらいいと思うよ」
と言われてなんだか楽しくなっちゃいました。
ついこの前まで、うぇうぁ言ってた2歳半の分際で
まあなんとも面白いことです

ちこにゃん、この写真はちょっとひどくて、
ちょっと痛々しいです。
でもお手手の畳み込み具合は素晴らしいような。

とてとてと歩いてきて、
足元でコロン、して、それからサイレントミャウ、
と言う必殺技を毎日連打。

お留守番時のエアコンが不要な日も増えてきて
ほっとしています。ねここたつはまだまだだけど。
Commented by chico_book at 2017-03-10 00:43
ぴの様こんばんは!!

しゃきしゃき歩く足がまぶしくてまぶしくて、
どんなに真剣に双子コーデ(おそらく限られたアイテムを駆使して)を
考えてたのかと思うととてもかわいい。
でも小学生の足をガン見するおばちゃんと言うのも、
いかがなものかと(2回目)思ったりもするのですが。

制服は当たり前に切るもの、小学校卒業したら中学に行くもの、とか
そういう思い込みを、ぱすっと取っ払ってくれた
かわいいお嬢さんがたでした。
なにしろこちらは、
だるーいしんどーいめんどくさーい、なんて気持ちで
出勤してたものですから(駄目大人)

そしていやいや、ただのくいしんぼなんですよね。
なんだかすごくおいしそうで、かぶりつきで見てしまいました。
そうか、しっかり塩味ついてるんですね。
オリジン弁当のおむすびを小ぶりにした感じ?? かな? って。

車の運転が出来ればなあ、と、
今回ほど自分にガッカリしていることはありません。
雪がなくなってから、長野を車でまわるのたのしそう…
(免許取得以来おそらく2時間も乗っていないという)
Commented by chico_book at 2017-03-10 01:19
にゃおにゃんさま、
うーんやっぱりそちらは雪なんですねえ。
いかがおすごしですか??

ことしの南関東はほんとに、一回雪がちらついたっけ?
どうだっけ?? ってレベルだと思います。
感想はやっぱりひどくて、それでもエアコンいれずにはいられなくて
なかなか悩ましかったけれど、もう大丈夫かな、
まだ油断はできないかな、と言うところ。。

さくらちゃんほんとにりりしいですね。
かっこかわいいお姉さん。
いや、かわいいというより美しい、あるいは麗しいにゃん
とか、そういう方面かしら。
ちこはさいきん、爪が伸びてきてひっかかるのが気に入らないらしく
(たとえばカーペットなどに)つめをひっかけたまま、
まっすぐにわたしをみて
「うあーーーん」
と言います。なにこのかわいいあまえんぼ! 
不在の時自分で対応してるのに!!
そのくせ爪を切ろうとすると激おこなのに!!

でも爪が伸びるのも健やかな証拠ですよね。
確かに結構固いつめで、ドクターのおっしゃる通りの年齢なのかしら、と、
そしてがんばって生きてきていますこやかなちこを
あらためていとおしく思ったり。

こんなにも日々をいとおしくさせてくれるにゃんのありがたさ。
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