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あったかかわいいねこに関する二題

重たいものを運んでくれる便利さとか、週末の都合のつかなさとかを理由に、
猫用品を時々ネットで購入します。トイレのねこ砂とか、カリカリとか。
「ショップ名がわからないようにしてお届けします」サービスもあって、なかなか興味深い。
職場の男性陣にその話をすると、
「・・・・・・えっちな映像作品と一緒だ!」
ですってよ。知らなんだ。不思議な感銘の輪が広がってました。

さて、そんなショップから、時折送られてくる商品情報メールに
『秋冬・あったか安心・ねこちゃんに大人気ポカポカねこベッド』
のご案内がありました。まあ。まああ!!

ちこの防寒対策は、毎年とても悩ましいのです。
基本的に、自宅がそこまで寒くならない季節は、湯たんぽやフリースで対応。
本格的に寒くなったら、オイルヒーターを導入するのが例年のパターン。
友人に話を聞くと、ねこ用こたつとか、エアコンのタイマー設定とか、
みんなそれなりに工夫+苦労している様子。
しかしなかなか思うようにはなりません。
最初はご機嫌でもぐっても、5分で布団をおとしちゃってあったかさをキープできないとか、
人間用の大きなこたつを占領して、同居ねこはおろかニンゲンさえも威嚇するとか、
笑えるような困るような、悲喜こもごもなエピソードを、みんなわんさか語ります。
とにかくにゃんこさん(たち)には快適に過ごしてほしいだけなのに。

我が家の場合、ねこ用ベッドがなくても、人間用のベッドもソファーも椅子もすべてねこ使用可。
あえてねこ用なんて意味ないかしら、と悩みつつも、それでも「どれどれ? 」とクリック。
ふわもこあったか・抗菌仕様・いつでも洗えて清潔、かあ。
ちこにゃん吐きぐせがあるからいいかもしれない。
それに、ねこは狭いところにもぐりこむの好きだもんね。

と、うなずきつつ「商品レビュー」をクリックしたところ。

『届いた瞬間から大のお気に入りです』
『多頭飼いなのですが、とりあいになるのでひとりにひとつずつ買い足しました』
(注:ここでのひとり=ねこ一匹、のことです)
あらまあ大人気。気難しいちこにゃさんは気に入るかしら?? 
すっかりオブジェに成り果てている、
IKEAの籐製キャットスツールの二の舞にはならないかなあ?
などなど思いつつ続けて読んでゆくと。

『ベッドからまったく出てこなくなりました』
『いるのかいないのかわかりません。(ベッドの上から)触ったり、声をかけたりすると怒ります』
『前は、眠るときはいつも一緒だったのに、寂しいです』

…!!
それはおねこ様気に入っているなあ。でも、なんという悩ましさ。
そこまで気に入ってもらえるとそれはもちろんよろこびだけど。

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そんなことを私がうんうん唸っている間に、すっかり押入れにゃんこになっています。
(暗さもあって、ぼけぼけですが、一番ましな写真)
私がベッドに入ってお布団をかけたら、すたっ! と、足音も高らかにやってくるのですが。
いつも思うけど、よくわかるねえ。
そして寝ている私の体のまわりを、ここでもないそこでもないと行ったり来たりうろうろします。
ようやく見つけたお気に入りスポットに、うずくまってみても、5秒後には
「ちがう!!」
と起きだしてみたり、思いきり体をおしつけてきたり、まあ、なんというかわいさ。
確かに、これがなくなると寂しいでしょう。でもそれくらい満足してくれたらうれしいよねえ。

ところで、先週の金曜深夜のこと。
土曜日に観にゆく映画の段取りを、あーでもないこーでもないと考える、
そんな至福の時間帯に携帯メールの着信音。
しかも、会社のひとから。ひえええ。なんだろう。トラブルかしら。
明日、いやもしやいまから急遽出勤とか…?

おそるおそる携帯を開くと (そう、いまでも折りたたまれております)
『タモリ倶楽部観て!! いますぐ!』
なななな。なにごと?

はい、こたえはこれでした↓(まとめサイトへのリンクです)
タモリ倶楽部・飛び猫の撮影会 実況 ~癒やしの猫でほっこりモード
ねこカフェを舞台に、タモリさんと爆笑問題の田中さんが、『飛び猫』写真家の方に教わりながら、
『かわいい猫の(主に飛んでいる猫の)写真を撮ろう!!』と、言う企画。

とにかくにゃんこ好きでにゃんこにめろんめろんになる爆笑問題・田中さんに完全にシンクロ。
そういえば職場の(メールくださったのとは別の)かたと、ねこの話をしていた時に
『ちこぼんさん(仮)って爆笑の田中そっくり!!』
と言われたことがありました。
なので、田中さんがねこ好きなんだろうなと思ってましたが、いやいや、ほんとだ、わかるわかる。
かわいいよねえ、ねこ。かわいくてかしこくてりっぱですてきだよねえ。でれでれ。

こちらは、上記のリンク先から導かれた『ドイツの教会で働く三毛猫ダニエルさん』の動画。
ダニエルさん、教会を鳩から守る係、なんだそうです。
カッツェ、と、ダニエル、しか聞き取れませんでしたよ。とほほ。

ピンクのお耳、りりしい鼻筋、静かに響くごろごろ、らせん階段、おじさんのおひげなど、
みどころ盛りだくさん過ぎるのでぜひぜひ!!



こちらもダニエルさんかな? 街の風景や教会の様子など、映像としても見ごたえもありそう。
室内に見られる木組みとか。爪研いだりしないお利口さんなのかな?
(でもソファーは結構いっちゃってますね)


こちらはうちのおりこうさん。

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ほんの少し前まで、こんなふうにあしもとでころんころんしてたのにね。
やっぱり寒さ対策必要かな?(でてこないことに変わりはなさそう)
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by chico_book | 2014-10-30 02:16 | ねこ | Comments(2)

フランス映画と日本のまんがにヴァーチャルハグを贈りつけたい

最近ようやく、カルディ人気ナンバー1!! の『マイルドコーヒー』を、ミルクなしでも、
おそるおそる飲めるようになったレベルの、コーヒーにはいまひとつ縁遠いワタクシです。

それでも、お茶するのは大好き。
動詞は「お茶する」だけれども、時間調整や読み物・書きものをするのに負担なく
はいれるお店には、たいていおいしい「お茶」はありません。せつない。
勿論、がっつり気合い入れていただくお紅茶のお店は別。
頼もしい重たさ温かさのポットを持ち上げて薫り高い湯気を満喫したりするのは大好き。
しかし、ちょっと映画の間の時間調整に、とか、いま買ったばかりの本を、ビニールカバーを破るのも
もどかしいくらい読みたいとき(と言う段階でコミック限定の話になってますけど)、
あるいはずうっと懸案事項の書き物をしたい場合など。

フードコートではにぎやかすぎお尻が痛くなりすぎひとりでは肩身が狭すぎる、
「お紅茶」のお店は、ノートとか本とか思いっきり広げるにはお品がよすぎる。
そういうときはやはりいつものさくっとしたカフェが気楽。
そう、ドトールとかBECKとかエクセルシオールとか、そういった類の。
スタバは……スタバは大好きなんだけど
(長居しやすい店構えだし→でも待ち行列が長いことが多いので微妙)
いつ行っても混んでいるのと、メニューに誘惑が多すぎますね。困る困る。
そういう訳で、かんたんなカフェの紅茶がもっとおいしくなるといいのになー、とも思うのです。
しかしそうこう思っているうちに、少しずつコーヒーが飲めるようになってきてしまった。
結局自分の萌芽状況に対応しているわけです。なんだかせつない。

食いしん坊ならではの発想かもしれませんが、コーヒーにはなにかちょっと「ひとくち」欲しくなる。
わりとしっかりめの焼き菓子とか、プレーンなドーナツとか。
では紅茶なら欲しくならないかと言うと、そんなことないので、
食いしん坊がいつでも何か一口食べるチャンスを狙っているというお話に過ぎないのですが。

ところで、しょっちゅう行っている感のある映画館、ジャック&ベティ
『横浜最後の名画座「ジャック」、単館系の新作ロードショー館「ベティ」』に2館で構成されています。
(HPより)
青江美奈『伊勢佐木町ブルース』でおなじみ
(と断言するほどよく知らないけれど自信はないけれど。ちなみに1968年リリース)、
昭和の繁華街の気配をそこかしこに漂わせる伊勢佐木モールの端っこにひっそりとある映画館。
結構な風俗ショップに囲まれているのが、ちょっと辛い立地ですが、
福岡・北九州時代を思い出さない訳でもないので、ええ、まあわりと、そのロケーションをたのしんでおります。
でも途中まで並んで歩いていた男性がすいっとお店に入ってゆく瞬間には、いつもびびってしまう。
慣れません。

昔ながらの商店街、個性的でおもしろい個人店がたくさんある(らしい)立地なのに、もったいないよね、
という気もするけれど、映画に集中しているので気を遣わずに済むチェーン店についつい行ってしまう。
労力のバランスの問題なんだよねぇ、と、
グローバリゼーションとかなんとかかんとかについて思いを馳せながら、
今回の鑑賞人数は6人(筆者含)

映画『不機嫌なママにメルシィ!』


映画『イヴ・サンローラン』で、サンローランのパートナー、ピエール・ベルジェ役を演じた
ギョーム・ガリエンヌ製作・脚本・監督・ひとりでダブル主演!! 
そう、自伝的要素の強い本作の主人公、ギョーム・ガリエンヌと、
母親役をもこのお方一人で演じておられます。なにそれ。と言う訳で観てみました。
おもしろかった! すごく素直に面白かった。プレーンではなく、シンプルに。
この物語を、こういうふうに表現してしまうところに素直に感服してしまいます。
自分の中の問題へのアプローチとして。

毒親ということばが何かと散見される昨今ですが、成長期において、親や家族など、
身近な人間の影響をうけないことはあり得ない。
そのうえで、愛と敬意と距離をもって関係を持ってゆくこと。
それは本当に難しいことなのですが。

『愛すべき娘たち』

愛すべき娘たち (Jets comics)

よしなが ふみ / 白泉社



『母というものは要するに不完全なひとりの女のことなのだ』

この問題を軽やかさで描くことが出来るよしながふみがいてくれることに感謝。

『わかってるのと許せるのと愛せるのとはみんな違うよ』

まんがの国(と言ってもいいよね? )に生まれてよかった。
呼吸するようにまんがに囲まれて育ってきて本当によかった。

でもこれを、セクシャリティの問題を絡めて、男性が女装して母自身を演じて語る、と言うのを
やってしまうのがフランス映画なんですねえ。でもやっぱり、日本にはよしながふみがいる。

『きのう何食べた?』

きのう何食べた?(1) (モーニング KC)

よしなが ふみ / 講談社



イケメン・弁護士・性格も◎、な、自慢の息子があろうことか『ゲイ』!! 
それを何とか受け入れなくてはならないわ、と教条的にテンパる母親の滑稽さ悲しさ、
息子から見た場合の痛々しさとか申し訳なさいたたまれなさが、あますことなく描かれています。
(物語の主軸の『一本』であり、話の本筋ではありません。
話はあくまでそんな主人公・(そこそこハンサムな)中年弁護士とそのパートナー(男性美容師)の日常。

ところでこの映画、舞台となるガリエンヌ家はかなり裕福なように描かれています。
と言う訳で、とにかく眼福極まりない映像がてんこもり。
イギリスの学園生活とか、ドイツの高級スパリゾートとか、
家族が集まるシーンだけでもうっとりワクワクできます。

『日曜日にはマルシェでボンボン(3)』

日曜日はマルシェでボンボン 3

かわかみ じゅんこ / 集英社



南仏で暮らすおしゃまな(笑)小学生・ジュリエッタの日常をほのぼのと、
時にシニカルに描いている作品だと思っていたら、3巻でひっくり返されました!! 
おそるべしかわかみじゅんこ! 
スウィートな中に含まれる、静かな毒と日常のしたたかさ、それゆえのあたたかさたのもしさ。
3巻に含まれるエピソードのひとつが、この映画とややシンクロしている部分があります。
両方に興味がある人が、いたらちょっとうれしいな、という気持ちで記録。
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by chico_book | 2014-10-28 01:06 | 映画 | Comments(0)

深まる秋に寄せる雑感などなど

急に寒くなりましたねえ。カレンダーには霜降の文字。そうこう、と読むのだそうです。知らなかった。
いまの時期の私のコートは紺色。見るたびにくすりと笑ってしまう。
このコートを買ったときには、まだちこはいなかったんだなあとしみじみ思うから。
いまなら絶対選ばない。選べない、白いねこ毛がびっしりと(愛らしく)まとわりつく素材と、目立つ紺色。

寒くなると、富士山がくっきり見えるのがうれしい横浜市中央部(中心部ではありません)。
これから年末に向けて、南関東はとても天気が良く、パリッパリに乾燥するけども美しい季節になります。
神奈川に来て発見したことのひとつ。



ライブverははじめて聴きました。
いちょう並木を見ると『きみのきらいな東京も、秋は素敵な街』というフレーズを思い出します。



秋にヘビロテしていたせいか『LIFE』はものすごく秋のイメージ、もう宿命的に。
当時の私は、『東京タワーから続いていく道』なんてとてもイメージできない、
九州生活満喫者でしたが。特に天神の地下街は大好きだった!!!

以下公式サイトより引用

天神地下街は、次の時代に残したい街として鉄と煉瓦と石を基調とした、19世紀ヨーロッパの格調高い街並みをイメージして造られました。7~12番街の新しい地下街は、このコンセプトを継承し、自然採光が入る広場や街路樹をイメージして造った通路の天井など、ほどよい明るさの南ヨーロッパの雰囲気が漂う街並みが完成いたしました。また、1~6番街の既設はヨーロッパ中北部の香りが感じられるステンドグラスや時計などが薄暮の光に包まれています。全国に誇れる快適で、質の高い商業施設を目指してまいります。


天井が低めで、照明も暗いのに、圧迫感と言うよりは、おちつきを感じる素敵空間。
アイアンの唐草模様の装飾は、エッフェル塔みたい。パリ行ったことないけど。
なかなかないです、こういうの。

中越地震から10周年だそうです。地震当日、私はオランダを旅していました。
直行便KLMでアムステルダムに到着して、そこから電車で20分のライデンという街に滞在したのですが、
ホテルのドアを開けた途端に『earthquake in JAPAN!』(とか何かそういった類のことを)
言われて、とても驚きました。
9部屋しかない小さな、しかも夜になると従業員さんが帰ってしまうという(!!)ホテルでしたが、
天井近くに設置されたちいさなテレビに映る、何度も何度も繰り返されるNHK-BSニュース画像を
呆然と観たのが忘れられません。

モンキー・パトロール vol.1 (祥伝社コミック文庫 あ 3-1)

有間 しのぶ / 祥伝社



私のオールタイムベストのひとつ。きっとこれから先もずっと好き。
お棺に入れてもらってもいいくらいだけど、もう充分自分の中に刻み込んでいるから、
刻まれてるからその必要もないと思う。
穏やかで強くてやさしい最強男子・オジャブーの名前の由来が、中越地震の被災地である
新潟県・小千谷市への応援の思いが込められているということに、ものすごく驚いた。
その事実も含めて、こういう形でのエールという方法論も含めて。勿論311以前の話ですが。

現在連載中の『その女ジルバ』は、福島出身の作者が、より強く『震災後の日本』、
そして喪失者が生き延びることについて描き出しています。
人生はすべて獲得と喪失の旅路であることを、独特のやさしさとひょうきんさで描き出す良作。
そしてこちらでは、福島へのつよいつよい思いを、さまざまな登場人物の
人生にシンクロさせる形で描いています。独特の凄味のある作品。

その女、ジルバ 1 (ビッグコミックス)

有間 しのぶ / 小学館



そんなこんなで、中越地震のニュースを見ると、私が思い出すのは秋のオランダ。
それもあって、一層現実感が遊離してしまっています。

運河と森の中をほけほけ散歩していて、迷子になりかけながら振り向いた時に鹿がいたあの場所の記憶。
いまでも幻だったんじゃないかと思う。茂みの向こうから、くりくりした瞳でじいっと私を見ていた。
そんな、ジブリじゃないんだから!! 
でも当時は、さすがブルーナさんの国! と素朴に喜んでたんだけども。
これも、私が中学校の遠足の行き先が『サル』や『鹿』が出る(もちろん野生)ような場所育ちだったので
(そんなに)違和感なかっただけかも。

アムステルダムもライデンも、とても美しかったのだけれど、
マウリッツハイス美術館
(そう、真珠の耳飾で有名な青いターバンの少女とか、デルフト眺望とか、
例によって一点あれば東京では大変な目玉になるような作品がざんざかある美術館です)
目当てで訪れた、デンハーグの街のトラム。
その軌道内に茂っていた芝の色あいの、内側から発光しているような柔らかな明るさ。
トラムの終点は、北海に面したビーチリゾート、スフェーベニンゲン。

ここの砂浜は、エリアごとにブルーナさんのキャラクターが描かれた看板がありました。
砂浜にポツンポツンとたたずむうさこちゃんと仲間たちのかわいらしさ! 写真がなくてとても残念。
それでも私は、ひとのまばらな砂浜に、斜めにさす夕陽じめった砂の上をさくさく歩いた感触を、
こんなにはっきり思い出せる。

10月半ばのオランダ、充分に冷たい風の中、それでもボードを抱えて海に走ってゆくひとや、
小型のポニーくらいはありそうなサイズのわんこの散歩を遠巻きに見ていると、
なんとむこうから走ってくる馬!! そしてその先に、からからまわる風力発電の風車。
これ全部が同じフレームの中に納まるなんて、それ自体なんだか彼岸のようなリアリティの薄さ。
この国をつくりあげたひとたちは、この海から世界に乗り出していったんだよねえ、などと、
安易な連想をしながら、ひたすらサクサク歩いた。
こういう時の、かつ浮かびかつ消える思考(と言うほどのものでは全くないけど)の
たゆたいみたいなのが好き。
観光地や美術館に行くのも、もちろん楽しいけれど、こういうエアポケットみたいな
時間と空間の記憶のあざやかさは、また格別。



ほとんど予告でわかってしまってるのではないかとおもいますけども。
オランダの街並みを堪能したいので、レンタル屋さんにあったら借りてみたい。



きれいなんだけど怖そう。これは悩ましい。今週末(10/25(土))公開。
北米の風景とフランス語と言う組み合わせは新鮮かも。

※大丈夫とは思いますが、R18でない方の予告。そう、R18の方の予告もあるのです。そういう映画です。
と言う訳で、苦手な方はご注意を。



観たら後悔する自信満々。しかし気になってしょうがない。上映期間短そうだし。
レンタルで探すの大変そうだし。一番困るパターン。

 
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by chico_book | 2014-10-24 01:32 | 日々 | Comments(3)

静かさと熱情の両立

『イーダ』は修道院で生活する少女のお話でした。
堅信を誓い、正式な修道女になる前に自分のルーツをたどる、それが物語のはじまり。

偶然ですがこちらの新刊も、修道院が舞台です。
『かごめかごめ』 池辺葵

かごめかごめ (書籍扱いコミックス)

池辺 葵 / 秋田書店



『繕い裁つ人』

繕い裁つ人(1) (KCデラックス Kiss)

池辺 葵 / 講談社


『どぶがわ』

どぶがわ (A.L.C.DX)

池辺葵 / 秋田書店


で、堅牢な世界と、その中でひっそりとしかし確実に生きるひとびとを描く
池辺葵の最新作。なんと全編カラー、1200円!!

正直驚きました。出版不況と言われて久しいのに、この強気。
池辺葵は、初見で見ほれてしまうような、華麗な「絵」で売るタイプの作家ではありません。
とはいえ、絵に魅力がないのでは決してなく、
味のある画面構成とそぎ落とされた造形に大変魅力がある漫画家さんです。
しかし、少なくとも100人いて100人が上手ねえ、とため息をつくタイプの作家ではない。はず。
※個人の感想です。不快に思われるかたがいらっしゃったらすみません。

ここで華麗な少女まんが「絵」の代表に、吉野朔実・松苗あけみを双璧としてしまうのは
年寄りだからでしょうか。だろうなあ。
レースにフリル、サテンにりぼんのからまるさ柔らかさ、
大理石の冷たさすべらかさ、花弁のしなやかさ、そこにたまる朝露と香気。
それから松苗先生の描くお菓子、なによりもなによりも美男美女!!!
皮膚の薄さをとおして、かぼそさはかなさが伝わってくるような、うつくしい肩甲骨とか鎖骨とか。
ああ、やばい、とまんないのでこのへんにします。

華麗さ甘い夢、そして残酷さを、絵だけでここまで描いてみせるひとたち。
昨今のデジタル絵の、底から光が射すような明るさとはまるで異なる重層感。
そのふたつをつなぐような精緻さを持つのがおかざき真里とか清水玲子あたりで、
細部への徹底は小畑健の影響が大きいのではないかと、勝手に推測。
少女まんがの話ではなくなってますけど。

池辺葵の絵は、そのどちらでもありません。
しかし作者が物語を託すのに、選びに選び抜いてたどり着いた先という気がする。
その湿度を感じない冷たさは、どこか石造りの城郭を思わせます。
人を寄せ付けない、うつくしいけれど孤独で、そして確実にひそんでいる不穏さ。

作品は架空世界の修道院が舞台。
固有の名称は明らかにされませんが「主の祈り」の引用などから、
キリスト教をイメージしていると思えます。

優秀で人望篤いシスターマルエナと、彼女のお世話係である「ジュニア」のアミラ。
ふたりを中心に静かで明るい日々が淡々と描かれます。
その中で少しずつ起きてゆく変化。
祈りと、場と、それぞれの存在をめぐる人々のきもち、感情の揺れ、
それらのひとつひとつが共鳴し、やがておさまってゆく。
小さな石を静かな水面に投げ入れたときに広がる波紋を見守るように、
それはそれは丁寧に描かれます。
大きくゆらぎ、波立ち、静まってゆく水面、その一部始終。
一瞬交錯するそれぞれの人生。重なる思い、過ぎゆく時間。
背の高い窓から入りこむ光と影。語られなかった言葉、それでもなくならない気持ち。
そのあらゆるすべてに平等に、静かに響く讃美歌。
みがきこまれた礼拝堂の木の床に刺す柔らかな光。

ミニマリスムとでもいうのか。
そぎ落とされた中のひとこと、小さな想いやふとしたかさなり、それだけでつたわるもの。
これだけ少ない言葉で、これだけそぎ落とされた絵で、
ここまで表現できるのかという圧倒。

実はいままでは『結構好きかも』レベルの漫画家さんだったのですが
この作品はものすごく素晴らしい。あらゆる要素の見事な調和。
この物語に『かごめかごめ』というタイトルをつけるということまで含めて、完璧。
修道院が登場する映画をみたばかりで、個人的な意味でも、
タイミングが良かったのかもしれません。でもこういう幸運は大切にしようと思う。

あと、コマのふちどりが普通の枠線ではなくて、額縁模様になっているのです。
これも、すばらしい効果を上げています。昔話のような、静謐な絵画の中に入ってゆくような。

◎追記
こちらのサイトで第一話を読むことが出来ます。いや参った。
1月にモニターを買い替えたこともあるかもしれませんが、大変美しい。
とんでもない美しさです。充分、素の『絵の力』で引っ張れる。
紙版のかっさりと褪せたような趣と、デジタルの透明度がまるで違う。
これはいかん。タブレット端末を購入するべきでしょうか!!(違)
いまの時代、まんがは電子版と紙版と両方見てみないことには、評価がむつかしいんでしょうか(涙)!!
そしてもともとWEB連載だったことも、いま知りました…


それにしても、全編カラーにはまいりました。でも素晴らしい試みです(力説)
デジタルで作品を公開することも踏まえると、これから広がる動きになるのかな。
作家さんの負担がどうなのかわからないのですが、是非定着してほしい。

ただ、たとえば本作では、上記の枠線(と言うか額縁)とか、あるいは枠外の
通常「白=紙の地色」の部分にも効果をつけて作画されているので、
作家さんは今まで以上に大変になるのかもしれません。
ですので、無邪気すぎる意見かもしれませんけれど。

ちなみに、私がフルカラーで見たい作品のワンツーを勝手に!!

『宝石の国』 市川春子

宝石の国(1) (アフタヌーンKC)

市川 春子 / 講談社



宝石をもとに造形された登場人物たちの華麗さ!

硬質さ、輝き、脆さ、粉々になる際の飛沫、液体から固体へと変化する美しさ。
これはフルカラーで観たい作品。大変な労力がかかりそうで作家様には申し訳ないのですが。
(でも白黒画面ならではの、深みのある夜空や夜の海のうねりも捨てがたい。
そこに水銀のしずくが飛散するっていうのがもう!!)


※アニメ化されたわけではなく、コミックス発売記念として作成されたPV。
こういう企画が通る流れとか、デジタル化とかいろいろな要素が重なってるんだろうなあ。
ひとりのまんが好きとしてぜひ応援したい。

『ACCA13区監察課』 オノ・ナツメ

ACCA13区監察課 (1) (ビッグガンガンコミックススーパー)

オノ・ナツメ / スクウェア・エニックス



たぶんこの作家さんの脳内にはフルカラーで映像が展開されているような気がする、
漫画家さんってみんなそうなのかもしれませんけども。
デザインや背景や小物に至るまで、センスの良いものが多くて映画を見ているようなのでぜひぜひ。
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by chico_book | 2014-10-23 00:37 | まんが | Comments(0)

明るいモノクロームが内包するもの

春眠暁を覚えずと言いますが、秋もなんだかやたらに眠たい。
それも9月のお彼岸の頃ならば「夏の疲れがでてるのね」等とも思えるのだけれど、
この季節にもなるとさすがにそれも違う気がする。
朝の布団の恋しさとか、丸くなってひっついてくる猫の密度とか、
そのさらりとした湿度とかいとおしい重たさとか、いろいろ要因はあるのだろうけど(のろけここまで)。
それにしても宵っ張り生活は治らないなあ。
今年の目標は午前一時前には眠る、だったんだけども。よろしくない。継続的によろしくない。

さて、平日はそれでもなるたけ早く寝ようとして(うまいこと段どれなくて葛藤が生まれたりしていますが)
いるので、金曜夜の解放感は格別です。
ついついついつい夜更かしをしてしまい、6月頃なら明るくなるような時間帯に
ぐずぐずとベッドにもぐり込む始末。
それでも、土曜日はゴミの日でもあるのでまたがんばって起き出さざるを得なく、
そうなると土曜日を一日うとうとしてすごすことになります。非常に効率が悪い。
特に週末に映画の予定がある場合。
なので、そういう土曜日はいっそ早めにたっぷり眠って、日曜の映画に備えます。
あるいは、眠くなっても自分のペースで対応できる美術館に切り替えるとか。

映画館で眠たくなると困るので、目薬・フリスクをしっかり確認。
道すがら、映画館までの乗り継ぎや交通情報をガラなケータイで確認したあと、
眠気の芯が残っているようなときは、ここでなんとかするように(なんとかなんるように)心がけます。
最近の映画館はツイッターで混雑状況なども発信しているとか。
私のガラなケーからは、ツイッターは見られないので、すこうしばかり悩ましいかな。
結局、昔ながらの一か八か方式で、ダメだった時のプランBなんかも頭にいれておく。
そういう運不運もこみこみの、お出かけのタノシサ。

それでもうまくいかなず、映画館のシートでずぶずぶ眠気に絡めとられるような日もありますが、
そこまでだめなときは、実は映画の内容に関係がないように思う。
どうしてもみたい内容なのに、とても面白い作品なのに、大丈夫だと思って準備してきたのに、
どうにも無理なときがある。くやしいですね。ほんとくやしい。
たいてい映画にいくときは、万障繰り併せて、いろいろ都合をつけてようやくシートに座ることになるので、
自分自身への過信とか段取りの下手さ加減とか、取り返しのつかない感じ、
後悔とかいろいろな気持ちになる。
特に都内での上映をパスして(あるいは逃して)横浜や川崎でみようとしてしくじった場合は
(少なくとも近場では)もう後がないわー、と、へこみます。

そういう意味では読書っていいなあ。自分のペースで、対象さえあればどこででも向き合える。
無理もきかない。そのぶん進まないだけだもの。
ただ、読んでも読んでも不思議と内容が頭にはいってこない、というパターンがあるから、
そういうときがあきらめ時なのかもしれない。往生際という言葉を連想する。

そんなこんな、諸々乗り越え万障繰り合わせて観た映画はこちら。
なんとジャック&ベティさんの最終『週末上映日』でした。10/24(金)までなので。

『イーダ』

※予告編は3回目。どんだけ好きなんだ…

名作です。明るい秋の昼間に、観ることができてよかった。
でもたとえば凍えるような冬の夜に観ても、また異なる深い感慨にとらわれることでしょう。
ものすごく静かな映画で、フレームが特徴的。
全編モノクローム、時折セピアといっていい程度に色味がさす場面があり
(私の色彩把握能力とか上映機材の問題でなければ、ですが)
それがまた、寄せては返す波のような感情の揺れに思えて、うつくしい。

起きていることを画面の中心に据えるのではなく、見切れていてもフレームを動かさない。
それがそのまま「事実」に対する監督のアプローチのよう。
字幕が(まさしく)縦横無尽に動き回るのは、少しわかりにくかったけど。
ハンマースホイの絵画のようでした。
ハンマースホイはデンマークで、この映画の舞台はポーランドなので全然違うけど。

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国立西洋美術館の常設品。
※公式サイトよりお借りしております。
『ピアノを弾く妻イーダのいる室内』
ハンマースホイの妻の名前がイーダだったんですね! たぶんただの偶然だろうけど驚愕。

静謐そのものの風景の中に、ゆっくりとほりさげられて少女と大人の女性の物語。
大変重く、厳しい内容がていねいに提示され、そのひとつひとつに向き合ってゆく過程、様子、心情。
心のひだに、無言でそおっとよりそうような作品。
なにより主人公のまなざし。冷たすぎず、熱すぎず、静かに凛としている。
その意味でも、透明なのにどこか翳りのある
多部未華子さんの予告ナレーションは良かったと思います。

ことばにすることにより零れ落ちてしまうような何かが、
雄弁に刻まれているような作品です。極力控えた音楽で綴られる静かな物語。
これは、観客を信じないと出来ない作品だと思う。
これをこの形でぽい、と提出して、きちんと伝わるという自信とか信念とか、
あるいは信頼とか。そのありようにも、胸を打たれます。

静かな欧州映画をお好みの方には、おすすめです。

ところでポーランドの近現代史についてあまりに何も知らないので、予習の意味でも
(うちのハードディスクに録りっぱなしの)この映画をみた方がいいかな、
と思ったのが前日。ものすごい泥縄。ものすごく軽い気持ち(だから睡眠不足になるんだよね)

映画『カティンの森』


いやいやいや無理でした。
あれもしなくちゃこれどうなんだっけ、なんという散漫な態度では
とうてい向き合えない力量のある作品。なので途中で再生を止めております。
仕切りなおしてきちんと時間を作ってみなくてはいけません。
映画館のメリットって、結局「無理矢理にでも画面に集中せざるを得ない環境」ってことなのかしら、
等と思いました。

と思いつつ、私は横浜は伊勢佐木町のドトールでこのもとになる文章を書きました。
PCだと気が散るので(ウソ。PCはデスクトップしか持ってません。タブレットもなし)ポメラで。
テキストファイルしか作成できないポメラ。
なんて言ったって、文具メーカーであるキングジムのポメラですよ!! 至って文房具的なアイテム。
スタンドアローンでオフラインなので、気の散りようがない(素晴らしい)。
漢字ひとつ調べるのも電子辞書が、時間を確認するにもガラケーが必要になりますが。
でもこれが一番気持ちよい。迷いなく集中できます。
集中が必要なほどの内容なのか、という点については、とりあえず置いといて。
家だと、あれもしなくちゃこれってどうなんだっけと、気が散ってしまう。
おお、上と全く同じことを!

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おむかいにはみんな大好きカルディが! コーヒーハウスのお向かいにコーヒーファーム!
実はコーヒー苦手、もっぱら紅茶好きだった私ですが、最近は結構コーヒーを飲むようになりました。
お昼に時々利用するカフェの紅茶がどうにもおいしくなくて納得いかず、
消去法でそこのカフェラテを選んでいるうち、少しずつコーヒーを飲めるようになってきたんですね。
ちなみにドトールでもカフェラテ。ミルクたっぷりのオコサマアレンジですけども。
でも、おいしい紅茶を見つけられないというのが理由というのは、すこしさみしいかな。

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帰りみち、映画の内容を反芻しながらほけっと歩くのが好き。
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by chico_book | 2014-10-19 23:46 | 映画 | Comments(2)

ファイナルコールとビッテビッテダンケシェーン!

◎アイスランド旅行の続きです。前回はこちら。それでも充分に長々しいのですが◎

そわそわと落ち着かずに列に並ぶ。時間はたっくたっくと順調に過ぎてゆく。
そういえばアイスランド語のありがとう、は、タック(Takk)です。これはおぼえやすいので連発しました。
ちょっとThank、に通じるところあるし。

Takk…

シガー・ロス / EMIミュージック・ジャパン



ヒースロー空港でライブを思い出しながら購入したアルバム

親切なドイツ人のご家族も、私と一緒にそわそわ。申し訳なくも心強い。
ガムか、キャンディか、何かそういうものをわけてくれました。
さすがにもうよく覚えていないけど、強めのミントだったかな?
 「あめちゃん食べる? 」っていうことですよね。万国共通ってこんな感じ?

7:10、離陸30分前。GOGOGOGO!! と、スポーツ少年団の監督のように、大学生の息子さんが
私に言ってくれます。私も子供のおつかいさながらにビジネスクラスカウンターにダッシュ。
ちなみにアイスランド航空のビジネスクラスは、『サガクラス』というそうです。



勿論私はエコノミーですけども。
『エコノミーの客が、遅刻ギリギリでやってきてビジネスクラスのカウンターを使わせろ、と、主張』
この私の行為は、クレーマーというより、非常事態対応だと主張したい。弱腰ながら。

たぶん『あら、また来たのこの日本人』というかんじの空港職員さん。
ここでひるんではいけない。ていうかそれどころではない。
ちょっと弱気ながらも何とかお願い。

『セブンフォーティ、ロンドン、オンリーサーティミニッツ』
『大丈夫。飛行機は、必ず、必ずあなたを待ちます

これはこれ以上粘るのはあまりよろしくないわよ、あなた自身にとって、
的な空気を全身から出している(様な気がする)

『I see……I BELIEVE…・・・I can(ごにょごにょ)』

と、まったく言葉とは裏腹な態度ですごすご、自分史ベスト(ワーストかも?)5に入る
見事なしょぼくれっぷりで列に戻る。大学生さんの眉間のしわがググッと深くなる。
ほりの深いひとは大変だなあ、と、とんちんかんにも地球の割れ目を思い出したりする平たい顔族。

「もし何かあったら、あなたが何度も交渉していたことを証言してあげるわ。
私たちは飛行機に乗るけど、息子はアイスランドに残るのよ。
だから大丈夫。力になってあげられるからね」

うう!! なんてすばらしいドイツ人さま!! 
これが私の英語力とあいまいな記憶に干渉するなにかでないことを祈りたい。
もしかして細かく違ってるかもしれませんが、とことん親切にしていただきました。ものすごく心強かった。
ほとんど泣きそうだったんだもの。旅先の親切は本当にありがたい。刻まれます。
ドイツ行かないと。
しかしながらロンドンはただの乗り継ぎで、成田へ乗り継ぎがあるのです、という、
更にややこしい状況が胸にのしかかる。のしっとね。

そんなふうに、ショボショボしているときに唐突に耳に飛び込んできた音の連なり。
あれ、すらりすらりと意味が通ります。…え? これ、まさかの日本語?
ここ数日まったく聞いていなかった日本語がするするきこえてくるではないですか!

ええ!! 
わらをもすがる気持ちでふりかえると、私の位置よりさらに後方に三人の日本人ぽい男性が!! 
ノータイのスーツ姿で、トランクに手をかけて、にこにこのんびりしゃべっているではないですか! 
うそでしょー!!

「あ、あのあのああの、日本のかたですよね?  」
「・・・・・・はい(なにこのひと)」
うわ、明らかに不審がられてる。まあそれはそうかも。
「失礼ですが、どちら行きですか」
「ロンドンですけど(それがなにか?)」
「!! 私もそうなんです! 」
「そうなんですか(それがなにか??)」
うわーなにこのおちつきっぷり。だってもう30分切ってるんだよ!? 国際線だよ?
「もう時間ないじゃないですか、カウンターのひとに聞いたら、
飛行機は必ず待つから心配しなくていいっていうんですけど!!」
「飛行機はまつって…(ぷっ)」
うわ!! (我ながらしつこいとも思うけど)この、8年前に失笑された時のことは
いま思い出してもなんだかしょぼんとなります。

「じゃあ飛行機は待つんじゃないですか、あなたを」
(にやにや、ととるか、にこにこ、ととるか、判断のわかれるところ)

なんだかすごい余裕あるなあこのひとたち。単に私が焦りすぎなの?? 
個人的には、国際線としては前代未聞なくらい余裕がない状態ですが、大丈夫なの?
旅慣れてる人たちはそんなことないってこと?

ちょっとしょぼん、と、肩を落とす私を、ちょんちょんとつつくドイツ人大学生さん。
「07:20だよ、トライアゲイン! GOGOGOGO!! 」

そうだよね、しょぼくれててもどうしようもない。
くすくす笑われてる気配を感じながらも、気にしないようにして再びカウンターに向けてダッシュ。

ところがなんと、今度はカウンター職員さん、すらっと受け付けてくれました。

「オーケイ、ロンドン!」

逆にびっくりして、あわてて列にもどってドイツ人さんにお礼。
人生初かもしれない、ほっぺにちゅっちゅ(!!)をしてくれるマダム、いやフラウ、であっているのかな?
初ちゅっちゅの感慨に浸る間もなく(お父様と学生さんとは握手と背中ポンポン)
列をすり抜け、トランクを転がしてカウンターへ向かいます。
ありがとう! ダンケダンケシェーン!! よい旅を!! ボンボヤージュ!! 
と、とにかくありったけ、もろもろを総動員。

ビジネスクラスカウンターで、チケットを出し、トランクを預けました。
ひとの気配を感じてふと振り返ると、私の真後ろにぴったり並んでいるのは、
なんとさきほどの日本人のおじさん3人組。ぐぬぬ。
20分前がリミットだって、知っていたの? それとも単にちゃっかりさん?

しかしそんなことにかまっている暇は当然ありません。現在07:20。離陸まで残り20分!!

手荷物だけになった身軽さで走る走る。確かにあまり大きい空港ではなかったと思うけど、
正直よくわからない。
すごくぽつーんと、ちっちゃなブースがひとつかふたつだけ(脈絡なく)あって、
なんと恐るべきことにそこが出国審査だったという記憶だけがある。
ホントにこれ? うそでしょ?? と思いつつも差し出したパスポートに、
ぽん! とおされたはんこがこちら。

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※きれいに撮れてなくてすみません。

「IS」がりりしい。それにしても今更ですが、この旅行、たった5日間しかいなかったなんて!!! 
すごいたのしみっぷり、味わいしつくしぶりに、自分でも、というか、自分にびっくり。
シンジラレナイ! こんな5日間もあるのね!!

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搭乗口まで、ダッシュダッシュ!!!
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by chico_book | 2014-10-16 02:24 | | Comments(2)

優雅かどうかはさておき、パーフェクトなねこの話(またかい

職場の本読みさんと、本の話になりました。
「いま読んでるのはこれです」

優雅なのかどうか、わからない

松家 仁之 / マガジンハウス



といったら、
「ああ、あの春樹ファンっぽい文章の人? 好きなの? 」
と言われてへどもどしました。違うとは言いませんが容赦ないなあ。
※もともと、言い方のストレートなひとではあります。

この方結構春樹読みなんだけど、そう来るかー。否定はしませんが。

「私は春樹は好きだから、よくアンチのひとたちが
『シャレオツすぎる』『気取りやがってやれやれだぜ』
とかいうのはわからないけど、松家さんの読んだらなんとなく理解できたよ」

えらいこと言いますね。じゃああまりお好みでない?

「うーん、たぶんね。でも、でたら読むね。
図書館で済ませたいんだけど、図書館だとすごく待つんで、
まどろっこしくて買っちゃう」

ふうむ。それは結構好きなのでは?

「ぜったいそんなことないって! でも吉祥寺はいいよね」
※本作の舞台は吉祥寺・井の頭公園のそばです。

うんうん。私にとっては大島弓子の街ですが。勿論井の頭公園とセットで。

「あと、夏の軽井沢もよかった。
70年代の、まだすこしおっとりしていたころの青山の感じとか。知らないけどさ」

火山のふもとで

松家 仁之 / 新潮社



うんうん、私も両方知らないけどそう思います。
「北海道の原野の感じもよかったねえ。静かで、川が轟々と流れる感じが」

沈むフランシス

松家 仁之 / 新潮社



・・・うん。でもあの、この作家さんいまのところ三冊しか刊行してないですよね?
コンプリートってことですか? もしかして結構お好きなのでは?

「ちがうよ! だって雰囲気作家じゃん」

でも、その雰囲気が結構お好みってことでは??

「いやほんとちがうちがう。絶対」

そうですか。まぁいっか。

と言う訳で私はとても満喫しましたが、なんというか、この方の言うこともわからなくもないなあ。あはは。
でも、そうだけど、それだけじゃないだろう、といも、思う。
人生に対してたゆたっている感じがわたしはきらいではないです。
でもどうにもこうにも好きではない、リアリティがない、というヒトもいるだろうなあと思う。
好き嫌いが分かれそう。そういうディティールのリアリティが合うか合わないかって、相性みたいなものだし。
江國さんみたいなものかな。

江國さんといえば『冷静と』が映画化された時のインタビューで

『映像を見て、登場人物があまりに豊かな生活をしていたのでびっくりしました』

とコメントされていて、こっちがびっくりしたのを思い出します。
いや、江國さんの書いてる世界ってわりとそうですよ。
そんな、いまはじめて気づいたような…!??

しかし今回大変かわいらしい『猫のふみ』が出てくるので二割増しなのはしかたない。
ふみちゃんでもふみさんでもなく、単に「ふみ」と呼ばれている素っ気なさがすばらしい。
しかしねこに素っ気なくなんてとてもできないワタクシはついさん付けで呼んでいまいますが。

ふみさんは作中で、ねこ好きの皆さんご存知の『もみもみ』を盛大にします。
作中では「メイク・ブレッド」つまり「パンこね」という表現。それを固い地面でもやるおばあさんねこ。しかもキジトラ。
私の親しい友人の家のおじいさんねこは、それは威厳に満ちた立派なキジトラさんなので、
それを連想してしまって余計にうれしい。

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低気圧通過中でちょっとダウナーさん。

ちなみにこのかたは白キジあるいはキジ白とよばれる毛色のようです。

以下
ALLABOUT  ペット 猫の毛色と性質・性格の違い より引用。


キジシロ(ブラウンタビー&ホワイト)
キジ柄の部分が多いか、白の毛が多いかで性質が異なるようです。キジ柄の部分が多く、手足に白足袋、喉からお腹が白い程度の猫は、警戒心が強く、非常に賢く、全般的に強い猫が多いようです。白が多くなると肝っ玉かぁさんイメージで、メスは他にゃんの子猫でも上手に育て、オスは脳天気な明るい性質の猫が多いようです。



非常に賢く、全体的に強い。なんと含蓄あるお言葉。厳密に言うと、ちこの毛色は「肝っ玉母さん」よりな気もしますが、さておき。

飼い猫というより庭猫で、遠慮がちにお庭や玄関をうろうろするふみさん。名前もかわいらしいですね。
いかにも吉祥寺の、井の頭公園に続く庭先の木陰をうろうろしていそうな、
小柄でやさしい、そして日本画の猫のような、くっきりしたきれいなキジトラを
想像してうっとりしてしまいます。

さて、先日『旅の思い出ファイル』(笑)を引っ張り出していたら、オランダはマウリッツハイスで
入手した絵のお土産品が出てまいりました。わあ、びっくり。

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※↑こちらはWIKIさんよりお借りしました。

というのも、この絵が『優雅なのかどうか』作中で言及されていたのです。
カレル・ファブリティウス『五色ヒワ』、1654年。
たぶんこの絵のことだろうなあと思いながら、ほてほて読み進めていたので、確認できてとてもうれしい。
小品ですが、大好きなのです。ただ単に小鳥好きというだけかもしれないけれど。

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一本50円の吾亦紅と一緒に。ちょっと光ってしまってますけど、雰囲気だけでも。

ちなみにこの絵をモチーフにしたドナ・タートの小説『黄金の足枷(仮題)』(原題「The Gold Finch」)が、2014年ピューリッツァー賞(フィクション部門)を受賞しているそうです。
来夏河出書房新社より刊行予定だとか。さらにうれしい偶然。

以下『優雅なのかどうか、わからない』本文より一部抜粋

(前略)キジトラのふみが飼い犬のように飛んできた。覚えていてくれたのがうれしい。しゃがみこむと、かすれた鳴き声をあげながらぼくのまわりをぐるぐる歩き、立ち止まってはおしりとしっぽをプルプルふるわせる。これはどういう仕草なんだろうか。メスならではの意味がありそうで、目のやり場に困る。
 急いでリュックからタッパーウェアを引っぱりだし、ゆがいて細くさいたささみをふみにさしだす。ふみはプルプルをやめ、玄関前の大谷石の上でささみを食べはじめた。食べながら鳴くので、ふワン、ふワンと犬のような声になる。なんだ、お腹が空いていたのか。



この主人公の、ねこのことになじんでないかんじ
(それでもねこにフレンドリーなあたり)がたいへんすばらしい。
メスならではの意味とか、ありません(笑)
でもものすごく信愛で親愛、の仕草なので安心するがいいわ!
ちこはものすごく盛大にやります。素晴らしいメトロノーム。

そして(こうして)いつまでも相手をしないと怒り出すねこ。

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なんというかわいらしい真剣フェイス。
でもまじめな話、怒ってくれてるうちが花なのよね。

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「・・ぅぁ」

とか切ないかすれ声をだしはじめる。たぶんもう、眠たいのです。
一緒に来ないのが嫌なのです(えへへ)

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ちょっと考えこんで、

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実力行使。ちこぱーんち。
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by chico_book | 2014-10-14 01:57 | | Comments(0)

私的なブームが起きてます(キートス!)

MoiMoi!!
Lindaさんがお声をかけてくれたおかげで、いま私のなかではフィンランドブームが起きています!
ありがとうLindaさん!! 

映画『365日のシンプルライフ』



日本の一部を、ずいぶんながいこと席巻している『断捨離』の逆アプローチ。
なんでも捨てる人がえらいという風潮に辟易しながらも、
あるはずの本が見つからなくて悶々としたりすると(見つかったけど『悪童日記』とか)、
たしかに自分で把握できないほどものを持ってるのはよろしくないわ、などと悩ましくもあり。
実際お片づけは致命的に駄目で、落ち込むことも多いしなあ・・・
結局モノが多すぎるのか・・・・・・
でも、本やカードや映画のフライヤーなんかを集めるのは、やめたくないし、ああ悩ましい。
そんなわたしにこの作品。
以下公式サイトより引用。


ヘルシンキ在住・26歳のペトリは、彼女にフラれたことをきっかけに、
モノで溢れ返った自分の部屋にウンザリする。
ここには自分の幸せがないと感じたペトリは、
自分の持ちモノ全てをリセットする”実験”を決意する。
ルールは4つ。
①自分の持ちモノ全てを倉庫に預ける 
②1日に1個だけ倉庫から持って来る 
③1年間、続ける 
④1年間、何も買わない
1年間、全ての持ち物を倉庫に預け、1日に1つずつ必要なものを選んでゆく生活を送る青年の姿を追ったドキュメンタリー。実験的な生活を通じて、“人生で大切なものは何か?”という問いを見る者に投げかける。自ら実験に挑戦し、その様子をカメラに収めたのは、フィンランドでテレビ番組等を手掛けてきたペトリ・ルーッカイネン。



フィンランドで社会現象にもなった究極の『断捨離』ムービー、との紹介記事もありましたが、
いやいやまったく『断捨離』の逆アプローチ。
必要な『もの』にひとつずつ向き合って、見極めてゆく作業です。
物との向き合い方を見つめなおす、という意味では同じなのに、こんなにアプローチが違う。
人生を作り上げる要素を、いかにミニマムに落とし込むか、それは目標ありき、
『ものを減らすという結果』に拘泥しているように思えます。
よくあるテレビ番組や特集雑誌のビフォアアフターの、インパクト重視、のような部分が強いような。

でもこのアプローチは、なによりも過程を大切にしているように思える。
どうして今この品物が必要なのか。
なぜ今日、自分はこれを選んだのか、その過程にひとつひとつ丁寧に時間をかけて向き合う。
必要でない理由を、勢いでどんどん削り取るのではなく、この品物を必要だと思った自分を肯定する。
そのうえで、いまの自分にとっての必要性を斟酌する。
このささやかなステップを飛ばすか飛ばさないかという違い。

いまはいらないものだとしても、そもそもどうして自分がこれを最初に必要と思ったのか、
まずそこから始めないと、結局はリバウンドすると思うのです。
それは栄養学に対するアプローチぬきで、とにかくカロリーという数字ありきで
単品ダイエットとかにトライして一時の成果を上げるのに似ているように思う。
ときに『片づけはお祭りです、勢いでどんどん行きましょう!』と、あおるようなやり方が話題になる
おかたづけ・捨て捨て業界とは真逆ではないかと。
(やましたひでこ氏の『断捨離』は、もしかしたらこのアプローチではないのかもしれませんが、
『断捨離』という言葉だけが独り歩きしている、
いわゆるお片づけ業界全般の風潮にはそういう傾向があるかと思います)

たしかにお祭りドンドンでやっちゃえば、『一瞬』綺麗になって満足は得られるんだけど、
持続可能であることがなにより大事。
知らず知らずにまたものが増えちゃったら、また一気にお祭りやっちゃえばいい、
という考え方はあまりに対処療法的というか場当たり的というか、ちょっと情けない。
ヨーロッパかぶれに聞こえるかもしれないけど、この映画のやり方はオトナだなあ、
オトナの向き合い方だなあと、とても興味深く拝見しました。

と言う訳で、興味のある方は是非是非。

そしてこれはこれから見たい映画。上記の作品を観にいって、驚きの予告編に遭遇。
まさかの、しゃべるアキ・カウリスマキ!
映画『白夜のタンゴ』



またもドキュメンタリーでございます。以下公式サイトより引用。

「俺は怒ってるんじゃない。…いや、ちょっと怒っていると言ってもいい。
アルゼンチン人はタンゴの起源を完全に忘れている。タンゴはスキーやサウナと同じようにフィンランドで生まれたものなんだ。」

俺たちの音楽こそ、世界で唯一の本物のタンゴだ!
3人のアルゼンチン人タンゴミュージシャンが「フィンランド、タンゴ起源説」を確かめるべく、いざフィンランドへ!
旅とタンゴを通して、出会うことがなかった人々が混じり合う、どこか奇妙で愛すべき体験。
各国映画祭で喝采を浴びた、タンゴと人への愛に満ち溢れた音楽ドキュメンタリーがはじまる。
美しい自然が広がるフィンランドを舞台に、2つの異なるモノが旅とタンゴいう媒介によって混じり合っていく様は、時に知的好奇心を刺激し、時にユーモラスで心を和ませる。


11/22ユーロスペースにて公開。
『馬馬と人間たち』も11/1公開だし、東京がきれいな季節に北欧の映画を観られる喜びに、
今からワクワクしております。

※3作品とも、サイトも大変たのしいので、興味のある方はぜひぜひどうぞ♪

※素敵な写真とやさしい文章、かわいくりりしいにゃんこのmomoさんもいry、
たのしいLindaさんちはこちらです → 
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by chico_book | 2014-10-13 23:41 | 映画 | Comments(2)

へとへとですがうれしくもあり

本当はこの連休には『イーダ』を、横浜ジャック&ベティにて鑑賞する予定でしたが、


※動画は再掲です

我慢できなくなったので『悪童日記』みてまいりました!!
映画『悪童日記』 公式サイトはこちら

すばらしかったー!!
戦争を描かずに、戦争を描くという抑制。戦争そのものではなく戦争下の生活を描くことで、
浮かび上がる輪郭と際立って深まる印象。

※日本のまんがだと、こちら。
原爆そのものを描かずに作品に落としきったこちらが素晴らしかった。

夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)

こうの 史代 / 双葉社



同じ作者のこちらには戦時下の『日常生活』が徹底して描かれています。こちらも名作。

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

こうの 史代 / 双葉社



しかも非常に個人的なところに落とし込んで、少しずつ変わってゆく過程が、つぶさに描かれる。
すべての登場人物にそれぞれの立ち位置、言い分、いくばくかの正義があり、
そのうえで事態は容赦なく動いてゆく。圧巻。

過酷な環境を生き抜く、残酷で冷徹ながらも子供の純粋さを失わない怖ろしいアンファンテリブル。
それらをすべて共有するうつくしいふたご。
いまとなっては、ある種語りつくされたような設定なのに、
ものすごく圧倒される作品。すごい。すごすぎる。
途中で、ほぼ忘れていた物語のはしばしをすこしずつ思い出して、
息を殺すようにして見入ってしまいました。ああ、そうだ、こうだ、こういう話だった・・・。
その、ちびちびと迫る来る恐怖。

原作に忠実な映画だとは思うのですが、かなり要約がきいているというか、
アレンジは入っていると思います。なので、ある意味別物のはずなのに、
それでも『原作そのものの世界観』があるように思える
(でもこれは、再読してみたら印象が変わるかも??)
透明でうつくしいのに陰鬱な風景と抑制のきいた音楽、
聞きなれないハンガリー語(マジャール語というべきかも)の響き。
本当に、映画を見ている間中どこか知らない世界に連れて行かれておりました。
いやあ至福、なんとも言えない幸福。

なんだかんだで今年の映画のベストはドキュメンタリー系ばかりだったのですが
『ドストエフスキーと愛に生きる』
『大いなる沈黙へ -グランド・シャルトルーズ修道院』
『物語る私たち』
(次点で『マダムインニューヨーク』かなあ、ちょっと小品なのでこの位置)
ここでどっかん!! と、大当たりがきた感じ。ごりごりの物語世界。満喫です。
あんなにも残酷で冷徹な世界なのに、目が離せない風景・空気・光。

ああ…旅に行きたいなぁ。
アイスランドのことをつづっている間は、もう一度アイスランドに行きたいな、
あの、ぽつんと忘れ去られたような小さな島でぽつんとしたいなぁ、と
思っていたのですが、この映画を見たら、
延々と果てしなく続く大地に、広大な大地を見てみたいなあと思ってしまいました。
さーて、安心して原作読むぞー!!

それにしても上映館の少なさよ!!こういう時横浜は弱いですねえ。
でもジャック&ベティさんひとりで、ユーロスペースも岩波ホールもイメージフォーラムも、
それ以外のあれもこれも何もかも一手に引き受けてるくださってますから
証がいないとも思います。多謝。
いまのところ全国では5館、関東では新宿・日比谷・川崎のみ(涙)、
しかも川崎では08:35からと、21:25からの2回のみ。きびしい。

こちらをみたあと、はしごで『イーダ』を観ようかなともまよったのですが、
欲張らなくてよかった。これは無理せず、印象を大切にした方がいいタイプの作品です。
ちょっと印象が引きずられたと思う。

といいつつ、実際によくばっちゃったのはこちら。



最初は10/10のみ、1日限りの上映、のはずが好評の為1週間上映に延長。やった!!

映画館のシートに身を沈めて、イメージの洪水にぼうっと身を任せる。なんともぜいたくな。
意外と『悪童日記』と共通するイメージがあったのが興味深い。
生々しさ、生命の不穏さ。『悪童日記』が死を見据えるような冷徹なまなざしなら、
こちらは脈動する生命のゆらぎ。
そして以外すぎる共通点が、効果的に挿入されるプリミティブな『動画』とでもいうべきアニメーション。
絵が動く。ということのシンプルなまがまがしさ怖さ単純さ。

ビョークを見ていると、なんというか素直に『女王』ということばが浮かびます。
橋本治氏が昔
『卑弥呼にたいして変に人気があるのは、女王という単語だけで○○できるアレな××(伏字は筆者)連中のせいであって、
この場合女王はまがまがしい妖術を存分に操る強大な力を持った術士と思った方が適切である』
という内容の記述をしておられましたが、そっちの文脈の女王。イタコとか、憑代というよりは、本人そのものが強大な印象。
その意味でもすばらしかったです。はだしで踏み鳴らす振動。パーカッションの力強さ、ともに声をそろえ、はねまわるコーラスのパフォーマンス。鳴動する大地、共振するひとびと、それを共有する空間。最高。

土曜日に2本連続鑑賞しました。ちょっと無理めでしたが。
そのあとの2日間、ずっとずうっとやたらと眠くてなんにもできませんでした。
でもこんな力と熱量のある作品を、連続で見てしまったあとではしょうがないかもしれない。
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by chico_book | 2014-10-13 22:15 | 映画 | Comments(0)

映画になるとは聞いてましたが

まさかもう公開していたとは!!

映画『悪童日記』



アゴタ・クリストフ作の原作を知ったのはこちらがきっかけ。

お父さんは時代小説が大好き―吉野朔実劇場

吉野 朔実 / 本の雑誌社



大変に美麗かつ繊細、そして強靭で美しくも残酷な(ファンです)世界を描く漫画家・
吉野朔実さんが『本の雑誌』に連載している本にまつわるコミックエッセイ。
シリーズ一作目のこちらを紐解くと、初出は『1991年10月~』とのこと。
大河連載ですね。すばらしい。これからもずっと続いてほしい。
本の紹介のみならず、本の選びかた、読みかた、集めかた並べかた、あるいは本を愛する人々の話と、
本にまつわる様々がつまっています。興味のある方はぜひぜひ。
しかし大変面白い本にもかかわらず、紹介されている本のヒット率が
私としてはあまり高くないところもまた、興味深い。

そんなわけで少なくとも10年以上前には読んだはずの本作ですが、
漠然としたイメージしか記憶にありません。要はどんな話だか忘れてしまっております。

悪童日記 (ハヤカワepi文庫)

アゴタ クリストフ / 早川書房


アマゾンさん、品切れしてる場合じゃないよ!! といいたいのですが
いかんせん日本版初版は1991年。
こちらのハヤカワepi文庫版も2001年なのでなんともいいがたい。
いまのところ劇場公開数も少ないし(寂)。・・・いやいや、これからですよこれから!!

圧倒的で、不幸で不穏で容赦がなかったイメージは鮮烈に残っています。
このイメージをそのままに、思い出さないままに映画を見るのがよいかもしれない。
映画を見てから読み返すことにしましょう。そうしましょう。
決して本棚で見つからなかったせいではありません。
むしろ幸運だと思おう。見つけちゃったらがまんできなさそうだもの。
※とはいいつつ(三部作の一作目である本作はさておき)
二作目『ふたりの証拠』三作目『第三の嘘』はあっさり見つかるあたりがなんだか悔しい我が家。


こつんこつんと、手彫りしたかのように放り出された文体が
大変印象的な記憶があります。さいしょはすこしとまどったような。
のちに、本作の作者がハンガリー動乱からの亡命者で、
後天的に取得したフランス語を用いて書いた小説であると知り、大変に納得しました。

いやしかしこれは吉野さん好きだわ。映像化されると更に説得力あり。
美少年の双子・戦争で極限状態・大人に見放された子供・共有する意識とか運命・
そして舞台は大戦末期の中欧。パーフェクト。

美少年といえば、これはすでに鑑賞済。
少年というよりは美形さん、いや、美男子というべきか。



ファッションにまったくうとい私にとって、
イブ・サンローランといえば、実家に届くお中元やお歳暮の
なんだかやたらに派手なバスタオルについてるマーク、
という時代がありました。なんとも昭和なエピソード。

しかしこちらの映画は『イヴ・サンローラン財団公認作品』で、
これでもかと言わんばかりに美しい衣装が次から次へと
登場します。これはわかった。ファッションに興味のない私にもわかった。
これはまさしくゴージャスだわ。ゴージャスで美しくてエレガント。
かっこいいとはこういうことだ、という映画がありましたが、
まさにうつくしいとはこういうこと。
真とか善とかなんだかもう関係なく、ひたすら純粋に美しい。
まさしく眼福。なるほどー。これが天才デザイナーなのね!
と、大変安易に納得しました。でもこの手の映画を楽しむコツでもあるような。

天才・わがまま・繊細さん。おまけに美形。
そして天才デザイナーが天才として存分に活躍するために、
他のすべてを引きうけ、公私共に彼のパートナーとなった
ピエール・ベルジェ氏との関係も余すところなく描かれています。たぶん。
イブ・サンローラン氏について、この映画しかソースがないに断言しちゃうのもアレですが。

以下公式サイトより一部引用。

芸術家を後援していた26歳のピエール・ベルジェは、友人の紹介でイヴと出会い、すぐに恋におちる。イヴの才能に心酔したピエールは、彼の繊細な心を守ると決意し、ディオール社とのトラブルも一手に引き受け、資金集めに奔走してイヴ・サンローラン社を設立する。イヴは次々と革命的なコレクションを発表、ファッション界の頂点を極めると同時に、カルチャーアイコンとしてもその名を世界に知らしめていく。だが、孤独とプレッシャーがイヴの魂を蝕み、やがてアルコールや薬に依存するようになっていく──。


ひゃー。このベルジェ氏の活躍で、遠く日本の田舎にも
YSLライセンスのバスタオルや毛布やタオルケットが届いていたのですな。
こういう自分の近過去にピースがはまるような体験が最近多いのは
たのしいのだけれど、それだけ年を取った証拠でもありますね。

と言う訳で、想像した以上にガチンコな作品でした。ちょっとだけおどろいたわ。

そんなわけでワタクシは、この作品に大変満足しました。
上映終了後、私の前の席にいらっしゃったマダムおふたりは。
キラッキラぴかっぴかの満点!! な笑顔で、
「かわいかったねぇぇ」「ねー!!」
と喜びあっておられました。私も心の中で「ねっ!!」とたのしく同意。

しかしポップコーンの空き容器を抱えた学生さん風のカップルちゃんは
「あらいぐまにすればよかったかなあ」
「・・・うん」
と、言葉少な。危ない。思わずコントのように転びそうになりましたよ!
劇場の急な階段で、おもしろいこと言うの禁止!!

それにしてもあらいぐまがこれのことなら、むしろどういういきさつで
この映画を見ることになったのかを猛烈に知りたい。おもしろすぎる。
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by chico_book | 2014-10-08 01:03 | | Comments(4)


ねことか本とかまんがとか、と言いつつ映画にじわじわ圧される幸福


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