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忙中閑ありと言えばなくもなし

毎年、梅まつりに行きたいなあと思っているのになんだか行きそびれる。

羽根木公園とか、水戸とか、小田原とか行ってみたいのだけれど、
思いがけず予定が入ったりのあれやこれやで
いつも過ぎてゆく、それが私にとっての2月。
よくばりすぎているんだろうなあとは、自分でも思います。

と言いながらも順当に(?)今月も2本映画を観ております。

『オデッセイ』 ※公式サイト



……予想と全然違った!!
いやまあ、原作小説があるので、勉強不足というのが妥当な気もしますが。

たぶん『ゼロ・グラヴィティ』と『インターステラー』を見ていなかったら
勝手に(こんなふうには)予想しなかったとおもうのですが。

でも面白かったのです。たのしく軽快でタフな物語でした。
なにかと話題の『70年代ディスコミュージックコレクション』、
日本で考えるとどのあたりになるのかを
考えるのはたのしくてたのしくて。

私が思い出したのはコチラだったりします。
大好きGLEE。



70年代ではないけれど、このあたりもいい線ついてしまいそうな気がする。




もう一本は『キャロル』。 ※公式サイト



(ちょっとネタバレすぎな気もする予告)

学生時代、翻訳ミステリーがよくわからない私に、
知人がすすめてくれたのがこちらでした。

ふくろうの叫び (河出文庫)

パトリシア ハイスミス / 河出書房新社



と言う訳で、パトリシア・ハイスミス原作、ケイト・ブランシェット主演というだけで
予備知識もほぼなく劇場に。
(本作は刊行時、別人名義で発表されたそうです)

静かで美しい映画でした。
すこし離れた場所から絵画のように切りとアングル、
けぶるような曇りガラス越しの画面が多く、
そのかすかな甘さが幻想的ですが甘すぎません。

かおりたつ空気、抑制された情熱、
そしてケイト・ブランシェットの陰影に充ちた美貌。
完璧に美しく不幸なキャロル(ケイト・ブランシェット)を
真っ向から受け止めるテレーズ(ルーニー・マーラ)の若さ鮮烈さ。

視線だけで指先だけで映し出される光景だけで伝わる雄弁。
雄弁でありながら寡黙。
エレガントで正統な50年代ファッションが織りなす重厚さ。
毛皮のコート、ブラウス、カーディガン。
手袋、煙草、スカーフ、帽子、くりかえし重なる指先、
際立つ差し色のあざやかさ。
ケイトの赤い口紅、ブロンドブルーアイズの鮮烈さが際立ちます。

鑑賞直後よりも、時間がたってから
思い返す方がひたひたと心に迫ります。
要素をていねいにていねいに重ねてあって、
あとから思いかえす程にゆるゆると混乱するほどに。
あれってもしかしてそういうことだったの? とか、
もしかしてちがっていたのかな、とか。
でもそれがまた、フィクションではなく本当の人生のようで
あじわい深い。好みはわかれるでしょうが、強く印象に残る作品です。

こういうケイトは本当にはまる。
『ブルージャスミン』
も、そうだったけれど、今の自分に納得していない、
諦めきることも納得することもできずにいる。
そしてそれを表面に出さず、ただ静かに怒っている、そんな役。

体温が低そうなのに内側にマグマがながれてでいそう。
アイスランドの氷河の下の、火山のような。

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by chico_book | 2016-02-26 01:56 | 映画 | Comments(3)

ねこのひにみたねこのゆめ

4年前、入院中のわたしのところに回診のドクターたちが
最高の笑顔でやってきました。
開口一番
「今日ねこの日なんだってね!!」
と、サイドテーブルの『ねこの気持ちがわかる本』
を指さしながら。ウウ、やめてください、会いたくなるではないですか。愛猫に。。
もちろん
「わたしにとっては、エブリディねこの日ですよ! 」
とドヤ顔で返しました。精一杯の虚勢。なつかしい。
シッターさんの『今日のちこちゃん』メールが
ココロの支えだった一か月間。

そんなわけで2016年のねこの日、目覚ましをすこし早めにかけました。
きっと朝から宮原さんとかにゃんにゃん特集とか、
いろいろもりだくさんだろう、と、わくわくと想定したのです。

いつもより20分ほど早い時間に目を覚ます。、
おなかにぴったりと寄り添うふわふわの感触。
起こさないようそっと手を当てる。
海鳴りのよう、と春樹さんが表現した
ねこの呼吸をてのひらに感じるうれしさ。
ほんのりとやさしいあたたかさやわらかさ。
冬の朝の最高の贅沢を、存分に味わう喜びに浸る。
手のひら全体からじんわりと体じゅうに
ひろがるうれしさに、あらまあうとうとと二度寝。
そしてなんとも不思議な夢を見ました。

わたしの実家には離れがあります。
祖母が住んでいた二間ほどのこぢんまりとした隠居部屋。
夢のなかでわたしは母と、離れの片づけをしていました。
黙々と箱を開けては、中身を仕分けたり拭いたりしまいなおしたりしていました。

すると、床下からどこどこ、どこどこ、と
振動が伝わってくる。あらま。ちょっとやな予感。
実は、昔からねこがよく入り込む家なのです。
あるいは昔はどの家でもそうだったのかもしれませんが。
実際、屋根裏部屋にねこが入り込んでこどもを産んだこともありました。

母と顔を見合わせて、畳をあげてみる。なにもいない。
そおっと床下をのぞき込むと、はたしてそこには、

がびがびのちびにゃんがいました…(夢の話です)

英語だとオレンジ色、と言われそうな明るい色のチャトラちゃん。
てのひらよりは少し大きいくらい、
ちびちびにゃんがよたよた出てきました。
大変なことに、皮膚病なのか小さな体のあちこちに
できているぱげぱげ、
ちいちゃなお顔は目やにと鼻水でかっぴかぴ。

おお、なんてこと、と、おそるおそる手をのばしました。

開かないお目目、それでも私の気配を察して口だけでミャウ。
ぴゃうー、と、超音波のような声を出すであろうサイズのちびにゃん、
そのかすかな声さえも出ません。かすれた息だけの音がいたいたしい。
それでもちいちゃなお口はピンクで、
よたよたと尻もちをついて、何度も何度も
「(ぴゃう)(みゃう)」
と空気だけを吐いている。

※夢の話です

「ちょ……ちょ、これは」
両手でそっと包み込む。かぼそい背中の感触。
たよりなくふらつくちいさなからだ。

「見逃せないよねこれ。病院連れて行くわわたし」

こわごわと提案、いや宣言。わたしの母は動物嫌いなのです。
動物を病院に連れてゆくことにも、室内飼いにも馴染んでいない世代のひと。。
(否定はしませんが「最近はそうらしいねえ……」と、そこはかとなく納得していない様子)

「…いいけど」

あらすんなりとおりました。ほっ。

箱にタオル敷いてあげよう、お水すこしくらいは飲めるかな、
ねこミルクじゃないとおなか壊すよね、動物病院探さなくちゃ、
スマホあってよかったわぁ、なんて
思いつついそいそと立ち上がりかけたその時。

「こっちはどうするの? 」
不安げな母の声。

へ? と振り返る私の前に、
床下からぴょいっと飛び出してきたのは別のねこ。ねこ!!

こちらは見事にむくむくのおとなねこ。
(骨格がしっかりして大柄だったのでたぶん男の子)
おおまたで悠然と歩きます。でもやっぱりぱげがある。
大変。背中とかたくさん掻いたのか血がにじんでる。

「うわ」

つぎつぎにでてくるねこねこねこねこ。

やや長毛気味のしろ多めの白黒ぶちさん、キジトラさん、
すんなりミケちゃん、さびちゃん、大人のチャトラさん、
ざっと7匹出てきて、ええと、どうしよう、
どうやって捕まえよう
(キャリーもないのに)、
(段ボールじゃ危ないかな)
いや捕まえるべきだよねこれ、
いくらなんでも多すぎないかしらでも
もうこれはねこ好きとしての私試されてるレベルだよね。

ちゃんと全員病院に連れていかなくちゃだよね、
おいくら万円かかるのかしら、
そしてこの子らみんなおうち見つかるかな、

でもやらないと! 
いまこの空間でねこ好きは私だけ!!
さあ! さあさあさあ!!


と、なつかしのライフカードのCM状態に
なったところで目を覚ました次第。




わたしのてのひらには、微動だにせず、
ぷくぅ……くるるぅ…と、
世にもかわいい寝息をたてているちこ。

ううーん。
結局、二度寝してしまったので、朝の番組をチェックする余裕もない
いつもの朝になってしまったのですが。

だいたい以下のような要素に由来しているのではないかと類推。

1)ふだんねこ好きでとおっているワタクシですが
たまたま好みど真ん中のねこが向こうからやってきただけで、
ねこ好きというより、ちこ好きなだけなのでは疑惑
((ねこ好きというからには)
どんなねこでも好きなのか、という自問と
わたしにはひとり一ねこが現実的かなあという判断と、
ちこさいこうにゃ! という思いなど、もろもろ)

(無理してねこのマザーテレサになる必要とかないよー、とは、
よく言われます。そうなんだよね)

2)梅の花ざかりのこの季節に、顔見知りだった近所の公園ねこ
クロちゃんとさみしいお別れをしたことを思い出していた。

3)最近うちの近所で見かけるねこその1・
チャトラちゃんが気になっている。
目が合っただけでしっぽをプルプルする大変懐こいにゃんさん。
でも触らせてはくれません。
2メートルくらい先でおなか全開でごろんごろんしている性格のよいこ。

4)最近うちの近所で見かけるねこその2・
キジトラのしまちゃんが気になっている。
ベランダに来て、ガラス越しに目があっても逃げない。
(ガラスを開けると、さすがに逃げます)
すごく飼い猫っぽい。大丈夫かな。
ものすごくまるまるふくふくしていて
つやつやパンパンだからたぶん大丈夫なんだけど。

でもしまちゃん登場したときのちこは、
ものすごい怒りっぷりでした。
ひさしぶりのたぬしっぽ。犬の遠吠えのような唸り声。

『この家の平和は、私が守るんだってば!』

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ありがとうありがとう。

つい考えてしまう、
ちこをちゃんと幸せにしてあげているかしらわたし、なんて。

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おめめくりくりのアイドルフェイスはもちろんかわいいけれど、
リラックスしたお顔が最高にゃん。

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この顔の骨格と、耳の角度がじつにそうにゃんにそっくり。
(個人の感想です)

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今夜もすやすや。安心しておやすみなさい。ぐー。
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by chico_book | 2016-02-23 01:31 | ねこ | Comments(2)

氷と雨と水と光のさまざま

4大陸にふりまわされてちょっと間が空いてしまいました。

『安定感』が代名詞のようになりつつある宮原さん。
それでも
『もしかして今日はじめてなにかあるかも!? 』
とはらはらはらはら固唾をのんで見守ってしまうファン心理。
毎年毎年ありがたくも怖ろしいスポーツでございます。

あとは3月のボストン。
この素晴らしい演技をあと一回は観られる幸せ。
あと一回しか見られない
(かもしれない。チャレンジカップってどうなのかな)
いやいやいやいや来季はなんと言ってもヒラマサシーズン。
ついについにヒラマサシーズン。

※修正します
来々季、というべきでしょうか。
来年の秋にはじまるシーズンがぴょんちゃんですね。すみません。
来季、だと、今年の秋にはじまるシーズンのことになっちゃいますね。
しつれいしましたー。

フィギュアの時間です☆ (朝日コミックス)

さいきょーきかく(Y) / 朝日新聞出版



『バンクーバーからずうっと(ファンは)ソチソチソチソチって
思ってきたからいざオリンピックシーズンになると逆にうろたえてしまう』
いやまったくそのとおり。リオより気になる2018。

繊細丁寧可憐。更に力強さ、そして輝き。
まさに『新世代のミスパーフェクト』。ありがとう西岡アナ。

村上さんのショートとっても良かった。
短い髪も軽快で躍動感があって、
衣装も大人っぽくエレガントでほんとうによかった。
「まちこせんせいー」
かわいい。オトナになったかなちゃんの素直なかわいらしさ。

本郷さん悔しいだろうなあ。
でも
『悔しいというのは欲が出てきたということ』
とは全日本での長久保コーチの弁、
だそうなのできっと大丈夫。

キダムはめっちゃあたりだと思います。
ほんとうに魔法。優雅で華麗な神秘の世界。
あと衣装がすごい。あの緑ほんとうに似合う。
ショートもフリーも、色あいの違う「みどりいろ」なのに
両方ともほんとに似合う。
知り合いの男性が
『本郷さんの蹴りは受けたいわあ』
と言ってました。コラ!! でもわかる様な気もします(←コラ!)
(しょうまさんもみどりほんとうによくお似合いです)

グレイシーも悔しいだろうなあ。
火の鳥の指先の羽ばたき大好きなので、ワールドに期待。
ジジュンちゃん体調悪そうでした。
ああまたこうしていろいろあれこれ思いわずらうオンシーズン。
わたしにとって、フィギュアシーズンが終わるとmotoGP開幕となります。
いそがしい。

フィギュアを見ていて、生涯スケート経験わずか2時間(体育の授業)の
ワタクシが身に染みて、イーグルとかディープエッジのすごさを感じるのは
(もちろん見ているだけでも充分すごいのですが)
中型二輪の免許をとるときに、スラロームとクランクで
さんざん苦労をした記憶にリンクするからかもしれません。

膝でバイクを押さえこんで、上半身は力を抜いて自由に。
これがもう出来なくて出来なくて。
肩に力が入ると、タイヤではなくハンドルで
バイクをコントロールしようとするから
(という解釈ですがちょっと自信ない)
あくまでタイヤが動いて進んでゆく車体とのバランスが崩れてしまう(たぶん)
信頼して手を放すことの大切さ。ハンドルは添えるだけ
(いやブレーキとかクラッチとかありますけれど)

こわくてこわくてたまらなくて
(自分で希望して通いはじめた教習なのに)
いやいやいやいや肩の力抜けってわかってるけれど
無理無理無理無理、と思っていたのに

ある瞬間ふわっとそれが出来た時の開放感、新鮮な驚き、
自由な世界に走り出した感じ
(おおげさ。教習コースの中なのですが(笑))
フィギュアを見ていると、なぜかそれを強く連想します。
ああもっと自分の身体とかバイクとか、
あらゆることを信じて手を放してもいいんだ、という気持ち。
勝手な連想ですが。

ちこにゃんちょっと足音がするようになりました。
お爪の音がかつかつと。
そういえばちこが前回動物病院に行ったのは11月。
3か月後くらいに腎臓の状態を見ましょう、
というお話でした。3月中にだんどりつけないとね。

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(……ぇぇぇぇぇーーーーー)

また最近むっちり気味のちこにゃんさん……。
このところあまりお相手してあげられないのでついつい甘やかしがち。

というわけで、こちらを紐解いてみました。

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ふむふむ。

ちゅーるは、週に一本程度に抑えよう、とおもいましたが
ねこ友たちに
「あれは食いつきがよすぎるからこわい。
いままで(ねこ生涯で)三回しかあげてない」
とか
「注射のあととか薬をませた時だけのスペシャル」
と聞いて、それでもあげすぎ疑惑が浮上。

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だましだましメジャーをあてがう。なんとかご機嫌を取りながら。

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なんとなんとちこ、サンプルの赤矢印そのままでした!!
つまりまあ『太っている』なんですよね。
そうなんですよね。いやまあそうかなって思っていましたが。
驚きはありませんが。

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(……聞こえない聞こえない)

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誰かの忘れものにゃん。あたたかい2月ならでは。

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明るい日陰でひっそりと咲く輝き。

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気づかれてもそうでなくても、花は咲くもの。
自然に咲くべきときに、咲くもの。

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風の強い日でした。そっと身をひそめてやりすごす鳩たち。
強い風、明るい光、あまねく降り注ぐ雨が、
いろいろなものを目覚めさせはぐくむのだなあと思う。
雨水から啓蟄へ向かう季節ならではかな。

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鳩もスズメも仲良くごはん。地味ですが好きな光景。
そしていつもこのセリフを思い出す。

『この大嘘つきめが 天国には行けねぇぞ』
『そんなもの天使とスズメにくれてやる!!』

はみだしっ子 1~最新巻(文庫版)(白泉社文庫) [マーケットプレイス コミックセット]

三原 順 / 白泉社



春先の気候のように(いまより若くて)激しくしんどい人生の季節、
もてあましていた自分自身、何もかもに手こずっていた、
その時期の私を支えてくれた作品のひとつ。
このセリフからハイネを紐解いたりしました。
ほんとに、まんがにはいろいろなことを導いてもらいました。

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ことしの梅はひときわふっくらと、やさしい風情。
暖冬のおかげかもしれない。
冷たい雨や雪の中凛と咲く姿も好きだけれど、
もちろんあたたかいほうがいい。

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ちいさいけれど、すこしずつふくらんでいる無数のつぼみ。
寿ぎつつ怖れつつ、私はひっそりと春をやり過ごす。

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ことしも、この方と無事に迎えられる春に感謝。
病院には行きますよ、ねっ!
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by chico_book | 2016-02-21 19:59 | 日々 | Comments(2)

春の嵐とみなと散歩

春と言えば嵐の季節、芽吹くものみな怖ろしい。


高校時代、先輩が好きだった曲。
まんがや小説の選択眼や批評のセンスが良くて、
憧れの先輩だったのでテープがすりきれるほど聴きました。

高校時代の友人と、卒業アルバムをひっぱり出して
しみじみと話し込む夜更け。
未来のあてどなさと時間の豊饒さに途方に暮れかけていた日々の記憶を
共有する友人と、こうしていま話すことのできるありがたさ。
不安で不穏な春の季節を共に過ごしてくれたひとが、
いまもこうしていてくれる僥倖。

お互いにどうにかこうにか時間の折り合いをつけて、
短期集中でしゃべりあかして別れ、それぞれの日常にランディング。
このコンパクトさと集中力をいまの私は気に入っている。
30年前には思いもしなかった。

30年後かどうかはわからないけれど、またそのうちがらりとステージが変わっても、
こんなふうに時間を共有できるといい。そういう自分であるといい。
彼女にとって私が、そういうことをして楽しい相手であるといい(祈)

晴れた土曜日、横浜散歩の記録。

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見事な青空。聞こえてくるのは、たのしげでのんびりした会話のさざなみ。
異国のことばも聞こえてくる。
(比較的)なじみのある英語も、軽快なスペイン語も、
うつくしい音階の中国語も。そういえばいまは春節まっただなか。
中国語のポスターもたくさん見かける。歓迎光臨、だったかな?

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稜線の傾斜を意識して設計されたビル群だそうです。

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『これくらいのひとの多さだと、歩きやすいね』
そうそう。
便利でアクセスのいい大都会なんだけど、どこかのんびりしている。
そしてなにより住んでるひとたちが地元大好き(私も大好き)

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ほんとうに見事なお天気でした。
それでも、空の青さはみごとなのに快晴ではなく不穏な雲のたなびきが
翌日(日曜日)の春一番を暗示していたのかも。

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香港とかシンガポールを思い出す。いや住んだ経験はありませんが。
ほんの数日滞在しただけですが。

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ヴァレンタイン前日だったせいかな、結婚式がとても多い。
あちこちから響いてくる鐘の音や拍手や歓声、花束のようなお嬢さんがた、
エスコート役のりりしいメンズや、正装の皆さまのすがたもたくさんたくさん。
なんとも春らしく華やかで、まだ浅い春、うまれたての陽光にとてもよく似合う。
おめでとうおめでとう。
地面にさりげなく、でもしっかり咲いている小さな花のような気持で、
私もそっと寿ぎを寄せる。

ふたりの人間が共に生きようと心を決めたこと、
これから何があるのかわからない長い道のりのこと、
あるいは本当に困難らしい困難もなく
「いつまでも幸せに幸せに末永く」続いてゆく、
そんなこともあるのかもしれないけど、
ただその決意をしたという事実が、あてもなく確信もないままに
その一歩をふみだしたことが、なんだか胸に響く。
ひとはそんなふうにふいっとこころを決めてしまうものなのだな、なんて。

そんな文章を江國さんがどこかで書いていたような記憶がある。
でもわたし自身の実感でもある。
もしやしっくりはまりすぎて、区別がつかなくなっているのかもしれないし、
私がアレンジしてしまっているかもしれないし、あるいは単純に思い違いかもしれない。
あいまいな記憶。

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そんなことを思ってしまうのは、この看板でこちらを連想してしまったからかも。
(にしても断言すごい)

泳ぐのに、安全でも適切でもありません

江國 香織 / ホーム社



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『意外と変わらないもんですねえ』
『そうね、年をとった自分って、
高校生のころに思っていたよりも、ずっと自分のままだった』
『いちばんごまかしきれないのが自分自身なんてねえ、怖い怖い』

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『だから自分のことを、そんなふうに否定しなくていいよって
言ってあげたいね、高校生の頃の自分に』
『でもねえ、わたしらの世代ってあれでしょ、
高度成長の流れで受験戦争で子供多かったじゃない?』
『うん』
『そのころって社会で有用な人間になるのが目標なのよ。
いかに立派な歯車として機能するか』
『鉄郎だ』
『そうそう、よいネジになることが良き市民の道なの』

銀河鉄道999 [DVD]

TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)



『家庭をまもり夫を支え親世代に尽くし、
子どもをいつくしむ正しい家庭婦人。
だから別に職業をもたなくても、家にいても社会の基盤に
貢献しているってことになる』
『あるいは『女性でも』世間様から尊敬される、
立派で穏当な職業に就くとかね。名誉男性的な』
『お医者さんとか教師とか』
『だから、世間様から外れることは駄目だったんだよ』
『それが唯一の生きる道だから、そのレールにきちんと乗ることのできる人間、
立派なネジとして社会に居場所を見出せる人間にすることが
親の愛情だったんだねえ』

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『それはそれで、世代的にしょうがない部分もあるんだよね』
『まずご飯を食べることができるのが大事で』
『そのあと”教育を受けたくても受けられないのがくやしい”って
いう渇望があって』
『それを達成したらこんどは
”ありのままで受け入れられたい”とか”条件ぬきの愛情がほしい”
と言う話になって』

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※わたしたちのぐだぐだと関係なく、いつもどおり毅然として優美なクイーンの塔。薄暮のころはさらなり。
この気持ちのはるか延長線上にあるなにかが、金閣寺を燃やしてしまったりするのかしらなんて。


『まあ、詰まるところ、手持ちの自分で勝負していくしかないしね』
『うん。ひとを恨まず自分を責めず、状況を呪わず後悔せず』

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「なんだ、かんたん」

『・・・それってねこですね』
『そうだね、ねこだわ』

ねこ好きたちの会話は結局いつもそんなところに落ち着きます。
それはそれで間違いなく幸福のひとつ。

そう、たとえばこれをみて

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『あ、なにか猫グッズが落ちてる! しろいねこちゃんだ!! 
もうもう、みんなねこだいすきなんだから(^^♪
かわいそうだからひろって、目立つところにおいてあげないと! 』

とにやついてしまうほどに。

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はい。そうです。誰かの使い捨てカイロです。あーびっくりした。
 
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by chico_book | 2016-02-14 22:58 | Comments(6)

自信と光と輝きと

4大陸を前にようやく岩手エキシビジョンを観る。
いろいろ遅い。とは言え、まだ前半のみですが。
理華さんもキャンデロロもジュピターもまだこれから。

白衣装の宮原さん、凛とした美しい鳥のよう。
内側から放つ光がおおきくなり、透明感と強度がいや増している。
こういうのを自信というのかしら。
はあーきれいなもんですなあ、なんてひたすら見惚れる。
ちょうど今日の天気のよう。初春の透明な陽光。

綺麗なお嬢さん、というよりはもう美しい生命を見るような。
生命の輝きにただうっとりするなんて、年をとった証拠かしら。
いや若いころからそうでした。
フィジカルの輝きには本当に縁遠い、いやまったく縁がないので、
そのすばらしさには昔から尊敬しかない。



※岩手エキシビジョンではなく、NHK杯のものです。動画を有難くお借りします。

自分の内なる声に耳をすますことの貴さ困難さを思う。

ねこマエストラ来訪。
ちこにゃのかわいいかわいいをたくさん見てもらおうと
わくわくしました。マエストラご自身もいそいそと期待されましたが、
なんとちこにゃん、思いがけないほどの警戒イカ耳。
ひさしぶりのベッドの下籠城まで。あらら。

マエストラの自宅には、異国の姫にゃんがふたりいるので、
そのにおいでもしたのかな??
(男の子にゃんと暮らしている友人は来たことがあるのですが、
姫にゃんとご縁のある人ははじめて。
男の子にゃんでも、やはり最初は警戒していました)

ちゅ~るで懐柔策を試みるも、しっかり食べてやっぱり籠城。
ようやく(私がだっこして)お顔をしげしげみていただくも、
奥義
「言ってみるだけのシャア」
が、炸裂。

そのあまりのかわいらしさにオオヨロコビしてしまうニンゲン。
本当に言ってみるだけ。一回だけのシャア。
言ったあと、うろたえたようにキョロキョロする。
ほんとに口だけの気の小さいおひいさん。
かわいすぎてかわいそうすぎてがまんできず、すぐにおろします。

一心不乱にベッドへ。それでもこんどはベッドの下ではなく、
おふとんの上で深慮遠望いや違う、沈思黙考に耽るねこの尊さかしこさ美しさ。

最終的には、ねこマエストラご本人にだっこ成立。
ただし必死で顔をそらす。か、かわいい。

「まあ最初はこんなものかもねー。
声があまえんぼになってたからあとでフォローしてあげてね」

というありがたいオコトバ。次回に期待。ゆるうく期待。

彼女がうちに来てくれたのははじめてのこと。
ベランダから外を見て
『確かにいかにもねこが来そうだね』
とお褒めの言葉を頂戴しました。

ねこのみくす、と言う言葉を聞いた話をする。
『空前のねこブーム』って言われてるらしいですよ、いや関係ないよね、、
意味わかんない、今も昔もねこ大好きだよね、なんてことを、とつとつと。

近くのペットショップ(ちょっと涙)で、ちこごはんを見ていると
「ワンちゃんは大変だよ、散歩とかあるし、大きくなるし、
注射とかでお金かかるし、ねこのほうがいいよー」
なんていう会話が聞こえてくる。

「いやいやそんなさみしい理由でなく、ちゃあんとにゃんを、にゃん自身を愛してよ」
と、思わず知人に愚痴ったら
「にゃんが家に来たら、ぜったいにメロメロになるから大丈夫だよ」
なんて言われたり。そうであることを切に祈る。
いぬとねこは求めるもの求められるものが、まったく違うものね。マッチング大事。

ペットの飼育数、少し前まで、いぬねこ比は7:3だったそうですが
いまは半々、あるいはそれを超える勢いだとのこと。

わたしはわんこも好きだけど
(でも暮らしたことはないのでよくわかっていないと思う)
にゃんのひととの距離感とは、まるで違う印象がある。想像ですが。

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「侵入者がいたわ。わたしの領地に」

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「大変な戦いだった。でも大丈夫。今日も、この家の平和はわたしが守ったの!(確信)」
春先のせいかちょっと目やにっこ。
あごにきびとおんなじで、ぬるま湯に浸したコットンや柔らかい布で
ていねいに取ってあげればいいです、とはドクターの弁。

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「だってわたし強いから!! 蝶のように舞い、蜂のように刺す!
それがわたし、ちこ・ザ・キャット!
(素早すぎて撮影に失敗)

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(フレームアウト。もふっともふっと)

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満足げで雄弁なしっぽ。しっぽしっぽしっぽよー♪



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ぶん!!

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ぶんぶん!! (しっぽが手前にくるところは、うまく撮影できませんでした)
コマドリアニメ風でお楽しみください。
すいません一回やってみたかったの。いまは満足している!

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戦士の休息。うしろの壁は、ちこにゃのつめあと。
記念碑あるいはオベリスク的ななにかかも。

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安定のどや。最愛そして最高のパーフェクトどや。フォーエバー。
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by chico_book | 2016-02-13 11:55 | ねこ | Comments(0)

ついなんとなく、な、早春とかにゃんとか本とか

ねこ自身 (光文社女性ブックス)

女性自身編集部 / 光文社



ついなんとなくね。魔って、さしちゃうものですね。
肉球占いに負けました。
結構ガチの女性誌紙面づくり。セルフパロディは真剣さがカギです。

しかしいざ雑誌を片手に近寄ると、なかなか肉球を見せない猫。
ようようやっとにくきうを見ても、判断できないニンゲン。とほほ。

老人と猫

ニルス・ウッデンベリ / エクスナレッジ



スウェーデンの大学教授の庭に、にゃんが勝手に住みついた!!
この季節にそんなこと言われると財布のひもも涙腺も緩んでしまう。

***以下アマゾンさんの紹介文より引用***

「私、あなたに飼われることに決めました」
自宅の庭に現れた小さな猫が、引退した大学教授の人生を変えた。
スウェーデン発の世界的ベストセラーエッセイ

ニルス・ウッデンベリ氏の自宅の庭に、
ある朝、大きな黄金色の目をした子猫が現れる。
不屈の意志をもってここに住むと決めた猫によって、
ウッデンベリ夫妻の生活は大きく変わっていく……。
心理学の教授であるウッデンベリは、猫の心の中を探り、分析せずにいられない。
キティにユーモアのセンスというものはあるのか?
こんなにかわいがっている私や妻のことを、少しは気にかけているだろうか?

愛猫キティに翻弄されるウッデンベリ氏の思索の旅は、
キティの内面を探るにとどまらず、猫の歴史とその生態、
世界の文豪たちの猫にまつわるエピソード、
スウェーデンの野良猫対策などへと広がっていきます。
人間と動物のかかわりについて、
穏やかでユーモアを交えた筆致で描かれたエッセイ。
今ペットを飼っている人、かつて飼ったことのある人、
そして飼いたいと思っているすべての人に読んでいただきたい一冊です。


***ここまで***

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「ここがわたしのうちにきまってるでしょ? 」
彼女のその確信を天啓あるいは天恵と思う人間がここにいます。
ウインウインということなのかも。

時をかけるゆとり (文春文庫)

朝井 リョウ / 文藝春秋



ついうっかり手を出しましたが、抱腹絶倒の一冊。
わたし自身の世代としては、
バブルのおしまい氷河期のはじまりと言うあたりなのですが、
いかんせんバブルの価値観になじめなかったので
ゆとりの皆さんにはゆるゆるあわあわほんのりと
期待しているのです。

以前某所で知り合ったお嬢さんが
『お金とかたくさんあっても困るからおかあさんにあげる』
と言っていたのが大変印象に残ってまして。

『なんかおいしいものでもおごるよ、なにがいい? 』

と、下心がないわけでもなく提案したおっさんが

『小鳥さんが花の蜜をわけてくれるからいらないの(にこ)』

と言われてコナミジン、とかそういうかんじ。

ちなみに、私のなかの朝井リョウ氏情報は
ほとんどこちらから(え)

私にふさわしいホテル

柚木 麻子 / 扶桑社



こちら
『おうちの人にお日さまみたいな果物をわけてもらった小鳥さん』

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「おいしー」

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真顔で夢中、あくまでていねい。かわいいなあ。

実はこの場所、車もひともたくさんとおる、たいへん低い場所なのです。

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(門扉の高さでつたわるかな)
こんな場所でも、安心夢中なめじろんにうれしくなる。
ヴァレンタインディは、小鳥が最初に愛を交わす日だと
聞いたことがあります。春はきっとすぐ。

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柑橘類は本当によく植えてありますが、レモン、
しかもこんな大木はちょっと珍しいかも。

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つぼみも花も印象もまるまるとみちたりてやさしい、
そして枝ぶりは鋭くりりしく力強い。でも力を誇示するようでは決してない。
そんな印象はそのまま『フォルモッサ』『美麗島』というふたつ名を持つ台湾にかぶる。
あらためて今日も祈りを。

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冬をやり過ごすやさしい風情のばら。
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by chico_book | 2016-02-09 01:29 | | Comments(2)

思い出を発掘しながら緩やかに祈りを捧げます

あっという間に2月も半ば。
あちこちで梅祭りのニュースも聞こえてきます。
そういえば4大陸ももうすぐ。
台湾ひさびさに行きたいなあ、と、
上海のおみやげにいただいた中国茶を飲みながら思うとんちきさ。

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こんどは猫空に行ってみたい。
「猫空」と書いて「まおこん」と呼ぶ、台湾郊外のお茶の産地。
お茶畑と茶芸館が点在する山のつらなり。
ロープウェイもあって、なんでも直角に曲がったり、意外と動きが速いのだそうです。
うまく想像できないや。

※以下台湾の写真は2007年5月のものです。

台湾の国花は梅。
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(ほんとはエバー航空の方が好き(小声))

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こちらたぶん4大陸の会場となる、台北アリーナ。

f0257756_233131.jpg

霧につつまれた夢幻と言いたくなるような場所。

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やまふところに抱かれた感じが好き。

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快速保養、力強いですね。
力豹仕で、レプソルさんなのでしょうか。違うかな。

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北海道昆布鍋。じわじわしみこむグルタミン酸。

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なんとなく大柄ですんなりしているように見える雀。
モデル体型?

台湾には三回行ったのだけれど、ほとんど台北市内しかのみ。
(淡水には行きました。あそこは台北市郊外なのかな??)
静かな海沿いを散歩するのはやはり好き。
福岡でも広島でもヨコハマでも。

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なんとも深みのある緑。
母方の親戚は、戦前台湾で商売をしていたといううわさがあります。
時々どっさりと『外地』のめずらしいものが届いたのだとか。
もう誰にも、はっきりしたことはわからないのですが。
(話を盛る癖のある人が混ざっているしなあ…)

日本もそうだけれど、温暖で湿潤な気候では、
あっという間に植物が覆い隠してしまうのかもしれない。
いいことも悪いことも、覆いつくす緑。
洗い流す力強い水の流れ。潤い。

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なんとなく九州のイメージと重なる。

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豊穣で優しい、おっとりと深い印象の場所。
街がのどかに開けていて、大都会なのに花の多さとみどりの濃さが印象的。

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三越百貨店台北店のなかに設定されていた『日本庭園』。
華やかなばらや噴水や、建物の高さをはるかに超える松の木とか、
いろいろな違いがあるけれど、そんなことのすべて、そう、なんだかすべてやさしい。

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台湾南部の地震でお亡くなりになった方々に哀悼の意を表しますとともに、
被害にあわれたみなさんに、心よりお見舞い申し上げます。

私の大好きな台湾もアイスランドも、
いま生活しているこの日本も等しく地震国です。
さまざまな天災のなかでも、
予期や対策のむつかしい『地震』について、
3月を前にあらためて考えずにはいられません。
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by chico_book | 2016-02-07 23:17 | | Comments(0)

自分だけの地図を持って自分だけの道を進むということなのかなこれ

(なんだか歯切れの悪いタイトルになりましたが)

映画とか本とか家事とか日常とか、いろんなことの
バランスやパワー配分にうんうん唸るそんな中、
日曜日に終了したこちらに、駆け込みで行ってきた記録です。

川崎市民ミュージアム
江口寿史展 キングオブポップ ※公式サイト

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(入口のみ撮影可)

とてもたのしい展示でした。

わたしにとっては、プロ野球好き・まんが好きの兄の影響で読んでいた
『すすめ! パイレーツ』からおなじみの漫画家さん。
近年はイラストレーターとしての活動も多いですね。

すすめ!!パイレーツ(10) (ジャンプコミックス)

江口 寿史 / 集英社



ちょっと懐かしいかんじのビキニかな。

独特の絵柄や色づかいはどこから来るのかな、
わたせせいぞうとか、FMステーションのカセットレーベルとか、
さまざまな記憶を巡らせながら鑑賞。
(もちろん様々な要素が複雑に入り組んでいるのでしょうが、
御本人は『タンタン』でおなじみのエルジェ氏のファンを明言されておられるようです)

とにかく「かわいい女子」に定評のあるかたですが、
今回じっくり拝見して驚いたのは、意外にリアルなんですよね。
完全に漫画表現なんだけどリアル。


私にとっての、うまれてはじめての労働は

『ファッションショーのモデルさんの衣装替えのヘルプ』

というとんでもなく華やかなものでした。ひゃあバブルっぽい。
ちいさな地方のファッションビルのオープニングイベントとして
ちいさなファッションショーが行われたのですが、
そのモデルさんの衣装チェンジのヘルプ。
慌ただしく衣装を用意したりファスナーをあげたりおろしたり
靴をそろえたりそんなこんな。

担当させていただいたのは、180センチ近い長身の
スウェーデン出身のボンビさん(17歳!!)
ブロンドブルーアイズのとても優しい、完璧な美貌のかた。

初対面でいきなり(お互い母国語でない)カタコトの英語と
身振り手振りで大騒動、
ファッションも英会話も、まるで苦手なニンゲンで、なにひとつうまくいかない。
いやはや本当に大変で申し訳ない経験かつ記憶なのですが。

ワタクシはその時、いわゆる『100パーセントの美しい女性のからだ』を
目の当たりにして(あまつさえ接触まで)

女性のからだがどういう構造で、あのように美しい曲線となりうるのか

をまざまざと把握しました。

あれはびっくりしたなあ。
鎖骨が終わって肩へつながる部分、
ほっそりした優雅な首の後ろから脊椎への流れ、
そこからなだらかに広がる肩甲骨。

乳房があばらの上にどうのっかっていて、
あばらが終わってから骨盤までの間があるから
こういうふうにウエストがくびれるのとか、
膝から下、ふくらはぎへのするどいながれ。

ちびちび族かつころんたんのワタクシの目線はだいたいおへそ、
あるいは綺麗なあばらの終わるころ、
(すべすべの肌がきれいにあばらにはりついてなめらかにカーブを描く)
まさにウエストのくびれのあたり。
が、眼福・・・・なんてことを思う間もない忙しさではありました。が。

とにかくはじめて目にする
『100パーセントの美しいからだ』
に圧倒されたことを今でもはっきり覚えています。
(しっかり見ています)

私は絵を描く人間ではないし、解剖学のこともよくわかりません。
まんが好きな人間なので、漫画表現としての人体に
違和感を感じる、というようなこともそんなにありません。
(ないわけではありません)

でも江口寿史さんの
『完全にまんがの絵なんだけどリアルな女の子のからだ』
はものすごくおもしろかったなあ。

薄着のときの、バストのあふれかたとか、
あふれないところとか
(大きすぎると領域を超えすぎて全体がこぼれる感じのトゥーマッチさ加減。
ちいさいとすかっと浮くかんじ、あるいはほどよいかんじまでもふくめて)

腰骨の上の肉の、ほどよいあまりぐあいとか、
太もものゆるんだ感じも、細いんだけど
(アスリートとは違うごく普通の女子の)
そんなにきたえてない、ちょっとたるっとしたかんじ。
油断した膝の裏の清潔さ。無防備さ。
それから脚。膝から下がそんなに長くない。

あまりじし、という単語が浮かびます。
贅肉と書くとなんだかさみしいことばなのに、
(あまりじし)とよむとなんだかよきものに思える。

若い女子の、ぱんっとはった肌のつや感と、
いろんなものをはじきかえしそうな弾力、はつらつが手に取るようにわかるなんて。
こんなにまんがの絵なのに! キングオブポップなのに!!

なにより素晴らしい観察力。
(プロの方にこんなことを言うのは失礼かもしれませんが)
メイクとかファッションが、本当にそのまま反映されている。

髪型はわりと絵を描くみなさんはきちんと反映されるのですが、
アイメイクの流行の変遷が明確にわかるということに驚きました。
もちろん綿密な観察の結果ということなのでしょうが、
眉の密度、眉毛の毛束感、アイラインとマスカラのラインの違い。
下まぶたのきわにアイラインを入れた感じとか、
マスカラをまつげの先だけにちょいちょいっとした感じとか。

西村しのぶさんはさすがに丁寧に描写されますが、
(洋服を完全に素材として描いているあたりのバランスが
じつにファッショニスタっぽくてたのしい)
それでもやはり『じぶんの好きなメイク』に引き寄せられるところがあります。
その点江口さんはフラットに淡々とていねいに綿密に描写される。
完全に自分の絵で、まんがの絵のかたちにして。
これだけシンプルでポップな絵柄なのに
くちびるのうるつや感や色味のあるなしまでもが全然違う。
カラーイラストでなくても伝わってくる。すごいなあ。

そういうリアルなあれやこれやを、自分の中で完全に消化して
解釈をしてから『江口寿史の絵』に翻訳をしてみせる。
そんなすごい仕事がざくざく展示されていて、おもしろくないはずがない。

わたしがモノを読んだり絵を見たりする理由はここにあるのだと思います。
同じこの世界を、この人はどう表現するだろうか。
そして私はそれをどう受け取るのだろうか。

やはりポップ路線の水玉螢之丞さんや、
描写の鬼・森薫さんとの差異などを考えるとなかなか興味深いです。
春樹さんの言う「自分の文体を持つ」に通じることなのかしらこれ。
なんて思いながらゆっくりじっくり展示を見ることができました。

フィギュアスケーターを描いてほしいなあ、なんて一瞬思うも、
いや「ごく普通の女子」の方が本領発揮されるかな、とか
(あるいは
『んま! そんな目でうちの生徒(選手)を見てはなりません!! 』
と、女子校の先生もしくはシスターのような気持ちになってしまったり)

漫画家としては寡作な方ではありますが、
このレベルでの作画と話のバランスとを考えると
なるほどそれは困難なのかなあと、なんて考えてしまいました。

まんがとしては、いまこうして見直すと、
意外なほどシンプルな画面構成。
でもシンプルな構成のなかに完結した絵、
集中線や大きい書き文字がばすっとはまると
まあかっこいいんですよねこれ。

川崎の展示は終了しましたが、
明治大学・米沢嘉博記念図書館では
江口寿史展 KING OF POP side-B
が、あとちょっと、2/7(日)まで開催中です。

f0257756_023825.jpg


梅もすこしずつほころんでいますね。
梅の花ほど『ほころびはじめる』という表現が似合う花はないのではないかしら。
ゆっくり咲いて、花の時期が長いから余計にそう思えるのかな。

f0257756_0274779.jpg


魅惑のしましっぽ。ほんのり鍵風味なのは、さわらないとわかりません。
(さわるひとだけわかる秘かな楽しみ)
(のろけです)
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by chico_book | 2016-02-02 00:34 | イベント | Comments(2)


ねことか本とかまんがとか、と言いつつ映画にじわじわ圧される幸福


by chico_book

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