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魔法使いは魔法の言葉を私に告げる

木曜日に携帯に着信があり。ちこの血液検査について、お医者様から。
概要をざっくり聞いて、土曜に行くことにする。
「ちこちゃんはつれてこなくて大丈夫です」

火曜も水曜も、朝ベッドのうえから出勤する私を見送るちこ。
帰宅しても、お出迎えなしの日々が続きました。

「ちこにゃーん?? 」
姿を探すと、あらまあなんということでしょう、
朝出かけた時とほとんど同じような姿でベッドの上にいるではないですか!!

「ちこにゃん?」
そっと寄り添ってみる。
とたんに、部屋中を揺るがすような大音量のごろごろ。
あごをなでる私の手をざりざりなめて、おなかをさらして私を促す。
そっとそのあたたかさやわらかさに手を添える。ありがたや。
しばらくするとおなかを撫でる私の手を叩く、ちこ。
ご機嫌そんなに悪くないようにも、見える。
いつもと変わらないようにも、見える。

ごはんとお水は減っているし、トイレも使用形跡あり。ちょっとほっとする。
それでもベッドの上から動かない。すごくおとなしい。
どこか痛めちゃいましたか?? だっこしてあちこちさわってみる。
いやがらない。
ベッドの上で少し歩いてみてもらう。しぶしぶあるいて、ぺたん、と座るちこ。
……特に異常はなさそうだけど。ただ、気持ちおとなしいなあ。
つめを切ったから、いままでと感じが違うのかしら。
ベッドの下に補助台を設置してクッションを置いてみる。
ねこバリアフリー計画(しかしこの作戦は不発)。

私のせいかしら。
ちこは(思ってたより)おばあちゃんだったなんてね、と
思ってしまっていたせいかしら。
ねこ友さんに
「ちこにゃんうちの子よりおねえさんだったんだね。
しっかりしているとは思ってたよ」
なんてメールをもらったりしたせいで、私が過敏になってるのかな。
以前はこういう時の試金石として「ちゅ~る」出動していましたが
いまは自粛して
『メディファス12歳以上のねこ用ウェットフード』
を、水でのばしてあげてみる。よかった。ふつうに食べてる。
安心していいのかどうなのか。
こういうささいな変化って、本当に難しい。

それでも、木曜金曜のちこは、わりあいふつうに戻って、
私の朝と夜に併せてお出迎え挨拶したり、
押し入れに籠城したり、大声で甘えてみたり。

そしてようやく土曜日。緊張気味に病院へ。

「前回より少しだけですが腎臓の値が悪くなっています」

検査結果をもとに説明していただく。

「腎臓病の初期ですね。
腎臓の組織は、基本的に回復しません。
ねこには本当に多い病気で、以下に進行速度を遅らせるかが大事になります」
(12歳以上では25パーセント、15歳以上では30パーセントのねこの持病であるとのデータもあるのだとか)
(ちこぼん調べ)


治療法について説明。
おくすり、フードのサンプルの提示、サプリメントも。

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「一番簡単で効果があるのはごはんなんですよね、
ただねこちゃんは、ごはんにこだわりがある子が多いので、
まず食べてくれるかどうか」

確かに。たとえば、ちこはヒルズは全然食べません。

「ごはんが変わるだけでストレスを受ける子もいます。
それでは本末転倒なので、
いきなりこの(サンプル)フードだけにしたりしないで
必ず今までのフードと並べて、それで食べるかどうか確認してください。
ねこちゃんの機嫌を損ねると、長引く場合がありますから

療法食を食べなかった場合用に、粉末のサプリメントをだしていただく。
こちらは『リン吸着剤』。
おくすりではないのですが、いままでのごはんにまぶしたりまぜたりするもの。
無味無臭だとのこと、ウェットのスープ部分が大好きなねこなので、それに混ぜれば大丈夫かな。

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一日一包のものを、とりあえず一週間分7袋。
そして年齢の件について念押し(あるいはだめ押し)。
13才と言う気持ちでいてください。はい。粛々と、はい。

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ハイシニア・・・・・・!(こっそり涙)。

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写真としてはぼけぼけですが、
私の心理的な衝撃を緩和する意味でもこのままで。
キドニーキープ大事。

「週中すこし元気がなかったので、私もちょっと動揺してしまって」
「わかります」
「13才と言うと、人間換算で68才だそうですね。
ちょっと元気がないと、もしかしてだるいのかな、とか、急変かな、とか」
「大丈夫です」
きっぱり。
「この病気に関しては、まだそんなに悪い数値ではありません。
放置しないことが大事な段階です(注)
いまからしっかりケアしてあげることで、
いかにちこちゃんの幸せな時間を長くすることができるか、
ということなんです。
心配しすぎないでください。
ねこちゃんはかしこいので、必ずその気持ちを読み取ります。
飼い主さんがしっかりと、ねこちゃんとねこちゃんの体調に
むきあうことが大事なんです
」 
・・・・・・はい。
「この半年で数値が変化しているので、
次は3か月後くらいに来てくださいね。
もちろんその間に、何か変化があったらいつでも来てください。
あとごはんのことも、なんでも聞いてください」

かえりみち。すこし泣きそうになりながら歩く。

心配しすぎないでください。しっかりと向き合ってください。

「獣医さんはこころがやさしいに決まってる」
「どうしてそんな話になるんだ」

愛蔵版 動物のお医者さん 2 (花とゆめCOMICSスペシャル)

佐々木倫子 / 白泉社


(個人的な好みでミケの表紙を)

確かハムテルと二階堂の会話でした。
この淡々と話が進行してゆく作品のなかで
私が好きなセリフは(数あれど)
「(もしかしてねこは死んでいるのに)先生が僕を思いやって
芝居をしているのでは」
と言う二階堂に
君の気持ちを考える義理はない
と断言したドクター!!
(ドクターだらけの作品ですが)二階堂家の『まぼろしのねこ』のエピソードで、
一回こっきりの街の獣医さんなのですが、
この切れ味のよさ、いまでも鮮やかに残っています。

そんな記憶もあり(まんがに支配される人生のよろこびよ)、
獣医さんについうっかり人格を求めてしまわないように
自省を心掛けてるつもりなので、逆にこのタイミングでの
やさしさにほろりとしてしまいます。

病院のお向かいは小学校。
ドアを開けると、運動会の歓声が明るく響いていた。

横浜の市の花はばら。
個人の庭のあちこちにも、公園のいたるところに、
ばらとあじさいが咲いている。
優しくその大輪の花を掲げている。
あるいは面映ゆそうにうつむいている。
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最近水入れのふちに、
あごを乗せるようになったちこに似ている。
気がする。だるいのかな。あたまが重たいのかな。
5月のばらは素晴らしく、私のねこも素晴らしく、
素晴らしすぎてすこし泣きそう。

バス停に、迷子ねこの貼り紙。三毛猫さん。
胸からおなかにかけて雪のようにまっしろで、ちこみたい。
「ややぽっちゃりしています」
公園の地域猫さんなんだそう。
おそとの子でそんなにふくふくで、まっしろさんだなんて、
なんて愛されてるの。ねえちこにゃんや。
はやくはやく見つかりますように。

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(寝起きでぼおっとしているところ)

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すやすやにゃんなのがなによりありがたい。

次は8月に。
しっかり尿検査もしてもらおうね(未来のわたしへ備忘録)、ちこにゃん。
(私が事前に検体を取得できるのがのぞましいとのこと)

※(注)
尿素窒素(BUN):前回36  → 今回43 (正常の目安:16-36)
クレアチニン(CRE):前回1.9 → 今回2.0 (正常の目安:0.8-2.1)
◎以下、病院では特に言及がなかったのですが、ネットで検索して見つけた情報

尿素窒素/クレアチニン=20を超えるのが、腎臓病の初期であることの目安

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このぽったりと重たげなやさしい花の風情が、ちこのおなかによく似ている。
ゆっくりと、でもちゃんとがんばろうねちこ。一緒にがんばろう。
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by chico_book | 2016-05-29 07:05 | ねこ | Comments(8)

しずかに息継ぎするように

金曜日に早速購入。わくわく読み進めております(まだ途中であることのありがたさうれしさ豊かさよ)

ギケイキ:千年の流転

町田 康 / 河出書房新社



縦横無尽の疾走感あふれた文章で語られる
源九郎判官義経青春篇。
いやいやまだアヴァンと言ったところでしょうか。
とにかくとにかく、むっちゃ面白い!!

「かつてハルク・ホーガンという人気レスラーが居たが私など、
その名を聞くたびにハルク判官と瞬間的に頭の中で変換してしまう。
というと、それはおまえが自分に執着しているからだろう。
と言う人があるけど、そんなこたあ、ない。」


とんでもない冒頭。奇天烈なのに説得力のある人物描写。
出ました名人芸!! 
『告白』の強烈な薄気味悪さ怪異さ、
なのにそこから離れられない激烈な魅力を思い出す。

告白 (中公文庫)

町田 康 / 中央公論新社



実際、『平家物語』は語りの文学だったし、
『義経記』じたい軍記物とも伝奇物ともつかない物語なので
その時代に会ったキャッチーさ、と言うのは必要なはずなのです。
いやいやいやこれ面白い、と、夢中でページをめくるうちに
ふっと不安になる。全然話すすんでないじゃないこれ。
どうすんのこれ。

全4巻刊行予定
2021年年完結予定
……ってウソでしょ!
と、思いつつ、
ああこれで少なくともこの完結は見届けなくちゃね、
と思えるコンテンツが増えたことをそおっとよろこぶ。

この義経が果たして頼朝にいさんをどう語るのか。
たのしみすぎて武者ぶるっちゃう。

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(ふーーーーーん……)

というわけで、大事にちびちび読むことにしました。
きっと何度も読みかえすことになるのかな。
最近再読の体力落ちているので、
そういう自分でありたいという願望だけかもしれないけれど。

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5月のばら。名残のうつくしさ。

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どくだみの花のすがすがしい十字を見ると、
いつもヨーロッパの紋章を連想する。

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すこしずつ咲きはじめているあじさい。
(このまま暑くならなければいいのに(涙))

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あじさいは、近年ものすごく
バリエーションが増えたように思います。
原産国と言うこともあってか、
すぐにすくすく大株になるので見ていて安心。

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数年前に整備された公園のあじさいたち。
この一面すべてあじさいです。
あっという間に茂るこのもふもふぶりが、なんとも頼もしい。

この本も一緒に出てました。

くよくよマネジメント

津村記久子 / 清流出版



ちょっと(本買いの)歯止めがなくなっているので
このあたりで自覚するためにメモ。
まあこの二冊は、
買うことに迷いがない作品ではあるのですけれども、
それでも、一応。(購入済です)
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by chico_book | 2016-05-22 23:27 | | Comments(2)

お寝坊の朝と、ねこの備忘録

久々にお寝坊の土曜日。

ゆるゆると起きだして、ぼんやりと朝ごはん。
冷凍庫からパンのストックが少なくなりました。
慌ただしい平日の朝は避けがちな
(解凍に調整が必要で、食べるのに時間のかかる)
ハード系のまるまるっとしたパンをゆっくり食べることにする。
(ふだんはトーストや薄切りに走りがち)
こういうささやかな(時間に対する)贅沢が休日の醍醐味。
トマトとゆでたスナップえんどうとブロッコリを、
スクランブルエッグと軽く混ぜいためして、ゆっくりコーヒーを入れる。
(平日だと、切っただけのトマトとゆでたブロッコリ、で終わらせるので
このひと手間がさりげない休日感(2回目))
先日コーヒーサーバーを割ってしまって、
さてどうしようかな、と思いつつ、今日のところは500mlのクワドロピッチャーに。
(厳密には耐熱ガラスではないはずなので、暫定的に注意しながら)
コーヒーサーバーとパンを、この週末で調達しようかな、さてどこで、
なんてゆるゆる考えるたのしみ。
静かにもぐもぐとごはんを食べる。窓の外はまぶしい新緑。
すっかり上達した鶯の声が響く朝。しあわせ。

そんなおだやかな土曜の朝、ねこもゆるゆると起きてきました。
まずは寝室でひとしきり鳴いて、それから(寝室にある)水入れで
ひとしきり水をごくごく。
そのあと悠然とやってきてラグのうえでぽたり。
しっぽはゆるゆると大きく揺れる。
なんとリラックスした姿。そして魅力的であることよ。

うむむ。しかし私には、すこし前からの懸案事項がありました。
ちこ、そろそろ健康診断にいかないと。
前回の健診は11月。おツメも伸びてきました。腎臓の経過観察のお話もあったはず。

気取られないようさとられないよう、まずは(わたしが)速やかに身支度。
ちこの様子を盗み見。ものすごくリラックスしておなかをさらしています。
大丈夫かな。

3回/10分トライして、無理なら諦めよう。
そう指針を決めて、さりげなくドアを閉め、キャリーを持ち出し、洗濯ネットを準備。
頭からすっぽり。まったく手こずることもなく。あらまあ……。
ありがたいのだけれど感無量。
最初は全然入らなかったし、大暴れしてあらゆるものを倒して(ちょっと大げさ)
ベッドの下に籠城していたものですが。

ネットごとキャリーに入れる。やはりすっぽりあっさり。
大声で不満鳴きはするものの、以前のような大暴れはしない。
これは私が慣れたのかちこも慣れたのか、あるいは加齢とか、そういうのかしら。
などと思うものの、速やかに病院へ。

たまたまですが先客もいなくて、すぐに診てもらえました。
目と耳、お鼻のチェック、目立った以上はなし。ほっ。
相変わらず目やにっこではありますが。

『通常の目やには、灰色のものなので、
こういう黒い目やには、ねこ風邪ウィルス(ヘルペスだったかも)の
保持にゃん特有のものです。これだけで異常と言うことはありません。
ただし、黄色くなったり量が極端に増えたりした場合は、注意が必要です』

つづいて触診。おなかむにむに。むおむお怒るちこ。

『うーん、脂肪がすごいですね』
『体重も増えています』
ひゃあ!! 最近確かに計ってはいませんでした!

5、5.7キロ。これはあかん。あかんわー。
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(……不都合な真実(ぼそっ)※5/8の記事と同じ写真です)

ここの先生は、採血で毛ぞりをしないのでありがたい。
むおむお鳴いて、お鼻も肉球も見事に桃色。
なのに、針が刺さった瞬間に無言になる。なんといたましい!!

『顔を見て応援してあげてください』

がんばれがんばれちこにゃん。看護師さんも応援してくれます。
この世を呪うようなまなざしになるちこ。
ごめんごめん、がんばれがんばれ。
そのあとすうっと目を閉じるちこ。なんということ。胸がいたくなる。

懸案の腎臓まわりをエコーで見ていただく。
大きさ、機能、特に影響なし、よかったよかった。
ただ、膀胱にすこし影があるとのこと。

『それはいわゆる結石のもと、と言うことですか?
きらきら光るという評判の』

『その可能性もありますが、
ねこは尿に脂肪が出ることがあるので、そちらの方が可能性が高いですね。
血液検査の結果は一週間後なので、それと併せて判断しましょう』

いずれにしても真剣な体重ケアが重要という結論に。

最近気になっている『大声で鳴く』について相談する。

『たいていの場合、なにか要求がある場合ですね。
ドアを開けろ、とか、ごはん、とか、お水、とか、
なでろ、とかそういう具体的な要求ですね』

たしかに。

『猫にも痴呆、と言うことがありまして、
その場合、大声で鳴きまくる、という症状もありますが、
とりあえず、出来るだけ要求をかなえてあげて
それで解消するかどうか、様子を見てください』

はい。ねこにむきあうと、ひとは謙虚になりますね。

おつめをツンツンしていただく。
先生は人間用の爪切りでさくさく作業。すごいー。
歩くときにカツカツ言ったり、ガーゼやタオルにひっかかりはじめていたので
気になっていたのです。
私には大暴れしたりかんだりするのに、まあおとなしいこと。

『おうちでは強気な子なんですね(にこ)』

かわいい内弁慶な姫ですこと(うっとり)

『推定年齢の件ですが』

はい。

『結構ツメが固いです。ツメの固さは年齢に比例するのですが、
10才以下ではここまで固くはならないので、
やはり12-13才程度ではないかと思います』

・・・ううむ。了解です。
フードも最近7歳以上ではなく、11歳以上に切り替え済です。

『フードにはこだわりのある子ですか』

はい。基本的にロイヤルカナンしか食べません。
あとメディファスは好き。特にウェット。

『そのあたりなら大丈夫です。
カロリーオフタイプを選んで、きちんと計量してあげてくださいね』

今回も親切丁寧に見ていただいて、安心安心。

待合室にはわんちゃんがふた組。
おりこうさんにしっぽぶんぶんして待っていました。

さて帰宅後のちこ。
しっぽを左右に揺らしながら、ごはんに一直線。
こんなにふくふくなのに、実は喰い意地のはっていない
ちこにはとても珍しいこと。

ガツガツと言うイキオイでご飯を食べる。
おそとの子時代以来ではないかしらと言う食べかた。
いつもは食べない、こぼれたカリカリも拾って食べる。
ごめんねぇ。
本ねこ的に、朝起きて、ちょっとゆっくりして、
さあごはんにしようかな、と言うタイミングに連れ出された、
と言うことだったのかな。

ひとしきり食べて、お水も飲んで、私に文句も言って、
ようやくひとごこち。
「やっぱりおうちがいちばんね」
というあたりでしょうか。

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ふうー。

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ちょっとお耳がまだ警戒気味かな。

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ちょっとお目目がうつろです。そしてまだお鼻の赤味が強い。
ごめんね、そしてがんばってくれてありがとう。
いい子でしたね。ほんとうに素晴らしくいい子です。

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健やかにくつろぐちこと一緒に、これからもずっといられますように(祈)
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by chico_book | 2016-05-21 14:04 | ねこ | Comments(2)

稀に見る幸福なティーヴィー生活

ドラマの当たりぐあいがすごすぎて息が苦しい。

いやいやいやいやこんなことがあるんですね。
とにかく『真田丸』がすごくてすごくてすごく面白くて
土曜の夜から(たのしみで)そわそわしはじめて、
18時からのBSを観て、そのあと20時からの地上波も観ています。
どちらも同じように、息をのんで観ることになるので、
大変にくたびれます。ぐったりと。

複数の人間がそれぞれの正義と思いを胸にばらばらに動く、
その和音も不協和音も生々しくて禍々しくて輝いている。
その中で、手をのばさずにはいられない人生の選択の積み重ね。
歴史もので史実前提だから、今後の展開の大枠は
もちろんわかっているのに、その瞬間の人生に立ち会っているような、
それを一斉に見せてもらっているような途方もなさ。
すごい作品だなあ、と毎回翻弄されっぱなしです。

悪い小日向さん大好きなので、と、いつかもここで
つぶやいたことをまたつぶやきそうになるのだけれど、
小日向さんをトピックにするのが申し訳ないほど、
どの役者さんもみんなすごいです。ほんとにありがたい。
こんなすごいものを毎週見せてもらえるなんてありがたくも怖ろしい。
日曜の夜に観終わってから、ずうっと反芻しています。いまも。

特に、秀吉の求愛を茶々が受けいれたことを報告された正室の
寧役の鈴木京香さんが素晴らしかった……。

自分の夫が、自分をかけがえのないパートナーだと
認識しているのは充分すぎるほどわかっている。
それでもそれはもはや恋というものではない。
なりあがりの夫が(信長の血を引く)高貴で年若い美女を
手に入れたことを喜々として報告してくる。

妻として愛する男性のそんな姿をみる、純粋に悲しい気持ちもあっただろうし、
若く美しい茶々の将来を、同じ女性として憂う気持ち、
そして豊臣家の将来がこのことによってどう転ぶのかわからない
(それこそ夫のビジネスパートナーとしての)不穏な気持ちも、
すべてがいりまじった素晴らしい表情でした。

・・・そんなシーンが一話に何度も何度も積み重なっている。
多すぎてひとつを選ぶのがむつかしくて語りにくい。
(でも我慢できずに時々ここでこぼす予定、これからも)

すごい作品です。熱量と気迫に充ちている。
ああことしは大変にありがたい大河イヤーだわぁ、
そろそろ折り返しだけれど、たのしくたのしくそして
苦しく追いかけてゆくことでしょう。

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植物や動物、小道具など様々な要素に散りばめられた
仕掛けがまた深くて楽しい(百合が出ているわけではないけれど)

前回の放送では、黄泉の国へとつながるイメージをもつ花・山吹を、
茶々が源次郎に渡すシーンには胸がえぐられました。
「あなたはまたここに戻ってくる そしてわたしたちは同じ日に死ぬの」
なんという呪い。
そしてそれを食べちゃうきりちゃん!! 
この古代神話あるいは民俗学っぽい解決には大変爽快な気持ちになりました。
きりちゃんもう最高だ!!
まさかこの数ヶ月でここまで評価が変わるなんて!
王道にして堂々たるエンタメ。ありがたくって涙出る。
私にわかるものはそう多くはないので、
ネットで有識者のかたの説明に触れるのがもうたのしい楽しい。


そんなふうに、もう大河でいっぱいいっぱい手一杯なのに、
『重版出来!』
が面白すぎて息ができません。結構マジで。
いや、面白いというかすごいというかグイグイ来るというか。

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(あわてないあわてない、ひとやすみひとやすみ、な、ねこ)

オダギリジョーずるいよね。あの髪型でかっこいいなんて。
小さな声でぼそぼそしゃべるのに説得力あるなんて。
でもあの肩幅とシャツ姿と眼鏡の説得力、と言うより
破壊力があるのでまあいいっか、と思えてしまう、不思議と言うより理解。
黒木華ちゃんのコミカルなお芝居も、作品全体とのバランスよし。
柔道経験者らしいのかな、大またできびきびと歩く姿がよいですね。

それにしても、まんがと言うものは本当にビッグコンテンツになったのだなあ。
ほんとうに今更ですが思います。
まんがをつくるひとたちの物語が、こんなふうに共有できるなんて。
(そしてこちらでは大変ジェントルな小日向さん・・・・・・・)

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暑苦しい内容なので、のんびりCalm downな画像(のつもり)。
仲睦まじいはと。撮影場所:生田緑地。

民家園とメタセコイア林が気持ちいい場所でした。
きっと今は薔薇のハイシーズン、そして生田の山の庄野先生に思いをはせる。

WEB河出のプロモーションにまんまとやられる。
試し読みコーナーなんて、すこしでも読んじゃったらもう駄目。
わかっていたけど、やっぱり駄目でした。絶対買う。
金曜日の帰りは、本屋さんに直行する(宣言)

ギケイキ:千年の流転

町田 康 / 河出書房新社



『登場人物』

源義経:あり得ない早業を武器に、千年の時を生きる、本作の語り手であり主人公。ファッションフェチ。
武蔵坊弁慶:(略)メンへラ気味

って!!

町田康の文体に没入する愉悦が私を待っているとおもうと、
あと一日がんばれる。気がする。
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by chico_book | 2016-05-20 01:22 | 日々 | Comments(3)

ビューティフルエンドレスサマー

久々に吉祥寺へ。

元気のないときは、JRで(乗り換えがあるけれど)ダイレクトに行く。
(いや吉祥寺に行くの、今回で(たぶん)2回目ですけれど)
東横渋谷乗換京王線よりややお高めなのです。
と言っても200円くらいかな。いやいやされど200円。

でも中央線が好きなので、中央線に乗れるのはちょっとうれしい。
特に横須賀線でさくさく東京駅について、
始発に乗るのがなんとはなしに旅行気分が盛り上がる(気がする)

秋葉原をながめて御茶ノ水・四ツ谷・千駄ヶ谷、あっという間に新宿。
短い間に目まぐるしく変わる街のようす。
新宿を過ぎると、おなじみの武蔵野らしい風景のなかをずんずん進む軽快さ。
すこしずつ増えてゆく緑の様子がなんとも言えずに好き。
けれどうっかりすると乗り過ごします。

わくわくしてしまうのは、もしかするとこのまんがの影響かも

中央モノローグ線 (バンブーコミックス 4コマセレクション)

小坂俊史 / 竹書房



ささやかでさりげない日常の積み重ね、
ほろ苦さいとおしさシニカルさが綿密に描写されていて
静かな良作だと思う。

そんなふうに、わくわくそわそわしていたら
案の定乗り過ごすはめに。
ひゃあ。
特別快速は吉祥寺に止まらないんですね。知らなんだ!
(何となく、乗り継ぎのある駅には停車するものだと
思いこんでいました)

国分寺までぶんぶぶーんと飛んでゆく。。
国分寺は、大学受験に来た思い出のある街。
受験生が多かったのかそういうものなのかわからないけれど、
何故か(受験した大学とは別の)国立にある大学が受験会場でございました。
とにかく建物の迫力と荘厳さにあっけにとられましたっけ。
結局落ちたので、まあどうでもいいのだけれど。

小金井の中村研一美術館には
朝倉文夫の猫たち』目当てで行きましたっけ。
いま調べてみたら2011年7月。5年前かあ。
静かでいい場所でした。
あらためてゆっくりお散歩に来たいなあ、
素敵なカフェもあったんだよね、と調べてみたら
なんと2016年3月で閉店してました…。

※はけの森オーブン・ミトンカフェは
2016年3月31日をもちまして閉店致しました(リンク

なんてこと。森の中のカフェ、行ってみたかった…。
(この美術館自体、画家のアトリエがもとになっているので
大変雰囲気が良いのです)
残念だわ、と思うものの、パンタレイと言うことですね。
油断していた自分のせいだもの、しょうがない。

すみやかに吉祥寺へリターン。
改札を抜けて(目的地と反対側の)井の頭公園側に出てみる。
散歩をしたかったので。したくてうずうずしていたので。
土曜の午後の吉祥寺は大賑わい。
老若男女、まんべんなく入り乱れるところが実に楽しい。

聞こえてくるさまざまな音楽、さざめき、
思い思いに楽しむひとたち。
わんこわんこわんこさらにわんこ。
ボートをこぐカップルたち、噴水、鳥の声、
大小いろんな弦楽器、あるいは和楽器、
ハーモニカのひと、トランペットのひと、
なんとなんとハープの小型版、と言うよりは竪琴、と
言いたくなるものを奏でているかたも。
さすが中央線だわー、と、ミーハー気分で
ふむふむ感心しながら池の周りをお散歩する。

優雅なのかどうか、わからない

松家 仁之 / マガジンハウス



井の頭公園のそばで、ねことくらすこと。

最近すっかり考え事をしながら歩くのが好きになってしまった。
水のそばならなおよし。木の葉や木の根を踏むもさらなり。

のどが渇いたのでテイクアウトのコーヒーをいただく。
コーヒーと仲良くなって、こういうとき本当に便利になりました。
もちろんこういうシチュエイションでおいしいお茶が
提供されればそれがいちばんなのだけれど。

サバの夏が来た (白泉社文庫)

大島 弓子 / 白泉社



以前大島さんは、
この公園のすぐそばのマンションで暮らしていた様子。
私はそのころ福岡でのらのらしていたので、
まったくわかっていませんでしたが、
たぶん知っているひとは特定できても不思議はない、
そんな描き方でした。
(周辺の地図と顔見せの実名とかお部屋の間取りとかも入っていたし)
(情報に関しては)おっとりした時代だったのね。
とは言え私も、ところでどこのマンションかしら、なんて、
ちょろっと物見高く考えてはしまいますが。

そんな井の頭公園で撮影された映画。

グーグーだって猫である ニャンダフル・ディスク付き [DVD]

角川エンタテインメント


(ニャ、ニャンダフル・ディスク付き…??)

この映画のプロモートがきっかけで
小泉さんの『小雨日記』が連載されたという、
個人的には十重二十重にもありがたい作品。
加瀬さんも出てます。びっくりした。

遠くに行きたいなあ、と、思う。
これは逃避なのかしら、なんてことも思う。
いやいやちこがいるからなあ、とも思う。
思いながら初夏の午後の陽に照らされた池をながめる。

つきあいはじめっぽい初々しいカップルちゃんが
やや緊張気味にさりげないサムシングをシェアしている。
うつくしい光景ですこと。



さりげないものをさりげなくシェアする、
なんとも原始的でシンプルな愛のかたち。

『私がもっとメカ得意だったらさぁ、○○話の作監だったんだけど』
おもわず滑りこけそうになる濃い会話。
さすが吉祥寺。いやジョージ。
も、もそっと詳しく!! と、思いながらも何食わぬ顔で通り過ぎる。

「Beautiful Summer Night」
イギリスぽいアクセントのかた。
そうだね、とまたも8年前のロンドンを思い出す。
6月のロンドン。21時になってもこんなふうに明るかったあの空。
ロンドンの夏はこんなかんじなのかもしれない。

カップルで乗ったボートのうえで、
女子が威勢よくオールをにぎしりめている。
笑顔で見守る男子。
私のうしろを歩いていた青年がいう。

『ないわーあれはないわー俺だったら彼女にあんなこと絶対させないわー』

その自信を大事に生きていくのじゃよ、と、謎の老人ぶってみる。

『あや(仮名)の彼氏学年トップらしいよ』
『まじで? △△より上なの? すごい』
『あや勉強おしえてもらえるね、ラッキーじゃん』
『それが教えてもらえないんだよ。
おまえと勉強の話したくないっていうの』
『なにそれひどーい』
『でも宿題やってくれるの』

小鳥ちゃんのさえずりと言うにふさわしい会話。
若さってかわいいなあ。素晴らしいなあ、なんて思う。
このかろやかさこそ時分の花よ。

たのしいので2周も歩いてみる。
純粋に散歩目的で2周して、
公園を堪能しつくしてようやく本来の目的地へ。

萩尾望都SF原画展 宇宙にあそび、異世界にはばたく

入場料100円。すごく変な表情になる。
いや確かにそんなに大きな展示ではありませんが、それにしても、ねぇ。

鮮やかで真摯なまなざしのキャラクターたち、
画面の使い方の自由さ、奔放さ、それでいて破綻のなさ。
なによりも透明で繊細なのに力づよく芯のつよい美しさ。至福。

すこし異端のものを、自分の感じる疑問や謎や気持ちの高鳴りを、真剣に見つめて
いかに繊細に愛していつくしんできたのか、
そしてそれをいかように表現してきたのか。語り口の妙について考える。
SFでもファンタジーでも歴史ものでも、それは変わらない。
その変わらなさにこころが震える。
それでいて破綻も無理もない舞台設定に綺麗に落とし込む妙技。

作家の視線のやさしさと、それを貫く強さに
ほぼ平伏しそうになりながら会場を後にする。

併設の浜口陽三記念室(特集は夫人でもある南桂子氏)と、
萩原英雄記念室も、版画好きとしてはたいへん楽しめました。
たのしい1日でございました。

帰りは渋谷乗り換えで東横へ。
時間が合えば、渋谷で国芳国貞を見ようと思いましたが
まあ順当に時間切れ。
もちろん公園でお散歩などせず、さくさくと展示に向かっていれば
間に合ったのかもしれないけれど、この日はそういう日なのです。

各停に乗って、車内で読書に耽りながらとことこ帰りました。
なかなか良い1日であった、そんな記録。

読んでいたのはこちら。

本の寄り道

鴻巣 友季子 / 河出書房新社



図書館より届いたばかり。
万華鏡のようにたくさんの本の話題が
さくさくさらさらと。たのしい。純粋にたのしい。知っている本も、知らない本も。

本日購入したての本。いそいそとページをめくる。

いもうとは秋田犬 (LGAコミックス)

小池田マヤ / 青泉社



40代独身女性漫画家が、犬と暮らす生活を志して、
保護犬の秋田犬・南ちゃんと生活するようになった記録。

小池田さんは毒のつよい作品も多いけれど、
さらりとしたお話もすばらしい。
凛としたこころの強さが一貫しています。
愛情と言うもののありようには大変真剣な作家さんで
読んでいて胸がいっぱいになります。

萩尾望都SF原画展 宇宙にあそび、異世界にはばたく

5/29まで。興味のあるかたはぜひ。
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by chico_book | 2016-05-16 01:53 | まんが | Comments(4)

ささやかな日々をそぉっと記録

行きたい展示も行きたい映画も目白押しなのですが
とにかく無理しない方向で人生をほてほて歩く2016年。
マーブルをマーブルのままに記録してみる。
混沌と言った方がいいのかも。カオスとは言いたくない。

カラヴァッジョ展』 国立西洋美術館 6/12まで
カラヴァッジォ(と表記したい、個人的な好みです)は、
実はイタリアでかなりがっつり観たので、優先順位はやや控えめ。
(それも10年以上前の話なのですが)
それでも、サイト見ていると、がぜん行きたくなりました。どーしよ。

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おお、カラヴァッジォっぽいではないですか!!(いやちょっと光が足りないかも??)

俺たちの国芳、わたしの国貞』 Bunkamura ザ・ミュージアム 6/5まで

近年浮世絵関係の展示がすごく増えたような気がするのですが
単に今まで私が気付いてなかったのかもしれません。
浮世絵は作品の流通とか、テーマのアレンジとか、
見どころのバリエーションが多い印象。
かなり凝った展示のようなので、興味津々なのですが、
いかんせん渋谷は元気とか気合いが必要な街。
行ってしまえば、それほどでもないのですけれども。

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浮世絵と言えばねこ
(うそです。とりもなおさず、なんにつけ、すべからくねこ。いつでもねこ)

100年目に出会う 夏目漱石』 神奈川近代文学館 5/22まで。

昔から大好きな漱石ゆかりの漫画家さんが『激混み!』と
レポートされていて、及び腰気味。

漱石とはずがたり 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

香日ゆら / KADOKAWA/メディアファクトリー



連休中だったせいかもしれません…でも迷っている時間はあまりなさそう。

生誕300年記念 若冲展』 都美術館 5/24まで



フェルメールか若冲かと言うくらいに、
とにかく大人気の若冲。いつでも大人気。
大人気すぎていちども見ることができません(行列苦手)。
入室まで140分とか無理すぎる。

黄金のアフガニスタン―守りぬかれたシルクロードの秘宝―
東京国立博物館 表慶館 6/19まで

一緒に遭難したいひと(4) (ワイドKC Kiss)

西村 しのぶ / 講談社



再読して、台湾に行きたいなあ、
さっぱりして甘くさわやかな中国茶のみたいなあ、
(日本茶の粉粉しさが気になって、台湾系の中国茶の方が好き)
と思ってみたり、

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むかし伊勢丹でいただいた中国茶。
仕様は異なりますが、このとろりとした黄金色の甘さが好き好き。

そこから(また)故宮に行きたいわぁなんて思い出して、
その流れでシルクロード関係の展示にココロ魅かれています。
こ、こぶちゃんにはいつでも会えるからね!

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2月のこぶちゃんはすっぴんでした。
砂のなかでねむっていたこぶちゃんと、こぶちゃんの時間を思う。

こうしてみるとやはり上野周辺が多いですね。
昨日は別案件で上野へ出かけました。
素敵なお誘い、極上の時間、上機嫌。

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いつ見ても違って見える不忍池。

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上野と言うより本郷三丁目になりますが、気になるお店がいくつか。

素敵文房具ショップSCOS(公式サイト

東京駅の京葉ストリートのお店にしか行ったことがないので、
(2015年1月に閉店したようです)
本店にも行ってみたいけれどちょっと怖気づいております。
なにしろオシャレなので。

文房具と旅をしよう

寺村 栄次 / ブルースインターアクションズ



アンモナイトコーヒー(食べログのページ)。

通りすがりに見つけた、小さなお店。
少し前まで珈琲はあまり得意ではなかったのですが、
カルディからはじめてすこしずつ仲良くなっているところ。
(そとのじりじりゆっくりすこしずつ距離を詰める。
そんなスローペースが、自分ではわるくない気がしている。

知りあいのおすすめカフェは「タイズ」。こぢんまりしたお店のようなので、さらっと寄るのがよさそう。

それと、
近江屋洋菓子店」。
アルネで紹介されていた神田店のことは知っていましたが、
本郷にもあるんですね。

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まだにょきにょきしてない蓮。
これからきっとにょきにょきする蓮。
気持ちいい風、緑、光、小鳥の鳴き声。
ほんとうによい時間を持つことができました。
ありがとうございます。

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近所の、紫陽花の大株にひっかかっているもの。ナニコレ。

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広い意味ではねこなのかな。万能のねこ。いやいやねこはすべからく万能かしら。

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(かもね)
(こちらの方がカラヴァッジォぽい・・・かな)

最近読んだ本。

まどいのよそじー惑いの四十路ー (ビッグコミックススペシャル)

小坂 俊史 / 小学館



小坂さんのやわらかいのにエッジのたった切り口が好きです。
はっとする。虚を突かれる。でもやさしくやわらかい。
余韻の残る、甘さのない作品をたくさん発表されています。
この季節に向いているような気がする。
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by chico_book | 2016-05-08 21:09 | イベント | Comments(2)

花と本とが入り乱れ(そして安定のねこ)

母の日。
ワタクシは毎年、芍薬の花束を贈っています。カーネーションではなくて。

こどものころ、庭に大株があって、みずみずしい朝露に濡れた花を
母に切ってもらって、新聞にくるんで登校しました。
なので、私にとっては母との思い出の花。
やや青さの残る甘い香りのすがすがしさを懐かしく思い出します。
そんな感傷は、私の独りよがりなのかもしれないけれど。

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こちらは図書館のそばの植え込みの芝桜。
これも実家の庭にありました。なつかしい。

シャクヤクは、本当に季節限定の花で、
一瞬でいなくなる花なので、毎年この季節にはそわそわします。

Voice (キングシリーズ)

西村 しのぶ / 小池書院



華やかな大輪の花なのに、青々しさを残す
シャクヤクをモチーフにした短編が入っている作品集。
花の季節になると、毎年思い出す作品。

たとえば西村さんの作品に頻出する
不倫・浮気・複数同時進行形エピソードに、
まるっとは、共感しません。

ただ
『ほおー。そういう考え方もあるのね』
と感心します。
そして、自分はそれをどう思うのか、とか、
アリな部分はどこなのか、
どのへんがどう違和感なのか、とか、
そんなことを考えるわけです。それがたのしいのです。

ちょっと江國さんの読み方に似てるかな。
その意味では最近の江國さんの作品が
どんどんどんどん
『人外』
な方面に行っているようなのが、たのしくも怖ろしい気がします。
マジカルですらある。魔境を冒険させていただくわけです。
どこまで私、楽しめるのかな、どうやって帰ってくるのかな、なんて。

近くの本屋さんで母の日フェア。『さまざまな母』フェア。
いやこれ違うでしょ、と一瞬思うラインナップ。ぎょっとする。

母のはなし (集英社文庫)

群 ようこ / 集英社



放蕩記 (集英社文庫)

村山由佳 / 集英社



本を読む女 (集英社文庫)

林 真理子 / 集英社



「お母さんありがとう」
路線ではないよね…どちらかと言うと、ど、毒になる系よりですよね…と、
一瞬思うものの、それはそれでリアルと言うか、
本屋さんと本屋さんで本を買う客層との信頼関係に
基づいているものなのかな、なんて思う。だといいな、とも思う。
ガチ勢の毒親系の本ではないわけだし。
(この中で林さんのは読んでないので、違っていたらすみません)

綺麗綺麗でまとめて神話になるよりはいいのかな。
(言い切る自信はまだないけれど)

Eccentrics 1 (ぶーけコミックスワイド版)

吉野 朔実 / 集英社



母と娘の物語。感謝と追悼を込めて。

病院の待ち時間を使ってようやくこちらを読了。すっきりしたー。

真田四代と信繁 (平凡社新書)

丸島和洋 / 平凡社



作者は『真田丸』歴史考証担当の学者さん。この手の本を読むほどには、はまっています。
土曜の夕方にはたのしみすぎてそわそわするほどに!!

町田さんの本がラッシュでとても大変。

人生パンク道場

町田 康 / KADOKAWA/角川書店



はずしとまとめのバランスが心地いい。

忙しいときにはこういうものをサクサク読んで気分を変えよう、
という意図で選んだ本。

短編工場 (集英社文庫)

集英社



・・・でしたが、読む人間のその都度の状態と
作品ごとのテンションの差にやや戸惑っております。
(ので、実はあんまり読みすすめることができません(しょぼん))

こちらは一気読み。たのしかった!!

ロマンティックあげない

松田 青子 / 新潮社



岩舘真理子のワンピース・・・・・・・!! 
私が着るとあっぱっぱにしかならないワンピース!!!
あと(自分より)若い世代のジェンダー感覚に興味津々。

これから読む予定なのはこちら。

千年の祈り (新潮クレスト・ブックス)

イーユン リー / 新潮社



読んでみたいなあと思っているのはこちら。

結婚式のメンバー (新潮文庫)

カーソン マッカラーズ / 新潮社



さてどうなりますことやら。
(連休中に思ったほど映画を観られなかったのです)
(でもそれはそれで不足ではなく充実の結果なので良し)

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おおむねこの方とのんびり過ごした連休でした。よか。いっちゃんよか。
最愛。ベリーベストホリデイズ。
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by chico_book | 2016-05-06 00:59 | | Comments(2)

ポーラスターは揺るがない

帰宅途中にネットのニュースで知って呆然としました。

漫画家・吉野朔実さん死去 『少年は荒野をめざす』など
(リンク先はエキサイトニュースです)

美しくも硬質な世界を、やわらかさと繊細さを込めて
描きだしてくれた作家さん。
大好きでした。ほんとうに本当に大好きでした。

『ぶ~け』掲載の毎回趣向の違う短編連載、その統一タイトルが『いたいけな瞳』。

いたいけな瞳〔文庫〕(2) (小学館文庫)

吉野朔実 / 小学館



こちらに収録された
『月の桂』
を読んだときに、わなわな震えたのを覚えています。
そのころまでは(学生と言うこともあり)
書籍の『所有』にたじろぎがあったのですが
(いまの私からは信じられませんがほんとなの)
諦めた瞬間でもあります。
これは必要だ。この本は私の人生に必要だ。

高校生作家として華々しくデビューするものの、
二作目の壁に苦労している大学生作家・仲原(主人公)。
(仲原から見て)
たいへん素晴らしい小説を書く友人・清滝は、
失恋の痛手から、大学も東京での生活も、
すべてを放り出して山奥に隠棲します。

『小説家になる気はないのか
電話とFAXがあればどこででも出来る仕事だ』

『ひとに見せるために書いたんじゃないんだ
仕事にするのはつらい
あれこれ人に言われるのも辛いよ』

『俺には見せたくせに』

『あれは
魔がさしたんだ』

才能と愛憎のせめぎあいと言う、
よくあるテーマのひとつではあるのですが、

それを短いページ数に効率よく入れこんで
畳みかけてくるひりつく心地よさ。

以下作中に登場する清滝の書いた
ただ一作の小説としてあげられたのが以下の文章です。
すばらしい。


その年呼ばれたのは中国人の画家だった
屋敷中の襖絵をひと冬かかって描き換えるのだ。
たとえば南向きの『夏』と呼ばれるその部屋の襖には
藍色の波が
延々と延々と描かれた。

金箔の月が描かれた時
「夏」の海は夜になり

それで波しぶきの粒は
そのひとつひとつを
真珠にしようということになった



「俺は雪国を知らなかった」
「こんなにも美しい夏の夜を
見たことがなかった」


これだけで仲原のいかんともしがたいほどの焦燥感、
切望と(それを得られないことによる)絶望が
充分に伝わります。

そんなこんな、あらゆる物語を
このうつくしい絵で存分に描き出してくれるのだから。
毎号毎号なんとまあ贅沢なおたのしみだったことか!!

よしながさんが対談集で

「吉野朔実さんの描くような、うつくしいけれど
成熟拒否の生硬な少女と言うものが理解できなかった
だって世の中も成熟もそんなに怖ろしいものではないから」

と言う意味のことを語っていらして、
これはこれで、大変大変興味深いのです。

『少年は荒野を目指す』

『ジュリエットの卵』
など、生傷そのものの痛さ、
踏み外してしまいそうな危うさ美しさを描く作品から

『僕だけが知ってる』
のように、いろいろな要素を寄せ木細工のように
バランスよく配置した作品まで、その変遷も含めて大好きな作家さん。
(『PERIOD』には今一つのりきれなかったのが残念)

『瞳子』
に描かれる自分と家族と、恋と友情のバランスとアンバランス。
人生の歩きにくさをいとおしく感じさせてくれる作品。

瞳子(とうこ) (ビッグコミックス)

吉野朔実 / 小学館



吉野さんは非常に主観のつよい作家さんだと思います。
その世界観に身を投じることができるか否か、
で、評価が分かれる様な気がします。
そんな作家が存分に力量を発揮できる場所のあった時代に
めぐり合わせたことを、感謝。とても感謝。

長年『本の雑誌』で書評のコミックエッセイを連載されていました。
忘れたころに届く、親しい友人からの手紙のような本が
とても好きでした。

吉野さんとは本の趣味がそんなにあう訳ではないけれど、
読んでて面白い、うれしいたのしいのは
『好きなものが一緒なこと』
ではなく
『筆者がどういうふうに対象にアプローチしているのか』
『どういう点に魅力を感じているのか』
であることを、しみじみと感じ入ることの多い連載でした。

そしてなにより
『本をたのしむこと』『本のある生活、その充実』
の極意やヒントや秘密がぎっしりみっちりつまっていました。

神様は本を読まない

吉野 朔実 / 本の雑誌社



映画に関するエッセイもたのしかったなぁ。
たくさん導いていただきました。
たくさん支えていただいた。

ハードカバー、大判の本が似合う作家さんでした。
たくさんコミック文庫も出ていて、たいそうありがたいのだけれど
ちょっとものさびしいかもしれない。

ほんとうにありがとうございました。
もっともっと、これからもずっと読みつづけたかったです。

あまりにさみしいので、
ネットが私にすすめてくれたたいへんうつくしい動画を。



慰めてくれてるのかな。オッケーグーグル(プラス)
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by chico_book | 2016-05-03 06:09 | まんが | Comments(0)

再び会うまでの遠い約束(叶わなくてもいいのかも)

前回の続きです

海岸の突き当りからもうすこし歩きたかったので、134号線へ。
適当なところから引き返してもいいし、江ノ電にアクセスしてもいいし。

ものすごくたくさんのトビが、ニンゲンのごはんを狙って上空を旋回。
ブラックカイト、本日も絶好調。



明治生まれの祖母と一緒に唄った思い出のある歌。
タイワンリスもそうだけれど、こんなにものどかに唄われていた
トンビがすっかり害獣扱いでさみしい(実際に被害は多いので難しいところ)

私はてくてく歩く、ひたすら歩く。
まわりを行きかう観光客のひとが、
実は日本語ネイティブでないことに気づいたりもする。

私もオランダやイタリアや、
あるいはアイスランドで海岸沿いをお散歩したことを思い出す。
台湾では淡水でしばらくぼおっとしましたっけ。
たのしかったなあ。

稲村ケ崎を超えると、いきなり江の島がみえる。
おお、なつかしい江の島。

自動二輪の免許取得のために自動車学校に通っていた時代、
あまりにもうまくいかなくてしょぼくれてしまったことがある。

暑い暑い7月、オクラとトウモロコシ畑のそばの
自動車学校の帰り道、電車のなかのサーフボードを抱えた
たのしげな人につられて江の島に行きました。
キラッキラの海のまぶしさに、更にへこんで足元だけを見て、
黙々と参道をぬけ、いたるところにいたねこに励まされながら、
ずんずんのぼってどんどこ降りて。
場違いなヘルメットを抱えたまま鬱屈を抱えたまま。

東京するめクラブ 地球のはぐれ方 (文春文庫)

村上 春樹 / 文藝春秋



鬱屈すると散歩するのかな、私。
そういえば『こころ』の先生もやたらに歩いていたような。

稲村ケ崎海浜公園でひと休み。
砂浜が続いていたのに、いきなり現れる岩場が大変興味深い。
そんなに広い場所ではないけれど、ひとはそれなりにいます。
混雑しているわけでもなく、さみしいほどでもなく。
寝ころんだり写真をとったり犬と遊んだり休憩したり。
私もここで休憩。
持参した焼きカレーパンを、鳶に見つからないように気にしながら食べる。

ついでに道すがら購入した新刊をさっそく読む。

大奥 13 (ジェッツコミックス)

よしながふみ / 白泉社



いよいよ幕末だー!! 
いままでの物語が練り上げられて収束してゆくさまがなんとも心地いいです。

そのあとまたしばらく砂浜を歩く。歩きたい気分でした。
もうこのままいけるところまで行こう、と、こころを決める。
綺麗な貝がらをすこしだけ拾う。
歩いているうちに、不思議と明るいお葬式のような気持になる。

父は釣りが好きでした。
田舎のおじさんのささやかな趣味で、
船を出したりしかけに凝ったりという派手なものではなく、
休日の朝にさくっと早起きして防波堤で釣り糸を垂らすだけ。
あまり釣れない日の方が多かったんじゃないかな。
でもそんなことはどうでもなく、ただぼーっとする
時間をたのしんでいたように思う。
こどものころ、たまに連れてゆかれると、
ただ二時間も防波堤でぼぉっとするなんて
絶対無理無理、拷問ですか、と言う気持ちでしたが
いまになるとよくわかります。これは贅沢だわ。

こういう、人生の小さな謎に解がさらっと見つかるのは
いいことだなあと思う。
そして自分はもう、答えあわせのターンに
入っているのだなあとも、思う。
もちろんそれだけではなく、
日々積み重なる新しい謎や疑問も、
数えきれずあるのだけれど。
みつかることも多い、すごく多い。

きっと人生のなかでも、いい時期なんだなあと思う。
もっともワタクシはいつでもそう思っているような(のんきな)
ところがあるのであまりあてにならないのですが。

ターミナルにそれなりのリアリティもあるけれど、
まだそれほどの切実ではなく、
見える範囲できる範囲がクリアに把握できるように
すこしずつ変化してきていて、なおかつそれが実感できている。

風を切るフリスビー、全力でそれを追う犬、
私は何を追いかけるのか、と思う。思いながら砂を踏みしめる。
さくさく歩く。時折自分の来た方向をふりかえってみる。

鎌倉駅はすごく遠くに見える。
ああもうこんなに来たんだ、と思う。
葉山を見て、あの場所にも行ったよね、と思う。
たのしかった、と反芻する。
そして江ノ島を目指してずんずん歩く。

わたしはいま、大小さまざまな鬱屈を確かに抱えていて
それはそこにあるままなのだけれど。
なんだか何かを象徴するような散歩をしたいちにちでした。
もしかして、なにかを葬ったのかもしれない。
空、海、風、光、にぎわうひとたちの声が切れ切れに届く。
明るいお弔い。わるくない。

私は自身に関しては葬送のイベントは基本的に不要だと
考えているのですが
(きわめてパーソナルな領域に対しての話なので、
そうでないひとに対してはきちんと、
できる範囲で対応するつもりです)
ときどき
「そういうイベントがないと、
残された人間のこころの区切りがつかないんだよ」
という意見を耳にします。
たしかにコミュニティのつながりが強いひとだと、
そういうこともあるかしらね、と思ったりしていました。

以前見送ったモルモットは、お見送りの場所に行くのに
何故か迷子になりました。
はじめての場所ではないのに、なぜか道に迷ってしまった。
あれはきっと、名残を惜しんでくれていたのだと今でも思う。

たぶん私は知らずに自分の中のなにかを葬っていた。
そしてそれが自然で明るいことなのだと思える一日でした。
意図しないまま自分にそういうイベントを用意していたのかもしれない。
そのために9キロ近く延々と歩いたのかもしれない。

望みはまるで聞き届けられなかったが
願いはすべて叶えられていた

とはこういうことなのかもしれない。

うっかりすっかり日焼けしてしまったけれど
(いい年して毎年連休の時にはうっかりしている気が)
きっとそこまで含めて、ある種の必要な手続きだったのかもしれない。

鎌倉高校の前あたりの海岸で、誰かが砂浜に書いた
『桜木花道』
という文字をながめる。
(『SLAM DUNK』読んでおりません)
ちびっこのつくった砂のお山が少しずつ崩れてゆくことと、
無数のオトナや子供やわんこのあしあとを見て、
私はひとりでさくさくと歩く。
腰越で、砂浜から道路にあがれば、もうすぐに江ノ島。

むかし大勢出来た思い出のある江ノ島の東浜で腰を下ろす。
若いカップルちゃんのたのしげな様子。
走り回るわんこ、肩車のお父さん、自撮りに余念のない女子たち。
オウケイ、オウケイ、大丈夫。じぶんに対してそう思う。
無理せず歩いてここまで来たね。

たっぷり海を満喫して、帰りははじめて乗る湘南モノレールで大船へ。
見慣れない乗り物で、空を飛んで帰りってみたかった。
いとおしくも愛情深い猫のいる場所へ。



狙ったわけではないけれど、こちらを引用するくらいには
ミーハーです。
(ありがたくお借りします)
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by chico_book | 2016-05-01 05:33 | 日々 | Comments(0)

春と4月を見送る


春というものを、私はざっくりとこんなふうにとらえています。

たとえばタンポポやクロッカスのような、
はじめに光そのもののような黄色い花が星のように咲く。

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それからそれらすべてを寿いで、
高らかに歌い上げる(桜のような)木の花が開いて、

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光の力が強くなると、生命すべてが内側から発光するような、
力強く透明で美しい、みどりの季節になる。
当たり前のように存在する発光する生命。
そのうつくしさを「新緑」と言う言葉ひとつで
言い尽くすのはこわいような傲慢なような。

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そしていまはジャスミン、モッコウバラ、クレマチス、
たくさんの花が咲く季節。
百花繚乱なのにどこかすがすがしい。

そんな季節、病院と病院と病院の予約をこなした土曜日。
ふと思い立って電車に乗りました。
葉山散歩の心地よさが忘れられず、ほとんど思いつきで。

横須賀線は、横浜駅から(いつもとは明らかに違う)混雑具合。
さすが鎌倉、一大観光地に連休というくみあわせ。
みんなさりげなく大荷物。みんななんとなく気合いと力が入っている。
私もそうなのかしら、と思いながら車窓をながめる。

果たして鎌倉駅は大混雑。階段も使用制限がかかるほど。
今回はなんとなく葉山ではなく、鎌倉で電車を降りる。
江ノ電乗車は20分待ちとのアナウンスが響きわたる。ひゃあ大変。
激混みの小町通り、鶴岡八幡宮方面を避けて、若宮大路を海へ向かう。

葉山のひなびた海岸は本当に気持ちがよかったけれど、
果たして鎌倉はどうなのかしら、と言う
偵察気分のお散歩モード。

学生の時に『中世日本文学講義』で『平家物語』に、
夢中になった時期があります。
15時間オーバーの『キングオブ夜行バス』・はかた号で
都内の大学に通っていた高校時代の友人の家に
泊まりに来た春休み。

『どこか行きたいところある? 』
と問われて
『鎌倉! 』
と言う、いまにして思うとやや微妙な回答。
(上野近くの彼女の住まいからは遠いし、
しかも行きたい場所が観光地でもなんでもない
義経の腰越状にちなんだ『腰越』とか
文覚上人が開祖である『補陀落寺』とかなのでした)
む、無理じゃないけどさ。

なかなかつかないなあ鎌倉、と思いながら
長々と電車に揺られていたこと、
最初は(何となく)標準語を意識しておしゃべりしていたのに、
どんどん九州弁ネイティブ全開になっていったこと、
そしてとにかくおしゃべりがたのしくて長い時間も
気にならなかったことを覚えています。

彼女とはいまは連絡は途絶えてしまって、
そのとき話した内容も覚えていないけれど、
ただたのしかった思いだけが、私のなかにはあります。
そしてそれだけで充分なのかな、と思う。
そんなありがたくうれしいことはないのかな、と思う。

まぶしい海へ向かって、ひろびろとした歩道を
そんなことを思いながらゆっくりと歩く。
こういうふうに思考がゆるゆると拡散するのが、
それをなすがままに見送るのが、散歩の何よりのたのしみ。
なんというか、思考のストレッチ、のような。
筋肉に例えると、ふだん使っていない部分にまで
血液が巡る、ような、そんなかんじ。

明るい海、明るい空、たくさんの人が思い思いに楽しんでいる。
材木座海岸と由比ガ浜。
静御前の嬰児が捨てられた場所だよね、とか、
『こころ』の掛茶屋ってこのへんだっけ、
などということをほてほて思いながら歩く。黙々と歩く。
たのしい。

葉山海岸よりは人も多いけれど、広いので気にならない。
波も大きいし、音も大きいし、ひっきりなしに寄せてくる。
(これはお天気に寄るのかもしれない。風の強い日でした)
カラフルなウインドサーフィン(でいいのかな)の帆が
行ったり来たりしている。

ビーチにごみがほとんどないことに、真面目に感服する。
FM横浜でしょっちゅう『ビーチクリーン』を呼び掛けているし、
その効果が出ているということなのね。素晴らしい。

(続きます)



ねこ成分多め。
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by chico_book | 2016-05-01 05:18 | 日々 | Comments(0)


ねことか本とかまんがとか、と言いつつ映画にじわじわ圧される幸福


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