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遠い日の花火のうつくしさ

漫画家さんで、エッセイと、ストーリーものと、
両方の達人と言う方はめずらしい気がします。
(吉野朔実さんはその稀有な例かもしれません)
本や映画のレビューと言うテーマ以外の、
周囲のひとの描き方について特にそう思えます。

巻末おまけのような短いものと違い、あるていどのボリュームになる
作品は難易度があがるようです。
舌足らずになったり、過剰になったり、距離感がむつかしかったり。
あるいはエッセイの名手のかたの、創作がなんだかピリッとしなかったり
もどかしかったり。でもこれはまんがに限らないかな。

たとえば山下さんのこの作品は大変面白いのですが

数寄です! 1

山下 和美 / 集英社



『数寄屋造りの家を建てる』
と言うテーマのつよさありき、のように思います。
たぶん気遣いの方なのではないか、
ご家族やご友人についての描写に配慮あるいは
苦慮が感じられるようで、このあたりのバランスはなかなかむつかしい。

かわかみじゅんこさんは両分野に置いて、
間違いなく第一級のかたです。
どちらにおいても、独特のするっと引いた、乾いた風合い。
熱意はあるけれど湿度のないところ。
じぶんのラインを明確に持っているところ。大好きな作家さんです。

日曜日はマルシェでボンボン 3

かわかみ じゅんこ / 集英社



世界は甘くてやるせなく、ときにシビアで絶望に充ちていて総じてやさしい。
そのバランスの妙。ほんとに『絶妙』としか言えない。職人の技です。

『パリパリ伝説 9』

パリパリ伝説 9 (フィールコミックス)

かわかみ じゅんこ / 祥伝社



パリパリ伝説の新刊を迷わず購入。
ストーリーものの連載をはじめたので、こちらが不定期になり
ページ数が短い回もあるとのこと。少し残念に思いましたが、安定の面白さ。
フランス生活10年を超え(赤子ちゃんも10才に!! )
パリ市内から郊外へと引越しをしたかわかみさん。

村での生活の様子、生き生きと描かれるフランスの人々、
パートナーであるフィリップさんゆかりのかたとの交流も、
生活の地味な楽しさも豊かさも迷いも不満も、丁寧に淡々と描かれます。

いつもどおりのパリパリ。
もしかしてかわかみさんってねこっぽいのかもしれない。
この場合の「ねこっぽい」とは、
『悪いことを忘れないけれど恨まない。
常に事象に対して一定の距離を持ち淡々と充実した日々を生きている』
と言う意味合いですが。

購入するまんがのタイトルを増やさないように日々心がけているので、
しばらく悩みました。かわかみさんの新作新刊。

『中学聖日記』

中学聖日記 1 (フィールコミックス)

かわかみ じゅんこ / 祥伝社



以下アマゾンさんの紹介文。

中学生男子×担任女教師

「ぼくのこと嫌いにならないでください」

黒岩晶、14歳。
〝恋心〟を未だ知らずの中学3年生。
ここ最近、彼が目で追ってしまうのは
新担任・末永聖、25歳。
清純な雰囲気の女教師で、
遠恋中の婚約者がいるという噂。
聖へのモヤモヤが恋だと気づかずに、
ひっぱたいたり、キスを迫ったり、抱きしめたり…。
遠恋中の婚約者がいる聖は彼がアクションを起こすたびに戸惑い、
心掻き乱され、でも突き放せない。

そして夏。
聖への気持ちに自覚が芽生えた頃、
2人にとって運命の夏休みが始まるーーーー。

じれったいほどにときめく、
11歳差の純情年の差ラブストーリー。


すっかり恋とか愛とかいう気持ちと縁遠くなり、
友愛だけが大切だなあと思う、さいきんのわたし。
むしろ、
愛は消えても親切は残る、
と言う言葉がしみじみと実感できるココロの頃合いのワタクシ。
(あまり年齢で云々するべきではないのですが、どちらかと言うと
末永先生の親世代の方が近いのでむべなるかな、ということかも)
なので、こんなみずみずしいあまあましいにがくるしそうな
恋心のようなものを描いた物語にはいってゆけるのかしら、
と、不安になりながら購入。

すばらしかったです。
わたしにとって恋は既にして遠い日の花火でありますが
その美しさはいま目の前にありありと思い浮かべる頃ができる。

恋と名付けていいのかわからない感情の揺れ。とまどい。まどい。
その引き出し、開けたらあかんやつや!
わかっていても開けずにはいられない。
ふいっと指先に力を込めてしまうときの、まどい、ためらい、ふんぎり、
あらゆるこころの感触。 

遠い異国で、フランス生活で、よくこんなに鮮やかに
日本の中途半端な地方都市の、中学3年生の閉塞感や
移動手段が自転車しかないもどかしさ、
夏休みに入ったばかりの暑苦しさ、重たい湿度のある空気、
やりばのない気持ち、職員室で散らばる書類や
同級生女子の暴力的でどうしようもないコイゴコロなどなど
描けるものだなあ。心底感銘を受けました
かわかみさんのなかに、それらすべては鮮やかに
今ここにあるものとして保存されているものなのかしら。
作家さんの資質と言うものについて深々と考えてしまいました。

みずみずしく鮮やか。なんと8月に早くも第二巻が出るようです!!

中学聖日記 2 (フィールコミックス FCswing)

かわかみ じゅんこ / 祥伝社



FEEL YOUNG は、たまにこういうスマッシュヒットが出る雑誌。
(モンパト黄金世代とよびたい派)
最近は雑誌の購入はしていなかったので、嬉しい不意打ちでした。



長塚京三さんカッコよかったよな……と、懐かしさ半分の
軽い気持ちでみてみたら、
田中裕子さんのあまりの美貌にびっくり。


ところで知らないうちに完結していたこちら(5/6発売でした…トホホ)

その娘、武蔵(3)<完> (KCx)

田中 相 / 講談社



予想外に短い作品になった印象。
きりっとまとまっていることを期待していそいそと探します。いまから。

そして早くも新連載が始まっていました(既に6月のお話ですが)
第一話はこちらで読めます。面白い!!!
先の読めない設定、見たことのない世界をこんなに
クリアに目の当たりにして
ワクワクどきどきできるよろこびを存分に味わいました。

奇妙な世界の奇妙さをそのままにていねいにわかりやすく描かれる
作家さん。すごくたのしみです。
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by chico_book | 2016-07-31 11:02 | まんが | Comments(0)

妹とは言い得て妙

『いもうとは秋田犬』

いもうとは秋田犬 (LGAコミックス)

小池田マヤ / 青泉社



不思議な味わいの愛犬コミックエッセイ、なんどもなんども読みかえしています。

小池田マヤさんと言えばぎりぎりと追いつめるような激しい心理描写と
それでも最後には強くて明るい希望に満ちた作品を描く作家さんと言う印象が強いです。

あさひごはん (1)

小池田マヤ / リイド社



颯爽な家政婦さん (ジュールコミックス)

小池田 マヤ / 双葉社



生活や料理といった要素が、ときにていねいに、あるいは激しく、
一貫してこまかく丁寧に描写されて、読んでいてなんともたのしくなるのですが、
それが完全にストーリーと一体になっているあたりがとても魅力。
そして、生活とは、人生とはそういうものだという力強さ。

そんな作家さんのはじめてのコミックエッセイ。しかもペットもの。
期待していいよね? いいよね?? と、おそるおそる。

ずっとインコと暮らしていた小池田さん。
インコに何の不満も不足もなかったのに、あるとき不意に
「もうすこし手ごたえのあるいきものと一緒に暮らしたい」
と思うようになります。
(具体的なきっかけは、作中で説明されています)

それでも
40代・都会のマンションでのひとり暮らし・生活の不規則な職業(漫画家)・
わんこ初心者と、ハードルらしいものはあります。たくさん。
それらにひとつずつ向きあって、真摯に答えを出す小池田さん。

自分はどういうふうに、いきものと暮らしたいのか。

たとえば子犬は、たしかにかわいいけれど、
きちんとしつけをきちんとすることができるかしら、とか、
お友達のうちで出会ったパピヨンの小ささに不安を感じてみたり。

そんな中で犬先輩でもある友人(昔なじみにはうれしいジャーマネうかいタン!!)の
勧めもあって、保護犬を選択肢に入れます。
そして、ネットの保護犬サイトで出会うのが、
秋田犬(にしては小柄な『25キロ』)の南ちゃん。
九州の保健所からはるばるやってきた、南から来た南ちゃん。

多くの保護団体と同じく、条件面でお迎えするハードルはなかなか高いのですが、
愛情と情熱、そして熱心さと努力で、ここでもひとつずつ問題をクリアしてゆく小池田さん。
じっくり読む味わいのある本です。

うちの子かわいい♪ ネタもたっぷりあるのに、それだけではない。
保健所から引き出された、つまり一度は瀬戸際にいた南ちゃんのことを
描写するのに、過剰なせつなさはない。

淡々と、でも静かにふつふつと湧く愛情、静かにみちるよろこび。
とてもよくわかります。
ただ静かに、そして本当に毎日染み出すような
枯れない泉のような喜びに充ちているということ。

モルモットをかわいがっていたワタクシ、モルに何の不満も不足もなかった。
でもねこはまるで違う、いまでもモルは大好き。

モルたちの、人間とまるで違う時空を生きている孤高の感じ。
寿命の短い動物特有の、悟りきったような気高さ、
遠さ、彼らの持っている達観のようなもの。

でもねこはそうではない。まるでちがう。
同じ地平にいて、それでも違う次元に生きている。
でもなんと、ひとのこころのすみずみにまでぴたりと隙間なく寄り添うことか。

モルと猫の共存は、あまり現実的ではないのですが、
いまでもできることならどちらとも一緒にいたい。

このあたり、
インコと秋田犬と一緒に暮らす小池田さんの気持ちに通じるのかしら、
なんて想像しつつ。

ちなみに作者が「猫でなく犬」を選んだ理由に、ねこ好きとしては爆笑。
『猫とは距離感がわからなくて』
!!! たしかに!!
小池田先生の描く男性キャラって確かに大型犬ぽい!! 
マフマフわんこっぽい!! ぽいぽい!!

聖☆高校生(11) (ヤングキングコミックス)

小池田マヤ / 少年画報社



…すぎなレボリューション (8) (ワイドKCキス)

小池田 マヤ / 講談社



このあたりが顕著かな。

作中には、たくさんの保護犬さんが登場します。
その多くは、は家族を見つけて自分のおうちで
しあわせにくらしているわんこさんたち。

なにかと苛酷な話の多い保護犬界隈ですが、
爆発するような大輪のものでなくても、しずかにいっしょにいる喜びを
かみしめることの字義どおりの有難さ困難さ尊さ、
そして何よりうれしさを伝えてくれる作品です。
興味のあるかたはぜひぜひ☆

表情豊かに描かれる南ちゃん。
それを読み取り、絵に描く小池田さんのヨロコビが
伝わってくるような作品です。そうだね、それこそが愛だ。

ワタシも、描写してもしてもしきれないほど
ちこは素晴らしく美しくかわいく賢い、って確信しているもの!(断言)

続刊がいまからたのしみです。とてもたのしみ。
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by chico_book | 2016-07-26 01:34 | まんが | Comments(0)

夏が開幕した休日の話をすこしだけ

思い出と言うほど美しいものではないけれど、
昨日、機内のことやしまちゃんのことを書いてみたら
なんだか嬉しくなったので、自分がいつか読みかえすかも、
と言う気持ちでメモ。。

旅行ではなく、あくまで所用だったので
大変慌ただしかったのですがすこしだけ。

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「この水なんに使うの? (蚊が発生しそうだから捨ててもいい?)」
(ジカ熱とかデング熱とか、なにかと話題なので)

と訊ねたところ、めっちゃ怒られました。

断水の時に水やりに使うのよ! 
いまのひとは物のありがたみがうにゃうにゃうにゃ(エンドレス)


(いまのひとって……だ、誰? わたし??)
いやなんだかすみません。

それにしても、この大きさの味噌樽が家にあるのに驚く。
味噌を自作していたのでしょうか。
メーカーのロゴ入りですが、容器をもらったりしたのかな?
謎は謎のまま。

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雨どいと羊歯がかわいらしい。ひとが住んでいないのかも。
(羊の歯ってほんとにこんなかんじなのかな)

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山門の杉の木と夏空。当地で梅雨明け宣言が出た日(関東はまだ)

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強い光と水と植物。実はお寺の水汲み場。

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墓地の土塀の前。古いお寺で、ギリギリ持ちこたえているような風情の壁。

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海と空の色が、なんだか違う気がしている。それにしても遠浅ですねえ。

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夜の羽田空港。ただいま、という気分にやはりなります。
今回は房総半島からまっすぐの飛行ルート。
アクアラインの光が点々と海のなか続き、海ほたるの光で不意に途絶える。
大好き。
湾岸をなぞってお台場方面からも、首都高湾岸線からスカイツリー、
有明、お台場、遠くに東京タワーと、大変盛り上がりますが。
(結局なんでも好き)

自分へのおみやげの記録。

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なす一袋100円、ピーマン一袋100円。
ピカピカのお野菜を産直持ち帰り。袋を開けた時の香りが違うのに驚き。
トマトはつぶれそうなので断念。

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どっさりブルーベリー!! なんと郷里の畑で収穫。そうです、自家製です。
誰も食べないのです。
誰が何故(いやまあ収穫しかなさそうですが)
なんで植えたのか、まったくわからないそう。

(思い付きで苗を購入したものの、ブルーベリーが何なのか
わかっていなかったと推定)
(そしていざ食べてみると、そんなに好きでなかった模様)

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私がひとりでせっせせっせと収穫して
「困るから持って帰れ」
とのこと。ありがたくいただきました。たくさんあるので冷凍しよう。

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大変素晴らしくいい子でお留守番したと評判のこの方。
ゆるっとほどける夏のねこ。無防備な白いおなか。

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ちなみに先ほど洗面台から「どてっ!!」とすごい音でおりました。
慌てて駆け寄ると
「わーいはやく撫でて撫でて撫でて」
と大喜び。キミほんとに素晴らしいな。

たゆとうとも沈まず

本橋 馨子 / クリーク・アンド・リバー社



この絵でこのタイトルでコメディ。
この作品に
『お前うつくしいな』
と言うセリフがあったという遠い記憶。
(私が詠んだのは白泉社花とゆめコミックスで、何巻かは不明です)

苦手な人もいるかもなので一応畳みます。
大豆を発酵させてご飯に混ぜちゃうあれのお写真。

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by chico_book | 2016-07-21 01:02 | 日々 | Comments(8)

忙中の閑と言うよりエアポケット

あたふたし続けている日々が続いていますが、無事で元気です。
この方も優雅にして雄弁。

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※シッターさんのお写真なので、いつもの私の写真よりかわいく撮れています!!

訪問先で、ねこの代替わりの報に触れる。しまちゃんありがとう
最後にわたしに会ってくれたんだね。
そして、新しい国つ神(神と書いてねこ、と読む)との出会いがあったり。
小柄なキジトラの女子でした。ほんの一瞬だけ。そのさじ加減がもう!!(めろめろ)
ちらっとこちらを見て、一瞬だけ目があって、すぐに身をひるがえす。

ちこは目が合うとミャウ。声に出さない。何度でも。
サイレントミャウ。わたしもうれしくてミャウ。
5回は確実につきあってくれる。やさしいちこ。
だいたい8回目までは固い。
目と目を合わせて、ふたりで、声を出さずに、口だけで『ミャウ』。めろめろ。
秘密のおしゃべり。親密で甘美。

仕事からの帰り道、草臥れきってとぼとぼ歩く私を
このセリフと一緒に追い越していった高校生カップルちゃん。

「なにがあっても、俺がミキ(仮名)のそばにいるからさ」

なんだこのかわいいいきものは!!

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「呼んだ? 」
※こちらもシッターさんのお写真。ありがたや。

いやあなたはかわいいしうつくしいし麗しいし!

飛行機の隣の席のかたが
『帰ってきたヒトラー』
を読んでいてギリギリ。
わーん話してみたかった!!

帰ってきたヒトラー 上 (河出文庫 ウ 7-1)

ティムール・ヴェルメシュ / 河出書房新社



しかも途中で下巻にチェンジですよ! ちらっとでいいから上巻みせてー!


私はこれを読んでおりました。図書館本。

飼い喰い――三匹の豚とわたし

内澤 旬子 / 岩波書店



(あまり乗り物のなかで読むのには向かなかった…)

ばたばたした日程なので、小説にじっくり向き合えそうにないので
こちらにしたのですが、ううむ。いやさくっと読めました。
早く落ちついてこれとこれを読みたい気持ちが強いせいで
そわそわしてしまったかな。

大きな鳥にさらわれないよう

川上 弘美 / 講談社



忘れられた巨人

カズオ イシグロ / 早川書房



さもしい読書欲。欲だけが勝っていていろいろ追いついていない。

天使は本棚に住んでいる (吉野朔実劇場8)

吉野 朔実 / 本の雑誌社



もったいなくてゆっくりひとつずつ読む、
つもりだったけど、読みはじめるとかえってそんな特別な行為が
彼女の不在を強調するように思えて、いつもどおりに読む。
やさしい青がうつくしい装丁。天上の青。この色と同じでしょうか。

Eccentrics 1 (ぶーけコミックスワイド版)

吉野 朔実 / 集英社



吉野さんの愛犬、『こおり』も少し前に旅立っていたことを知る。
安心なようなさみしいような。
(そして、愛犬の名前の響きのうつくしさ)
吉野さんのいない世界に、いま私はいるのだなあと切々と思う。
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by chico_book | 2016-07-20 06:46 | 日々 | Comments(2)

受容と拡散ありのままを、すこしだけ俯瞰で

とてつもなく笑えるけれどまったく笑えない、背筋の凍る物語。
ヨーロッパ映画らしいブラック。

『帰ってきたヒトラー』 公式サイト



実は公開直後(6/17)に鑑賞したので、少し時間がたっています。
もう一度観たくてうずうず。
仕組みが入り組んで、ひねりがとても多いので初見は処理に追われがち。
こまかいところをていねいに拾いたいなあと思います。
(でも時間的に厳しい)
ジャック&ベティにそのうち来るそうなので、タイミングが合えば迷わずゴー、と、自分メモ。

タイムスリップして現代に登場した総統、アドルフ・ヒトラーが
企画力不足でクビになったテレビマンと
出会うところから物語は始まります。
総統を「なりきり物真似キャラ」として売り出すことで、
起死回生を図るテレビマン。さて世間の反応はいかに?

とにかく怖い。
怖がらせる怖さでなく、どこまでもコメディなのに背筋の凍る怖さ。

総統がふつうにちょっと変わったおじさんで、
もちろんいろいろツッコミどころはあるのだけれど
ちょっと笑えるところもあり、
『見るからに狂人』などではまったくないこと、

彼の強弁をあくまでもネタとして、世間が面白がって受けるところ
(あくまで真剣ではなく)

「あの時も、最初はみんな笑っていたよ
でも気づいた時にはもう引き返せなかった
どこでまちがえたのか、いまでもわからない」

市街地で市民とヒトラーが交流するシーンは、
ドキュメンタリーとして撮影されたそうです。
(なので、一部のひとは顔にぼかしがありました)

あくまで傾向として、ですが、
年配の人は戸惑いやおどろきを隠せないのに、
若い人は積極的に手をふったり、いっしょに写真を撮ったり
していたのが興味深かった。
完全にフィクショナルな存在で、
キャラとして昇華されていると言うことなのか、
あるいは
「ヒトラーを支持するような気持が過去のものではない」
という実感を持っているか否かと言うことなのか。

※ただ『原作小説がベストセラー→映画化』と言う流れだったので、
もしかしたら気づいていた人のリアクションかもしれません。

「私が大衆をだましたのではない 国民が私を選んだのだ」


という、有名すぎる言葉が重くのしかかります。
選択、判断のむつかしさ。それでも向きあわなくてはいけないこと。

大変にすぐれた作品です。
コメディとシリアス、そこに時事ネタのバランスの絶妙さ。
この作品をまったくぶれずに制作したスタッフと、
ドイツ映画界に尊敬、いや畏敬。まあ畏れてはいけないのですけれど。

日本ではこういう映画はできないのかしら?
戦争からみで、こういう作品はあるのかなあ。
実は戦争が
『異文化の無理解あるいは誤解から生じたささいな衝突からはじまって
誤解が誤解を生み、どんどん泥沼になってゆく』
様相を描く作品としては富野アニメが秀逸だと思う古い世代。

参考)まとめサイトの記事です
「伝説巨神イデオン」に秘められた真実とは?

私の群像劇好きはたぶん、このあたりのアニメが原体験。



1991年制作。
裁判員裁判が日本ではじまる(2009年)はるか以前の作品。
大好き。これと『王様のレストラン』があるので、どうしても三谷幸喜には点が甘い。
(近年は落ちついていたのですが、『真田丸』で現在大フィーバー中)

こんなふうに、リアルなんだけど情にながれないような。

コメディである必要はないけれど、シリアスになりすぎず、
だけどシビアな作品が観てみたいなあ。。

空気を読みまくって根回ししまくって情とか対面とか派閥とか
あらゆるものがスパゲッティからマーブルになって、
だれも止められずに戦争に進んでゆく様相を、
浪花節やウェットな悲劇でなく、
戦争の悲惨さを「使命感から」リアルに描くのでもなく、
人々の気持ちの流れとして描く作品があるのかしらん。

古い日本映画、実験的な作品の多かった時代の作品に
あるかもしれないので、探してみようかなと思います。

あと「まんが」ジャンルにもありそう。
探してみよう。大変そうだけどたのしみ。

とりあえず原作小説とはこまかく違うそうなので、読んでみたい。

帰ってきたヒトラー 上 (河出文庫 ウ 7-1)

ティムール・ヴェルメシュ / 河出書房新社



(でも積読があまりに多いのでちょっと迷っています。
映画の印象強いうちに読むのが吉でもあるし。悩)
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by chico_book | 2016-07-09 09:08 | 映画 | Comments(2)

しずかにココロが飛び回る日

たまりにたまった用事を片付ける。もくもくと。もりもりと。

ワンダフルライフ (ハヤカワ文庫 JA (747))

清原 なつの / 早川書房



少女漫画家で一児の母でもある主人公の山田錦さんが、
仕事に詰まった時に黙々とひたすら家中の掃除をする、
と言うエピソードがありましたが
『だからお母さんの仕事が順調でないときは、家じゅうがぴかぴかになるの』

そこまでの集中力ではないけれど。

それでも気になっていた場所の掃除や、大物の洗濯
(夏場はすぐ乾いてありがたい)、お風呂場のカビ取りなどを黙々とこなす。

なんどもなんども洗濯機をまわして、
気になっていた床や壁や幅木の汚れを拭き掃除して
ラグにていねいにコロコロをかけてねこ毛を集める。
2月の買ったラグですが、もういいかんじにぼろぼろです。
やあやあねこのいる生活って素晴らしいなあ。
これくらいのことを我慢すればいいのだもの。いいだけだもの。
(でもそろそろいぐさラグに変えようと思う)

そんなことをしていると、急ぎ足でやってきて、
大慌てで私の前に身を横たえるかわいい毛玉さん。
目をしっかり合わせて、口だけでにゃう。声に出さずにみゃう。

丁寧にブラッシング。ごめんね最近ケアが足りませんでしたね。
しっぽのうごきがはやくなるのを、
きもちいいね、と、もういい! の境を
慎重に見極めながらブラッシングしてあごをなでなで。

療法食についてメモ。

・ドクターズダイエット ハイシニアエイド

最初はよく食べるので安心したけれど、すっかり飽きた模様。
国産なのでこちらにしたいのだけれど、1.5キロの大袋なので、
湿気とか酸化とか風味の劣化とかが心配。
まあ、いつの間にか食べてはいるんですけどね。

まだ残っていた普通食に、リン吸収サプリメントを
まぶしたものをブレンドしてみる。

さてそこに、本日届いたのがこちら

・サイエンスヒルズk/d。カリカリとパウチ。

カリカリですが、めずらしさも手伝ってかよく食べます。
よかったよかった。ちなみに原産国はチェコ。
割高ではあるけれど、500gの袋をまめに買った方がいいのかもしれない。

水分を少しでも多くとってほしいから、ということで、パウチもあげました。
夏場のウエットはさすがにいろいろ不安なので、速やかに片付けます。

そして本日、念願の『猫のトイレ丸洗い』に挑む。

わたしの帰宅が遅い日など、トイレ掃除をするなりいそいそと
使いはじめるちこをみて、これはいけない、トイレ我慢して病気になったら大変だわ、と、
2個目として『まったく同じトイレ』を並べて置いてみるも

一 度 た り と も 使 用 し な い

と言う、敗北感まで含めてのねこあるあるに
打ちひしがれておりましたが

なんと

置き場所を変えたらすんなり使った 

と言うあっけにとられるような事実。

ううむ。こういう謎のこだわりがかわいいんですよね、ねこ。

と言う訳で安心して丸洗い。ベランダに出して日光消毒。
ありがたい季節です(さすがに写真は自粛)

ちこの年齢詐称(笑)にやや怖気づいているワタクシ、
今年は積極的にお留守番エアコン稼働を心掛けるつもりです。
空き巣対策にもなるしね!
去年、新しいエアコンを買っていてよかった(主に電気代の面で)

とは言え、いまもわざわざクローゼットのなかに入り込んでいる。
(掃除の際に、風を通そうと開け放したら出てこなくなっちゃった)
さむいのかな。難しいな。
28℃除湿にして、寒くなっても避難できる場所(エアコンの届かない寝室)が
あるのだから、大丈夫ではないかしら。
とは言え、広くはないので部屋全体がほんのりひんやりします。
なんとも加減が悩ましいところ。

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古いPCに残っていたデータ。6年前の姫。

土曜日、すこし離れた街を歩く。
畑が広がり、ぽつんぽつんと無人の野菜販売所がある風景。
畑とロードサイドのファミレスや回転ずしにはさまれた道を、
車がぶんぶんとおりすぎてゆく。私をどんどん追い越して。

ささやかな日よけの下、なんだか百葉箱を思わせるような静けさ、
息苦しそうにたっぷりと汗をかいている
きゅうり、トウモロコシ、オクラ、トマト、ナスが並んでいる。夏野菜オールスター。
あとズッキーニがあればドリームチームかな。
暑さの中若々しさをビニール袋に封じられて、なんだかとても不満そう。

お買い物バックは図書館の本がすでに入っている。重。
炎天下に抱えて歩く体力とか、トマトつぶれそうだわ、とか、
このあとの予定とか、しばし悩んできゅうりだけを選ぶ。
5本で100円。どっさり。
薄切りや荒おろしっぽくして、塩でもんでたっぷり食べるのが
好きなので、大変ありがたい。

夏場のおみそ汁の具で、一番好きなのはなす。短冊切り。
母は、輪切りにしていたので、家を出るまでなすの味噌汁が
好きな自分を知らなかった。
冬場は大根の千六本。たまねぎとわかめは、オールタイムベスト。



そういえば大泉洋さんでした。
でもくろねこの名前がネグロだったとはまったく記憶になかった。
もう13年前の作品とは。

そのうち、スペインにいっしょに行こうね、と、友人と軽々と交わした約束を思う。

そのときは、お互いのタイミングがちょっと合わなかったので、
ごくごく軽はずみに先延ばしにした。それだけのこと。
お互いの状況はいまも「そのうち」ではないし、
世情はさらにそれどころではないのだけれど、
それでも、そういう約束があるのはありがたいことだと思う。
あてなんてまるでなくても。そして、必ず叶う気がしている。

きょうだいを亡くした高齢のひとが、
「はやかったね」
とつぶやいた、そんな報道をみた父が
「そんなかんじなんだなあ」
と、ぽつりとつぶやいたことを思いだす。
高校生だった私は
「おとなって、そんなことが気になるんだね」
なんてぼんやり思っていた。

そのひとの年に近づいていたころの父のこと、
(同じ年齢にはなれなかった)
そうつぶやいたころの父の年齢に、私が近づいていること。
とは言え、私は遅くにできた子供だったので、
それはまだずいぶんさきのことだけれど。

20年前には、いまの年齢のじぶんなんて
まったく考えられなかった。
そんなことを思いながら、それでは20年後も
あっという間なんだろうなあ、などと思う。

模様替えをしようかしら、したいなあ、とか、
本棚の整理をまたそろそろしなくちゃな、とか、
どこに行こうかなあとか、どうしようかなあとか、
たくさんのことを考える。大なり小なり、ないまぜに。
やはり私はマーブルが好きなのかもしれない。
ふだん忙しさにまぎれてまぎらわしているたくさんのこと。

あかぼし俳句帖 3 (ビッグコミックス)

有間 しのぶ / 小学館



『ふだん、棚上げしてる感情や思考がだだ漏れだ
いいんだ。結論なんか出なくても。
久しぶりに自分と一緒にいる気分』

とは、休日にお散歩していたヒロイン・スイさんのモノローグ。

忙しくして、溺れすぎないようにするのも大事だけれど
無視してもいけない。なにより自分自身からは、逃げ切れるものではないので。

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やっぱり古い写真。まだ首輪になじんでないころかも。
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by chico_book | 2016-07-03 23:49 | 日々 | Comments(4)


ねことか本とかまんがとか、と言いつつ映画にじわじわ圧される幸福


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