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たのしさと人生の強度について

土曜日に大変たのしい集まりがありました。

不思議なご縁でおしりあいになった方々と
ゆっくりみっちりすっきりおしゃべり。

興味深くもたのしくも、
そして力づよくも思える時間でした。
ありがとうございます。
よい時間を過ごした経験のひとつひとつが
わたしをまもる鎧になるのだと、いまさらながら思います。


そんな皆さんに最近の『かわいい』をそっとご紹介。
もちろんメインは自分メモですが。



モーメント、というのがよくわかっていないので
(すみません)
このご紹介が不適切だったら修正します。

ご友人を励ますために描いてみたらすごく話題になって
開始一週間で単行本化決定 だそうです。

ワタクシは未読ですがもともとキャリアのある漫画家さんで
ご自身の従来のものとくらべると、かなり毛色の違う作品だとのこと。

ともかく
こぐまの店長が、かわいいのです。
愛らしくていつも笑顔で、
絶品のケーキを作る(そしてソフトクリームは苦手)凄腕さん。
しかし爪や歯がなんともけものらしいしっかりした鋭さ、
毛皮もふわふわというよりはゴワゴワしていそうで、
そのバランスが私にはなんともたのしいのです。
がおー。

ただかわいいだけでないところが。
たとえば鋭い爪と牙を持つのに、
甘え倒してくる、いとおしいにゃんをどこか連想してしまう。

こぐま店長のせりふの、独特の改行については
まだ意図が把握できていません。
たどたどしさの演出とか、
あるいはこちらの読むリズムを
コントロールしているのかしらとか、
なんとなく思っていますが。

ともあれ、ゆっくりたのしく読んでいます。


もうひとつこちらも。




ささやかな事柄がささやかなほど
幸せの深度が深まる気がする。

わたしの猫と生きるわたしのよろこびを、
ねこといきるたくさんのひとと同じくする
不思議とありがたさと幸運、の、ようなもの。
人生の強度にむすびつくそのもの、のようなもの。



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by chico_book | 2017-11-27 01:05 | 日々 | Comments(8)

マーブルとはうつくしくも不穏なもの

すこし前に
「子供のいないニンゲンはだいたい35歳で精神年齢が止まっている」
というシロさん@なに食べ発言を話題にしましたが


きのう何食べた?(13) (モーニング KC)

よしなが ふみ/講談社

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子どもがいるとわかりやすい目安がひとつ増えるけれど
(現代においては)
そんなに大差ないのではないか、という結論に至ってスッキリ。
ということは結構こだわっていたのかしら、なんて。

そんなことを思うのは
『二人の恋人の間で揺れる女性の心理』
を描いたこの作品にどはまりしてしまったからであります。




登場人物の設定年齢は29歳なので、わたくしとはほぼほぼ20歳違う訳です。
もちろん結婚ということも大きなトピックとして登場する。

その界隈から引退した……と断言しすぎるのもあんまりなので
ほぼ引退したという表現にしますが(なんにもかわらない)
ワタクシのココロをめっちゃめっちゃにゆすぶった作品。

作者の近藤聡乃さんのことはこちらで拝見していました。




NY在住の近藤さんのコミックエッセイです。とても静かで端整な読み物。
超絶おすすめです。

さて、創作を(上記以外の作品を)拝見するのはこれがはじめて。
というわけでおためし買いで1・2巻を購入。
翌日あわてて本屋さんに駆けつけることになりました。

あたたかさとシニカルと、親身になりすぎない冷淡さと
それでも残るいたわりが見事にマーブルになって描かれる作品。

主人公の迷いが、そこ迷っちゃダメなところだよ、
とか、でも選べないよね、わかるわかるとか、
それでもとっととさきにすすもう、すすまなくちゃ、とか
こちらもマーブルな気分になっちゃってしまう。
ひしひし伝わってくる。

それがわたしの年代にも届くということは

題材はたまさか恋愛で恋人選びだけど、
人生の逡巡という意味で普遍性があるもの
(年をとるほど選択の度合いが重くなってゆく部分もあるし)
だからか

単純に私が年甲斐もない人間だからか

なんて考えてしまいますが、いいの私にとって面白ければ。
さらさら流れるように描かれる
ああまさに日々とはこのように
ポイントオブノーリターンを知らずに超えてゆくものなのだなあ、
なんて思います。

逆に当事者世代だともっと
自分の身に引き寄せてしまったかもしれません。
とにかくむちゃくちゃオススメ。しびれます。

そして主人公の恋人ふたりの設定がまた秀逸。

完璧な人当たりの良さがどこか狂気を感じさせる日本人の元カレ
A太郎と(そんなA太郎のことを突き放したいのだけど突き放しきれない)

口が悪くて人好きのされないインテリ眼鏡、アメリカ人のA君が
(プロポーズの返事を保留にしていて、そちらに身を預けきれない)

それぞれに地味で目立たない主人公A子さんに強烈に魅かれていて
『どうしても彼女じゃないと駄目だ』
という理由が切実に伝わってきます。ううむ。凄腕だ。

そしてなんといってもNY在住・職業翻訳家の
A君の部屋が……部屋が…………

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もうかっこよすぎて倒れそうになりましたよ!!
やりすぎかも! でもいい!! 最高にいい!!
わたしこの部屋にする!! ほとんど洋書で読めなさそうだけど!
(A君日本語も大丈夫です)

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本の貸し借りをきっかけにふたりの仲が深まってゆく
エピソードがまた素晴らしい。うっとりします。




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by chico_book | 2017-10-20 00:20 | まんが | Comments(4)

しずかで明るい秋の海で、声たてて笑っちゃった


(私にしては)めずらしく羽生さんの初戦のことを話題にしたら
ショートがどっかんどっかん大騒ぎ、で、

あらまあ、大外しですね、まあそんなこともあるよね、
いい方向に予想外な訳だし

と苦笑しつつ、お昼過ぎに
そろそろフリーの結果でたかしら、
と確認すると・・・ぉっぉぉぉー。
おもわず、声たてて笑ってしまった。
桜木町から赤レンガに行く途中の、汽車道のうえで。
さわやかな秋の休日、お昼間の風景。
お向かいの結婚式場からリンゴンリンゴン鐘の音が
ちょうどよくも響いてきたり。できすぎくん。

ほんとにおもしろいなこのヒト
というのと、
羽生さんでもぐちゃぐちゃになるんだ
というのと
まあ逆に再演ということもあり、
試したパターンも半端ないんだろうなあ
とか
(音楽にめっちゃはめ込んでますもんね)
とにかく、初戦でよかったよかった
とか
いろいろ思います。うむうむ。

それからこのスポーツの競う部分と
演じる部分とそのバランスについても。

※ちょっとだけ反転※

私がかわいいし綺麗だし優雅だ華やかだけど
いまのところそこまで
真凜ちゃんに魅かれないのは
「綺麗な演技をしている自分」
がまだまだ
「演じたい対象」
を上回っていそうな気がするので。
(もちろんただのファンのただの感想です)
それはそれでシニアデビューしたての選手で
あることだし、そこまで厳しいことを
言うつもりはないのですが
しかし今の段階であまりにも絶賛されちゃうと
今後の報道の期待値としても
なんだかいろいろしんどいような
そんなこと心配しすぎなような
濱田コーチの舵取りガッチリしてそうで
安心できるような。

※ここまで※

もういい加減慣れてるんだけど、
スポーツマスコミって
だいたいいつもこんなかんじだと知ってるけど

ファビとかダイスのこととか
すこしは話題にならないものかしら?

とややしょんぼり思いながら、
土曜から日曜朝にかけての報道をチラ見してましたが
土曜の夜のテレ朝で、たまたま
小塚さん!! 小塚さんが出ていて、なんだか感涙。
思いがけないごほうびみたいでうれしい……
しみじみうれしい。
今年はテレ朝で小塚さんの解説がどっさりみられるのかしら!!
おもわず期待してしまう。前のめり。

ともあれ、
まだ動画見ていませんので何とも言えないけれど
なんともシーズンはじめの羽生さんらしいという印象。

次戦はGP初戦・ロステレコムでいいのかな。
10/20~ですって。うわ。
特番とかと絡んじゃうかな。どうかな。

新刊出てました。



今回は比較的静かだったかな。
単にシロさんご実家関連の話題がないからかも。

シロさんと小日向さんの(脳内)やりとりに
あるあるというか、安心というか。
すこしずついろんなことがきまってゆくかんじ。
「ポイントオブノーリターン」
というと、大袈裟すぎるかな。
ささやかなことでも、どんどん進んでゆくなあと実感するのは
アラフィフという年代のせいなのかも。
お若い方の感想はまた違うのかしら。

シロさんもケンジも、
ちいさい職場の中で働くひとで、
そのささやかなコミュニティがていねいに描写されていて、
本当に友人の話を聞いているみたい。





『阿・吽』があまりにすごい作品なので却って
手を出しかねていましたが
(というほど日数たっていません)

岡崎さんの描く「細部」は本当に素晴らしいので
そしてくいしん坊なのでこらえきれずに購入。

シズル感を強調するのに性的なイメージに近い表現を使う
グルメ漫画が苦手なのですが
(それともあれは性的な表現を描きたくて
グルメというジャンルを選んだのかどうなのか……)

『かしましめし』
の表現は充分に『食べる悦楽』が表現されていますが
性的ではないんです。存分に、はふはふしずるなのに。
このあたりさすがのコントロール。

レシピもきちんと書いてあって
ふだんの料理の、ちょっとだけ先、
あるいはやり過ごすのりこなす日常、
という主題が明確にあって
そこに忠実でクリアなので、安心して読めます。

にしても、この2大女性漫画家がともに
歴史(を題材にした)漫画(『大奥』は架空の日本という扱いになるけれど)
日常生活特に食を中心にした作品
並行連載中ということが
とってもとってもすごい偶然の一致のように思います。

歴史漫画の方も、
それぞれに選んだ時代もテーマもまるで違うし。

よしながさんが『中年のゲイカップル』を
おかざきさんが『アラサーの友人3人(男子1女子2)』を
選んだあたり大変興味深くもあり。



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by chico_book | 2017-09-25 06:57 | フィギュアスケート | Comments(5)

熱くて楽しい世界をどっさり

とにかく面白いから読んでみて、と、複数方面からおすすめされて
重い腰をえいやらやっとあげまして、現在12巻まで読了。
いやたしかに面白いですこれ。

ハイキュー!! 1 (ジャンプコミックス)

古舘 春一/集英社

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ジャンプのスポーツまんがというと熱意はあるけれど
突拍子もない演出が多用される、
というイメージが強い世代なのですが
(『スラムダンク』を体験してないのでにんともかんとも)
(『テニスの王子様』は少しだけ読みましたが、はまらなかった)
この作品については、以前からチラ見はしていまして
ものすごく画面の構成に凝ってるなあ、
いまどきの作品は戦略的なこととか
ルールの説明のわかりやすさに余念がないなあ、
(『おお振り』(未読)の影響なのかしらとか、あてずっぽうに)
ぼんやり思っていたのですが、
やっぱりまとめて読まないとわからないものです。反省。

とにかく丁寧、試合展開も、キャラクターの配置や掘り下げも、
チームごとのバランスもすごく考えられてて圧倒されます。
これを週刊ペースで連載するのかぁ。
それはすごいことだけど、しかしそれは作り手が体壊しちゃいますよ、
なんてことを心配してしまいますが(せずにはおれませんが)。

リアルと外連味のバランスがとてもよくて、
それでいてとにかく
「これを描きたい!! 」
「このシーンをこういうふうに」
「こういうまんがを(このキャラクター達を)描けるのは自分しかいない! 」
という熱意が、熱量がほとばしっているさまがたまりません。
たまらなくおもしろい。

作者は女性なのではないかなと思います。なんとなくですが。
女子キャラの描き方の、魅力的だけどあっさりした感じ、
男子メンバーのわちゃわちゃしたほほえましさ、
そこを俯瞰でやさしく描く方法が
(男性作家だと『俯瞰で見守る』というより
 『同一線で、同じ仲間になる』方向が強いように思います)
でもそのあたりを云々するのなら
『黒子のバスケ』くらいは読んでおいた方がいいんだろうなあ。
全方面のキャラクターのたてかたは、
ちょっと『ヒカルの碁』にイメージがかぶります。
あと決めシーンの決め絵(イメージ絵、とでもいうべきか)で
入ってくるコスプレチックなカットが何となく女性作家好きそうな演出かしら、とか。
『王様』イメージでベルベット付きのクラウンと
白貂の縁取りマントを出してくるのは、
女性っぽいセンスかなあなんて思うのですが
まあ偏見ですがどうなんでしょ。

若い世代の作家さんの、男女間のあっさりした描写が
フラットでたまらなくかわいいな、と日々思っているので、
その意味でも興味深い。
何しろ情報は貪欲にアップデートしたい派なので。

こちらも高校バレーがテーマの作品ですが、
まったく描き方も描くポイントも違ってとても興味深いです。

こちらの二巻もそろそろではないかしら、と、
いま検索しましたら、7/7発売済!! 
わー!! わー!!! なんてこった! 自分に失望する日曜深夜。
一巻はまさに序章、物語が本格的に動き出す前で、
オープニングのわくわく感がふるふるに充ちてました。


このひとのせりふの間合いとかキャラクターの表情のためとか
大変魅力的で大好き大好き。
上質なドラマを観るようです。たのしみ。

レディ&オールドマン 3 (ヤングジャンプコミックス)

オノ・ナツメ/集英社

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上質なドラマあるいは映画に似た作劇の作家さんといえば
オノさん。
こちらも物語が動き出しました。すんごくたのしい。
続きを待つこのじりじりした気持ち。

ねぇ、ママ (A.L.C.DX)

池辺葵/秋田書店

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愚直で、凡庸で、時に狡猾で。それでも母親はすべての子供たちを照らす優しい光。
「母」をモチーフにした珠玉の短編集。かつて子供だった母親と、やがて母親になる子供たちへ。
※秋田書店の公式紹介ページより引用

『母をモチーフにした短編集』ということで
よしながさんのこちらを何となく念頭に置いていたのですが
まったく違いました。


池辺さんの徹底して研ぎすまされた語り口。
だいすき。たいへんすばらしい。
そして、なんといっても余白の雄弁。
語られる言葉と、口に出されない感情が紙面を支配する圧巻。
こちらはむしろ漫画でしかなしえない表現。

BSドラマの『プリンセスメゾン』は、とてもよかったけれど、
漫画とは方向性が違ったように思います。
(しかしキャスティングは完璧でした) 

読んでいる作品のアニメ化情報。



期待と不安の見事なマーブル。
フルカラーで動くうつくしいキャラクターたち
(なんといっても『宝石』ですから)を観たい、という気持ちと
独特でかつ確立した美しい世界を果たして再現していただけますでしょうか(祈)
と、いう気持ち。



こちらは2018年だそうです。
蒙古襲来という、みんな知ってるようでよくわかっていない
戦争を丁寧かつ大胆にファンタジー色ももりもりで
描いているこちら。すごく楽しみ。
東アジア史という視点がはいっていてとても興味深い。
なにしろ冒険活劇ですから、アニメ化にはあぶなげがない気がします。

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しっとりと濃く深い緑の中の白い花、
という
イメージがとても好き。梅雨が明ける前に、この写真を。
とはいえ、一日も早く、九州北部の雨が収まり、事態が収束しますように(おいのり)

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by chico_book | 2017-07-10 01:09 | まんが | Comments(2)

夏への扉をどっかーんと明ける

ちょっと今月は本買うのを控えようと思っていたのですが……

いやしかし愛蔵版と言うにふさわしい作品ではあり、素晴らしい装丁ですね。
うわー悩みどころですこれ。
吉野さんのファンとして敬意をもって感謝を込めて
手元に置いておきたい気がしております。

社会にとって趣味とは何か:文化社会学の方法規準 (河出ブックス 103)

北田 暁大,解体研/河出書房新社

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金田さんの書評があまりに強力すぎて買わずにはいられない気がしてならない。
きっと私は↑の本をたのしく読むことができる。
だっておそらくこれ↓を買ってしまう程度にはル・オタクだもの。
なにしろデッキもないのにブルーレイ買ってしまっているくらいでして(馬鹿)。

「ユーリ!!! on ICE」公式ガイドブック『ユーリ!!! on Life』 (扶桑社ムック)

扶桑社

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完全新作劇場版おめでとうございます。いまさらですが。
公式発表をらいびゅの会場で知ったワタクシですが、
会場を埋め尽くした女子たちの地響きのような低音の歓声と、
「よっしゃー これで生きてゆける! 」
「働かないと! 働かないとね!! 」
「稼ぐぞ貢ぐぞつなげるぞ! 」
「きっと週替わり入場特典とかがんがん来るね!!(喜色満面) 腕が鳴るわー♪」
「受けて立つぜ! 」
という興奮しきった空気と、幸福なさざめきと、
ヨロコビのクラウドをきっとわすれない。ずっとずっと。
(私からすると)娘のようなとしごろのお嬢さんに混ざって、
私もひそかにガッツポーズ。
それにしてもなんとも頼もしいお嬢さん方。かっこいいわー。
※年齢層はかなりバラエティ豊かでした。

そしていまちょっと生活立て直しに興味津々。
何年か周期でこういうタイミングが来ます。波には素直に乗る派。

アカデミー賞のころから気になっていた作品がすでに公開してました。
うっかり見逃さないように。




しかしいま映画と美術館が大変なラッシュラッシュで
ちょっともう、こんなにいっぺんに来ないでよ、と言う気持ち。
いやいや冬場でなくてよかったと思おう、
なにしろ今年はオリンピックイヤーですもの。



『グッバイ、レーニン!』
を、わたしは恵比寿ガーデンシネマで鑑賞しましたが、
その後映画館が閉館になって、そのあと復活、
そしていままた恵比寿でこちらが公開されているというのに
感じいってしまいます。
(『グッバイ、レーニン!』とおなじ監督・主演コンビの、12年ぶり新作です)
あの頃はよく都内に映画観に行ってたなあ。
いまよりも体力あったっていうことですね。
ユーロスペースもまだお引越し前ではないかしら??

5/23発売!! もうすぐですワーイワーイ。

宝石の国(7) (アフタヌーンコミックス)

市川春子/講談社

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まだすこし先の、6/12ですがこちらの新刊(6巻)が出るらしいです。
(書影は1月発売済の(現時点での)最新巻・5巻)

阿・吽(5) (ビッグコミックススペシャル)

おかざき真里/小学館

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いま最もたのしみにしている二作品の新刊が待っているという幸福。
いやいや支えられています。心底。

いま読んでいるのはこちら。
ぶあつくて重たいので持ち歩きにむかないこともあり、ゆっくりゆっくり。

「こゆいめの重たい本読みたいのだけど、なにかオススメある? 」
と言われて
『死の棘』
を薦めた思い出あり。
(彼女は宮部みゆき『火車』みたいな作品を期待していたらしいことが、後日判明)
(どうやら方向性が違ったようです)

「奥さんのことばづかいが面白かった」
と言う大変苦しげな感想が帰ってきました。
あの時はごめん、なんて今更今でもこっそり思う。

持ち歩きとしてはこちら(文庫本なのです。ありがたや)。
図書館からやっと回ってきました。




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by chico_book | 2017-05-19 01:44 | | Comments(0)

猫と寄り添い本を読む、夜がどんどん短くなる日々(切実)

連休中に一気に読み終わりました。ふうう。

騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編

村上 春樹/新潮社

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宿題を一気に片づけた感じ。
もうぽろぽろと、漏れ聞こえてくる情報を防ぐのにも限界でしたので。
いやあよかったよかった。内容もよかった。
『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』
『ねじまき鳥クロニクル』
推しのワタクシとしては、大変ありがたかった。
今年中に再読しよう(自分メモ)。出来ればカフカ君も。

読んでいる途中で、どんどん加速してゆく巻き込まれ感。
どこか楽になっている変化。
知っているような新しいような物語の奔流。
幸福で懐かしくてそれでいて新鮮で泣きたくなる。

日本画家と言うひとたちが、なんだかやたらに長命で、
しかも70代80代になってから新境地を切り開くことが
とても多いのを知ったのは『山種美術館』でした、たしか。



ちょっとちこに似てますね。えへへ。

解剖学的にちょっと無理のある絵なのだそうですが
ねこの素早い動きの一瞬にはこんなふうに見えたりもするよね、
なんて。やや贔屓の引き倒し?? 
アングルの『オダリスク』ではありませんが、
そのかすかな異形が却って魅惑的、とでも言いますか。

本作の登場人物にからめて、と言う意味ではなく、
私が『騎士団長殺し』からかんじたのは、村上春樹氏が
「(全く同じものではないけれど)モチーフを何度も繰り返し描く」
「主題のとらえ方について、切り口や角度を変えて変化してゆく」
そして
「その結果、得も言われぬ妙味/あるいはかるみに至る」
境地を、進行形で体感させていただいているのかしら、と、
思い至って、ぞわっときました。なんというヨロコビ。
ずっとリアルタイムで追いかけてきたからこその感動。
モネの睡蓮と言うか。セザンヌのりんごというか。
(もちろん、内容としてはそこまで同一ではないのですが)
そういえば庄野先生も、後半はどんどん軽さが増してゆくというか、
体積はしっかりあるのに重さが感じられないというか、
明度があがるというよりはむしろ透明になってゆく感がありましたなあ。

とにかく大変満足することができました。
幸福な読書体験。
ありがとう。ありがとうとしか言えない。

そして未映子さん! 未映子さんてば!!


なんという本気度。圧倒されました。ここまで本気で切りこむ覚悟。
それをするりとぬるりとかわす春樹さん。
いやいやかわしているのではなく、作為のない素直さの発露なのでしょうが、
とにかくものすごく尊い。
この素直な妖怪ぽさは、すこしこのころの河合先生ぽい、
と言うのも安直な発想かしら。



「ああ、やっと読めたんだ。よかったね。おめでとう」

友人からも寿ぎといたわりのオコトバを。

「私は日本文学読まないから、村上春樹をいままで一冊も読んだことないし、
このまま読まないんだろうけど、あなたが好きなの知ってるから
よかったねって思うよ」

ありがとう。もうね、これでいいよね。
興味ないひとは読まなくっていい。
そういうものですよね。
なんであんなに
『読んでないし興味もない』
ひとにああだこうだ言われるのかしら。
好きな人が新刊をたのしみにしていてだいじに読む、
もうこれで充分だよね。

「賛否両論あるみたいだけど、どうだった? 」

私は好きですよ。すごくよかった。
賛否両論、春樹の本はいつもそうだから、
そして私はずっと気にしてないから大丈夫。
でもありがとう。


ひさびさジャケ買いまんが。
北斗の拳も北斗の拳イチゴ味もよく知らないのに。


ねこブームと言われて久しく、いまやねこまんがは無数にあるわけですが、
こんなねこまんがははじめてでした。

「……いや。うちのねこそりゃ(私的には)かわいいけれど、
まんがにするようなことは」

と、作者が本気でたじろぎながらも話をすすめているかんじがなんだか新鮮。
創作の現場を観ることができるという点でも興味深い。
(よく知らない作家さんなのにそう思ってしまう自分のさもしさよ
覗き見根性よ、あるいは創作の現場大好ぶりよ、なんてことも)

※WEBコミックなのでリンクを置いておきます



いやいや充分かわいいですよこちらのにゃんず。

よく知らない作家さんのねこまんがなのに楽しく読めちゃった、
と言えばこちら。前述の春樹を読まない友人のおすすめでした。

『あなたホラーとか読まないでしょ。絵柄が苦手かもしれないけど、ためしに読んでみて』


独特のかわしっぷりさらりとしたツボのおさえっぷりが素晴らしい。
ホラーはほんっとーに苦手なジャンルなので、とても無理ですが
きっとよい作家さんなのでしょうなあ。ザンネン。

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さいごに、連休らしい新緑と光の記録をちょっと添えておきます。

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あっという間に夏に近づいていますが、夜はまだまだひんやりと過ごしやすいの間くらい。
ねこが猛烈にくっついてくる幸福な季節。

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by chico_book | 2017-05-11 01:42 | | Comments(4)

3月の嵐はすとらぐる

べっぴんさん。静かに終わりました。
わたしは好きで、さいごまで大変楽しかったのですが、
あわないひとにはほんとにあわなかった様子。

まあ確かにドラマとして盛り上がりに欠けるという意見も
あることでしょう。
演出として小粒で、それが「不発に終わった』と見えるような
案件もぽろぽろあると言えばあるし。

ただあのひとたちの、やわらかく頑固でありながら
徹底して他人に踏み込まない(踏み込み過ぎない)姿勢は
『うざいぐらいに明るく元気なヒロイン』が主流の
朝ドラワールドにおいて、よいエッセンスだったと思います。
(古臭いイメージで、最近はそうでもないのかな??)
アンチテーゼと言うほど強くないあたり、たいへん好み。

まあなんというかとにかく上品だったし。
そんなひとたちで、
とにかくいい人もとにかく悪いひともいなくて、
みんなある点ではよいひとで、それが裏目に出るところもあって、
(麻田さんは悪い部分がないのかな?? 
じつは途中から見はじめたのでそのあたりがわかっていません)
と言うバランスと、後半、若い役者さんたちの老人演技が
そりゃもうたのしかったので私としてはよいドラマでした。

最初はちぐはぐだった相手との関係が、経年で自然に馴染んでゆくあたりなど
(自然に距離感を掴んでいったかんじかな)
説明のなさが逆に新鮮で楽しかった。
※ふだん朝ドラを熱心に見る方ではないので、
特に珍しい話でないかもしれませんが

あとちょいちょい演出が遊んでいましたね。
シン・ゴジラ風?? に、テロップいれてみたり、
舞台演出っぽいライトアップとかピンスポットとか、
幽霊が応接間で、とかそんなもろもろ。
そういうトライアンドエラーされどトライ、が
あっても、いいと思います。なにしろ安定している枠だし>朝ドラ。

結局後半は、毎日録画していました。
最近帰宅後のちこのあまえんぼがすごく、
はやくのんのんさせろさせろさせろと大騒ぎするので(自慢)、
ソファーにすわって(ちこが飛びのってきて)、
15分間ゆるゆる過ごすという楽しさを満喫しました。
きっとずっと思い出すだろうなあ。
ちこのごろごろでテレビの音が聞こえなかったり、
すりすりでテレビが見えなかったり、
マズルを押しつけられてひげが痛かったりなんて、
そんな諸々を。

いまのところ『ひよっこ』をみる予定は
あまり積極的にはないのだけれど、
有村さん好きなのでココロが揺れています。
これ以上ドラマに比重置くの正直しんどいのですが、
朝ドラって一回見はじめるとついつい気になってしまうし。
それでもちらっと見かけたところで、ちょっとこちらを連想しました。
時代が近いんじゃないかしら。よう知らんけど(ゴロちゃん)


黄色い本 (KCデラックス アフタヌーン)

高野 文子/講談社

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私が生まれる(すこし)前の、昭和の青春。
私の親戚も(集団就職ではないけれど)、軒並みツテを頼って
トウキョウに行ったりしていることもあり、さまざまに興味深い。

『3月のライオン』
劇場で観る予定はいれてなかったのだけれど、
有村さんが香子を演じると聞いて、そして伊藤英明が後藤と聞いて
一気に興味が(でも迷ってグズグズしています。未だに)

以下(映画は未見ですが)原作に対するネタバレを
含むお話なので畳みます。




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by chico_book | 2017-04-10 00:34 | まんが | Comments(0)

最近のごくふつうの週末(+お散歩やや強化型)

なんだかだとばたばたしていて、気づくとひとつきちかく
まともにスーパーに行っていませんでした。
・・・我ながら、よくもったなあ。
最寄りのコンビニが、もと八百屋さん系でこまめに(野菜は)補充ができるのと、
冷凍しておいた肉魚や缶詰などを繰り回した結果、ではあるのです。
最近は、会社の帰りも寒いので寄り道する気にもいまひとつならず。
(ダッシュで帰ってちこにあいたい)

そんなわけですっかり空っぽの冷蔵庫を何とかするべく、
この週末は勇んでスーパーへ。
シロさんの
『狩るぞ!! 今日は買うぞ!!』
と言う武者震いと、完全にシンクロ。

最近はじめた(あるいは自分にゆるすことにした)
小さなぜいたくは、
『スーパーでお買い上げした商品宅配サービス』
です。ネットスーパーではなく、あくまでお店で自分で購入する。
レジに並んでお支払いもする。
ただその後、サービスカウンターで配送をお願いするのです。
ボックスひとつで300円。
私の場合、いまのところひとつにおさまらなかった経験はありません。

良い点
・荷物を持たなくてよいので、スーパーのあとの動きが自由
 基本土日にしか活動しないのでものすごく重要。
・かさばるものや重たいものをためらわずに買える
 牛乳とか調味料とかお米とか。トイレットペーパーなどもそうですね。
・受付12時までなので、だらだらしている暇がない
 ついうっかり、休日をだらだら過ごしがちなので(午前中から動かざるを得ない)
 まあそれはそれで楽しい一日ではあるのですが、はい。

悪い点
・ついつい買いすぎちゃう
・配送カウンターが激混みで受付に(長いときは)30分くらいかかる
・配送時間との調整が必要
 18-20時の枠で配送をお願いした場合、 
 18時に届くのと20時に届くのでは、晩ご飯やその後の
 時間の配分が違ってきます。当たり前だけど。

まあ車も持ってないので必要経費かな、と思えています。
なによりお買い物後に別の用事にラクラク動けるのがありがたい。
重たいものもつとくたびれちゃうしね。

しかし荷物が届くのを待つというのもそれはそれでゆるいストレスなわけで、
「いつかないつかなまだかなまだかな」
より
「18時までに帰らないと!! 」
の方が、ストレスとしては大きいような気がしています。
比較してもしょうがないんだけど。
そういえば堀井和子さんも「宅配便を待つ時間がとても苦手」
と言う内容を、どこかで書いていらしたような記憶が。

しかし、配送カウンターに並んでいるのはほぼほぼ高齢者のかたで
『14時でいいですか』
と、毎回言われるので、わたしみたいな使い方は
メインではないんでしょうねえ。
でもいいの、ありがたく使わせてもらってますので。
そして、故郷の老親や自分の将来を想定すると、
こういうサービスがあるのはとてもありがたいことだと思います。

などと言いつつも土曜日は久々の都心お散歩。
リュックを背負って、両手をフリーにしてレッツお出かけ。
久々に思いきり歩きたいな、と、野望充ち充ち。

目当ては

・やっぱりまだまだ海を見ていたい午後、ひさびさの浜離宮
・新宿御苑か六義園か、今年は早くも梅が咲いているから
・そういえば昭和記念公園って一度行ってみたいんだよね

というあたり、勇んでスニーカーを履きます。

まずは、水-土しか空いていない大人気パン屋さんで
うきうきとパンを買いこむ。
目当てのチーズブレッドは焼き上がりのタイミングが合いませんでしたが(涙)
バゲットと焼きキーマカレーパンとキッシュが買えたのでほくほく。
どこかでコーヒーを調達しよう、公園でおやつタイム!!
と意気込むも、

・ものすごい強風のため、浜離宮をあきらめる
・中央線運級のため、昭和記念公園をあきらめる
・この本を横浜駅の有隣堂で入手できなかったため、
 本屋さんをルートに組み込む。


というわけで、有楽町>三省堂>日比谷公園ルートに変更。

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ことしもおひさまみたいな実のなる木たち。
大好きな光景。
国道沿い、廃屋みたいな建物のそばにすっくと立つ姿。
冬の明るい陽射しと、ちぎれそうな寒風のバランスが実は大好き。
本物の寒さでないゆえの甘えた気持ちだけですが。

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はぼたんは和でも洋でもいけるオールラウンダー。
万能すぎてちょっと地味とかかわいそうなほど。

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やっぱりすみれはすみれ色であってほしい。

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じつはルミネの屋上庭園。はじめて行きましたが、
こぢんまりしていてよかったです。
喧騒のレストランフロアから全力逃避。
ここで(ネット上の)あらゆるところで話題沸騰のこちらを一気に読了。


実はこのタイトルは『なんらかの比喩』だと(根拠なく)
確信していたのでいろいろと驚きました。

対象との距離の取り方、
丁寧に選んでそこにぽつんと置いてあるようなことば、
受容について、人生を歩むことについて
すすむこと とどまること ひととなにかを共有することについて
一気にいろいろ考える。
読み終わって顔をあげた先の、冬の横浜の抜けるような
青い空をきっと忘れない。
『ねじまき鳥クロニクル』を紀伊国屋書店で買って、
我慢できずにそのビルの屋上で読んだのは広島だった。
夕方になって、どんどん暗くなる寒くなるのと
競争するように文字を追いかけたこと、
あの日とおなじように、ずっとおぼえていられるかな。
(最近自分の記憶能力に不安しかない)
もしそうならそれはとても幸運です。

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東京の真ん中に、こんな静かな場所があるのはとてもよいことだといつも思う。
高い建物がないのも、威圧感がなくて好きです。

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しかしさすがに座ってお茶をするには寒すぎました。
あたたかい飲み物もどんどん冷めちゃうし。

ほんとは日比谷図書文化館に行ってみたかったんだけれど、
ちょっとくたびれちゃったので早々に撤収。
それでも充分満足できる一日でした。
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なんと想定外なことに『花束』をいただきました。
お誕生日に、ということです。びっくり。
そう私はカプリコーン(オブカプリコーン)
春樹といっしょなのでちょっとうれしい。
宇多田さんとも坂本教授とも一緒です。ワーワー!!!

と言う訳で、ヴォーグの「2017年上半期のしいたけ占い」を
読んでみたりする。
ことしは新しい基盤づくりの年だとか。いいではないですかそれ。

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睦月のリラックス姫。いつも強くてやさしくて賢く愛情深い。
おててくんにゃり姫。
ことしもいっしょにすごしましょ。


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by chico_book | 2017-01-23 01:02 | 日々 | Comments(7)

ずっと見ていたい綺麗な空のような

こなつさんがおすすめされていた
『恋は雨上がりのように』3巻までを読みました。
(6巻まで刊行されているようなので、頓珍漢な感想かもしません)

公式の作品紹介はこちら→


こなつさんありがとう!!
自分ひとりでは見つけられなかった作品です。

(おそらくは)順調に過ごしてきた学生生活あるいは人生を、
予想外の出来事により立ちどまることになった主人公の女子高生・
あきらが恋に落ちたのは、バイト先のファミレスの店長。
それもおそらくは予想外のできごと。

ここに描かれているのは、
かなうような恋ではなく、届くような想いではなく
それでもそこにあるなにかをたいせつにすること
押し殺すことなく走り出すことなく

そっと見守って、でも目をそらさずに、
まるで発掘か何かのように、そおっとそおっと、
たいせつに確実に指先で掘りあてる、そんなイメージが重なってゆきます。
あるいはそれは、恋のなんたるかを知らない若者が、
ひとつずつ確認しているういういしさなのかもしれませんが。

繊細でみずみずしくていつまでもみていたいような
心の動きが描かれます。
実際にはかなり切実でひりつくような熱情が活写されているので、
優しいばかりではないのですが、そのひりつきさえも、
膝小僧に残ったかさぶたのあとの様になんだかいとおしく思えてしまう。
単に私が年寄りじみた読み方をしているだけかもしれませんが。どうかな??

あきらちゃんの瞳の輝き
みずみずしい髪のつや
すんなりとのびた手足

白黒の画面からも、内側から発光しているような
輝きが伝わってきます。なんとうつくしい十代。

ああ、お化粧っ気なんてなくても桃の実のように、
うぶ毛さえ輝くほおだろうな、とか、
細く涼しげで清潔なうなじなんだろうな、とか、
まぶたのうえがつやつやしているんだろうな、とか、
あんまり描写するとちょっと(私が)アレなかんじになるような(自覚あり)
そんなさりげなさ。ほかのことばが見つからないほど。

そんなふうにたいへん魅力的な女の子なのですが
魅力的すぎて、まぶしすぎて直視できない気持ちと、
あまりにも『対象外』なので堂々と向きあえる気持ち、
その両方を持ってあきらちゃんを見つめて、見守ってしまいます。
たぶん店長よりの視点ですねどうしたって。

ぐうぜん踊場で雨宿りをしてしまったふたりがならんで外を見ている。
窓の外にはつやつやの新緑がきらきらの水滴をたくさんまとっている。
輝く空気と光の粒を黙って一緒に眺めている。
雨はやんでしまったから、この場所にいる理由はもうないのに
「じゃあね」
と立ち去りがたくて、沈黙を守っているようなイメージが離れません。
一巻の冒頭から。とても不思議。
作中では、少しずつですがあきらちゃんのコイゴコロは育っているというのに。
私の大好きな、八百屋お七の様な凶暴な少女の純愛要素もたっぷりあるのに、
どこか静かなのは踊り場にいるからなのか、とも思う。


特急列車乗っちゃってー
ネバーランドに連れてってー
いっさいがっさい うばってよ!! っていう純愛と凶暴。
恋と言う名の大嵐。

最初から終わりを想定して見守っている(読んでいる)
なんて、
かわいそうだからあきらちゃんには知られないように、
そんなふうな
すこしばかりのうしろろめたさを抱いてしまいました。
なんとなく。

ほんのいっときの、若さゆえの気の迷い、
と言ってもいいような言うしかないような
いやいやそんな言葉ではとてももったいなくてまとめられないような、
そんな心の動きをていねいに描いています。とてもみずみずしい作品。

スピリッツの公式HPをみると、作者の眉月じゅんさんは
『趣味:手芸』
『好きなタイプは小林薫』
とあるので、おそらくは女性作家さんかと。

あきらちゃんが魅力的なのに性的になりすぎず、
透明感と清潔な生命力に充ちているのは
そのあたりのさじ加減かもしれません。いいにゃー。
そしてこういう作品の場合、男性側の抑制も大変重要です。
重要です!!(力説)

もし彼女が、不幸な挫折を経験していなければ
いまこの場所にはいない訳です。

そう思うと、たまさか自分のもとに現れた
うつくしくめずらしい鳥、を、見守るような気持ではないか、と、
うんうん唸りながら真剣に
店長(46歳バツイチ)の気持ちを忖度してしまう訳ですが。

でも最近、そういうリーディングを(この場合はREADではなくLEADで)
みごとに揺さぶってくれた作品に出合って幸福で幸運で
まだふわふわしているほど。

ありがとうありがとうもう一気にぶん投げられるの大好きです。

おまけ)
ただ、あきらちゃんのスカートは短すぎますよ!!
あきらちゃんだけではありませんが。
そして誇張でもなんでもなく、横浜の女子高生のリアルではあります。うむむ。
九州で見かける制服女学生の皆さんは、
膝チョイうえくらいの長さが多くて、なんだかほっとします。
生活指導の先生のようですねワタクシ。

そして店長のイメージになんとなく後藤隊長が被るのでした。
あんな飄々とはしていないし、あくまでふつうのおじさんだけれども。
安直かしら。

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by chico_book | 2017-01-18 01:40 | まんが | Comments(0)

手をつないだのに、あらためて遠い(そんなかんじ)


出ました出ました。疑ったりしてしまいまして、たいへん申し訳ない。


そしてよかったです。たいへん素晴らしかった。

センシュアルなものを共有しないさじ加減で踏みとどまってほしい、
なんていう私の寝言(文字通り)をやすやすと乗りこえた3巻。
1ページ目から崩れ落ちそうになりました。
う、うわさには聞いていましたが(聞いていてよかった)あら。あらまあ。

共有してしまったからこその線引きの厳しさりりしさが
3巻の要になっております。そうきたか!! 久々に興奮しました。
いや西村先生ライフスタイル満喫系作家になってたからさ(失礼)
(それはそれでたのしい)

関係を持った相手に踏み込もうとしない。
おたがいのプライベートを、律義すぎるほど律儀に尊重する。
それでも親密は成立しうる。充分に。

わたしはわたしでここにいたいからいるの。
あなたをかわいいと思うし、大切に思われているのは心地いいの。

梶谷先生と妻であるサラさんもたっぷり描かれていて満足。
信頼しているから離れていられる、
もし何かが起きても
(もちろんそれは腹立たしいことだしきちんと怒るけれども)
受け入れる覚悟を持って、自分の戦場にいる。
愛と親密と尊敬と。トリニティ、と呼びたいような
バランスで描かれるファンタジー。
幻想と言う意味ではなく、リアルに立脚した寓話と言う意味での「ファンタジー」。
では何がリアルなのかと言うと、状況や設定ではなく、
人が人に向ける気持ちのなかにある、覚悟ではないかと思う。

泣きたかったり苦しかったりせつなかったりすることが
もちろんあるけれど、
そこをのみ込んで仁王立ちして
「世はすべてこともなしってことね」
と言う、女子高校生・美紅の背中を思いだいました。

きょうだいわんこ2匹つれなところも一緒だね!

まるで
「昔ながらの西村節に喜ぶオールドファン」
ぽいのですが、本作は主人公を巡る職場環境などが
きちんとアップデートされていて素直に楽しめます。
奨学金返済にふうふういいながら、研究者として目指す未来がありながらも
「そこまで本気の研究者ではない」
「ただ資料室と資料整理と発掘が好きなだけ」
な、なぎさと、
さっくり物事を判断して世界を飛び回る(でも夫には時々ぐずる)妻と、
両方を仕切ることなく支える梶谷先生の人物像が
その日常や仕事っぷりからも納得できる。
相手のことを尊重する。そのうえで、手をのばしてみることを恐れない。
業務のうえでもヒトヅキアイのうえでも妻との関係においても、
納得できるキャラクターになっているので、
なぎさに対する態度に違和感がなくて済みます。

たぶん桐谷先生にとってのなぎさは、似てないのに
どこかサラさんのイメージを持っていて(別バージョンとでもいうか)
それで目が離せないのではないかと。
ほんとうに似てないんですよね。部屋も全然違うし。
その違いも含めて気になってしょうがないのではないかと。

でも、あるいはだから、人生のパートナーとしては間違えようもなくサラさんで、
それはなぎさにとってもおなじで、恋人であるミズキのおおらかさやさしさは
梶谷先生とは全く別物であってそれでもどちらもたいせつな存在であること。

そしておそらく、なぎさにとって桐谷先生は、
サラさんと言うミステリアスな妻の存在込みで、
魅力的なのですきっと。なんというバランス。

ある意味、いまのご時世フィクションとはいえ
チャレンジングなのかもしれません。

でもそういうことって、きっとあるから。
踏み出す踏み出さないは別にして。
いっしょにいても、結婚していても遠く感じることもあるから。
相手に対する思いやりをふんわり丁寧に重ねる描写が
やさしくてせつくていとおしい。そんな作品です。
倫理に反するとか、そういう言葉で語ってしまうのはあまりにさみしい。

『マシュー・ボーン版 白鳥の湖』感激帰り
『結局ホモってこと?』
と言う見知らぬお嬢さんに、
『そうかもしれないけど、そうじゃないんだ・・・!』
とこころのなかでそっと呟く、今市子先生の言葉をここに置いておきます。
愛と敬意とともに。

と言う訳で21世紀版にアップデイトされたサードガール、
と言うくらいの期待。またいつか出ることに期待。
・・・・・・トーキョーオリンピックまでに何とか!!(弱気)


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by chico_book | 2016-12-25 23:21 | まんが | Comments(0)