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サイレンスの強さ優しさ呪わしさ

映画を観たのは3月の頭で、もうずいぶん前のこと。
紅海感もずいぶん少なくなってはいるのですが、
なにしろ原作を再読したくなって図書館にリクエスト。
みなさん考えることは同じようで、リクエストは100人待ち。
ようやく手元に届きました。


読みはじめるとひと息。

小学校高学年で北杜夫に傾倒して、そのつながりで遠藤周作へ、
教会学校にかよっていた流れもあって
中学生時代に読んだ(はず)の『沈黙』。

映画を観ている途中で、そうそう、キチジロー、聞き覚えがあるわ、とか、
モキチ、そうそうモキチ、北杜夫由来でちょっとどきどきしたっけ、
なんて思い出していました。



当時のわたしの嗜好は、あくまで北杜夫>>>遠藤周作だった記憶なので、
文体の馴染みの良さに、そう感じる自分にびっくりしました。
過不足なく淡々とつづられる文章。
静かに語られる悲劇と苦悩、しずかな激情。圧倒的。

映画も大変素晴らしかったのですが、原作が本当にそのままで、
しかも小説と映画と言う作品の特性にしっかりと根差した
深みがたっぷりある、双方ともに
「余りあるすばらしさ」
でした。
両方そろって、それぞれの違いと特徴が引きたつ印象。

井上奉行・イッセイ尾形の底知れぬ恐ろしさ
通詞役の浅野忠信のつかみどころのないかんじ、
とてもよかったです。
窪塚洋介のキチジローの圧倒的などうしようもなさ。
そしてそのリアルさ。
日本人作家による小説で描かれる日本人のなんとも
把握できない不気味さをスコセッシ監督が
こんなにも的確に圧倒的に描くなんて、と、
途方にくれながら劇場を出たのを覚えています。

福岡在住時代に、天草にドライブに行って温泉に入って、
その帰り島原にはフェリーで渡りました。
海に迫る半島とたくさんの島々、すこし荒れ気味の海を
ほんのりと思い出します。
それぞれに隔絶された、海と向き合う入り江に刻まれた
ひっそりした集落にまだらにさしていた光の筋の印象。

惜しむらくはロケ地が(ほぼ)台湾なのだそうで。
現代の日本では難しかったのかな。

162分と長い作品ですが、ほんとうに観てよかった。
そして読むことにしてよかった。

次は『海と毒薬』を読もうかな。
ティーンエイジの自分ともう一度出会う読書。
こういう幸福があることを知ったのは最近のこと。

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鎌倉カトリック雪ノ下教会。
団葛の桜ごしのたたずまいがうつくしかった。
ワタクシの育った(じつにちいさな)街も、
お寺と教会と神社が仲良く並んでいることを思い出しました。

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春の終わりの夕闇に浮かぶ桜。

はかなく散ってしまうけれど、また来年律儀に咲く、
と、
のんきに信じてもいいのだろう。断言するほどの強さはないけれど。
そう思えるのも、幸福。



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by chico_book | 2017-04-16 20:26 | | Comments(2)

夢と希望と魔法のソング&ダンス(ほろにが系)

アカデミー賞関連の話題で、あまりにキャッチーな
音楽に誘われるように、観てまいりました。

いつ行こうかな、と、うずうずもじもじするくらいなら
もうとっとと行きましょう。



以下感想なので畳みます。




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by chico_book | 2017-03-12 22:15 | 映画 | Comments(2)

おとなでよかったと思える春

予告で『原作」となっていますが
どこかで『原案』と、クレジットされていたような。
見間違いかな?? まあその方が適切ではないかと思います。

と言う訳で、土曜に『ラ・ラ・ランド』ではなく、
『お嬢さん』をみてまいりました。
理由は簡単、早くいかないと見逃してしまいそうだから。

ほとんどミステリーを読まないワタクシが、
ヴィクトリア、蔵書、侍女(メイド)と言う要素と
タイトルの美しさに魅かれて読んだ
サラ・ウォーターズの『荊の城』。
このミス1位だったようなので、
おそらく週刊文春あたりに薦められたのだと思う。


とにかくこの小説がとてもおもしろかったと言う
おぼろげな記憶を頼りに頼みに、予告も観ずにいきなり鑑賞しました。

ひゃあひゃあ吉と出たのか凶と出たのか!!
予告すら貼ることにためらうR18ぶりなので、全力で畳みますよーーー!!

ネタバレ&官能注意でございます。



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by chico_book | 2017-03-05 23:49 | 映画 | Comments(2)

ちょっとテレビっ子すぎる日々

いや幸福ではあるのですけれど。

去年の『真田丸』がスペシャルで特別で、
とはいえなんだかすっかりテレビの視聴習慣がついてしまって
よい作品があるからでそれはもちろんありがたいのですが
ちょっと時間配分に手こずりはじめたので、反省。

『カルテット』
『バイプレイヤーズ』
は完走しますが、そのあとは控えましょう>自分。

大河は見つづけるつもりだし。

江國さんの新刊読了。
裕福だったり奇妙だったりする大人たちの屈託。
江國さんの群像劇大好き。不穏で不遜で、みんな得手勝手。
勝手に幸せになったり不幸になったりしている、
謎の生態、とでも言いたくなるような、不思議な、
身に覚えのあるようなないような感情や、
まったく共感できなくても、それ故に
興味津々になってしまう登場人物たちの不思議。
存分に味わえて満足。

書店の店員さんが軒並み「騎士団長殺し」と言う名札(違)を
胸につけていて、それがみんなのふたつ名だったら面白いな、
なんて思う程度には中二だわっしょいわっしょい。

春樹さんの新刊横目にうずうずしながら
江國さんの新刊を読む、空前絶後の贅沢。

アカデミー賞もとてもにぎやか。
『ラ・ラ・ランド』
軽くスルーしていたのですが監督が『セッション』のデイミアン・チャゼル
ヒロインが『バードマン』のエマ・ストーンだと聞いて
興味が出てまいりました。
さて無事にたどりつけるかどうか!!

だってだってあの監督がこんなの撮るなんて…!!
気になっちゃうではないですか!!



まあ音楽と言う共通点がある、
と言ってよいのやらどうなのやら。

この本はジャケ買いタイトル買い。はじめて知る書き手のかた。

ふんわりしているがしっかり毒のあるかんじ。
でも苦くない毒。となると、毒と言う言葉は誤りだろうか。
ふわふわといとおしい猫との日々、猫と関係ない日々の描写も多い。
そして甘くない文章。

タイトルにはまったく同意。完全なる同意。
では犬は? と、言葉遊びをしてしまう。
犬には、悪いところが全くない。ような。
でもちょっと言葉遊びにすぎるかな。
『愛しているけど好きじゃない』
について、ここ1~2週間つらつら考えていたせいかも。

そしてそんな人の思惑とは全く交わらない時空に生きている
げっ歯類のことがとても好き。
とても孤独で孤高な魂だと思う。
ふいに、私を見るときの
「あ、忘れてたけど、何かいるわ」
と言う風情。そしてまたすぐ忘れる無関心。
そばにいるのに違う時空を生きているかんじ。
あんなに小さいのに、魔力と磁場を持っている生き物だと思う。
私が一緒に暮らしたことがあるのは、
ハムスターとモルモットだけど。

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ほんとうのばらはピンクのものだけね、
と言うのは
アン・シャーリーのせりふですが(ここでは頻出)

ほんとうのすみれは紫のものだけね、
いつも思います。
そして大好きなこの映画を思い出す。



すっかり春。早咲きの桜。
桜はせわしなくてどうもね、と思いつつも、いざ花ざかりになると
わくわくしてしまうのを止められない。

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見上げるとおひさまみたいなまるい実が、ずいぶん上の方に。
もう柑橘類もラストスパートかな。
長い冬を一緒に過ごしてくれてありがとう、
ちいさなおひさまたち、と、なんとはなしに感謝を捧げたくなる、
というのは大袈裟でしょうか。

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こちらは息をひそめているような芝生。
春樹さんの本のタイトルで『つかいみちのない風景』と言うのがありますが
そんな感じに思える。
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図書館からまわってきた本。まさか一気に二冊来るとは!
(狙ってない)

あひる

今村 夏子/書肆侃侃房

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こちらあみ子

今村夏子/筑摩書房

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嬉しい悲鳴。ガチで嬉しいけれど、悲鳴なのもガチ。

ちこは最近、ねここたつの上でゴロゴロすることをおぼえた模様。
あたたかくなったということでもあるのかな。

私としても、お姿を拝見できてうれしい。ウインウイン!!




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by chico_book | 2017-03-01 02:11 | 日々 | Comments(0)

ひとりぼっちはわりと幸福なものです、ただし

つながりたい相手がいない訳ではなくて、いつでもつながることが(基本)できるのなら。
わたしにとってはわりと基本的な信条なのですが
「わがまま」と言われることも(そこそこ)あって、なんというか、ままならぬ世でございます。

さて、ほぼ二ケ月ぶりに映画を観てきました。
と言うかそんなに劇場から遠ざかっていたのね。
なんともせわしなかった年末年始であることよ、と、しみじみしながら
メンバーズ特典・お誕生日月映画鑑賞券を無駄にするわけにはいきません。

ジャック&べティのメンバーは、年会費2000円で
お誕生日月招待券と更新記念鑑賞券をいただけるので
それだけでも会費はクリア。
ジャック&ベティにちょくちょく行く人にはおすすめ。
(そういうひとは、とっくに持っているのかも)

観たのはこちら『幸せなひとりぼっち』
ストーリーのイントロダクションはこんなかんじ(公式サイトより引用)

愛する妻を亡くした孤独な中年男オーヴェ。かつて町内の自治会長を務めたこともあり、近所には規律に厳しい人間として知られていた。年齢を重ねてからは気難しさに拍車がかかり、いつしか鼻つまみ者でしかない厄介なおじさんと化していた。地域の治安を守るため、共同住宅地の監視役を自ら買って出ていたのだが、数年前、自治会選挙で落選。今や、誰からも望まれていない見回り日課とする日々を送っているのであった。

オーヴェは43年間、鉄道局職員としての仕事を全うしてきたが、突如クビを宣告されてしまう。家に帰れば、今は亡き妻の面影が脳裏をよぎる。孤独に耐え切れなくなった彼は、自宅の天井にロープをかけ、首つり自殺を図る。ところがその時、向かいのテラスハウスへ引っ越してきたパルヴァネ一家の騒がしい声がオーヴェの耳に飛び込んでくる。一家の車がオーヴェの家の郵便受けにぶつかってしまい、自殺どころではなくなってしまう。オーヴェは外へ飛び出すと烈火のごとく怒り、挨拶もしないまま代わりに車を駐車場にきれいに車を停め、ぶつぶつ文句を言いながら家に帰る。


以下感想です。ネタバレあるので畳みます。





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by chico_book | 2017-01-30 00:34 | 映画 | Comments(2)

豊作すぎて戸惑うばかりのわたし

気づけばものすごい豊作で豊穣大漁、まさに実りの秋、
と言いたくなるほどの、ジャック&ベティのラインナップに、
ひゃあびっくり。
混乱しかけているのでまとめておきます。

ジャック&ベティ 11月のラインナップより。

『ティエリー・トグルドーの憂鬱』



11/5-11/18まで。
『サンドラの週末のような作品かなあと予測。
社会派と言われるフランス映画が増えたのか、
(もとからあったものが)日本に来るようになったのか、
あるいは私が知らなかっただけか。
でもちょっと(じぶんの)テンションと相談しないと、
へこんじゃうかもなあ。なやましい。

『92歳のパリジェンヌ』


川崎109でもやっている様子。ありがたいやら悩ましいやら。
こちらも11/18まで。

『PK』



公開中。サクサクっとみておきたいのですが。
いったいどれだけ映画館にいるつもりなのわたし。


『将軍様、あなたのために映画を撮ります』



11/12より。
こういう映画はさくっと見るに限ります。ずっと待ってた待ってた!

すこし先ですが備忘メモ。

『神聖なる一族24人の娘たち』



12/3より。チラシが大変素晴らしいのです。
ひとめぼれですよ!


『エボリューション』



11/26より。
うつくしい悪夢を描いた映画、とのこと
ディストピア物は振り幅が大きいので、なやましいところ。
邪悪ということのレベルは個人差が大きいということでしょうか。
(先日大きく外したばかり(『ハイ・ライズ』私には厳しかった・・・))

ジャック&ベティのほかにも、たいへん気になる映画たくさん。
ほんとうにたくさん。

『リワイルディング』



オランダですよ、オランダで自然回復ドキュメント系。これ絶対観る!
UPLINKで公開中。
UPLINK、作品によっては上映期間が長いので有難い。
でもちょっと遠いので、予定を云々しているうちに
逃してしまいがちなのも事実。

フランコフォニア ルーヴルの記憶



ユーロスペースにて公開中。

美術館ムービーの決定版ではなかろうか。
ルーヴルを舞台に『エルミタージュ幻想』の監督が撮影、
もう予告だけですばらしい。
ありがとうございますありがとうございます。
12/17にはジャックアンドベティに来る様子。
上映回数の多いユーロスペースでさくっと観ておくべきかどうか、
たいへん悩ましい。

12月には『スモーク』のデジタルリマスター版も公開されるそうです。
NHK杯もファイナルも全日本もこの2か月にあるというのに、
どうすればいいのやら。
ことしあんまり映画に縁がなかったのはこの冬の為だったのかしら、
なんて思わずにいられないような充実、というよりむしろ困惑とか逼迫とか。

これは絶対観ます。
本日『絶対』の大安売りですが、本当に絶対観る。

『この世界の片隅に』



11/12公開。ほんとにずうっと待ってたのです。




・・・・11日までですと!

ふりまわされてあんまりうれしくないけれども
元気にいそいそおでかけしますきっと。
にしても多すぎ。お。おいかけられるのい、いやよ(小声)

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by chico_book | 2016-11-05 00:16 | 映画 | Comments(3)

浸透するには圧がいるのかも

たいへんに美しい秋の休日。
お散歩に行きたいなー堪能したいなーと言う自分と葛藤した結果、
映画に行きました。行ってよかったというお話なのですが。


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いつまでもうつくしい秋のままであればいい。

映画の感想として、
まだ全くまとまっていないんですが
まとまっていないまま、記事にするのは惜しいのですが
かといって
この気持ちを記録しないのも惜しいように思っています。フクザツ。

映画を観てきました。ひさびさにはしご。

『エル・クラン』 
 


一週間限定上映、アルモドバルと言う情報だけで観に行きました。
ジャック&ベティたぶん満員かな。ここの木曜日はメンズデイ。

チリのお話だったので驚く。
(アルモドバルなのでスペインだと思い込んでいた)
(アルモドバル氏は本作の製作で、監督ではありませんでした)

ブラックでシニカルで底意のある描写。
好きなタイプの映画です。扱っている内容は好きになれないけれど。

南米の大地の、どこか空っぽなかんじ、
どこにもつながっていない感じ。
あくまで明るい光と乾いた空気が
かえって底知れない不穏さを感じさせる。

江國さんの描く南米はまぼろしの様で、実在の場所ではないみたい。
でも江國さんが書くとそこがどこでも、そんな気がするかも。
フィレンツェでも梅ヶ丘でも浄水通でも。


『ユーリ!!! onICE』が一部で大変な(うれしたのしい)
話題の、山本紗代監督のこちらも南米が舞台。
好きですこれ。



政治的・歴史的な背景を把握していないので、
見逃していることも多いんだろうなあ。
(はじめのほうに出てくる組織の名まえに引きずられて、
勘違いしたまま見ていました)

観終わって、少し、いや大いに悩んではしごすることにしました。
2本目を見ると、19時終映。11月のジャック&ベティとしてはぎりぎり。

でもこれが大変素晴らしかったのです。

『シーモアさんと、おとなのための人生入門』


『シーモアさん一枚』と言うのすらなんだか楽しい。

技術と、表現と、求めるもののバランス。品格。
ひととしてのありかた、生きることの意味。

観ている最中に、どんどん充たされてゆく。
音楽と、シーモアさんの語りが私にしみこんでいく。
でもほっこりとか癒し、なんていう生ぬるいものではなく、
根源にそっと光をあてるような感触。なんだろうこれ。

たとえば私は生活のために働いているし、
なけなしのお金でごはんを食べねこに尽くし本を読んで
映画なんかも観て日々を過ごすわけですけれど

それだけでいいの? という大上段ではなく
それはそれで大事だけれど、魂のありようもたいせつだよ、
と、いろいろな角度からぽつんぽつんと
話してくれるような作品です。

良作。たぶんことしナンバーワン。
こちらを思い出しました。こういうリンクも幸福。




羽生さんの白鳥エキシや、スケカナさとこさんについて
(つまりはフィギュアスケートについて)
ずうっと考えているタイミングだったから、と言うのもあると思うけど。

もうすこし考えてみます。
と言うか、すでにもう一度観たくて困っている金曜深夜。

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我慢できずにひさびさに購入したパンフレット。
裏表紙にはにゃんにゃにゃん。

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ぶれぶれですが、今年のおこもり姫。
『真田丸』を観ながら、籠城戦は得意だよねー、
なんて話しかけるもまた愉し。
(水分補給大事。とても大事)





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by chico_book | 2016-11-04 01:27 | 映画 | Comments(0)

走る姿があまりに尊いのでただ祈りを捧げるのみ

ツールのこともロードレースのこともよくわかっていないのに、
なにかに魅かれてこの本を読みました。かつて。


それが何だったのか、読み終わってずいぶんたってしまった
いまでは、正直よく思い出せないのですが、
大変面白く読んだ記憶だけがあります。
高い熱と強い圧の印象。

その印象をおなかのなかで反芻しながら
(あえて再読はしないまま)
観てみました。おそるおそる。




※以下公式サイトより引用(なぜか黄色い色が取れませんトホホ)

25歳のときに生死の境をさまようほどの重度のガンに冒されながらも、大手術とリハビリを耐え抜いて克服し、そのわずか3年後の1999年にサイクルロードレースの最高峰〈ツール・ド・フランス〉で奇跡の初優勝を果たしたランス・アームストロング。この並外れた野心に満ちたアメリカ人王者は、その後も敵なしの快進撃を続け、2005年の〈ツール・ド・フランス〉では前人未踏の7連覇という偉業を成し遂げた。ファンやマスコミを熱狂させるとともに、競技場の外ではガン患者を支援する慈善活動に取り組んで人々の尊敬を集めたアームストロングは、まさしく世界中を魅了するスーパースターだった。

しかしこの絶対的王者には、つねに"黒い噂"がつきまとっていた。ドーピング、すなわち運動能力を向上させるために薬物を使用しているのではないかという疑いである。本作は驚くべき執念でその疑惑を追及したイギリスのサンデー・タイムズ紙記者、デイヴィッド・ウォルシュのノンフィクションを基に、アームストロングの栄光と転落の軌跡を映画化。果たしてこの一世を風靡した稀代のカリスマは英雄か、それともただのペテン師だったのか。

本人がっつり認めているのにタイトルが
『疑惑のチャンピオン』なんだ、ふーん、と疑問に思いながら観たのですが
これは、ドーピングと言う行為にとどまらないあり方の話なのかも、
などと考えながら観ました。
たいへん見ごたえのある作品でした。観てよかった。

組織的で長期間にわたるドーピング。
もちろんそれはゆるされるものではないけれど、
そこに至る道のりについて考えこんでしまいました。
危険性も禁止されている事実も知りつつ、自らを破壊する行為。
彼を断罪するのも批判するのは簡単だし、まっとうなことではあるけれど。

私たちがスポーツをとおして観るアスリートの姿は、
危険で命がけで、心身の両面から自らを削りあげるような
ものであることがほとんど。

その行為自体と、そこから薬物に手を出すか出さないかと言うのは、
もしかしたら(素人が考えるより)
ずっとずっと近い距離なのかもしれない。
それでもその誘惑を振り払うことが、
善悪の基準を失わず自らを律することも含めての強さなのか。
どっちに転んでも悪魔じみた話ではあるのかもしれない。
彼がガンとたたかったこと、その戦いに勝利したこと、
そしてその経験を生かして同じ病気に苦しむひとたちの
支えになったこと、その事実はなくならない。

あるいは、薬物の力を借りずに自らを鍛えぬく行為のなかに、
同じくらいの危険が潜んでいないとも限らない。
薬はもちろんダメ絶対なんだけど、
人生を破壊するような勢いで競技に(薬なしで)
没頭するひとたちのことをおもうと、なんとも複雑な気持ちにもなりました。

そうです。motoGPが終わると(厳密にいうとフライングな発言)
スケートシーズンですので。
ステイヘルシーと、祈らずにはいられないけれど
パフォーマンスをみていると、
そんな気持ち吹っ飛んでしまいかねない訳で。

そんな訳なのでスケアメ浅田選手の6位については、
ああこれでGPファイナル>全日本、の
ノンストップモードではなくて、ひと息つけて
良かったのではないかと言う心情です。
全日本にしっかりじっくり調整してほしい(真剣)
もうGPでなくてもいいんじゃないかと思うほど。

実は羽生さんのことも、
ステイ! ステイステイ!! と言う気持ちで見ています。
あぁそんなに最初から飛ばすのやめてー、っていう。
なんだか、命を切り刻んでそうで怖いよ羽生さん、
とは友人の弁。
でもそんなこと言っても止まらないんだろうなあ。
止まるわけないよなあ。

(ここで源次郎信繁あらため幸村の凛々しさとやってやるぜ感と、
まったく悲しいほど逆の、大阪城に漂う先細り感に思いを馳せる。
あれも自分ではどうしようもない流れなんだろう)

テレ朝さんは悲鳴かもしれないけれど、浅田さんも羽生さんも
グランプリシリーズはスキップするくらいでもいいと思うの…
前から思っていたの…。
日本はいまやしっかり層が厚い国なんだから、いろんな選手に
どんどん出てもらうのありだと思う。
まあ、試合を通して調整する、ブラッシュアップする、
という方法論もありなのでしょうからそのあたりの兼ね合いは
難しいのだけれど。所詮素人のたわごとです。

視聴者だって
「知ってる選手しかみない」
ひとはまあいつの時代も多いだろうけど、
「はじめてみたけどコノヒトのこれすごい、こういうの好みかも」
なんてお宝さがし増えると思うけど。
テレ朝さんその方向で行ってくださいおねがい☆

ひと昔前なら
「よくわかんないよね」
で、終わらせていた知識や情報へのアクセスも
ずいぶんラクラクとできるようになったし。

なんて言ってますけど。

実はスケカナに向けてそわそわそわそわしているのです。
さとこちゃんGP初戦!! ひゃあ。

「宮原さんの試合でもはらはらするの? 」

「するよ。するにきまってるじゃん」

「あのひと失敗しないよ」

「知ってるよ。
でも今回はどんなさとこちゃんだろうって思うよ」

こんな思いを、勝手に抱いてしまうことへの(幾許の)申し訳なさとか
うしろめたさとか、それでもファンでいてしまうことよ。

でもそんなことまったく全く関係なく、
自分の目指すパフォーマンスを、選手には存分にしてほしいとも思うし

しかしステイヘルシーですよ! わかってんの?
ほんとにもうたのむ! 祈る! 願う!!

と言う気持ちも、同時に抱くのです。

「難儀なことですなあ」

そうですなあ。でも楽しいよ。
たのしくてしんどくてまぶしくてむねあつですよ

そしてやっぱり今から来年の全日本が怖い怖い。
来年の世界選手権だって怖い怖い。
三枠! 三枠!! 確実だと信じてるけどそれでもこーわーいー!
足掛け二年もあったら何が起こるかわかんないんだよわーん!

いやだってやっぱりソチのプレシーズンには、
パトリックが金メダルじゃないとは思わなかったもの(小声)



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by chico_book | 2016-10-26 00:45 | 映画 | Comments(0)

ひっそりしっかり息をひそめて


生きてます。ちこにゃんも。
ちょっとプライベートが暴風チックなのですが、
まあ、この年まで生きていると、ままあることなので。
30代半ばからこちら、ずっとやり過ごせればいいかな、
という主義だったのですが、
そうも言っておれない案件が増えてまいりました。

幸とか不幸とかかではなく、
順当にそういう年齢になりつつある、と言うことでしょう。
ウム。粛々と向きあうのみですな。

しばらく間が空きましたが、新刊まつり発生。
ぼつぼつ取りこぼしを拾ってゆけたら、と思います。


実は結構よしながふみさんには(やや)批判的なワタクシなのですが
本巻はよかったです。

いやたのしく読んでますし、新刊も(こうして)
いそいそ購入しているのですが、わたし自身の評価と、
世間の評価とはちょっとずれがあるかなあと言う認識。
ごにょごにょ。

地道に登場人物を増やしてきた効果かな。
さすがに10巻を超えるとエピソード的にもマンネリに
なりかねないところを、志乃さんや小日向さんや
ケンジご実家の皆さんなど、バリエーション豊かに、バランスよく配置。
とっても楽しい一冊でした。

前回の大家さんへの成り行きカムアウト、も自然で、
筧さんがいろいろ解放されてゆくかんじがよかったのですが
新刊もその路線が引き継がれている。

出たばかりでがっつりネタバレなので詳細は避けますが、
中盤の史郎さんのエピソードはよかったです。
50歳を前にして、枯れてきたというか落ちついてきたというか
あるいはものごとの優先順位が明確になったとでもいえばいいのか、

そういう心境が明るくコミカルに、
でもほんのりとしたさみしさこみで描かれていました。

ああ、こういうさりげない日常を描きたいんだなあ。
こういうその時々の感情を、作品として記録したいのかもなぁ、
なんて思いました。
そしてそうね、このあたりの心情は男女でやるのはむつかしいのかも、
なんてことも。昨今はそうでもないかな。

そういえばこちらも
『最初で最後の学園もの』
といううたい文句だったようなそうでないような(自信なし)




ごはん、それも日常のごはんにまつわる漫画家さんのコミックエッセイ。
1ページ限定でリレー連載なので、知らない作家さんもどんどん出てきて楽しい。
フィーヤンで連載していたことは知っていましたが、
正直単行本になるとは思わなかった。
(とか言ってますがこれ2巻目のようです。恥)
小池田さんが載ってなくてちょっと寂しいけれど、
まあここで書かなくても、ってことだよね、と自分を納得させる。
(というわけなので、小池田さん既出かもしれませんトホホ)

最近部厚い本を読む元気勇気時間体力、
つまりは必要とされるすべてがなくなっているのに、
それをひしひしと感じているのに、
つまりは危機感抱いているのに、
こんなの買ってしまった。


ほぼジャケ買い。
原題は『H is for Hawk』。かっこいい。
ちなみに私はホークスの球団歌を歌えます。
げーんかいなだのー、あーらなみにー♪
とくにファンではないのですが、
この唄のながれる駅を使っていたので。


購入してからマイケル・ブース氏の著作であることに気づく。
『英国一家、日本を食べる』のひとではないですか!

ストレスたまると消費に走るのは傾向と言うべきか
習性と言うべきか。

こちらは読了済。

びっくりするくらい良かったです。面白かったというより良かった。
社会の片隅で、幸運にも存在することをゆるされた場所を
(ある日突然なくなるかもわからない場所)
いくぶん卑下しながらもたいせつに守り抜こうとする、
有難いという思いと、誇りにするほどよいものでもない、
でもそれが自分にふさわしい、
そんな実感が明確に正確に的確に、静かにつづられていて正直驚きました。

『新聞に載るほど悪いこともなく
賞状をもらうほどえらいこともない
そしてゆっくりと一念は過ぎてゆく
やっと三日貰えるのが夏休み』中島みゆき・あたいの夏休み

謙虚と言うのも少し違う。
芸能人の言う『等身大』は、もっと違う。
ちょっと言い表す言葉がありません。
あ、にゃんこネタも多いのでそのぶん加点があるかも。
いやきっとあるある。

先日私が体験した衝撃。ちょっと畳みます。




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by chico_book | 2016-10-24 01:32 | 日々 | Comments(4)

『真田丸』のある深々とした幸福に感謝

ことしは自分でもびっくりするほど映画を観ていません。
7月8月つうじて『シン・ゴジラ』2回と言うのもなんというか。
よりによって。でもすっきりしたからいいの。
なんとも2016年らしいし。大変楽しいおまつりサマーでありました。
(大河ドラマはまだまだおまつり続行中)

用事が多いせいもあるけれど、かなりの割合
『真田丸』に週末を支配されているせいでしょう。
5月頃だったかな、
『ここからは毎回神回』
と、石田三成@山本耕史さん(あ、逆? )がおっしゃっていると
小耳にはさんで、ええ、そんな幸福あるのでしょうか、
期待しちゃうよーん! でも怖いなーいくらなんでも怖いなー、
なんて思っていたら、あらまあ。あらあらまあ。
ありがとうございます!!

土曜日には、ああ、あと少しで次の回だわとそわそわして、
昼前には再放送見ようかなあとうんうん唸って、
特番やら何やらで時間帯がずれていないかなとか、
日曜日には予約を何度も何度も確認し、
一日のタイムスケジュールをおさらいして、
(前回放送分をおさらいするべきか否か)
HDののこりはどうなのかしらと思いあぐねる。
まあ。なんとまあ幸福な。

日曜の夜にはぐったりひたってなんとか自分の中で
(かたちにならないまでも一応)醸成して、
ゆるゆるとネットの海にひろがる感想とかさざ波を
追いかけてみたり、のまれてみたり。たのしい。
30年前には、これ「文通」でやっていたんですよね。
「投稿」でやってる人もいました。
なんともひそやかでのどかな時代でありました。

まとめきれずにざわざわしているうちに
周回遅れになってしまうので、
なかなか『真田丸』の感想が書けなくてもどかしい。
でもまあ、意欲だけでも記録しておこう。おこう?
(わかるひとだけわかってください…)
こんなにも面白くてやるせない大河があったでしょうか!

高校の修学旅行で、松本に宿泊しました。
永平寺>兼六園>(富山泊)、翌日黒部ダムから松本へ。
はじめてみる高い高い山なみに囲まれる風景の不思議さ。
同じ山地でも、九州の九重や阿蘇は、空に向かって開いている感じがする。
信州の山々は、もっと厳しく道を隔てて存在する、
それでも意地悪なところのない印象。
あくまでも純粋に険しい、障壁のように思えました。たぶん。

もう30年ちかく前だから、自信ないけれど(本日二回目)
その印象を確かめに行ってみたいなあ。最近の秘かな願望。
ここまで盛り上がっているからには
『大河ドラマ館』に行ってみちゃおっかな、
と言う気持ちとずっと綱引き。新幹線も乗ってみたいなあ。
東海道山陽新幹線しか知らないので、それだけでもわくわくしてしまう。

これから出るまんがのおぼえがき

宝石の国(6) 9/23

宝石の国(6) (アフタヌーンKC)

市川 春子/講談社

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そろそろ真面目におさらいしようと思う。
ややふりおとされ気味。

あかぼし俳句帖(4)

あかぼし俳句帖 4 (ビッグコミックス)

有間 しのぶ/小学館

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うっかり!! 8/30発売してました!
ヒロイン目当ての赤星さんがどんどん俳句の楽しさに
目覚めてゆく様子がたのしくおかしくほほえましい。
しかしあくまで真剣に創作。

3月のライオン(12) 9/29

いろいろもったいない印象。
将棋まんが、とみるのか、将棋少年じしんの成長ものなのかで、
評価が分かれるところかな。
なのでこの表紙は、やや不安になりがち。
アニメや映画も控えているので、その辺の事情も絡んでいるのでしょうが
内容がガッツリ硬派だったらいいなあ(願望)

なに食べ と そろそろ!! そろそろ『プ~ねこ』の新刊を!!(涙)
直近の単行本が2013年ですからして。

こちらで『プ~ねこ』一話の試し読みが出来ます→
(1巻が2005年1月なので確実に10年以上前になりますが)

こちらはものすごくたのしみ。11/12公開。



劇場数が多くなさそうなので気をつけましょう>自分

冒頭の、駅名のアナウンスの響きからして見事。
呉 の、発音に緩やかな郷愁。
(短い間ですが、広島に住んだことがあります)
広島ことばの、ややゆっくりした速度、独特の抑揚。
のんさん(元能年玲奈さんと言えばいいのか)の
透明で素直な、華美さのない明るい声。

原作も素晴らしかったので、
期待するのがこわかったのですがおもしろそう。

※一部表現を改めました。いろいろヒドイ間違いが(恥)


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by chico_book | 2016-09-13 01:48 | Comments(4)


ねことか本とかまんがとか、と言いつつ映画にじわじわ圧される幸福


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