そういえば青と金色はまさに彼の人の色
芸術の秋と言うことばにはいまひとつ納得しかねておりました。ながいこと。
たとえばスポーツの秋、これはわかる。
夏の暑さがおちついて、汗をかくにはいい季節だもの。
ごはんもおいしいし(違)
でも読書の秋と言うけれど、個人的には読書シーズンは年中だし、
『新潮文庫の100冊』の刷り込みもあって、
長い夏休みに腰をすえて本を読むと言うのはすばらしい夢想。
そんな夏休み、とれる身の上ではないけれど。
しかしその言葉を実感したのは関東に来てから。
より正確には、秋の東京の、ぱりっぱりに乾ききった突き抜けるような青空に、
すっくと居並ぶ黄金の鉋屑をまとったような銀杏並木を目にして以来。
ははぁ、なるほど、これは秋は上野に行くのが正解でしょう、と思った次第です。
そののち不忍池とか知るようになって、四季折々の上野のよさにも気づきますが、
やはり青空と金色は『威容』と言ってもよいでしょう。
それもあってか美術館がどこもかしこも全力投球の秋まっただなか。
さまざまに趣向を凝らした企画がメジロ押し。
※音声が出ます
田舎町で育って映画や展覧会に行くこと自体がめったにない
『非日常』
だった過去をもつ身としては、やはりなかなかにうれしいけれど、やや振り回されがちなのも事実。
だって週末って2日しかないのよ! 最大でも月に5回・・・!!
「ええ!? たったそれだけ? 」
※うしろの画面は、サッカー中継が映っていた模様
まあそんな思いを抱きつつ、ふらっと立ち寄った横浜そごう美術館で
ベルサイユのばら展(10/14で終了しました)
を 見てまいりました。自分でも思いがけず。
本当はそごうの別フロアにあるLOFTに、なぜかここでしか見かけない
(けどお気に入り)のメモ帳を買いに来たはずなのですが、
凛凛しいオスカル様ポスターの波状攻撃に吸い寄せられるがごとく、
ふらふらはいってしま雨こ世に相成りました。
『マドモアゼル(違)、素直におなりなさい』
なんというジェローデル…なんてことはさておき。
会場内は 【ちょうどにぎわっている】 と言うくらいの人出。
ある意味ちょうどよいかな。
ストーリーが追えるような親切展示なので、おなじみの人もいちげんさんも
懐かしさに感涙、なひともみんなでたのしくすすみます。
読みふける人も目当てのシーンに立ち尽くす人も、
なめるように鑑賞する人も、本当にさまざま。
大事なシーンは、大きく印刷されてて垂れ幕のように
天井から下ろされているので目安にもなるし、安心。
私は、内容が一応頭に入っているので、前後しながらの進行。
(それでも10年近く前に読んだ文庫版ですが)
なつかしがり世代の女性客がやはり多いものの、
意外や若いカップルさんとか、おつきあいでこられたのか
『アンドレって執事とはどう違うの? 』
と、同伴の方に質問する男性(もたぶん同世代)もいて、
客層はあくまでバラエティ豊かで、概ね和やか。
それにしても、作品の展開の早さには驚きました。
週刊とはいえ、連載期間がたった2年とは・・!!
その間にマリー・アントワネットの人生を描きつくしたなんて、本当にすごい。
(もちろんオスカル様も同様ですが架空の人物なので、
史実との兼ね合いを思うとやはりここはアントワネット様の名前を借ります)
さながらダイジェストばりのスピード展開なのに、
細やかな感情の肌理、群像劇としてのそれぞれの思い、
激動する歴史とそれにつれてのや登場人物たちの変化・成長がばしばし伝わってきます。
40年前の作品とは到底思えない、原画の鮮やかさみずみずしさ。
そう、とてもみずみずしいんです。
ほとばしる情熱が蒸気のようにしゅうしゅう言うような、
作者の思いがつぶとなってしたたりおちるような、
そんなすばらしい原画をとにかく大量に目にすることができてとてもシアワセでした。
この伝える力、説得力を才能というのかしら、などと思う次第。
そして今更いうまでもないことですが、とにかく華麗で豪華で華やか・・・!!
(華ばっかりでも、これはもうしょうがない)
今更『ベルばらが華麗』なんていうのも恥ずかしいのですが、
それでもやっぱり言わずにおれない。
まさに豪華絢爛。それでいてシビア。でも細かいギャグもちょこちょこあって
(「引っ込んでらっしゃいブス!」と言うセリフの衝撃)
まさにバランスのよい大作。どまんなか。
私はアニメにかろうじて引っかかった世代ですが、
引っかかることが出来て幸運だったと思います。
アニメの資料も多数展示。
アニメは、漫画と違ってたくさんのスタッフが絵を描くためか、
細かい指定を読むのがたのしいです。
オスカル様の瞳や、首もとの紋章(ではないと思うのですが、なんというのかわからない)
の色の指定などが、とても細かく指定されていて興味深かったです。
そうか、アニメの絵はみんな同じサイズの紙に書くから
『このサイズより大きいときは必ず星を飛ばすこと』
と言う指定が成立するのね、つまりそこは間違ってはいけない大事なポイントなのね、と。
あと、ばあや(アンドレのおばあちゃん)がルイ16世より
(少しだけですが)背が高かったなんて知りませんでしたよ。
あまりにも衝撃的だ!! たかが身長ですが。いやもちろん。
シュテファン・ツワイク マリーアントワネット
※複数あるようですが、私は岩波版で読みました。
私はこれを作品としてのベルばらのことは意識せずに、
普通に歴史物に対する単純な興味で読みはじめたのですが、
あまりにもそっくりなのでおどろきました。
もちろん『ベルばら』の素養(?)がなければ、
そもそも手に取らなかったかもしれませんが。
のちに作者・池田理代子氏が、本作を読んだことが
『ベルサイユのばら』執筆のきっかけになったと聞いて、納得しました。
アントワネットと言う子供が子供のまま、
政治と世界の中心にぽつねんと放り出されたのち、
いかにして自分をつくりあげ、戦い抜いたかが、克明に記してあります。
もちろんオスカル様もアンドレもロザリーもいませんが。ジェローデルも。
とにかく作者の
「この! この人間の物語を俺に語らせてくれ!!」
という情熱に、読んでるうちに巻き込まれてしまいます。
※ちなみに好きなエピソードは「ヴァレンヌ逃亡」です。
君ら真剣に逃げる気あるのかい? と言う浮世離れぷりがなんとも脱力。
脱力しながらも、この危機感のなさがリアルでやるせなくなる。
宝塚版の衣装や、いろんな漫画家さんの描いた『ベルばら』色紙も展示。
なかなかに見応えありました。あーおなかいっぱい!!
結局目当てのメモ帳は『現在取り扱いなし』で残念でしたが、
充分楽しめたので満足満足です。
あとは年内の美術展と映画にどれだけいけるかスタンプラリーのように検討中…。
「数少ない休日なのに、それでも私を置き去りにすると言うのね。よろしい。」
「それでは、この私を倒してから行きなさい!! 」
「さあ!! 」
by chico_book | 2013-10-16 02:31 | まんが | Comments(2)
今日町田康さんの「猫にかまけて」を読み返していたのですが、ココアさんとちこさん何か似てますね。
話は変わりますが、猫がいっぱいいるスポットに遭遇しました。
箱根に出かけた際、芦ノ湖の湖尻駐車場で営業部長とか役職のプレートを首から下げた猫がいっぱい寄ってきまして。
どの猫も警戒せずのんびり日向ぼっこしたり遊んだり寝転がったり。抱っこも全く嫌がらず。
ボート屋さんが面倒みていてその宣伝で首からプレートらしいのです。猫が可愛そうという意見もあるかも知れませんが、見た感じは平和に楽しそうに暮らしているようでした。
結構知られているみたいで、箱根 猫くらいでも検索するとヒットします。もし箱根方面お出かけ(姫がまた置いて行く気?正気なの?と仰るかも)などあれば寄ってみて下さい。
それでは今後も楽しみにしています。
ちこにゃんがココア姐さんに似てるなんてありがたいお言葉・・・。
ココア姐さんの、大姐御ぶりにはいまもうっとりです。
ちこにゃんがもし年下の男の子にゃんと一緒に暮らしたら、
あんなかんじになるのかもしれません、とは、ときどき夢想しますが。ふふ、きっとこれもばれたらおこられます。ちこに。
猫は男子のほうが)ほがらかで、女子のほうがきむずか・・いや、こだわりが強いような話をよく聞きます。もちろん個体差も大きいんだろうけど。ちこはむつかしそうだなぁ。気が強いけどびびりさんだし。
ご紹介の箱根のねこさん、さっそく検索しましたよ!!情報ありがとうございます。
営業部長さんも、営業課長さんもいました!すっごくいろんな子がいてにまにましちゃいました。
入りたいときにおうちに入れて、人懐こい子がみんなにかわいがられる様子は、ただそれだけでうれしいですねー。
神奈川のねこスポットといえば、江ノ島が有名ですが、嫌なことされない自信に満ちている猫ちゃんの優雅さはやはり格別です。
ああ、思いきり仲良くして、あとでちこにめいっぱい怒られたい・・・(変態)