日曜ごとのお目当ては本(後編)

大草原の小さな家シーズン 1 DVD-SET 【ユニバーサルTVシリーズ スペシャル・プライス】

ジェネオン・ユニバーサル



NHKでドラマも放映していたこともあり、超メジャーな作品だと思うのですが、
とにかく誰も借りていなかった。ただひたすら私だけが延々と借りては返し借りては返し。
どうしてみんな借りなかったのか不思議。
もしかして寡占状態すぎて遠慮させてしまってたのかな、といまさら考えたりします。

原作はテレビドラマとは結構似て非なるもので、その違いもなかなか面白いのですが、
原作シリーズ9冊そのものも、それぞれに趣がすこしずつことなります。

原作既読の方はご存じでしょうが、主人公一家は実はかなり場所を転々としています。
最初は五大湖そば、ウィスコンシンの森の中に「小さな家」を構えているのですが
(そこは親戚も比較的近くにいて、クリスマスの時などに交流があります)
新天地を求めて一家は南に移動。まさに独立、開拓の旅に出ます。
ミシシッピ沿いに南下してカンザス州に居を構えるのですが、
インディアンテリトリーとの概ね政治的理由により、そこから出てゆくことを余儀なくされます。
その後、ミネソタ(プラムクリーク)からさらにサウスダコタへと移住するのですが、
このあたりで「幌馬車で未開の原野を進む独立の旅」から
鉄道敷設で街ができてゆき、自給自足をベースとしていた一家の暮らしが
だんだんと経済の流れに順応してゆく様子が興味深く読みとれます。

インガルス一家の物語
※福音館書店のHP です。シリーズ前半5作の紹介です

父さんは開拓と冒険が好き。人のいない、見知らぬ地平に胸を熱くするのですが、
街の発展と、結婚前に教師をしていた母さんの「娘たちには教育が必要」との主張
(そして『子どもの教育をおろそかにしない』と言うふたりの間の約束)との
かねあいもあり、定住することになります。
『大草原の小さな街』はちょうどその頃の物語。主人公のローラは14歳。
大きな森を出たときには5歳で、トウモロコシの芯に布を巻き付けた人形が宝物だと言う子どもだったのに。
ローラはいまや街でシャツ仕立て屋さんでお針子をして家計を助けたり、
黙って前髪を切って流行の髪型にして両親に微妙な表情をされたり、
流行の雑貨である優雅なデザインのネームカードをわくわくしてつくってみたりします。

息苦しいコルセットや流行のフープに頭を悩ませつつも
『流行のかっこうをしないわけにいかないのよ』
と、ため息まじりに妹に愚痴ってみたり。すっかりおねさんになって・・!!そ
ついにはのちに夫となるアルマンゾに
「帰り道、家まで送ってもいいですか」
と、なんともジェントルな提案をされたり、それをおずおずと受け入れたり、
彼のすばらしくうつくしい馬でのドライブに誘われて、どぎまぎしたりしているのです。
あらまぁ。すっかり大人になって(二回目)。

学校に行くのはいや、街での暮らしは人が多くて落ちつかない、
あてどないけど冒険に満ちた旅と草原の生活が好きなローラが
はじめてふれる華やかな社交生活に、おなじようにわくわくそわそわする様が、
生き生きと伝わります。
そしてなによりも興味深いのは西部開拓時代のさまざまな風俗。

懐かしい友人に会うような気持ちで、図書館で見つけた本を一気読みしたのですが、
あえて『インガルス一家の物語』シリーズ中の、本作を取り上げる理由は

ねこのキティが大活躍するからです!

以前はブラックスーザンと言う猫がいて、ねずみ対策になんの心配もなかった一家ですが、
ねこのいない今、ネズミやら地リスの被害になやまされています。
特に地リスは畑にまいたた種とうもろこしを片っ端から食べてしまうし、
ねずみの被害は食糧はおろか、家具家財にまで至るほど深刻。
本文に特に記載はないけれど、たぶん衛生的な問題だってあるはず。
ついには寝ている父さんの髪の毛をネズミが食いちぎるというとんでもない事件まで発生します。

ああ、ねこがいればなあ。そんな折、知人の元にねこが列車で東部から届いたという噂が広まりました。
少し前までは、幌馬車でトコトコ移動していたのに、今やねこだって鉄道で来るのです。すごいなあ。
しかもそのねこが妊娠しているらいとな。
とうさんはすかさず子猫を手に入れる算段をつけます。
4匹うまれた目もあいてない子猫を(!!)一匹50セントでひきとってきました。
「まさか父さん、このねこに50セントも払ったんじゃないでしょうね?」
※ちなみにローラのお針子の日当が一日25セント昼食付※

目を丸くしてローラは言いますが、とにかくねこは必要で、
うかうかしているとほかの奴にとられてしまうんだと言うのが父さんの主張。
こんな小さいねこ育てられるかしら、と家族全員で心配しながら、
小さなスプーンでミルクを与え、ふわふわの寝床を用意して見守ってゆくことになりました。
その名前がキティ。シンプルでかわいいですね。
日本語でいうとにゃー子ちゃんとか、そんなかんじ?

現代では一般に牛乳をねこに与えるのは推奨されていません。
ねこが消化できない乳糖を含んでいる、と言うのがその理由だとか。
でも個体差があるみたい。ねこに牛乳を与えるシーン、よく見かけますよね。。
岩合さんの番組でもありました(ブルガリア編。12/27再放送予定
百姓貴族でも
「牛小屋のねこたちはしぼりたてミルク飲んでみっちみっちぱんぱんつやつや」
な記載があったと思う(手元にないので、記憶違いだったらごめんなさい)
人間でも、牛乳でおなかゆるくなりやすい体質とかありますしね。
あくまでケースバイケースと言ったところでしょうか。

百姓貴族 (1) (ウィングス・コミックス)

荒川 弘 / 新書館



ともあれ、このキティというねこのあまりのすばらしさに腰が抜けました。

青としろのまだらのある子猫。産毛はたばこの煙のような青だとのことで、
アメショのシルバーっぽい姿をついつい想像してしまうのはやや出来すぎかもしれませんが、
まだこどものうちから期待以上のハンターになります。

はじめての狩りは、なんと自分より大きい大人のネズミ。
ハツカネズミとかそう言うラブリーなネズミではなく、なかなかに面構えが立派な
どぶねずみ系を想像してみるとすごい光景です。おののきます。
ようやくよちよちとはね回るようになったばかりの「ふにゃふにゃの」こねこ(一ヶ月ころと勝手に推定)
に捕まえられた大人のねずみは、身をくねらせて何度もこねこにガブガブかみつきます。ひいい。
そのたびに悲鳴を上げながらも、決して放さないキティ。

貴重なねこの危機に、ほうきを持って介入しようとする母さんにしたがいながらも、
「手を出したくはないわ。あんなにがんばってるのに、これはキティのはじめての闘いよ」
と制止するローラもすごい。
それでも、ねこをねずみから放そうとした、まさにその瞬間。
以下引用
ネズミに飛びかかって、前足で押さえつけ、ネズミにまたかまれると、ギャーッと叫び声をあげた。そして、小さな歯でネズミの首にがぶっと思い切りかぶりついた。ネズミは金切り声をあげ、それからぐったりした。子猫はたったひとりで闘い、ネズミをやっつけた


なんとも見事なハンターっぷり。
その後、傷跡をやさしくお湯でぬらした清潔な布で拭き、
ちっちゃな鼻とふわふわの頭をなでてほめる様など、
60年前の物語をこの臨場感で語る作者(発表当時74歳)もすごい。
そしておそらく相当のねこ好き。
こねこが
「ほそいしっぽをぴんとたて、しずしすとあるく」
と言う一文だけで、私の胸は熱くなります。

その後すくすくと成長して、
『すっきりした青と白のまだら模様に、ほっそりした体、長いしっぽのとてもきれいなネコ』
に成長したキティは、家族以外の人間がなでようとすると、
歯をむき出して(ああ、想像がつく)飛びかかってひっかこうとする強気なねこになります。

犬をけしかけれられると(西部開拓時代って・・・!)犬が吠えてる間はすまして座っているけれど、
とびかかってくると、すかさずその背中に飛び乗ってつめをグッサリたてるのだそうです。
そして、驚いた犬が走り出しても悠然と背中にまたがったままのキティ。すごいなキティ。
そののち家からだいぶ離れたところまでくると、ひょいと飛び降りて
「尻尾をぴんとあげてゆうぜんと歩いて帰ってくる」
のだそうです。
ううむ、これはさすがに武勇伝ぽい気がしなくもないけれど、すばらしいですな。
忘れられない猫になっても不思議はないですね。
そしてやはり作者は相当な猫好きとみた。盛大にばれてます。
キティがアメリカンショートヘアーかどうかはさておき、
西部開拓時代におけるねこのあつかいとか立ち位置とか、いろいろ興味深いです。
※ちなみにアメリカンショートヘアーは一般に陽気で遊び好きで人なつこいけれど、
だっこが苦手(自分からいくのは別)で狩りが大変に得意
な品種とされているそうです。

それにしても青い色のねこ、というと、ドラえもんのような青を思い浮かべがちですけど、
タバコの煙のような青、と言うことは青みがかったグレー、
やっぱりシルバータビーやシャムねこの色合いを指すんでしょうね。
このときも思ったけど、ねこの毛色の英語表記って面白い。
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by chico_book | 2013-12-09 03:23 | | Comments(0)

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