2014図書館まつり(個人的に)開催中!!

横浜市立図書館で、一回に貸し出し可能なのは6冊。
少し少ない気が(今でも)するけれど、ただでさえ強欲できりがないので、程よいのかもしれません。

今年は図書館を活用しよう! という自分キャンペーンを展開することにしました。
目標。頑張ります。

「赤毛のアン」の秘密

小倉 千加子 / 岩波書店



フェミニストである小倉千加子氏が赤毛のアンをどういったきりくちで、
という軽い気持ちで手を出しましたが、一気に読み終えました。
ふっと手に取って、があっと読み終える。ある意味図書館本の醍醐味。

赤毛のアンの作者・モンゴメリが、実は朗らかで家庭的な幸福に満ちたアン・シャーリーとは
全く異なる人生を送っていたこと、どういう問題を抱えていてそれが作品にどう反映されていたか、
そしてその作品が何故戦後日本の少女に熱狂的に支持されたか、についての本。

面白かったです。そして基本的に非常に納得。
『赤毛のアン』で、アンを庇護し愛する男性であるマシュウが死に、
アンが自己犠牲である選択を『自ら』選び、
入れ替わるようにギルバートがアンの人生に登場することを前から興味深く思っていたので、
そのあたりに言及してあったらいいな、くらいの軽い気持ちだったんですが、
いやいやどうして、そんな軽い気持ちですみませんと謝りたくなるほどの掘り下げっぷり。
特に最後の章で、戦後日本の少女たちがどうしてアンに熱狂したのか、は、
一気呵成に畳みかけられる面白さでした。

「本好き女子はほぼ間違いなく『赤毛のアン』は読む」
(はまるかはまらないかは別にして)
という世代の私としては、『赤毛のアン』を読まない世代の人はこれをどう読むのかな、
というのが気になります。

最近読んだ小倉さんの本が(比較的軽めの)本だったのでちょっと油断していました。

醤油と薔薇の日々

小倉 千加子 / いそっぷ社



全面同意というわけではなく、ちょっと筆が走りすぎ(こじつけ気味)では?? 
と思うところもあるのですが、面白い切り口でした。
モンゴメリがちょいちょいのぞかせるシニカルな部分が気になる人はどうぞ。

まともな家の子供はいない

津村 記久子 / 筑摩書房



津村記久子まつりも開催中。
職場での本読み仲間さんに『ポースケ』を進められたのですが、新刊ということもあり60人待ち。
まあしょうがないよね。というわけでこちら。

居場所のない中学生の心情を、胸に迫って読んでしまう自分が気になる。
いつかどこかに行ける、と、空を見上げていた頃を思い出すからか、
あるいは居場所のない中学生の、親たちの更に行き詰まる気持ちにシンクロしているのか。

やっぱり私の中で、津村記久子は有間しのぶとなんだかシンクロします。
かるみと苦みとくるしみ、そのなかでふっと息をつくことができる、
それだけのことのありがたさとか、そこを踏みしめる力強さとか。なんだろう。

生きのびるために必要なことって何だろう、と思いながら読んでしまう。
いつになっても、いくつになっても、なかなからくにはならないけれど、
それでもそれなりにたのしいこともあるよ。よね。そんな気持ちになる。

そしてもう一つの目標 『早寝』 については、この体たらく。
ていたらくというしかないですな。
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by chico_book | 2014-01-28 02:16 | | Comments(7)

Commented by momo at 2014-03-11 02:50 x
はじめまして。
たまたま覗いたブログに突然コメントを送る失礼をお許しください。
ここで紹介されている「『赤毛のアン』の秘密」を以前読みましたが、そのときの私の感想とこちらの感想が全然違うので驚き、コメントしたいと思いました。
私には、この本は、筆者が自分のフェミニストとしての意見を発表するために「赤毛のアン」という人目を惹くコンテンツを利用したもの、と見えました。
作者の私生活がどうだったとしても、作品に対する感想は変わりません。作者と作品は別物ですから。それに、筆者が小耳に挟んだだけの「自殺」の話を、事実にすり替えていくところにも違和感がありました。
全編を通じてこじつけが多く、感情的で、非常に薄っぺらい印象の本でした。
筆者がフェミニストとしての意見を披露したいのならば、何もモンゴメリを利用しないほうが、ずっとよく伝わったのに、と思います。
Commented by chico_book at 2014-03-11 23:59
momoさんはじめまして。コメントありがとうございます。とてもうれしいです。
そうですね、最初に小倉さんの『フェミニストとしての視点』がベースにあって、モンゴメリと、それに熱狂する(主に日本の)女性たちへの分析からはじまったのは確かだし、モンゴメリを(自説の為の)素材として扱ったというもその通りだと思います。そういう意味では、ちょっと意地悪い立ち位置の本ともいえると思います。
 恐らく最終章での、GHQ主導での『良質な家庭文学の普及』をまっすぐに受容した『戦後日本の少女たち』が、男女平等の教育の機会を(ようやく)得ても、その成果を社会に反映できなかった時代と、英連邦と自治領カナダの関係の奇妙な符合、敗北者としての男性マシュウのくだりが筆者の一番書きたかったところだと思います(図書館本で、すでに手元にないので差異がありましたらご容赦ください)実にフェミニスト的に筆に力が入っていたように思います。

※すみません、続きます
Commented by chico_book at 2014-03-12 00:00
※続きです

私は以前から、モンゴメリの作品で散見される(「自由を求めるだなんて、ヤンキーみたいなことを言わないでおくれ」というリンド夫人や、エミリーブックスのミスロイアル)アメリカへの印象やフランス人(こちらは農場の雇人という印象があります)、そして『アンの娘リラ』での第一次大戦に志願兵となるアンの息子たちが『老いたる白髪の母(宗主国イギリス)を見捨てるわけにはいかない、我々は若獅子だ』というセリフなどが印象に残っていました。その点で、当時の社会情勢やモンゴメリの政治的な立ち位置をいろいろ知ることができて興味深く、面白く読みました。なので、ちょっと点が甘かったかもしれません。
著作物以外の、モンゴメリ本人の評伝などを、実はほとんど読んだことがないので、これからいろいろ読んでいくと違った感想になるかもしれませんね。そういう意味でも、幅を広げていきたいと思います。私としては、よいきっかけになった一冊でした。長々とすみませんでした。
Commented by momo at 2014-03-12 12:53 x
私こそ、人様のブログに突然やってきてすみません
ただ私は、この本の「上から目線」と「決め付け」がとても気になったのです。筆者は、赤毛のアンのように少女っぽいもの、かわいらしいもの(実際はそれだけじゃありませんが)を好きな女性は能力も意識も低い人、と位置づけているようです。また、きちんと調査した結果からの考察ではなく、ほぼ筆者の直感だけで進んでいく点も気になりました。
アンシリーズにはよく「野心」という言葉が出てきますが、これは「仕事をしてお金を稼ぐようになりたい」ということではなく、「人として高みに上りたい」という意味だと思っています。「赤毛のアン」の最後で、アンは進学を諦めますが勉強することを諦めていませんし、続く2巻では、」アラン夫人が「大学はそれ(生きること)を楽にしてくれるだけ」と言っていますし、アンの夢は、現代のフェミニストの「仕事も、結婚も、子供も」という価値観とはまた違うと思います。
Commented by chico_book at 2014-03-14 01:34
MOMO様、重ねてありがとうございます。モンゴメリのお話ができてとても喜んでいます。とても興味深いご指摘ありがとうございます。

たぶん小倉さんはアンにもモンゴメリにも思い入れはなさそうですね。そしてアンに熱狂して、プリンスエドワードを訪れる日本人女性にはかなり冷ややかな(ぶっちゃけ馬鹿にしているとも言える)論調だったと記憶しています。さらに、アンは「居場所を見つけてコミュニティに受け入れられてゆく物語」で、トム・ソーヤーのように世界を切り開くものではない、という流れがあったと思います。
その論自体に異はないのですが、それを根拠に『(チャレンジングな)トム>>>(閉じこもった)アン』という展開には、私も違和感がありました。ちょっと言い過ぎというか、こじつけ気味に思えます。アンの世界を評するには、筆者の論調では時代感覚の配慮に欠けているという点には同意です。

※続きます(いつもすみません)
Commented by chico_book at 2014-03-14 01:42
人生を豊かにすることについて、モンゴメリは真剣に描いていますよね。私も『アンの愛情』終盤、レドモンド卒業を控えたアンと学友たちが
「大学で学んだことはラテン語や幾何などではなく、人生をいかに豊かに実りあるものにするかという姿勢」
と語るシーンを思い出しました。のちに良き家庭婦人として充実した生活を送るアンと対照的に、徹底して「芸術」を志し、作家としての成功にこだわり続けたエミリー、でも、モンゴメリはふたりとも同じように強い思いを込めていたと感じます。そこに優劣をつけるのは、確かに乱暴ですね。

その観点は読み飛ばしていたので、今回のコメントをきっかけに考えることができて嬉しいです。重ねてありがとうございます(ぺこ)

「教育を受けて教養を身につけたその結果」が「家庭生活をうつくしく、人生を豊かにする」ことに直結していた戦後の日本のごく短い時代の少女たちと、アンの物語が見事にリンクして、しかも対象に受容された、その経緯はやはり興味深く思います。このあたりの分析はフェミニストの面目躍如、といった感もあるので惜しいですね。両方バランスよく入れるのはやっぱりむつかしいのかな(フェミっぽくなっちゃいました(汗))
Commented by chico_book at 2014-03-15 22:33
※かさねてすみません。MOMO様ではなくmomo様だったのに。。。大変失礼いたしました。
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