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まんがに描かれるソウルフード(冬)

私にとって郷愁のメニュー、しかもこの季節といえば圧倒的に

ちゃんぽん もしくは 皿うどん でございます。

福岡ではちゃんぽん麺とちゃんぽんスープを、それぞれ小袋で売っていました。
麺も2-3袋で100円くらい、スープは一食分40円だったはず。
豚こまとか野菜のはぎれとか、かまぼこがあれば本格派!! 
おまけに狭い部屋中がホカホカあったまる、そこに胡椒をたっぷりかければいうことなし。

そんななんだか素朴な懐かしさを感じる味。

実家にいたころも、ごくたまにある店屋物はちゃんぽん率が高かった。
しかもなぜか出前ではなく、食堂に『どんぶりを持って』取りに行きました。
『7時頃行きますね』
と伝えておいて、丼持参で車で行くのです。今思い返すとなんだかシュールなふるまいですが。
当時子供の私は、岡持ちも当然ないので、車の中で家族四人分の丼を支える係。
もしかして配達エリアじゃなかったのかな?
(でも車で5分くらいだった。配達をしないお店だったのかもしれない)
詳細はよくわかりません。

その街では「ちゃんぽん」で有名だったその食堂は、スープがこくがあって甘いのにさらっとしていて
キャベツや玉ねぎの甘さとの相乗効果で、もりもりシャキシャキの野菜、
もちもちの麺のバランスがとてもよかったです。多分に想い出補正ありだけど。

そんなふうに、ラーメンといえばとんこつ、ちゃんぽんはどこでも当たり前にあるメニュー、
という環境で18年を過ごしたのち、受験の為に東京に来た時のこと。
世田谷の親戚のうちに、同級生となんとなんと二週間近くお世話になりました。
(よくもまあそんな長々と。いまにして思えば不思議でならないのですが、
そのあたりは大人が段取ったのでやっぱり詳細は不明)

そこで到着した日のおひるごはんに出てきたのが
チキンといえば、の、ケンタッキーと、チキンフィレサンド。
いまにして思えば高校生への配慮の感じられるメニューで、
ありがたく心にしみるわけですが、その当時はただひたすらびっくり。

いやだってケンタッキーのない街に住んでたし!
唐揚げやさんはたくさんあって、
『6時に2キロ。骨なしと骨あり1キロずつね』
と電話でオーダー、やっぱり車で取りに行くというのが、たまのごちそうで、
唐揚げは充分においしかったけれども、さすがにケンタッキーの存在を知らないことはなかったけれど

『それをテイクアウトしておひるごはんにする』

という行為が、なんだかまるで想定外だったんですよね。
やはりJRで1時間くらいかかる街にしか、なかったからかな。
ミスドをお土産にするのは全然珍しくなかったのに。なんだか不思議。

※ちなみにWIKI先生によると
大分県北部は唐揚げ文化が根付いているのでケンタッキーが定着しづらい、
という説があるそうです。うまくリンクできなかったので、以下引用。
wikipedeiaの日本ケンタッキー・フライド・チキン『地域性』より

大分県

大分県北部地方では「中津風」と呼ばれるにんにく入りの調味液に漬け込んだ濃い目の味付けのから揚げを好む食文化があり、唐揚げ専門店も数多く営業している。 ケンタッキーは1990年(平成2年)にJR九州の子会社であるJR九州ファーストフーズがフランチャイジーとして中津市郊外にロードサイド店舗を開店したが、売上不振により1995年(平成7年)に撤退している。この撤退についてJR九州ファーストフーズは「立地場所が悪かった」という見解を発表しているが、地元では「から揚げにつぶされた」というのが定説となっている。

2010年(平成22年)4月現在、大分県北部地方では2007年(平成19年)3月に中津市のゆめタウン中津に開店した1店舗のみの営業である


いずれにしても、ひとりは親戚とはいえ、よくもまあ高校生ふたり、
二週間も預かってくれたことです。いまさらこんなところでそっと感謝。

さて二週間は当たり前ですが結構長い。
受験に来ているとはいえ、少しは気分転換も必要、ということで
友人と私は親戚宅である世田谷を散歩することにしました。

しかしそこは世田谷。しかも私鉄の各停しか止まらない小さな駅。
駅前を3分も歩けば、ひたすら続くただの住宅地。世田谷迷路が延々と。
そこに東京のことなんてなーんにもわかっていない、
ネットもケータイもない時代の高校生ふたりは、
迷子になりかけながらひたすらうろうろと歩き回ります。
(むしろさまよっていたというあたりが正確かも)

それでも若いっていうことなのか、おなかだけは確実に減り、
困ったふたりは、目についたラーメン屋さんに入りました。

ごくごく普通の店構え。小さめの入り口に渋めののれん。
ラーメンふたつ、と頼んでのち、はいよ、と出された器にしばし無言のふたり。

なにこれ。

脂の玉の浮いた明るい茶色のスープ。
見たことのない、やっぱり茶色の物体(今にして思えばシナチク)。
おそばでもないのに、なぜか浮いているナルト。
透き通った液体ごしに見える、黄色いちぢれた麺。
そして、所在なさげに添えられてる海苔。

そう。その時私はようやく理解したのです。

「チャーシュウいらない ナルトもいらない ぜいたく言わない」
ってこれだー!!



そう。それは私が、生まれてはじめて目にした『しょうゆ味のラーメン』だったんですねぇ・・・!
(サッポロ一番は別。でもインスタントラーメンといえば、うまかっちゃんという風土でした。ラーメンの具といえば、高菜とゴマと紅しょうが)

とまどうふたり。
おなかはすいてるのに、想像とあまりに違うものが出てきて箸を取りかねていると、
お店のおじさんは言いました。

「どしたの? なんか気に入らない? 」
「・・・ええと、こういうのはじめてなんで」
「なんだよ、ラーメン食べたことないのにうちにはいったの? 」
「私たち九州なんで、こういうラーメン見たことないんです」

おずおずと、しかしバカ正直に答えたわたしたちに、ラーメン屋のおじさん、
いやもうここは『大将』だね、大将は言いました。

「ああ、とんこつね。ああいう濁ったスープはね、素人が作るんだよ」
(!!!)

そこからえんえんと、確か、
・いかに澄んだ透明なスープが素晴らしいか
・それを作るのがどれだけ大変か
・濁ったスープ(豚骨など)は、戦後大陸から引き揚げてきた人たちが、
中華料理を何となく真似て、見よう見まねで作ったしろうとスープである
・味噌ラーメンも、味噌の味でスープをフォローするので同様
(個人の見解です)

という、『俺のラーメン道』についての御高説をたまわりました。

いやあびっくりした。
もしかして私が知らなかっただけかもしれないけど、
当時はいまのように『ラーメンについて自論を語る』風潮はなかったんじゃないかな。
もちろん昔から、そういうのが好きな人はいたでしょうから(実際にいたし)
たまたまめぐりあわせだっただけだと思うんだけど、
受験生が 受験の間の息抜きに ラーメン食べに入った店で
『道』を説かれるとは思いもよらなかったので。

正直、そのインパクトが強すぎて、ラーメンの味は全く思い出せません・・・・。

何となく口数少なく店を出て、振り返ったのれんの

『中華そば』

が、思いのほか胸に響きました。うわぁ、そういうことか、って。
だってとんこつスープ圏では、ぴんと来ないもの。
でもこの、日本そばと違う中華めんが、お醤油味だけど中華な味がベースの
スープに入っている食べ物は、たしかに 中華そば だわ。。。。と。
とんこつラーメンからは、どこをどうしたって出てこない言葉、『中華そば』。

まあ結局私はとんこつ圏の学校に進学するんですけども。
(友人は無事都内の学校に進学しました)

さて、現在は神奈川在住なので、ちゃんぽん麺もちゃんぽんスープも、
そんなに気軽にスーパーでは見かけません。
冷凍食品ならありますが、『ちゃんとした』たたずまい。
記憶の中のそれと違ってよそゆき顔。

ここで浮上するのが 皿うどん なんですね。

こちらは麺とスープが入った商品をスーパーでもよく見かけるうえに、
親しみやすい値段設定。おお、なんだかなつかし。

野菜をてんこもり準備すれば(それなりに)ヘルシーで、
しかもパリパリの細麺に乗っけるだけという手軽さ。
あんのからんだしゃくしゃく感がたまりません。だいすき。

でもこの冬、例年比で登場する率が高いのは(本人比)、きっとこのせい。

きのう何食べた?(8) (モーニングKC)

よしなが ふみ / 講談社



サブキャラのひとり、長崎出身の田淵君が、彼女に振られました。
別れることになって荷物を引き取りに来た彼女に
『はじめてつくってあげた料理』
がこれ。おれのふるさとの味。

あっけらかん、ちゃっちゃっとした手際で皿うどんを作る田淵君と、
元がつきたての彼氏に
『食材使い切っちゃわないと困るでしょ?』
と、キャベツの和え物をついつい作っちゃうしっかり者の彼女、
からっとしてるのにさみしい、ふたりの食卓。
しみじみ思いをはせながら、私もついつい作る回数が増え、
つくった分だけおいしくいただいております。

ノウハウ本・レシピ本として、あるいは献立のたて方、おかずの組み合わせも
非常に参考になる(そのつもりがなくてもついつい参考にしてしまう)作品ですが、
物語とその背景の心の動き、すこしずつ変ってゆく状況、いろんな変化が
(よい変化ばかりでないことも含めて)丁寧に描かれる良作です。

にしても
「言っとくけどおれ、家のこととかなーんもしないから!」
とあっけらかんと宣言し、なおかつそれを良しとして、
いろいろ面倒を見てくれる彼女を切らしたことのないタブチ君。
これが九州男児のイメージの(ある種の)代表でないことを祈る。いやなんとなく。

通販でしか手に入らないのでめったに食べられないけど、
わたしのなかではかなりのごちそう。一食420円なんですけどね。
具材もかなりたっぷり入っていてすばらしい。
はかなげなピンクのかまぼこが、ちゃんとはいっていてうれしい。

雲仙きのこ本舗 の きのこ屋のもてなし皿うどん。
 ちゃんぽんもあります。

by chico_book | 2014-01-31 03:16 | まんが | Comments(4)

Commented by チャトラ at 2014-02-02 19:26 x
チコぼんさんこんばんは(=^ェ^=)
読んでて、あ〜わかるっ(≧∇≦)♪って感じです(笑)
チコぼんさんのケンタッキー同様、
私も十代の時に福岡を飛び出して大阪の道頓堀まで歩いて10分ぐらいの所で一人暮らしをしてたんですが、初めて吉野家に遭遇し、
こんな美味しいものが都会にはあるのかと
( ̄▽ ̄)♪ (笑)衝撃を受けた事、今だに覚えています。
うまかっちゃんもまだまだ今みたいにメジャーじゃなくて、でもまだ十代だったので
うまかっちゃん=ハウス食品=全国にあるはず!絶対!
と、なんの根拠があったのか( ̄▽ ̄)
捜しても無くて、母によく送ってもらってました。
ラーメン➡︎とんこつ➡︎野菜食べなきゃ➡︎ちゃんぽん( ̄▽ ̄) ♪
このDNAは断ち切れないのかな〜(笑)
(=^ェ^=)
Commented by chico_book at 2014-02-02 21:12
チャトラさんこんばんは!! コメントありがとうございます。うれしいな。
吉野家…! 私も、驚きました。。。実家では牛丼、という食べ物が食卓に乗ったことがなくて、あまりにもメジャーだったので驚きました。そして今回「うまかっちゃん」のサイトに行って、種類が増えているのと『濃い味』がなくなっているのに驚きました…。もう何年も食べてないなあ。震災の影響で非常食として、サンポーの『長崎ちゃんぽん』を送ってもらったときはしあわせでした。
そう、とんこつラーメンはこちらでも結構進出してきてるんですよね。でも背脂ぎとぎとのとんこつ醤油を話に出されて、「とんこつってくどいよね」といわれると悲しくなってしまいます。(特に横浜はがっつり系のとんこつ醤油ラーメンのお店が多いので、おおむね女性には不評で悲しい(涙))でも、ここでうっかり語ってしまうと、世田谷のしょうゆラーメンの対象と全く同じだという…。まさにパンタレイ。
※続きます(笑)←やはり仕様でした。
Commented by chico_book at 2014-02-02 21:18
今ではずいぶん「とんこつ以外」のラーメンにも慣れて、塩ラーメンや味噌ラーメンは好きです。札幌で食べた味噌バターコーンは美味しかったなぁ。11月頭で既に3℃と、凍えるような寒さの中で熱々でやけどしそうな、のどにやさしくない濃厚な味噌スープと太麺は、体にしみわたりました。これも札幌の人にはソウルフードなんだろうなあと、しみじみ思い次第。でもやっぱりとんこつだとちょっとテンションあがるかな。私の中でのとんこつは、しつこくないというか、切れ味がよくさらっとしているという印象です(でも臭いところが徹底して臭みがあるので、それがだめ、と言われれば納得)
そこに細葱(重要)と千切りのきくらげがあっていてほしいのです(力説)!! 実は本文では高菜と紅しょうが、と書きましたが、私自身は辛いのが得意でないので、重視していません。ほっそいある伝手よりやや硬めの麺に、こりこりのきくらげと細くてしゃくしゃくのネギが絡みつくのが好き。

※あと323文字減らせと言われたので、もうすこし(涙)
Commented by chico_book at 2014-02-02 21:19
ちゃんぽんはお安くおなか一杯になって、野菜がガッツリ食べられる、というところがありがたいので、お行儀よく「オスマシ」している冷凍食品のはちょっとよそよそしいんですよねぇ。でも我慢できなくて時々手を出しますが。へへ。やはり刷り込みは抜けないものと思われます。お味噌も九州の麦みそだし☆
関西には私は縁が薄いのですが、おいしいものが多そうでワクワクします。私にとっては鯛(とかふぐとかの白身)>>>マグロなのですが、これは西日本の感覚だという説もあるし。
すみません、暑苦しくなってしまって。くいしんぼはやはり食べ物にはいつも全力。
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