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新緑の都心で、美しいものに触れる手前の話

五月の連休の有楽町と言えば『ラ・フォルジュネ・オ・ジャパン』。
気軽にクラシックを楽しみましょうというこの企画、ヨーロッパのバカンス時の
サマーコンサートのようで素敵な企画だと思います。行ったことないけど。
日本の夏には、クラシックには暑すぎるもんね、と勝手に思ったりしています。
私は、たまたま有楽町近辺を通りがかって、あまりの人出に驚いたという、それだけ。

というわけで、5/3に有楽町に行ってまいりました。目的はこちら。
三菱一号美術館 『ザ・ビューティフル 英国の唯美主義1860-1900

去年の後半から、
府中市美術館でのモリス展、国立新美術館での「印象派を超えて-点描の画家たち」、
東京都美術館でのターナー展、もうひとつ(今回と同じ)三菱一号美術館での印象派と世紀末美術展、
だめおしで六本木のラファエロ前派と来て、ようやくたどり着いたという気持ち(結構息切れしています)。
たのしい息切れだけど。これでひとまわりしたのかな。した気がしますね。

実は私、世間でとても人気の印象派にあまり思い入れがありません。
むしろ私は理解してないのだけど、どんな魅力がそこにはあるの?
おしえて偉い人! というテンションでした。
アーツ&クラフトは好きなのですが、それも雑貨好きとか壁紙、調度品、インテリア由来なので
『美術好き』とは違うように思う。
更に、アムステルダムのゴッホ美術館ではちょっと悪酔いしてしまった経験あり。
あの、これでもかと重ねられた絵具と力強いけど慟哭も聞こえてきそうな筆運びに、
完全にあてられてしまったのだと思います。ううむ。やはり相性悪いのかしら?

写真という記録方法が出てきて、『写実』に注力した美術の必然性が力を失っていった。
その結果、美術そのものが『自分にはこう見える』『この瞬間はこうだよね! 』という自分解釈、
いかにかっこよく『描く』かではなく、解釈し理解しているかを『披露』しあう場になった。
それが産業革命に支えられた新富裕層たちの勃興期にぴったり合って、
「(古臭くない)自分たちの美術ワールドつくろうぜ☆」というノリになったのかなあ、
というふうにぼんやり理解していました。すごく勝手に、漠然と。
つまり、作品<<解釈ということのはじまりが、印象派という人たち? 
そしてそれは現代アート…ってことなのかしら、とぼんやり考えていたんですね。
というわけなので今回、五月雨式ではありますが、近い時代の、しかもそれぞれに
角度も傾向も違う展覧会をさまざまに見ることができて、結果的によかったです。

上記の私の印象はそんなに外れてはいないんだけど、それ以外の要素もてんこ盛りにある。
やはり工業の発達や鉄道の敷設など、地域でなく国同士の交流が盛んになったことや、
科学の発達により色彩学が理論的に立証されるようになったことなどが、ターナー展で腑に落ちました。
モリス展では、木版印刷のパターンがインド更紗やバリやインドネシアのバテッィクの
版木(インド更紗とかジャワ更紗、が代表的かな)と縁深いことを知ることができました。

こうしてみると『あんまり好みじゃないんだよね』というものでも、
むやみに切り捨てずにいろいろとアクセスしてみると、
意外な道がつながってくることもあるのかな、と思ってしまいます。
もちろん、過ぎたるは及ばざるが如しで、手が回るというのは限られているので、
それに気をつけなくてはいけないんですけども。
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Art for Art's Sake.

会場の三菱一号美術館は、2010年春開館。
建物は1894年に建築され、1968年に解体されたものを復元したものだそうです。いま知りました。
ずっと存在していたものの再利用かと思っていました。

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作品以外は撮影可ということです。明るい初夏の陽。端正な階段。

確認をしたわけではないのですが、一般に欧米(特に欧かな)の階段の一段の高さは、
日本のそれより低くて歩きやすい気がします。
そしてこちらの階段はそれに近い印象が(雰囲気にのまれてるだけかも??)

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真鍮部分も曇りひとつない。やさしくにじんだあかり。

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窓の外は中庭になっています。通称丸の内ブリックスクエア。
こんもりした緑やささやかな噴水や、カフェのテーブルがにぎやかに並んでいます。

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新緑の陽ざし、その向こうに煉瓦積みの建物、すっきりとした青空。見事な5月。

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くれないの針柔らかな薔薇の芽(もしくはつぼみ?)
「本当にくつろげる都市の中庭」というコンセプトに見事に対応しています。よか。

※参考リンク:まちづくり観察記 vol.1 丸の内ブリックスクエア三菱一号館広場

ところでこの、曲線を多用したレイアウト、いい意味でのわかりにくさとか、
迷路のワクワク感みたいなところを狙っているようで「キャナルシティ博多」とイメージが被ります。何となく。

ところで、都心の緑化といえば、なんといってもこれ!
ステップガーデンの屋上緑化で(一部で)有名な福岡市のアクロス福岡
おそらくこちらは1995年の完成当時の画像と思われますが、
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※公式HPより

15周年の今はすっかり茂っています。アクロス山、といわれてるとか、さもありなん。


NHK-BSの『美の壺』でもとりあげられていましたが、ステップガーデンという建物の構造上
軽い材質の土壌しか入れられず、その条件に見合った70種類の植物が選ばれました。
しかし今では、200種類を超えるという多様さ。
なんとなんと、鳥が山から種を運び、ごく自然に増えていったのだそうです…。すーばーらーしい! 
福岡市の天神という都心のど真ん中に人口の山に見てしまうわ夢を!! 

ちなみに福岡空港は、ターミナル駅である博多駅まで地下鉄で2駅5分という、
素晴らしく便利な場所にあります。そしてそのために、中心地に高層ビルが建てられないのだとか。
しかしいまや、いたるところで他を圧するようなタワービルタワーマンションが乱立している
しまくっている南関東から見ると、抑制が効いていて奥ゆかしさすら感じられる…とまで言うと、
さすがにひいきのひきたおしかな。でも好きです。ちょっと落ち着いた色合いのビルが多いことも含めて。

明治神宮が、もともとは人工的に植樹された森だ、というのも本当に驚き。
やっぱり日本の風土の、光と水と温度は木材の成長にとてもよく合っているのだと思います。
ついついアイスランドにかこつけて考えてますけど。アイスランドとは、人の数が全然違うけどね。

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実際にはこの激混みぶり。美術館の素敵カフェにも長蛇の列。これはもう、どうしようもないのかな。

展示の内容でなく、場所の感想メインになっちゃいました。
展示内容についてはまたあらためるかもしれません。
いろんなストリームとの絡みが、もう少しまとまったらUPします。

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丸の内仲通りガーデニングショーも開催中。この写真は、ちょっといろいろ遊んでみました。
レトロか、ソフトキーか、なにかそんな機能。

◎ていうか今ちょっと揺れました。横浜は震度4.
ふだん地震には動じないちこにゃんも、顔を上げて固まってました。
でもこれは、カタカタいってたカレンダーをみてただけかもしれないけれど。
とにかく一緒にいる時でよかった。
ちっちゃな頭をたなごころにおさめて、安心させてもらっているのはむしろ私。いてくれてありがとう。

by chico_book | 2014-05-05 05:30 | イベント | Comments(0)

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