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憂鬱なる虚栄と小さなダイナミズムと祈りの静寂

映画の日に見た作品その2。2週間も前ですが。
『ブルージャスミン』


後味の悪さが素晴らしい。
ウディ・アレン作品を云々できるような知識はないのですが、
非常に辛辣。愛ある辛辣ではなく、淡々と辛辣。
でもそれはもとより人生が内包している毒ではなかろうか。
たいへん痛々しい物語だし、共感しているわけではないのですが、
笑い飛ばせない、うっかり共有してしまう何かが痛い作品。

花の名前つながりなのか、そのシニカルさが被るのか
(そしてその花が存在するものではないというところで、なんだかイメージが被る)
この作品を思い出しました。(『8月の家族たち』でも思い出してたけど)
アネット・ベニングすごかったなあ。
「I'm not loser,I'm not loser,I'm not loser」
と震えながら繰り返すシーンが忘れられない。



※『ブルージャスミン』は、『青いジャスミン(花)』ではなく、
『ジャスミン(固有名詞)の憂鬱』、の意のようです。
ちなみにジャスミンは一般的に黄色か白で、青い花は存在しません。
予告でもわかっちゃうのですが一応ネタバレなので色を変えますけど、
ヒロインも本名は『ジャネット』なのを、変名として『ジャスミン』を使っているようだし。
(ルリマツリを『ブルージャスミン』と呼ぶ場合があるようです。漢字で瑠璃茉莉だもんね。
でもまったく別の種類の花です)

※ちなみに『アメリカン・ビューティ』は、
過去に存在していて今は絶滅してしまったアメリカ産の薔薇の品種名で、
いまはもうなくなった、古き良きアメリカの家族像の崩壊、
とかけてるとかなんとかかんとか、公開当時に耳にした記憶があります。
が!! 
いま検索してみたらふつうに楽天で苗木を販売してたので記憶違いかもしれません。
(でもその苗木は『1875年 フランス産』とあるので別物かも。諸説あるようです。
さすがに薔薇は奥が深い)

NYでのかりっかりでピーキーなセレブリティワールドと、
そこから引っ越してきたサンフランシスコの何とも言えず
力の抜けた街の姿の、対比が素晴らしい。
サンフランシスコ大好きな街なので(私がはじめて行ったアメリカの街)
それだけでちょっと評価がプラスになります(笑)


これから見たい映画2本自分メモ。またもやドキュメンタリー。
『みつばちの大地』


なんだかものすごそう。以下公式サイトの『ストーリー』より抜粋。

マークス・イムホーフ監督は、世界中でミツバチが大量に死んだり、失踪している事実を知り、その原因を求めて旅にでる。
その旅は、スイスの山岳地方に住む養蜂家にはじまり、世界中へと広がっていく。(中略)旅の最後の地は、イムホーフ監督の娘家族のベア=イムホーフ夫妻が研究をすすめるオーストラリアである。ここでは、ミツバチの大量死がまだ始まっていない。彼らは太平洋に浮かぶ孤島に人工交配させたミツバチを放っている。果たしてこの島は、ミツバチにとってノアの方舟になるのだろうか?


7/11まで岩波ホールで上映中。

ちなみに岩波ホールの次回上映作もやっぱりとんでもなさそう。
「推薦:カトリック中央協議会広報」ですよ!! これはいかずばなるまいて!
『大いなる沈黙へ グランド・シャルトルーズ修道院』


公式サイトの作品情報より抜粋。
ドイツ人監督、フィリップ・グレーニングは1984年に撮影を申し込み、ひたすら返答を待つ。そして16年後のある日、突然、扉が開かれた。
 彼は修道会との約束に従い、礼拝の聖歌のほかに音楽をつけず、ナレーションもつけず、照明も使わず、ただ一人カメラを携えて6カ月間を修道士とともに暮らした。なにも加えることなく、あるがままを映すことにより、自然光だけで撮影された美しい映像がより深く心にしみいり未知なる時間、清澄な空気が心も身体も包みこむ。


私の中の修道院に関する知識と言えばこのあたり。

薔薇の名前 The Name of the Rose [Blu-ray]

ワーナー・ホーム・ビデオ


※ジャケットにクリスチャン・スレーターが載っているのが(なぜか)
ブルーレイ版だけなのでこちら。ちなみに我が家にブルーレイの再生機器はありません。

雨天炎天―ギリシャ・トルコ辺境紀行 (新潮文庫)

村上 春樹 / 新潮社



ギリシャ・アトス島の修道院を巡る旅(徒歩、というよりかなりハードなトレッキング)の途中で、
『いま食べたいもの』を実に精密かつ鮮やかに表現しだす作者があんまりだ。
なんでギリシャの山の中(しかも粗食続きの旅でまいってる頃)でうなぎの話なんて!
あと修道院のねこ情報も見逃せない。トルコ編ではヴァンねこも出てきます。

修道院のお菓子と手仕事

柊 こずえ / 大和書房



実家のちかくに修道院があるのは(看板などで)知っているのですが、
行ったことがないのだけれど、前から興味を持ってました。
(車で移動するしかないような場所で、私一人では移動手段がない)
そんな、日本のあちこちにひっそりとある修道院を紹介している本。
ちょっと女子趣味が強い本ですが、資料性高。

フラガ神父の料理帳―スペイン家庭の味

セサール・フラガ / ドン・ボスコ社



こちらも地元つながり。私がスペイン出身、なわけではなく、
著者であるフラガ神父様が日本で滞在した街のひとつと、私に縁があるのです。
(鎌倉のスペイン料理屋さんで、この本を見つけて知りました。びっくりした)

by chico_book | 2014-06-16 22:01 | 映画 | Comments(0)

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