映画になるとは聞いてましたが

まさかもう公開していたとは!!

映画『悪童日記』



アゴタ・クリストフ作の原作を知ったのはこちらがきっかけ。

お父さんは時代小説が大好き―吉野朔実劇場

吉野 朔実 / 本の雑誌社



大変に美麗かつ繊細、そして強靭で美しくも残酷な(ファンです)世界を描く漫画家・
吉野朔実さんが『本の雑誌』に連載している本にまつわるコミックエッセイ。
シリーズ一作目のこちらを紐解くと、初出は『1991年10月~』とのこと。
大河連載ですね。すばらしい。これからもずっと続いてほしい。
本の紹介のみならず、本の選びかた、読みかた、集めかた並べかた、あるいは本を愛する人々の話と、
本にまつわる様々がつまっています。興味のある方はぜひぜひ。
しかし大変面白い本にもかかわらず、紹介されている本のヒット率が
私としてはあまり高くないところもまた、興味深い。

そんなわけで少なくとも10年以上前には読んだはずの本作ですが、
漠然としたイメージしか記憶にありません。要はどんな話だか忘れてしまっております。

悪童日記 (ハヤカワepi文庫)

アゴタ クリストフ / 早川書房


アマゾンさん、品切れしてる場合じゃないよ!! といいたいのですが
いかんせん日本版初版は1991年。
こちらのハヤカワepi文庫版も2001年なのでなんともいいがたい。
いまのところ劇場公開数も少ないし(寂)。・・・いやいや、これからですよこれから!!

圧倒的で、不幸で不穏で容赦がなかったイメージは鮮烈に残っています。
このイメージをそのままに、思い出さないままに映画を見るのがよいかもしれない。
映画を見てから読み返すことにしましょう。そうしましょう。
決して本棚で見つからなかったせいではありません。
むしろ幸運だと思おう。見つけちゃったらがまんできなさそうだもの。
※とはいいつつ(三部作の一作目である本作はさておき)
二作目『ふたりの証拠』三作目『第三の嘘』はあっさり見つかるあたりがなんだか悔しい我が家。


こつんこつんと、手彫りしたかのように放り出された文体が
大変印象的な記憶があります。さいしょはすこしとまどったような。
のちに、本作の作者がハンガリー動乱からの亡命者で、
後天的に取得したフランス語を用いて書いた小説であると知り、大変に納得しました。

いやしかしこれは吉野さん好きだわ。映像化されると更に説得力あり。
美少年の双子・戦争で極限状態・大人に見放された子供・共有する意識とか運命・
そして舞台は大戦末期の中欧。パーフェクト。

美少年といえば、これはすでに鑑賞済。
少年というよりは美形さん、いや、美男子というべきか。



ファッションにまったくうとい私にとって、
イブ・サンローランといえば、実家に届くお中元やお歳暮の
なんだかやたらに派手なバスタオルについてるマーク、
という時代がありました。なんとも昭和なエピソード。

しかしこちらの映画は『イヴ・サンローラン財団公認作品』で、
これでもかと言わんばかりに美しい衣装が次から次へと
登場します。これはわかった。ファッションに興味のない私にもわかった。
これはまさしくゴージャスだわ。ゴージャスで美しくてエレガント。
かっこいいとはこういうことだ、という映画がありましたが、
まさにうつくしいとはこういうこと。
真とか善とかなんだかもう関係なく、ひたすら純粋に美しい。
まさしく眼福。なるほどー。これが天才デザイナーなのね!
と、大変安易に納得しました。でもこの手の映画を楽しむコツでもあるような。

天才・わがまま・繊細さん。おまけに美形。
そして天才デザイナーが天才として存分に活躍するために、
他のすべてを引きうけ、公私共に彼のパートナーとなった
ピエール・ベルジェ氏との関係も余すところなく描かれています。たぶん。
イブ・サンローラン氏について、この映画しかソースがないに断言しちゃうのもアレですが。

以下公式サイトより一部引用。

芸術家を後援していた26歳のピエール・ベルジェは、友人の紹介でイヴと出会い、すぐに恋におちる。イヴの才能に心酔したピエールは、彼の繊細な心を守ると決意し、ディオール社とのトラブルも一手に引き受け、資金集めに奔走してイヴ・サンローラン社を設立する。イヴは次々と革命的なコレクションを発表、ファッション界の頂点を極めると同時に、カルチャーアイコンとしてもその名を世界に知らしめていく。だが、孤独とプレッシャーがイヴの魂を蝕み、やがてアルコールや薬に依存するようになっていく──。


ひゃー。このベルジェ氏の活躍で、遠く日本の田舎にも
YSLライセンスのバスタオルや毛布やタオルケットが届いていたのですな。
こういう自分の近過去にピースがはまるような体験が最近多いのは
たのしいのだけれど、それだけ年を取った証拠でもありますね。

と言う訳で、想像した以上にガチンコな作品でした。ちょっとだけおどろいたわ。

そんなわけでワタクシは、この作品に大変満足しました。
上映終了後、私の前の席にいらっしゃったマダムおふたりは。
キラッキラぴかっぴかの満点!! な笑顔で、
「かわいかったねぇぇ」「ねー!!」
と喜びあっておられました。私も心の中で「ねっ!!」とたのしく同意。

しかしポップコーンの空き容器を抱えた学生さん風のカップルちゃんは
「あらいぐまにすればよかったかなあ」
「・・・うん」
と、言葉少な。危ない。思わずコントのように転びそうになりましたよ!
劇場の急な階段で、おもしろいこと言うの禁止!!

それにしてもあらいぐまがこれのことなら、むしろどういういきさつで
この映画を見ることになったのかを猛烈に知りたい。おもしろすぎる。
[PR]

by chico_book | 2014-10-08 01:03 | | Comments(4)

Commented by ゆう at 2014-10-08 11:37 x
わっはっは!あらいぐま(笑)
ほんとね、振り幅が大きすぎますよね(笑)
でも私も両方観たいので人のこと言えないかな?
悪童日記は学生のころ読んで衝撃!でした。たぶん20年くらい前。「小説」の持つ力ってすげい!と思いました。
でも私も細かい内容忘れてるんです。すごかったってことだけしか覚えてないんです。そんな小説なのかもしれない。むしろそこがすごいのかもしれないですね。きっと我々以外にもそんな人たくさんいそう。
↓親切なドイツ人あらわる!!
つ・続きを・・・つづき・・・を・・はやく・・・↓
Commented by chico_book at 2014-10-08 23:28
おお、ゆうさんコメントありがとうございます! 

かくいう私も『少林サッカー』とか『TAXI』(ベッソンのやつです)とか、大好きなんですよね。
さらにいえば、(『少林サッカー』のチャウシンチーの)『食神』というものっすごくくだらない映画が大好きなのであります。もうね、もうくだらなさすぎて『しくさーむ!!』と叫ばずにはおられんとですよ。これを見たら、浜辺で薄物をひるがえしながら漢詩を朗詠したくなります。できないけど。

なので、私も全然人のこといえないのですが、
あまりにしょんぼりしてたので、何か間違えちゃったんかな、
とか思ってしまいました。

『悪童日記』、結局家の中で発掘されました。いまぎりぎりしています。絶対映画見てから読んだ方がいいんだろうなあ、と。
が、がまんがまん。

ハヤカワepi文庫版なのですが、帯にはなんと
『ハヤカワepi文庫創刊』とあって、すごくびっくりしました。そうだったんだー。

それにしてもずらずら長くてすみません。
自分でもなに引っ張ってんだと思いつつも、
このご家族に感謝の気持ちがふつふつと湧いてきてしまって。
でもそろそろロンドンにはたどりつきたいです(希望)
Commented by Linda at 2014-10-09 00:24 x
わたしは奈良美智さんが愛読書と紹介していたのがきっかけで読みました。
昨日ちょうど悪童日記の中の一文を思い出していたところでした。わたしはいくつかエピソードが強烈に記憶に残ってます。(記憶が正しいかは不明)
映画みてみたいなー
Commented by chico_book at 2014-10-10 01:00
Lindaさんこんばんは!
なんと! ちゃんと内容を覚えておられるのですね。しかもシンクロニシティ、すばらしい!! 
そうそう、とにかく「強烈」な作品だったという記憶があります。かろうじて。

この予告、何度も見返しています。気になる!。
じょじょに映画の評判が聞こえてきはじめているし、原作読み返したくてそわそわしているので、この週末にとっとと観ることにしました。たのしみ。
とんでもない台風が近づいているそうなので、とっとと。でも実は、motoGP日本GP@もてぎもこの週末なのです。
先週末に開催されたF1@鈴鹿も台風とがちんこだったし、やれ台風だ噴火だ地震だと、選手やスタッフの皆さんになんだか申し訳ない気持ちにもなってしまいます。勿論私がしょぼくれても、どうしようもないのだけれど。

しかしこの映画、10/10現在全国で5ヶ所、関東では3ヶ所(日比谷・新宿・川崎)しか上映してないのです。涙。
今後増えるみたいですが、いくらなんでもすくなすぎるような。しかも川崎は朝8時台と22時……。いろいろ難しい面もあるのでしょうが、さみしい。
もちろん『ほかの劇場』という選択肢があるだけでもありがたい、とも、地方出身者は思います。はい。
名前
URL
画像認証
削除用パスワード