ネットの広大な海から図書館経由でわたしのもとへ

コメント欄でお勧めいただいた岸田今日子さんの本を求めて図書館へ。
ザンネンなことに、私が行った図書館にはありませんでした。とほほ。

二つの月の記憶

岸田 今日子 / 講談社



しかし、市内のほかの図書館にはあるということで予約をして、
ゆっくりうずうず待つことにしました。
そして、こちらを借りてみることに。岸田今日子さんの本ははじめて。

ラストシーン (角川文庫)

岸田 今日子 / 角川書店



すばらしかったです。ていねいできれいな言葉で紡がれる、ひんやりとしてなめらかな物語。
輪郭をなぞってみたくなるような、短くも際立った物語。
Lindaさん、ご紹介ほんとうにありがとうございます。
私が話題にした小泉さんも岸さんも、創作ではなくエッセイでの話なので、
これは本当にうれしい発見です。
こうして広がる鉱脈が、私の一部を形成する財産でございます(断言)

そしてやはりご紹介いただいたこちら。
こちらもやはり、市内のほかの図書館で取り寄せていただきました。
18も図書館があって、ありがたくもいろいろと大変な横浜市。

パリのおばあさんの物語

スージー モルゲンステルヌ / 千倉書房



『翻訳はしない』という原則を破って、岸さんが日本でも理解しやすいように
工夫された形での翻訳だとのことです。

うつくしい本です。うつくしくてふかい、静かな物語が埋まっている本です。

最近はそうでもありませんが、『かわいいおばあちゃんになりたい』ということばを、
一時期とてもよく聞きました。
私には、正直なんだかよくわからなかった。
それは目指すものではないと思うし、
誰にとっての「かわいいおばあちゃん」なのかわからない。
そんなあてどないものを目指すのは嫌だなあと思いました。
意地悪ばあさん、と、言われるよりはもちろんいいけど。

でもそういうことを口にすること自体
「素直でかわいいおばあちゃん」の道ではないのだろうなあ、
だとしたらそれはワタシにはよくわからない世界のことなのかな、
と思っていたのです。
フィギュアスケーターがジャンプを「ひゅっと飛べばいい」とか、
motoGPのライダーがコーナーを攻めるには、
「アクセルがーっと開けて、ブレーキをギュッとしめればいい」
というような、そんな感じの私には縁遠い感覚なのかな、と。

意地悪ばあさんも、かわいいおばあちゃんもどうでもいい。
ただ自分で自分を眺めたときに、無理したなぁとか、
辛いのを我慢して乗りこえたのねとか、思わずにすめばいいなあと思います。
自分の望みどおり、思うように生きたって辛いことはなくならないのだから
「我慢したこと」「こらえたこと」に比重を置くのではなく、
結果が出ても出なくても、自分の選択に納得できる形でありたいなあと思います。

わずか37Pと短いですが、何度も読み返して自分のこころに沁みこませたい作品。
タイトルのフォントも水彩の静謐なカバーにとてもよく合っていて、サイズも小ぶり。
折にふれ手にとり、読み返すのにちょうどよいと思います。
購入を検討。Lindaさん、重ねてありがとうございます。

ちょうど一緒に図書館から借りている本。

異国の客 (集英社文庫)

池澤 夏樹 / 集英社



※以下すこし長いですが、引用です。章のタイトルを併記しています。

形ばかりの仲良しごっこや、歯止めのない妥協に実効的な意味はない。次々に生じる意見の相違、利害の対立、感情的反発を撃って位の範囲内に収める。そのために普段から行き来して互いを知る。ある意見が相手方から出てきたときに、その背景まで理解するよう努める。どんな場合にも突き放さない。敵対しかねない相手を理解しようとする努力の姿勢そのものが一つのアピールである。
平和というのはそういう手間の成果だ。
-空港、街の景観、車

何が足りないのか。他者を他者と認め、その文化の価値を認めた上で自分たちの文化の価値を説明しようという余裕、言い換えればトレランスの姿勢。
 Toleranceというのはなかなか日本語になりにくい言葉だ。寛容とか寛大とか訳されるけれども、これらの言葉にはこちらが優位に立つという思いが透けて見える。罰を与えるべき立場にあるものが猶予を与えているかのように響く。トレランスはそうではない。とりあえず自分の考えをカッコに入れて、その上で相手の思想や信仰を理解しようと努める。理解できない部分については判断を停止し、もう一歩先の相互理解を待つ。その忍耐を求める。
-黄色い空、学校、宣言

だから、文明に拠って生きるかぎり、それがなし得る悪に対する抑制の仕掛けが要る。そしてそれは、結局のところ、文明を担う個人の心の中にしかないものだ。
-雪と春、ヨーロッパの記憶装置、三人の少年



2005年10月刊行の書籍ですが、いままさに読むのにたいへんふさわしい本。
『きみのためのバラ』が大好きな私にとっては、
連想が広がるようなエピソードが多くてとてもうれしい。

きみのためのバラ (新潮文庫)

池澤 夏樹 / 新潮社



文庫のデザインが、ハードカバーそのままであることも素敵。
こちらも文庫の購入を検討中。

そして、本屋さんのチラシをうっとりと眺めております。
もしも住環境とか経済状況が許すなら欲しい本、というか欲しい全集…!!

河出書房新社 創業130周年 記念企画 
池澤夏樹個人編集 日本文学全集 全30巻


全巻そろえたい! というのではなく、興味のあるものがいくつかあります。
ばらでいいから、買ってみようかなあとも思うものの、歯止めがきかなくなりそうで怖い。
なにしろとりあえず読んでみたいのが、池澤氏訳の『古事記』で
それが「1巻」なんだもの。ずるずるいきますよそれは。
でもデザインとしてちょっとファンシーすぎるかもね、と、必死であらを探してみる。

古事記 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集01)

河出書房新社



そして横浜市図書館では93人待ち…。

圧倒の3巻。これずるい。

竹取物語  森見登美彦 訳  新訳
伊勢物語  川上弘美 訳  新訳
堤中納言物語  中島京子 訳  新訳
土佐日記  堀江敏幸 訳  新訳
更級日記  江國香織 訳  新訳

7巻はちょっと当たり前すぎて驚きがないとか、暴言を吐いてみる。

枕草子  酒井順子 訳 新訳
方丈記  高橋源一郎 訳 新訳
徒然草  内田樹 訳 新訳

でも8巻のこれにはやられました。ふぉぉ・・・(のだめ)。

宇治拾遺物語  町田康 訳 新訳


その昔、やはりじたじたしまくった挙句に、手を出したのがこれ。

窯変 源氏物語〈1〉

橋本 治 / 中央公論社



20年前なことに驚く。1995年刊行。
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by chico_book | 2015-01-27 00:36 | | Comments(3)

Commented by Linda at 2015-01-27 01:52 x
ちこぼんさんの記事を読むことで思い出せたり、
知らなかったり気づかなかったことを知り、
自分とは違う視点も楽しく、こちらこそありがとうございます。

日本文学全集 全30巻、とてつもなく素晴らしい企画ですね。
帰国したときに速読術のようにできるだけ読みたいです。

ある日ふと川上未映子さんブログを読み、樋口一葉の翻訳話…はてな?と思っていたパズルのピースが埋まりました。
Commented by chico_book at 2015-01-28 00:36
えへへ、本当にありがとうございます。
岸田さんのご家族のことは、何となく知ってはいましたが、
こんなに素晴らしい文筆家の方だったとは、本当にうれしい驚きです。
しかも著作もたくさんあるので、これからゆるゆると楽しんでいくつもりです。

全集すごいですよねー。
なんとか手を出したいんですけど、
あらゆる角度から見ても出すべきでない。とほほ。

図書館の本は、カバーを切り取ってコーティングしていることが多いから、
装丁に凝っている書物だと、逆に痛々しくなっていることもあって、いろいろと残念です。
こちらの本が胴かがわかりませんが。

そういえば10年ぶりの村上春樹と読者の交流サイト「村上さんのところ」はご覧になりましたか?
ことしの秋に旅行記の出版を予定されていて、
その中でフィンランド旅行について『わりに詳しく書いてあります』とのこと。
もういまからそわそわしております。わーい。
Commented by Linda at 2015-01-29 00:43 x
「村上さんのところ」知りませんでした!
早速読み始めました。存在を知ることができてすごくすごく嬉しいです。

もしかして…と思っていたことの答えも見つけました。
やっぱりフィンランドに行かずに小説を書き上げていたんですね。

教えてくださりありがとうございます。
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