暑い季節のうたたねと本とねこ
夏が近づくと無性に眠くなる。
やっぱり今年もそう。
通勤だけでくたびれきってしまうからなのかもしれないし、
夜が短いから落ちついて眠れないからかもしれない。
草臥れる、という字面、実は結構好き。
ぎりぎりまで頑張って、草の上に倒れこむときの
ぐだぐだ感とかすかな安堵がイメージできてしまうからかな。
チクチクとほほをかすめる、草の葉先はちょっと痛そうだけど。
出来れば、さわやかな風の吹く木陰がいい。
虫とかいないでほしい(夢)。
ふ、と気づくと、ふわふわの腹毛をそよそよとそよがせる
にゃんが隣にいてほしい。
※古い携帯の写真なのでサイズが違います
セブ島の夕焼け。10年前の2月。
リゾートでは、ホテルから一歩も出ずに
過ごすのがいちばん好き。
『ハワイでもそうなの? あそこは街歩きが楽しいよ? 』
と聞かれましたが、ハワイには行ったことがありません。
実は。
ずいぶん忙しかった10年前、テレビで「うっかり」
見かけてしまった深夜2時のアニメ。
(この前提が成立するにはおかしい時間帯)
古典の名作『モンテ・クリスト伯』、
あの壮大で華麗な復讐劇を
はるか未来の宇宙を舞台に置き換えた、
テクスチャばっしばしの(当時)
斬新としか言いようのない映像体験。
キャッチコピーは
『幻想の未来都市パリを舞台に復讐のパンク・オペラが幕を開く』
西暦5000年の月面にパリを再現という荒唐無稽さ、
鮮烈さ。いやーたのしかったなあ!!!
こういう予想のつかなさ大好きです。
なんで夜中にこんな変な番組(失礼)、といいつつ
ノリノリ前のめりで鑑賞しました。
毎週毎週、それはそれは楽しみにしていた作品。
こちらはOP。
タイトルのフォントもお見事。
ちょっとやりすぎなくらいですが、みごとにはまっています。
そしてそういうのに弱い。
と言う訳で、セブ島のビーチサイドの東屋で、
ずうっとこちらを読んでいました。
しかし2巻までしか持ってきておらず(大馬鹿。でもしょうがないかな)
悔しがりながら風に吹かれてうとうとしたっけ。
口惜しさまで含めて、すべて幸福な記憶。
そしてこちらも、セブで読んでいた本。
ページをめくるのがもどかしいほどの勢いで読みました。
こんなに急いで読むのはもったいないけど、
止められない!! という。
リゾートで読む本を選ぶのは、本当に難しい。
本の記憶も含めてリゾートの印象になってしまうから。
長い休みには、とにかくがっつり本を読みたいわけで、
・その時読みたい本
と
・旅先との相性
が、必ずしもマッチするとは限らないのです。
(あわないというほどでもないけど、ベストでもない感じ。
そしてそれではどういう本がベストなのか。
結局、行ってみるまでわからない気もする)
(セブ島で読む上記2作は、まったく違う雰囲気で
充分楽しくよみました)
陽子夫人が、休暇をジャマイカですごしたい春樹氏
(当時、冬のボストン在住であたたかいところに行きたかった)に
『いまアン・ライスにはまっているからリゾートは嫌。
私はアムステルダムに行きたい』
と言っていたエピソードを思い出しました。
(結局ジャマイカに行く村上ご夫妻。
しかしジャマイカでは、アン・ライス(陽子夫人)もトム・クランシー(春樹氏)も、
いまいちしっくり読めなかったそうです)
小確幸ってこの本由来なんだっけ??
さて、最近は帰路、乗り物の中でふらふらするほどに
眠たい日があります。
おとといもそんな日でした。
玄関を開けて中に入ると、いつものお出迎えにゃんがありません。
あれれ、ちこにゃんどこかなと、ベッドの上をのぞくと、
すこしだけほどけたおなかでおおあくび。
眠たげなリラックスにゃん。よかった。安心。
(ただいまーちこにゃん)
私も、そのままちこの隣に横たわる。
ちこを真似して、すこしほどけた感じの姿勢をとる。
すかさずのしのしとやってきて、
私の体にぴったりと寄り添い、ふかふかと身を横たえるねこ。
あらあら、じっとしてていいのに、とも思うけど、
素直にうれしい。
ううむ。いつもながら完璧ですなあ。
ゆっくりとふわふわのおなかが上下するのを感じながら
静かに目を閉じる。
いつも帰宅してからアレしてこれして
今日中に(あるいは何時までに)ここまですればOK!!
みたいなことを考えているけど(うまくいくかどうかはさておき)
きょうは。
何もしない。
ただ横たわる。
何もせずにねこの息づかいだけ感じる。
それだけに集中する。なんという贅沢。
デフラグ、あるいは放熱ということばを連想する。
(厳密な言葉の定義では、正確な使い方ではないだろうけど)
日々の細かいさまざまな事柄、その摩擦、
知らないうちにたまっている、
身体にまつわりついてしまったなにか。
拾いきれないいろいろなかけらたちのことをぼんやり思う。
そうだよね。
摩擦が起きると熱を帯びるもんねえ。
静電気でよくわからないもの、
たくさんくっついて取れないよねえ。
頭をよぎるのは、カーテンの裾にびっしり
絡みついてとれないちこ毛。
いや、それはかわいいスペシャルだからちょっと違うかな。
摩擦、帯電、蓄電、放電。
デフラグでも放熱でも、なんでもいいや、なにかそれっぽいこと。
夏場だから熱に対して意識がいってるだけ??
いいかげんに言葉をいくつか思い浮かべながら
すよすよと、ねこのおなかをなでる。
軽くうとうと、居眠りというほどでもない、
それでも意識がおぼつかなくなるかんじ。
ふ、と力が抜けた手がおちて、
ねこのおなかにあたってしまう。
うっかり、すこし強くあててしまう。
驚いたねこが一瞬で腕の中からいなくなる。
そしてすぐ戻ってきてやさしく叱るねこ。
むみゃ、うゃう、と小声で言いながら
ざりり、ざりりと私の鼻の頭をなめる。
ありがとうごめんねありがと、なんてゆるゆる考えていると、
いきなり鼻を甘噛み。いつもながら完璧な不意打ち。
20分そこそこ、短い時間だけれど、
すごくリセットできました。
夕方の終わり、夏の浅い夜のはじまりに、
ねこと穏やかに過ごした記録。
ねむくてぼんやりさん。
安心して好きなだけぼおっとしてほしい。
by chico_book | 2015-06-26 01:31 | 日々 | Comments(0)