おしゃべりはいろいろとにかくパーフェクト

ねこ友宅のねこに会いに行く。

15歳以上20歳未満、しかしますますあどけなさ増すにゃん王子と、
じつはちこより年下疑惑(と言うよりちこの年齢が勝手に更新されたのですが)の、
生まれついての無邪気にゃん王子のおふたりの、ご機嫌を伺いに。
参勤交代の様に、定期的におめもじさせていただいております。

もうずっと知っている猫ちゃんたちに、また会える、
変わらずあうことのできるありがたさ。存分に満喫。

ねこの持病のこと、ねこ互助会の在り方やバックアップ体制、
通っている病院の先生の情報交換、治療方針やサプリメント、
夏のおする番でのエアコンをどうするかなどなど、
ねこ情報をひとしきり。
なんでも話せる、そしてやんわりぴしゃりと言ってくれる
友人のありがたさ尊さ。

『姫ばっばなんて言っちゃだめだよ』

しっかりきっちり怒られる。

『女の子なのに、あんなにかわいいおんなのこなのにひどいよ

はい。そうだね。軽口軽はずみすぎました。反省、いやいや猛省。

『きっとちこにゃんもショックだよ、心のなかで』

そうだね。春樹さんも
『冗談でも自分をおばさんなんて自称しては駄目だ』
と言う意味のことを言ってましたね。反省。
きちんと好きだよ、大切だよ、綺麗だよかわいいねって言わないとね。
まるで昭和おっちゃんのように。自分に言い聞かせる。
(いやまあしょっちゅう言っておりますけど)



おまじないのように口ずさむ歌。

それからドラマ『重版出来!』の話をする。いかに面白かったか、
数字とれてないなんて言われてるなんて許せない、
そういう問題じゃないよね、そういう作品じゃないよね、
ボックス欲しい、どうしよう、なんて話。

沼田さんは幸福だったのかしら。
きっと中田伯が自分の作品を読み取ってくれたことで
赦された気持ちになったのかな、とか。

もういい、ここまで来れた、もう充分だ、
若くて美しくて圧倒的な才能が自分をゆうゆうと追い越してゆくさまを
鮮やかに描写したシーンは、『ヒカルの碁』にもあったわね。
そうだね、でもあの時ヒカル(ほんとは佐為)にこてんぱんにやっつけられた人は、
じぶんの碁を練りなおして、もう一回チャレンジしなおすんだよね。

ヒカルの碁 16 (ジャンプコミックスDIGITAL)

ほったゆみ / 集英社




沼さんは許されたかったのかもしれないね。もういいよ充分だよってだれかに。
それをしたのが中田伯なのかなあ。うつくしい執行人ってやつですね。
よかね。よかね。また無自覚なところがね。

クリエイターは、出しても出しても、どんなに空になっても、
自分の中のその穴を、あるいは泉を、井戸を掘り続けなくてはいかんのですよ。
沼さんはそれがもう辛かったんだねきっと。いやそれは辛いよね。
いや辛そうだわそれ・・・・・・。

才能があるかないかなんて、そんなことは自分ではわからないものなのね、
うん。出来ることは真摯に打ち込むだけ。じぶんのすべてを出し切るだけ。
それをジャッジするのは、自分にだけはできない。
謙虚になるというのはそういうことなのね、なんてことを、
ねこを撫でながらゆっくり話す。

だから『ベル・エポック』の、あのひとは編集者として優秀だったんだね。

ベル・エポック 1 (クイーンズコミックスDIGITAL)

逢坂みえこ / 集英社



『ひとのつくった物語を 読むことはできる 
どこをどう直せばもっと良くなるのかわかる
わたしは編集に向いている
だからこそわかる
わたしは物語を書くことができない
わたしには才能がない』

主人公ではなく、登場人物のひとりのモノローグなのですが、
忘れられない文章(正確ではありません)

まんがの世界の話を、創作の世界を、旧知の友人のように語る。
そんなリアルな友人がいて、よかった。

おやつは私は持参した佐藤錦。
『サードガール』
の夜梨ちゃんが
『シーズンみじかいんだから』
と言っていた宝石に似たたべもの。

サードガール 4 (キングシリーズ)

西村 しのぶ / 小池書院



残酷な話ですねえ。
いやまあ生きることは残酷ですよ、基本的には。
どのみち。ですねえ。そうやね。

そんなあれやこれやを、たっぷり話した帰り道。
デトックス充分でやや放心気味のワタクシ。
バスで隣にお座りになったマダムが、とつぜん話しかけてきました
(よくあることです)

「わたしね、この前ね、娘とハワイに行ったのよ」

あら素敵。

「おととし姑がなくなりましてね、98才ですよ、大往生なのよ。
施設に入ってからは結構落ちついていたんですけどね、
とは言ってもいつどうなるかわからないでしょ?
だからなかなか旅行にも行けなかったの」

そうですねえ。おつかれさまでございました。

「そうしたらこんどは主人が病気になってね。
半年ほど入院して、もうね、もともと声の大きいひとなんですけど、
みるみるわがままになっていって」

おおそれはそれは大変でしたね。

「それもね、去年ようやく片付きましてね。
ああ、これでひと段落だわー、ヴェネツィアにいきたいわあって
思いましたら、娘がね、お母さんヨーロッパは危ないよ、
お母さんの知っているころのヨーロッパじゃないよ、っていうんですよ」

古きよきヨオロッパってことでしょうか。
このあたりから、どんな展開になるのかなとワクワクしはじめる、
物見高いワタクシ。

「でもね、いまは羽田から行けますよね?
私、成田からしか行ったことないのだけれど、羽田なら楽じゃないですか。
もう使ってみたくて使ってみたくて。主人は、銀行に勤めていましたでしょ」

そうなんですね。

「だからね、主人の出張先だったから、
シンガポールとかドイツとかは馴染みがあるのよ。
帰ってくるたんびに、わたしにも、いいところだったから
こんど一緒に行こういっしょに行こうと、毎回言ってたんですけど、
結局行けずじまいなんですよ。お留守番ばかり。
だからもうわたし悔しくって」

なるほどなるほど。チャンスなんですね、つまり。

「ハワイなんて縁も興味もなかったんですよ。
でもね、娘が久しぶりのリハビリ旅行なんだからハワイがいいわ、
ハワイなら私が案内してあげるっていうのよ」

それは心強いですよねきっと。
きっかけってそういうものなのかも。

「そうしたらあなたびっくりしましたよ。
すごくいいホテルのツアーをみつけて、
『おかあさん、予約しといたからこの日までに払っといてね』
っていうんですよ!! わたしね、ただのお財布なの。
いやになっちゃったのよ」

でもハワイはみなさんたのしい楽しいっておっしゃるし、
ホテルもピンキリだから娘さんも一生懸命選んだんですよねきっと。
旅先は、不安がないのが、いちばんですから。

「ええもう、ゴルフ場が広くて気持ちよくて楽しかったわ、
日焼けするからふたりでしっかりガードして、
バイザーもアームカバーもつけてたんですけどね、
ほかの二人組のかたと一緒にまわることになったのよ」

相席みたいな感じってことですか?(←ゴルフ未経験)

「そうそう。そうしたら、その一緒にまわる方がね、
ものすごいイケメンふたりで、びっくりしちゃったわ。
カートを運転してくれるし、乗り降りの時に手を取ってくださって…」

マダムうっとり。それは得難い経験ですね。

「あわててバイザーもアームカバーも外したわよ。
だって、もったいないじゃない。ねえ??」

ばくしょうしちゃった。バスのなかなのに。
わたしこういう時突然大声になっちゃいます。
直したい癖ではあります。

「それでね、ゴルフ場の帰り道に娘とけんかしたんですよ。
あのメンズがやさしくしてくれたのは、わたしと娘と、
どっちの為かってことでね、娘も譲らないのね」

オララー(フランス語)

「先に手を取ったのは私なのよ、だから私よ、と言いましたらね、
鼻で笑って
『ああ、敬老精神ね』
なんて言うんですよ!!
ほんとに嫌な子だわー。わたしのお金で来てる旅行なのに」

あはは、そこで出ますかそれ。
でも、きっと、娘さんが一緒で心強かったのでは?

「そうねえ、そうかもしれないわねえ。
次はいっしょにオクトーバーフェストに行くんですよ」

たのしいマダム、元気なマダム。面白い話をありがとう。
なかよし母娘の話を聞くのが辛い時期もありました。
いまはもう大丈夫かな。むしろ興味津々で伺うことができました。

わたし自身にとっても、季節は廻っているのだなあ、などと思う。
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by chico_book | 2016-06-27 00:54 | 日々 | Comments(2)

Commented by pinochiko at 2016-06-27 07:06
マダムのお話に聞き入って(読み入って)しまいました。
家族を立て続けに見送っても、自分らしくやっていける強いところのある女性なのでしょうねぇ。
この方は自分のこと、おばさんだなんて言わないのでしょうね。
娘さんの「敬老精神」(笑)はなかなか辛辣ですが、
この女性も若い頃はこの娘さんみたいだったのでしょう。

全く知らない人の人生の一幕を垣間見るのって、
なんだか新鮮だなぁ。
Commented by chico_book at 2016-06-28 01:24
pinochiko様、コメントありがとうございます!

そうなの! とても新鮮で、おもしろかった!!
こちらのマダム、もうお話したくてしたくて
うずうずしている感じで大変かわいかったです。
きっとイケメンを前にしたときも、
キラッキラだったんだろうなあ、
なんて思っちゃいました。
大変な別れが立て続けだったのに、このさくさくぶり。
すごいなー。ほんとに達人というかんじです。

(ワタシがバスのなかで出会う)
ハマのマダムは、基本上品よりなんだけど、
ちょっとあけすけと言うか解放感と言うか
気が強くてあっさりバッサリしていて
おもしろいなあと思います。独特の現役感があります。
この、いやなことを
『忘れないけど引きずらない、根に持たない』
というのはちょっとねこっぽいかも、なんて。
住んでいて興味深いことのひとつ。たのしーい。
(もちろんそういうタイプでないひとたちもいますが、
ワタシに話しかけてくるタイプは、
割合で言うと1:4で後者かな?? と言う印象)
※どれだけ話しかけられてるんだ、と言うのはさておき。

なんとこちらのマダム、80歳でございましたよ。
娘さんもアラカンさん。
ゴルフ場からの帰り道、イケメンめぐってのケンカで
口を利かなかったとか!!
結局パンケーキを食べに行って仲直りしたそうです。
(ほんとーに全力で女子…)

ほんの20分ほどの間、さくっとお話して、
さらっとお別れ。なんだか元気が出ました。
ふふふ。
(しかし、1:4の1のほうのひとに、
たまにお説教されこともあり、それはそれで辛い)
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