人気ブログランキング | 話題のタグを見る

コーリング


『あなたの幸せなんて聞いてない。そんなのかかわりない』

真田丸40話『幸村』があまりに素晴らしすぎて、
実はもう5回も観ました。そしてずっと考えています。

がっつりネタバレなので畳みます。ほんとは照れくさいからでもあります(小声)






確かに信繁は、貧しいながらも九度山の幽閉生活にそれなりになじんで。
たのしく日々をおくっては、いました。
大阪城に戻ることなく、ここで人生を全うするという選択肢は
可能性としてないものではなかった。
ただ、死ぬまでずっと、自分を求めていた人の声、自分を呼ぶ声が
聞こえ続けたことだろう。
そしてどうしてその選択肢をとらなかったのか(結果の如何に関わらず)
ずっと自分に問い続けずにはいられなかっただろう。

もちろんそのことじたいは(大なり小なり)よくある話で、
わたしの母などは80を過ぎても
『高校卒業した時に東京に出ていれば、お母さん女優になったかも』
などと唐突に言い出すので油断なりません。そ、そうでしたか。
(さすがにこの例は、卑近すぎますけれども)

行きたいと思う
やってみたいと思う
こころの導き、内なる声に従う
やめる理由はたくさんあっても、それでもしてみたいと思う、
願わずにはいられないじぶんを導くなにか。
それらすべてをぶつけてくれたきりちゃん。なんという豪速球。

「お行きなさいよ」
と、命ずるきりちゃん。その声のトーンがすでに悪魔的なおちつき。
きりちゃんがどれだけ確信を持ってことばを紡いでいるのか、
それを口にする行為が、きりちゃん自身にとってどれだけ勇気が必要で
覚悟のいる怖ろしいことなのか、
それでもそんな怯えなど全く見せずに堂々と口にするきりちゃんの凛々しさ。
ありがときりちゃん! ありがとう長澤さん!! 
ほんっとすみませんでした!

きりちゃんはどうして信繁のことがそこまでわかっているのだろう。
その理由はたいへん明快。
ずっとそばで見ていたから。いいところもわるいところも、あらいざらいすべて。
恋い焦がれるきもち。
なげつけたおまんじゅう、祝言の場が暗殺の舞台になった時も、
大阪城の蔵から出てくる信繁とお茶々さまを見た時の気持ち、
投げつけられる(おもにひどい)ことば。
「たまに!」
「もう帰っていいぞ」
「うっとおしいんだよおまえは!」

そのすべてをきりちゃんは鎧として身につけて生きてきた。
なんてかっこいい。かっこいいなあきりちゃん。

実は私にも、悪魔のような友人がいます。
わたしがいま何に怯えているか、何をごまかしているか、
人生の問題のなにから逃げてそしてそのことで自分を責めているか。
そうしてその人にはわかられてしまうのだろうか、と、いつも思う。
その情けなさ不甲斐なさをすべてまるっとおみとおしなのに
(大概の場合は)あえて口には出さずにいてくれる。
たまにばっしばし、怖ろしいほどの勢いで指摘してくれる。
そのときは正直死にそうになる。
言い回しはさておき、源次郎の気持ちもよくわかります。

「うるさい」
「うっとおしいんだよおまえは」
「お前がいうようなことはすべて自分でも問いかけてきたわ」

たいへん力づよくてありがたくて怖ろしくもある友人。
そのひとを裏切る人間にはなりたくない、と、わたしはいつも思う。
そのひとの期待に応えたい、とも思う。
けれどそのひとは、いつも
「あなたの、ほんとうにしたいことはなに? 」
と私に問いかけるう。
「わたしがあなたに望むことなんてどうでもいい。
やれるかどうかではなくて、どうしたいか、どうありたいかを考えて、
それでは今何をすればそこに近づけるか、ってことだよ」

自分の使命を前にすると『平凡なしあわせ』なんてふきとんでしまう、
そんなの神話あるいは中二じみた話だとおもいがちですが
(まあそもそもが大河ドラマの、
伝説の『日の本いちのつわもの』真田幸村の話なんですけども)

片桐且元の説明で現状把握>
主人公の心情吐露からの導きで、
ごくごく自然に
「行くしかないよねこれ」
と思わせてくれたていねいな演出に感謝。

この流れだと
『本当に、負ける気がしません』ね。
本気で勝つために戦場に身を投じている、そのすがすがしさ。
敗軍の将、滅びゆくものへの判官びいき的な展開ではなさそうなのて
とても喜んでいます(だってそれは結果論だもの)

しかしそこに登場するラスボスが家康ではなくて
秀忠っぽいところが、すごくすごくすっごくいい。
乱世ではなく、太平の世を歪みなく築くにはどうすればいいのか、
ものすごく冷静に見極めてそうで、すっごくいい。
信幸お兄ちゃん(当時・泣)のうしろにかくれたり、
お父さんに怒られてひぃっとなってたり、
ぶんむくれて妻にスーパー力づよく励まされるわ、
父親の側近にこの若僧さんめ!(あくまでていねい)的に
呆れられていた秀忠さんがねえ……たぶんねえ…きっとね!(期待)

怖ろしくてもやるしかないことがある。
そこを見ないふりをしても、自分自身にはばれてしまう。
いちばん逃げることができないのは自分自身だから。

そんな思いをひしひしひしと、胸のなかで転がした今週でした。
ほんとに素晴らしいことです。
素晴らしい体験ができて、ただただうれしい。
(でも時折、清盛@松山ケンイチが脳裏をフラッシュバックしますけど)

あと10回、謙虚に、そしてただひたすらに
楽しませていただきます。最敬礼。



by chico_book | 2016-10-14 01:01 | 日々 | Comments(4)

Commented by Linda at 2016-10-18 01:15 x
ちこぼんさんの人生のベスト○に入るかも知れませんねっ真田丸。
来年の担当者はやりにくいんだろうな。
私も高校生のときに見てたら日本史の成績が上がってたかしら!?

お母様が女優になっていたら…
ちこぼんさんは積木くずしを地で行っていたでしょうか。
それとも人目を避けてアメリカンスクールに通ってたかな。
二世タレントになっていたかな。

それはさておき真田丸の残りの回を楽しんでくださいね。
Commented by chico_book at 2016-10-19 00:34
ひゃーひゃーLindaさま
いやもうほんとに実は大変ではあります。夢中で! ムチューで!!
あと9回しかないんですよ…
たぶん12月に向けて抜け殻になってゆくと思います。
抜け殻進化形。

わたしのマイルストーンな大河と言うと、
『独眼竜政宗』と『平清盛』なのですが
『真田丸』のある一年でよかった。ほんとうによかった…
しかしおかげで(せいで??)映画鑑賞が低調気味です。
まあそういうときもあるよね、なんて。

あはは、与太話につきあいってくださってありがとうございます。
晩ご飯何にする? くらいの流れでさらっとこういうことを
言いだすので、度肝を抜かれます。
さらりとながすのがおとなのたしなみとは言え。とはいえ、ねえ。

Commented by Cialis pills at 2018-04-18 18:28 x

You said it very well.!

Generic cialis review uk http://kawanboni.com/
Commented by Douglasskent at 2018-11-29 01:43 x
<a href="http://canadianpharmacytousa.com/#">canada drugs online</a> northwest pharmacies mail order <a href="http://canadianpharmacytousa.com/#">canadianpharmacytousa.com</a>
canadian pharcharmy online <a href=http://canadianpharmacytousa.com/#>http://canadianpharmacytousa.com/</a>
canada online pharmacies reviews http://canadianpharmacytousa.com/
<a href=http://canadianpharmacytousa.com/#>canadian online pharmacy</a>
http://touriosity.com/__media__/js/netsoltrademark.php?d=canadianpharmacytousa.com
<a href="http://dickdubroff.com/__media__/js/netsoltrademark.php?d=canadianpharmacytousa.com#">canada drug</a>
http://fiveshop.ru/bitrix/redirect.php?event1=&event2=&event3=&goto=http://canadianpharmacytousa.com/
<a href="http://b00ts.ru/bitrix/rk.php?goto=http://canadianpharmacytousa.com/#">buy viagra online usa</a>
名前
URL
削除用パスワード