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手作業の効用から操をたてる話(自己満足)

LINDAさんの記事で
『編み物をしながら授業を受ける生徒がいる』
と知ってびっくり、しかしほんのりとした既視感が。
ソチオリンピックでこんなの話題になりました。なつかしいな。




(緑色の服のコーチがマフラーを編んでいます)
編み物と言う行為自体が、日常に溶け込んでいるのでしょうか。

頼りない一本の毛糸をささやかなひと眼にして、
それを繰り返し繰り返して作品に仕上げる作業。
私は手癖でざくざく編める作業を繰り返しながら、
ぼおっと考え事をするのが好きです。
ほどよく意識が飛んで(変な意味ではなく)思考がのびやかになる不思議。

最近のかぎ針は持ち手がいろいろ工夫されているみたいですね。
さすがに最近は薄いけれど、ちいさいつるつるのぺんだこ持ち、
親指と人差し指の間が痛くなりがちな
私としては大変ココロ魅かれます。

でも実はこんなものを持っているのです。昭和の古式ゆかしいアイテム。
(全部初期メンバーではありません)

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クローバー鍵針セット。
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中はこんなかんじ。
たぶん毛糸用縫い針とかちいさいはさみとかが散逸しています。

小学生の時、手芸フレンドピチ愛読者でありましたわたし。
フェルトで青い小鳥のマスコットを作って
ランドセルに下げるという、なんともベーシックな昭和エピソード。
クラスでとても流行って、手芸仲間ができたのがとてもうれしかった。

それは本当にひどい出来だったのですが、
(評判になった当時でも穴があったら入りたかったほど。
ランドセルに下げておきながらですが、
みんな気づかないと思っていたのです、きっと)
あこがれは米山京子さんのお人形でした。


お人形を作りたかったのか
「空色のドレスを着たミス・プリマベーラ、
初夏のお茶会を楽しむ3人の淑女、
秋草のようなマロンちゃん」
な、イメージが強力だったのか。
ドレスにズロースにボンネット、フリルにりぼんの重ねうち。
いまのワタクシはメルヘンにもカントリーにも縁のない生活なのですが。

いまでも、カルチャースクールの人形講座が大人気の米山さん。
(お嬢さんの米山マリさんが、アトリエを引き継いでいるようです。
新宿朝日カルチャーセンターは満席!!)
http://doll-doll.o.oo7.jp/

フェルトのマスコットすら満足にできないような小学生には、
パーツも工程も多いわ、聞いたことのない小道具はどんどんでてくるわ、
いずれにしても、贅沢で高度な内容であります。
たしか木毛と言うパッキン上の素材をパツパツに袋詰めしたパーツに、
肌色綿ジャージをかぶせてボディや顔にする、
顔の場合は、頬をふっくらさせるために綿を巻くんだっけ。
そして黒や茶色のジョーゼットを涙形に切って、
上の部分の横糸を抜いてまつげ状にする、という行程でした。
この涙形の瞳と言うのが、なんとも優しくて幻想的で
ほかの人形とはまるで違っていた。

ただこれは、完全に子供の手を出すものではありません。

これを作ってみたい、と言う娘に困惑した母親は、
近所の手芸上手のご婦人に相談に行った結果

『おとなになってから趣味でやりなさい』

という回答をいただきました。母とおば様から。
二回目。
熊井明子さんの『愛のポプリ』にはまったときとおなじ。
しかも両方手芸フレンドピチ由来。


そのときはやはり寂しかったけれど、
まわりの見えていないこどもの暴走に対する
おとなのまっとうなリアクションだと、いまは感謝しています。

それでもどうしても、と言う気持ちがあったら、
もしかして今頃ドールを作るひとになってたかもしれません。
これは後悔ではなく、適性方向性のお話。

明治生まれで、実科高等女学校でお裁縫を身につけた祖母と、
その娘で戦後のもののない時期に
何でも自分でつくっていた世代の母に育てられたので、
編み物や縫物はずいぶん身近にあった子供時代でした。
しかも趣味ではなく、実用能力として。
こどものころのアルバムをみると、私が着ている
ありとあらゆる洋服が母の手作りであることに驚きます。
ピアノのレッスンバッグも、モチーフ編み手づくりでした。
おこたカバーもそうだったかな。大物ですよね。

いっしょに布を買いにいったり、型紙をあれこれ検討したり、
少し大きくなってからは(やはり近所のおばさまのところに)
型紙と布を持ち込んで作っていただいたり、仮縫いに通ったり。
(ごく普通の、学校に着てゆくスカートのことです)
もう完全になくなった昭和の地方都市の記憶。

写真のかぎ針編みセットも、家に余り毛糸がたくさんあって、
いざそれを使おうとするときに、
ちょうどいいかぎ針がないことがまだるっこしくて、
お年玉をためて購入したものです。たしか1980円だったかな。

これを買って帰った小学三年のわたしに、
いつになく真剣な表情で母親は言いました。

『あんたそれは一生もんよ 大切にせないかんよ』

おかげさまで未だ現役です。
ただ、物のない時代を手づくりでしのいだ母親の、
道具への真摯な思いなのだとしたら、
それを(たぶん彼女の眼からするとやすやすと
手に入れてしまう高度経済成長期の子供が不遜に思えたのだとしたら
なんとなく操をたてておこうと思う。
私の気持ちだけの話なのですが。
もしかして、分不相応なものにばかり心奪われるこどもに、
母親なりに不安を感じていたのかもしれません。

グリップ付きのかぎ針、いいなあとは思うけど、
使ってみたいけれど、使いはじめたら戻れなくなりそう。
実用品にそんなセンチメントは不要ではあるのだけれど。
センチメントと操のせめぎ合い。

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セーターをたたませてください(お茶をいれに行った間に占領)

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毅然。
ほんとうは(この週末)病院に行きたかったのですが、
わたしがひどい風邪ひきなのでいろいろ考えてやめています。
年内ほんとうに慌ただしい。



by chico_book | 2016-12-04 13:50 | 日々 | Comments(7)

Commented by にゃおにゃん at 2016-12-05 16:01 x
風邪、大丈夫〜?返事良いから睡眠たっぷりね!風邪薬飲んじゃいけない甲状腺疾患の私はマヌカハニーペロリと首にタオル続けてます。良かったらやってみて。
手芸好きだった少女の頃、かぎ針も棒編みもフェルト人形もクロスステッチも、もちろんポプリもやっていたの、喘息の引きこもりだったの思い出したわ。
ちこにゃーん、かわいいにゃー。
Commented by chico_book at 2016-12-06 23:24
にゃおにゃん様ありがとうございます☆

まだかなりふらふらしていますがずいぶん楽になりました。
扁桃腺体質なので(今回は不発)高い熱がぱあっと出るのは
慣れているというか耐性があるというか身に覚えがあるというか、
久々でしたが、たまにあることです。ふふ。
ポイントカードみたいに、なにかがごつごつたまると
反応するのかな。
元気になったらマヌカハニー探してみよう。たのしみ。

そしてさりげないシンクロ、ちょっとうれしい。
私もぜんそくで、眠れない長い夜をいろんな仲間と
いっしょに乗りこえました。手仕事とか、読書とか、想像とか。
なつかしいな。いまもかわってないところもあり、
そうでないところももちろんあり。
Commented by にゃおにゃん at 2016-12-07 10:44 x
扁桃腺、私もです。アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎もあり自己免疫疾患のオンパレードでしたよ、私。
甘えたかったのかな。
きっとちこぼんさんも頑張りすぎてるね、身体のメッセージお見逃しなくっ!治るまで、本もテレビも最小限にしてひたすら寝るのよ!お大事に。
Commented by momokissa at 2016-12-07 23:22
クローバー鍵針セット、すごく羨ましいです!
ほんとに一生もん、良いものを買いましたね〜

数年前にかぎ針編みキットを買ったけど挫折した私。
(一方、友人サチコはネットで学習して猫帽子をばんばん編んでいます)

私も小学生の時にフェルト細工しました。
人気者の作家さんいましたよね。
例えば八百屋さんの野菜全部作品にしてあるような。
名前なんていうんだろ。なつかしいな。

手芸、ビーズ、お菓子作りから占いまで、そういう本や雑誌だいだいだーいでした。


いつかお会いする日にはちくちくあみあみしながらおしゃべりしましょう!

ちこにゃんの写真、構図が好きだなぁ。表情とポーズも。
モデルがいいからよという声が聴こえる気がする。

風邪はやく治りますように。
Parane pian(ぱらね ぴあん。響きがかわいい:-D)

Commented by momokissa at 2016-12-07 23:24
p.s.脱字発見

だいだいだーいすき♡でした
Commented by chico_book at 2016-12-11 13:45
にゃおにゃん様ありがとうございます。
ふうふう息も絶え絶えのちこぼんです(半分はスケートのせい)
治りきってないのに。さとこちゃんおめでとう!

にゃおにゃん様も扁桃腺持ちなんですねぇ。
こまかいものでも、病気が多いと自分に対する
取り扱いに慎重になりますよね。
昨今はそんなことないけど、若いころの
『無茶ぶりを乗りで突っ切る俺ら、イエーイ』
な、ノリからはいつも一定の距離がありました。
かといっておとなしいわけではなく、方向性の違いなんだけど。

ただ家族やまわりの人の理解があまりなかったので、
こどものころはギャップが結構ありました。
いまとなってはただの昔話ですが。

かなり回復してきたのですが、昨日一日
おそうじやなんやかやしていたらちょっとぶり返し気味。
『ステイヘルシー』は、私自身に言わなくちゃ。イマシメ。
Commented by chico_book at 2016-12-11 14:16
モモさん、ありがとうございます。
私のつくったマスコット、衝撃的なことに
『ブランケットステッチ』
ではなく
『ぐし縫い』
で、ぬいあわせていたものでした…。
じぶんでも
「まちがえた!」
とおもったので、そして
「まあいっか(誰も気にしないだろうし)」
とつけていったら注目を集めてしまって大変後悔したので
すごくはっきり覚えています。
真っ青な小鳥で、目玉はビーズだったか刺繍だったか。
基礎のない人間ほどオリジナルに走る、と言う例ですね。トホホ。

かぎ針セット、レース編みなんて全く使ってないので
やはりちょっと分不相応かしら。
いざなにかつくろう、と言うときに
『この号数あったっけ』
という心配がなくてとても気楽です。
趣味でたまにやるだけなので、これで充分なんですよね。
ヘビーユーザーなら、アップデートも必要だけど。

チクチクあみあみおしゃべりいいですね。憧れ。
近所の公園のベンチで、かぎ針編みするの大好きです。
明るいし、わんこたくさん見られるし。
マダムがあれこれ御指南くださるし
(これはたまにもてあましますが(小声))
でも寒かったり陽が短かったり、
快くできるタイミングは結構短かったりするので、
すごくぜいたくなイメージ。ふふ。
ごいっしょするのたのしみです。

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