ひとりぼっちはわりと幸福なものです、ただし

つながりたい相手がいない訳ではなくて、いつでもつながることが(基本)できるのなら。
わたしにとってはわりと基本的な信条なのですが
「わがまま」と言われることも(そこそこ)あって、なんというか、ままならぬ世でございます。

さて、ほぼ二ケ月ぶりに映画を観てきました。
と言うかそんなに劇場から遠ざかっていたのね。
なんともせわしなかった年末年始であることよ、と、しみじみしながら
メンバーズ特典・お誕生日月映画鑑賞券を無駄にするわけにはいきません。

ジャック&べティのメンバーは、年会費2000円で
お誕生日月招待券と更新記念鑑賞券をいただけるので
それだけでも会費はクリア。
ジャック&ベティにちょくちょく行く人にはおすすめ。
(そういうひとは、とっくに持っているのかも)

観たのはこちら『幸せなひとりぼっち』
ストーリーのイントロダクションはこんなかんじ(公式サイトより引用)

愛する妻を亡くした孤独な中年男オーヴェ。かつて町内の自治会長を務めたこともあり、近所には規律に厳しい人間として知られていた。年齢を重ねてからは気難しさに拍車がかかり、いつしか鼻つまみ者でしかない厄介なおじさんと化していた。地域の治安を守るため、共同住宅地の監視役を自ら買って出ていたのだが、数年前、自治会選挙で落選。今や、誰からも望まれていない見回り日課とする日々を送っているのであった。

オーヴェは43年間、鉄道局職員としての仕事を全うしてきたが、突如クビを宣告されてしまう。家に帰れば、今は亡き妻の面影が脳裏をよぎる。孤独に耐え切れなくなった彼は、自宅の天井にロープをかけ、首つり自殺を図る。ところがその時、向かいのテラスハウスへ引っ越してきたパルヴァネ一家の騒がしい声がオーヴェの耳に飛び込んでくる。一家の車がオーヴェの家の郵便受けにぶつかってしまい、自殺どころではなくなってしまう。オーヴェは外へ飛び出すと烈火のごとく怒り、挨拶もしないまま代わりに車を駐車場にきれいに車を停め、ぶつぶつ文句を言いながら家に帰る。


以下感想です。ネタバレあるので畳みます。







大変良い作品でした。

キリスト教圏では自殺は禁忌であると、漠然と信じていましたが
『素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店』(感想
『おみおくりの作法』
などでもその要素はしっかり反映されていて
絶対的タブーではないのか(カトリックだと違うのかも)
あるいは
いろいろ変化が起きているのか、興味深くあります。
スウェーデンの福祉事情や、欧州の車メーカーの性格の違いを
理解していると(もっと)面白かっただろうなあ。
教養のたいせつさを、また思い知らされたわけでございます。



そして大変素晴らしいにゃんが登場します!! は、はちわれ!!(悶絶)
ふっかふかで大柄、ブルーアイの大変な美にゃんさん!!
ハートウォーミング系映画と言えばわんこが定番だったので
うれしいうれしい。作中でもむっちゃ活躍するのです・…!
(かみしめ)



シンプルにハートウォーミングな映画としてみるのもよし、
『サンドラの週末』のように世相を反映した部分を
くみとるのもよし、
『リトル・ミス・サンシャイン』
的に、元気であたたかな家族(おさない少女←重要。たぶん)
おじいちゃんの交流ものと思うもよし。
ストレートなようで、さまざまな角度でとらえることのできる作品だと思います。

作中で主人公の人生の回想シーンが描かれるのですが
若かりし頃、はじめてであった彼女(のちの妻)の
とほうもなくみずみずしく明るく美しい。

おそらく現実よりも、主人公の脳内補正がはいっているのですが
そこがまたすばらしい。そんな思い出があるだけでなんと幸福なことか。
しかしその光の記憶が、現在に濃い影を作り出していることもまた事実。

私は、自分の人生に後悔は(基本的に)ないし、
現在の自分に(致命的な)不満はないと言っていいと思う。
(歯切れ悪いけれど)
もちろん改善点や、なんとかしなくちゃな部分や、
もろもろどっさりありますが、致命的なものだとは思っていない。
それでも二度と回復しないほど損なわれた部分は確実にあります。
でもそれは、例えばいまさら身長が伸びないようなもので
私の人生はそういう色あいなのだと、納得している。

たとえば私には子供がいません。
そのことを格別な不幸だとも思わないし、そういう色あいの人生なのだ、と、
シンプルに考えているのだけれど
ただそれでも
『いのちのバトンを次世代につなぐことが最も重要』
と言うような内容を耳にすると、すこしだけどこかがチクリとします。
ああ、アンカーになっちゃった、ごめんね、と、誰にともなく
思う気持ち。
巷でよく聞く
『家族(主にこども)/大切なだれかがいるからがんばれる』
と言う論調だと、まあそれでも私も、ちこのために頑張らないとな、
と思うときもあるので、全否定するものでもないのですが、
そういう存在もいつか【順当に】いなくなってしまったら
理由がなくなっちゃうのかな、なんて我ながら青臭いことを
時々考えてみなくもないです。
なんだか思春期のこどもみたいだな、と思いながらも。

それでも私には、
いなくなると絶対に絶望するレベルのひとたち(夫や友人)がいて、
そんな彼/彼女らに、たとえばいなくなられたら
私は絶対に愕然としてじぶんを見失う。
だから、同じ思いをそのひとたちにさせるわけにはいかない、
と言うように思いを巡らすのですが。定期的に。

順調なものではない自身の人生、その苦闘を共にした戦友である
最愛の妻を失い、仕事もなくした主人公は、一日もはやく妻に会おうと、
みずから命を絶つことを選択するのですが、
ささやかな出来事にくりかえしくりかえし邪魔されて、
達成することができません。
花束を手に、妻の眠る墓に向かって、日々のささいなエピソードを
訥々と語る主人公・オーヴェ。

妻にあいたい、あって日常の様々を共有したい、
それができない現状が彼にとっていかに荒涼たるものか、
切々と胸に迫ってくるのですが、その現状が少しずつ色あいを変えてゆく。
妻への慕情はそのままで、でも人々とのつながりが増えるにつれて
このことを妻と、最愛で最高の理解者と語りあいたい、共有したい、
そうすることのできない寂しさは変わらず存在し続けることの厳しさが
ふんわりと浮き彫りになります。
それでもひとは幸福になれるし
「いまの最善を尽くすのよ」
と言う妻の笑顔とそれは見事に重なります。

と言う訳で、わたしはこれを終わらない愛の映画として観ました。
日常を彩る愛情のあれこれを描いた作品。

スウェーデンの素敵な住宅地の映像がまたみていて楽しい。
外国の映画やドラマでは、家の中にふんだんに本があって
なおかつスッキリしているので、もう気になって気になって!!

よい映画でした。今年最初の一本にしてよかった。
次はたぶんこれを観たいと思っているのですが………
さてどうなりますか。ちょっと覚悟が必要かも。
中学生のころに原作は読んでいるのですが、さて再読してからゆくべきかどうか。




2時間42分とはまた…………。
体調整えていかないとしんどそう。


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by chico_book | 2017-01-30 00:34 | 映画 | Comments(2)

Commented by momokissa at 2017-01-30 05:17
わーい紹介ありがとうございます。図書館にあるので予約しました。

ちなみにフィンランドタイトル、その男秩序を愛す
という感じ。:-D
Commented by chico_book at 2017-01-30 22:49
わーいぜひ観て観て! 
ふかふかの長毛にゃんが、
いっしょにお散歩(パトロール)するんですよ!!
MOMOさんこんなかんじかしら、
なんて思いながら観てしまいました。

ああ、でもちょっとねたばれしすぎかな。
肝心なところは書いてないつもりなのですが
ちょっと心配。
でも、少しくらいネタバレしてても
充分楽しめると思います。オススメオススメ♪

ちなみに日曜のジャック&ベティはおそらく満席でした。
私はぎりぎりに入ったのですが
「前から3列めにひとつあきがあります!」
といわれるほどでしたもん。
でもこういう映画がしっかりあたるの嬉しい。

スウェーデン語の原題は
『オーヴェと言う男』
と言う雰囲気らしいです。
観る前は、邦題ファンシーすぎない??
と思っていましたが、結構しっくりきました。
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