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ナレーションでごまかされていますが

ふんわり明るくやわらかなのに隠しようのない毒があって、
ああ、刃物ってうつくしいよね、なんて気持ちに、
うっかりほんのりなってしまう『べっぴんさん』。
実は私、結構好きです。
視聴して元気が出たりはしないタイプの作品ですが。

ひとさまの大切なおうちで『結構好きです』なんて書いた直後に
いやこれないわーさくらちゃーん、ちょっとここ来て座りなさい、
と言う展開になった、なってしまいました(笑)
(828summerさますみません!! 
長々しいのでじぶんのところに引き取りますね)
と言う訳でここ数日をメインに感想をすこしばかり。

まあさくらちゃん前からああいうお嬢さんではあったのですが
いろいろ不協和音がおきていて(おこしていて)
あらあらまあなんとも明るくて不穏なことでしょう。

さくらお嬢様の空気を読む気のみじんもない剛腕ぶり、
是非論を問うのではなく、
いまひとつ明確に言語化しないけれど、
自分の感性を決して譲らない、一見優しげでその実頑固な母親と、
それをまた無言でのみこむのが基本の、父親で構成される家庭で
(文字どおり慈母のごときキヨさんの全肯定をプラス)
戦後民主主義の明るさと高揚感とかをたっぷり吸わせて
不自由なく育てて、アメリカ留学までさせたら
(まだ1ドル360円で、外貨持ち出し規制の時代のはず)
↓しらべました
※観光旅行客の外貨持出制限枠の緩和:作中は1969年
(69年700ドル,70年1,000ドル,71年3,000ドル,78年制限撤廃)
そりゃそうなるよね、と至極納得してしまう
(ええのかそれで、と言うツッコミはさておき)

そこそこ強情で生意気盛りなお嬢様になるのは、なんというか道理。
けんちゃんに対してたいへん残酷なのもまあなんというか、
自分の能力魅力にまったく疑問を感じていない様子が伝わってきて
なんというか見ていて納得してしまいます。
そのあたり『あさが来た』の母娘はあっさりさっぱり
明快にわかりあえなかったけれど、こちらはまるで違って、
むしろリアルに感じてしまう。
たとえば
「○○してあげたのだから感謝してくれるはず」
「○○(たとえば母親/父親)ならわかってくれるはず」
みたいな思い込みがまるで一致せず、
それぞれの人間がそれぞれに別方向に向かって走っている
(もちろんそれぞれにとってそれは真正面なのですが)
そんな様子が結構たのしいです。シニカルな楽しさ、だけど。

まあでもあれは、心底君枝さん嫌だろうなあ。
自慢の息子を、あんなにも盛大にふりまわすお嬢さんとか。
また息子が唯々諾々と(見えるでしょう)
ふりまわされてるあたりがまた。

入社の経緯は正直いろいろあかんやろ、とも思うけど、
これはこれで
「すぐに諦めず。プランBで成功」
と言うパターンなのでしょうか。ちょっとわたしにはわかりにくかった。

ただ、現在の選考方法と重ねるのはまた、解釈が違うように思う。
なにしろ女子の定年は平気で30歳とかだった時代(のはず)ですし、
同族経営のコネ入社なんてたぶんいまよりもっと珍しくはなかったはず。
説得力とか端折りすぎとかいろいろありますが
(ふたりがどういう方面に優秀なのか、入社して「やりたいこと」が明確で、
あらかじめ入社を反対されている描写があったら、
印象が変わったと思います。
人事部長が何を根拠に推しているのか伝わりにくかった)

そういえばけんちゃんが『京大でなく東大でやりたいこと』も、
さらりとでも具体的な表現があったらよかったなあ。
あこがれの教授がいるとか、そういうのでいいから。
これでは、さくらちゃんがいるから東京に行きたい、な、かんじも
してしまうし(それはそれで明確ならいいのですが)
こまごまとピンが甘いような印象が無きにしも非ずで、
いろいろ惜しい。うーん。
なにしろ、入社してからの方がたいへんなので
あとひとつき、そのあたりをきっちり描いてくれればうれしいな。
さくらお嬢様の知りあいではあっても、そんなに入社を
歓迎してないふうのある明日香さん(、でしたっけ??)あたりを
ほりさげていただければいいなー。
そのあたりもまた、母親世代との対比になるのでしょうか。

そんなふうにゆるゆるっと期待してみています。すっごく夢中ではないけれど。

それにしてもあのファッションはいいですねえ。眼福。
年若い女優さんたちの年代がすすんだの演技が
おちついていてよいだけに、やっぱりいろいろ惜しいかな。



by chico_book | 2017-02-23 02:55 | 日々 | Comments(0)

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