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おとなでよかったと思える春

予告で『原作」となっていますが
どこかで『原案』と、クレジットされていたような。
見間違いかな?? まあその方が適切ではないかと思います。

と言う訳で、土曜に『ラ・ラ・ランド』ではなく、
『お嬢さん』をみてまいりました。
理由は簡単、早くいかないと見逃してしまいそうだから。

ほとんどミステリーを読まないワタクシが、
ヴィクトリア、蔵書、侍女(メイド)と言う要素と
タイトルの美しさに魅かれて読んだ
サラ・ウォーターズの『荊の城』。
このミス1位だったようなので、
おそらく週刊文春あたりに薦められたのだと思う。


とにかくこの小説がとてもおもしろかったと言う
おぼろげな記憶を頼りに頼みに、予告も観ずにいきなり鑑賞しました。

ひゃあひゃあ吉と出たのか凶と出たのか!!
予告すら貼ることにためらうR18ぶりなので、全力で畳みますよーーー!!

ネタバレ&官能注意でございます。








いやすごかったすごかったすさまじかった、
途中でちょっといやこれしんどいわーと暗がりの中で
腕時計の文字盤を確認するような濃厚な官能・残虐描写。
しかも同性だったり人形だったり春画チックだったり
ただ事では一切なさすぎる。
ただ事でなさ過ぎてたいへん妖艶なシーンなのに
くすくす忍び笑いがこぼれる始末。

日本語の危うさとか、和洋折衷の豪華なお屋敷の素晴らしさとか
畳敷きにアイアンの取り合わせとか、
登場人物たちの衣装も小物もたいへんに見ごたえがあります。
(日本家屋って、豪華なものでも天井の高さが
抑えられていてそこがなんとも抑圧的な美しさ)

意匠をこらしたドレスとか贅をつくした和服とか
もう見ていてテンションあがるあがる!!
とにかく美しい。うつくしくて壮絶。

心理的に追い詰められるサスペンスであり
純愛であり、スリル満点で展開もジェットコースター。
かつ戦前の(日本統治下の)韓国と言う舞台設定が
たいへん生きていてよかったです。
当時の婚姻や、社会制度の枠組みを踏まえての
ガールズムービーとしてもたのしい。

先週の
『カルテット』
コンビニ前のシーンでの雀ちゃんの
「行かないで」
うっかり姫宮アンシーを連想するレベルの
ウテナファンなので、ガールズムービーには弱いのです。

まあとにかく描写がくどいのですが、その点も当時の
東アジアの混然一体とした退廃とリンクしていて、
見応えは充分。上海が魔都と呼ばれた時代。ひゃっほう!!

南京路に花吹雪 1 (花とゆめCOMICS)

森川 久美/白泉社

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「中国ってあんなに耽美じゃないぞ!!」
と、北京帰りの先輩に(謎の)お説教を食らった90年代初頭。

映画いろいろ見ていると、時々こういう
「再視聴したら印象が変わっておもしろそうなんだけど
 描写がアレで勇気が出ない」
作品ってあるよね、と、うんうんうなずきながら帰りました。
最近そういうの観てなかったもんねえ、なんて。

私のなかではこのあたり。


アルモドバル作品もなんだか結構体力奪われて困る。


(最近のアルモドバル作品は、毒気も薄くなってきているようですが、
このあたりはどうにもこうにも)

なんとなくこちらを連想しました。


無垢でおろかな少女を幸福にできなかった系なので
内容やベクトルは全然違うのですが。ううむ。

何だろう、監督が描きたいものへのアプローチと言う意味での
近さを感じるのかな。それとも単に時代が近いから??
単純? 単純なの?(いやまあ単純ではありますハイ自覚あり)
(しかしレオン・カーフェイの帽子と肩幅と胸板のうつくしいことよ)
(和服も素晴らしいですありがとうございます)

そういえばガールズムービーとしてはこんなのもありましたね。



こちらも延々と官能シーンが続いていやもうちょっと充分やろ、
と思いながら観ていましたが(台無しな感想)
そのあたりの違いなど考えると興味深いのかも。

あとことばの半分がハングルよりのやや舌足らずな日本語と言うのがまた
なんとも何かの性癖を表しているようで効果的。抜群の効果。
Ally McBeal』でも、舌足らずなフレンチなまりの英語にぐっとくる、
なんて描写がありましたっけ。

そんな様々な描写に、ざっくり距離を置いてみることができたので、
そんな自分に安心したのが、今回のタイトルの所以です。
すさまじく今更かもしれませんが。

とりあえず『荊の城』再読したいなぁ、
しなくちゃなあ、と言うところ。

とにもかくにも、存分に作品を楽しむことができてなんだか幸せです。
こういう、決めうちではなく、ふらっと思い付きで観る
映画があたりだと、なんというか、賭けに勝った気がしますね。
なんだかね。

そしてノンストップになるのがわかっているので
なかなか手を出せずにうずうずしっぱなしの
『騎士団長殺し』。
これはあれだ、大事にしすぎてうまく接することができない案件だ。
オチツケ自分。

いずれにしても幸福な春でございます。
BGMはOH!スケトラだったりしますがハイ。
 



by chico_book | 2017-03-05 23:49 | 映画 | Comments(2)

Commented by pinochiko at 2017-03-06 10:12
こんにちは。
こんな官能的な映画を見に行くのは、他人に視線が気になって・・・。
でももう四十半ばなら他人だってなんとも思ってないか・・・。

「コックと泥棒、その妻と愛人」「騎士団長殺し」に反応してしまいました。
もう一度見て見ようかな。でもあのねっとりしたヘビーさに耐えられるか自信がないな。
本は、同じくまだ手が出せないです。うまく付き合えないのが分かっていて。来年のお正月休みくらいなら大丈夫かな?なんて思ってます。
Commented by chico_book at 2017-03-06 23:25
わーいぴの様こんばんは!
知人にも
『週末はひとりで変な映画ばっかり見ている』
と言われることの多いワタクシです。
そのとき話題になったのはドキュメンタリーの
『柴 縄文犬の夢』

『陸軍登戸研究所』
なので、今回とはずいぶんカラーが違いますが。ふふふ。

だいたい皆さんひとりで来てまして、
ほぼガラガラだったので少し安心しました。
ただ後ろの席の男性がやたらもぞもぞしてるのが
なんだか落ち着かなかったけど、
むこうも
「変にごそごそすると誤解されるかも」
と思ってやりづらいのかな、と、考えたりして。
教訓・この類の映画は最後列で観よう。

『コックと泥棒、その妻と愛人』
は、福岡で観ました。KBCシネマ北天神の思い出。
すこし待ちはずれにある映画館から、ひと気のない大きな道を
作品の感想を反芻しながら歩くのたのしかったなあ。
この作品をみて即座にゴルチェのファンになってしまったのですが
いや内容はちょっとあまり思い出したくないような…
でも映像は綺麗だった・・・。
観た後しばらくは、脊椎一本抜かれたような衝撃のある作品でした。
とにかく最近、
こういうダメージ受ける系の作品をみていなかったので、
たまにはいいよね、と楽しめました。
でもだれにもオススメはしません(笑)
観たいひとは自力でたどりつきそうだし。

ところで『カルテット』のコンビニ!! コンビニのおむすび!
すっごくおいしそうで、ご当地的にメジャーなのかな、と、
とてもとても気になっていたのです。くいしんぼう。
ご紹介ありがとうございました。長野の株が爆上がり中。
フクちゃんの優しい穏やかさにも、日々むねあつ。
のんちゃんの甘えん坊ぶりも、メイちゃんの暴君お姫さまも、
女子ねこラバーにはたまりません♪
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