猫と寄り添い本を読む、夜がどんどん短くなる日々(切実)

連休中に一気に読み終わりました。ふうう。

騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編

村上 春樹/新潮社

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宿題を一気に片づけた感じ。
もうぽろぽろと、漏れ聞こえてくる情報を防ぐのにも限界でしたので。
いやあよかったよかった。内容もよかった。
『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』
『ねじまき鳥クロニクル』
推しのワタクシとしては、大変ありがたかった。
今年中に再読しよう(自分メモ)。出来ればカフカ君も。

読んでいる途中で、どんどん加速してゆく巻き込まれ感。
どこか楽になっている変化。
知っているような新しいような物語の奔流。
幸福で懐かしくてそれでいて新鮮で泣きたくなる。

日本画家と言うひとたちが、なんだかやたらに長命で、
しかも70代80代になってから新境地を切り開くことが
とても多いのを知ったのは『山種美術館』でした、たしか。



ちょっとちこに似てますね。えへへ。

解剖学的にちょっと無理のある絵なのだそうですが
ねこの素早い動きの一瞬にはこんなふうに見えたりもするよね、
なんて。やや贔屓の引き倒し?? 
アングルの『オダリスク』ではありませんが、
そのかすかな異形が却って魅惑的、とでも言いますか。

本作の登場人物にからめて、と言う意味ではなく、
私が『騎士団長殺し』からかんじたのは、村上春樹氏が
「(全く同じものではないけれど)モチーフを何度も繰り返し描く」
「主題のとらえ方について、切り口や角度を変えて変化してゆく」
そして
「その結果、得も言われぬ妙味/あるいはかるみに至る」
境地を、進行形で体感させていただいているのかしら、と、
思い至って、ぞわっときました。なんというヨロコビ。
ずっとリアルタイムで追いかけてきたからこその感動。
モネの睡蓮と言うか。セザンヌのりんごというか。
(もちろん、内容としてはそこまで同一ではないのですが)
そういえば庄野先生も、後半はどんどん軽さが増してゆくというか、
体積はしっかりあるのに重さが感じられないというか、
明度があがるというよりはむしろ透明になってゆく感がありましたなあ。

とにかく大変満足することができました。
幸福な読書体験。
ありがとう。ありがとうとしか言えない。

そして未映子さん! 未映子さんてば!!


なんという本気度。圧倒されました。ここまで本気で切りこむ覚悟。
それをするりとぬるりとかわす春樹さん。
いやいやかわしているのではなく、作為のない素直さの発露なのでしょうが、
とにかくものすごく尊い。
この素直な妖怪ぽさは、すこしこのころの河合先生ぽい、
と言うのも安直な発想かしら。



「ああ、やっと読めたんだ。よかったね。おめでとう」

友人からも寿ぎといたわりのオコトバを。

「私は日本文学読まないから、村上春樹をいままで一冊も読んだことないし、
このまま読まないんだろうけど、あなたが好きなの知ってるから
よかったねって思うよ」

ありがとう。もうね、これでいいよね。
興味ないひとは読まなくっていい。
そういうものですよね。
なんであんなに
『読んでないし興味もない』
ひとにああだこうだ言われるのかしら。
好きな人が新刊をたのしみにしていてだいじに読む、
もうこれで充分だよね。

「賛否両論あるみたいだけど、どうだった? 」

私は好きですよ。すごくよかった。
賛否両論、春樹の本はいつもそうだから、
そして私はずっと気にしてないから大丈夫。
でもありがとう。


ひさびさジャケ買いまんが。
北斗の拳も北斗の拳イチゴ味もよく知らないのに。


ねこブームと言われて久しく、いまやねこまんがは無数にあるわけですが、
こんなねこまんがははじめてでした。

「……いや。うちのねこそりゃ(私的には)かわいいけれど、
まんがにするようなことは」

と、作者が本気でたじろぎながらも話をすすめているかんじがなんだか新鮮。
創作の現場を観ることができるという点でも興味深い。
(よく知らない作家さんなのにそう思ってしまう自分のさもしさよ
覗き見根性よ、あるいは創作の現場大好ぶりよ、なんてことも)

※WEBコミックなのでリンクを置いておきます



いやいや充分かわいいですよこちらのにゃんず。

よく知らない作家さんのねこまんがなのに楽しく読めちゃった、
と言えばこちら。前述の春樹を読まない友人のおすすめでした。

『あなたホラーとか読まないでしょ。絵柄が苦手かもしれないけど、ためしに読んでみて』


独特のかわしっぷりさらりとしたツボのおさえっぷりが素晴らしい。
ホラーはほんっとーに苦手なジャンルなので、とても無理ですが
きっとよい作家さんなのでしょうなあ。ザンネン。

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さいごに、連休らしい新緑と光の記録をちょっと添えておきます。

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あっという間に夏に近づいていますが、夜はまだまだひんやりと過ごしやすいの間くらい。
ねこが猛烈にくっついてくる幸福な季節。

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by chico_book | 2017-05-11 01:42 | | Comments(4)

Commented by pinochiko at 2017-05-11 07:15
『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』の世界が好きな私としてはこの新作(でいいのかな?)を読みたくなりました。ありがとうございます。なんだか長くて躊躇していたのですけどね。
猫マンガのリンク先、後でまたゆっくり見たいと思います。ふふ、楽しみ~。
Commented by chico_book at 2017-05-11 23:47
ぴの様こんばんは。コメントありがとうございます。

コチラぴかぴかの新刊です。とはいえ2月に出たのですけども。
ああもう、ずうっとずうっと気になっていたので
ほんとにすっきりしました。
ほかにもどっさり積読あるのですけれども(涙)

春樹さんの長編小説は途中からぐっとドライブがかかって
それこそ巻き込まれるように読んでしまいます。
(寂しくなっちゃうのであまり考えないようにしているのですが
あと何回このヨロコビを味わえるのかと、いつも思います)

『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』
圧倒的な迷宮感で、ああ、本当にこんな作品読んだことない、
わたしの知らない世界が、
そして私の必要な世界がここにある!!
と、没頭した記憶だけがしっかり残っています。
それでいてじつは、内容をあまり思い出せない、と言う。

やっぱりそろそろ再読するタイミングなのかしら、
機は熟した、と、いうことでしょうか。

ねこまんが、とりあえず(現在の)最新作を
リンクしてあります。サイトには一話からあるので、
その方がいいかもしれません。
淡々とうちのねこのいいところ、というのがなんだか新鮮です。
Commented by momokissa at 2017-05-12 02:20
未映子さんは思ってたよりずっとすごい作家なんだなー
質問する機会をもらえるって...!!

興味深い本のご紹介ありがとうございます。

ちこぼんさんの好きな両作品は、
読後感はよく覚えてないのですが、細々したエピソードは私の日常にいます。
例えば暗い冬が終わって明るい春が来て目がちかちか疲れて仕方がない時に夢読みの仕事を思い出すとか。
私たち補い合ってますね。
Commented by chico_book at 2017-05-15 02:40
私もびっくりしました。
未映子さんものすごく読みこんでいて
そして臆さず切りこんでいて
春樹さんも大変さをたのしんでる感じでした。
すごいものみせてもらったなあなんて思います。

『あなた村上春樹とか読んでるの?(半笑)』
と言われるような学生時代を送った
もと国文学生としては、ほんとにいつもいつでも感無量です。
流行作家じゃん、って感じで
それより『豊穣の海』の話をしようや!!
って感じの先輩がいたりして(単なる先輩個人の好みだけれども)

私に『面白いよ。読む? 』って勧めてくれたのは
英文学生だったんですよね。むむ。興味深い。

補い合っているって、素敵素敵!!
そういうとらえ方大好きです。うれしいなー。

「ものすごく太った女』ってどのくらいだろう、なんて
(ものすごくどうでもいいことを)
友人と真剣に話し合ったりして。

記憶の扉が開く初夏の深夜です。ほんまにねえ。
でもこういうささやかなあれこれが人生を豊かにする、
と、確信しています。。ふふ。
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