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午睡から覚めたような、初夏の休日


うつくしい服飾をてんこもり見て
そのために努力するひとたちの話をみて
その興奮とか感動が、まだ残響の様にからだに残っています。
ゆらゆら揺れて反響しているような気持ち。
そしてそのイキオイで、終了間近のこちらに。


たいへん豊かで楽しくて美しい空間でした。

横浜美術館、結構好きな建物です。
1989年開館だそうで、バブル(直前)期特有の、
(ある意味もったりしているともいえる程)
空間の使い方が違うように思います。独特の明るさがある。
たいへんゆったりした空間が特徴のような印象。

私が(そういうのを)大好きなのは、ちょうどその時代から
『美術館』
『博物館』
に行くようになったせいもあるかも、なので
ただのすりこみなのかなどうなのかな、とはいつも思います。

西洋への輸出品として、技巧を凝らして作成された洋服の数々。
こぼれそうなほどの刺繍や、
それはそれはやさしいキルティング、
絶品の工芸品(陶器や瑪瑙や珊瑚の細工や七宝焼きや!!)
の魅力ときたらもう。もうもう。

みんな好きだよねー小っちゃいものにこりっこりに凝りまくるの!!

羽二重に真綿、ドレスの
ふっくりしたもりあがりにおもわずコチラを連想する。
いまーじーん!!



このドレスの縁取りのぽったりとぶあつくて
やさしいフリルが大好きでしてハイ。

室内着のガウンの厚さに、
イギリスの冬を連想し、暖炉を連想し、
メアリーお嬢様のお召替えをお手伝いする
侍女のアンナを思い出す。そう言えば、皆さん意外なほど薄着です。

当時の上流階級の女性は
『ひとりで着替えをすることができない』
のだそう。
『侍女のひとりもいないなんて』
と、マーサがオーレリアに文句を言ってましたっけ。

そんなことを考えつつのんびり美しいものを単純に楽しむ。
あじわう。こういうのとっても楽しい。

ドロテア奥様のお召し物によく似たドレスもあったりして
秘かにわくわく。マンガ脳。
いいのフックは多い方がたのしいから。

アシンメトリーは、キモノからの輸入(概念)だとかいう話も
おもしろい。

圧巻はやはり大礼服こと「マント・ド・クール」。
たいへん広いホールのど真ん中に、思いっきりトレーンを広げて
文字どおり燦然と佇んでおられました。
うーんなんというすばらしさ。
100年以上前のお衣装なのに全くまったく完璧にうつくしい。
うまれたての蝶がゆるゆると羽を広げたのを
朝霧のなかで見守るのって、こんなかんじかも。

少し暗めの照明のなかに、絢爛たる展示品が次々に浮かび上がる
たいへん幻想的な空間。
百年以上前の誰かのひと針ひと刺しを思い浮かべる。

「ファッションはアートなんかじゃない」
という映画のせりふを
(ゴルチェだったかラガーフェルドだったか)
(すでに記憶があいまい)
ふむふむと反芻しながら堪能しました。

そうね、誰かのうつくしい装いのために作られたものだものね
でも、うつくしいものが嫌いな人がいて?
などと思いながら幻想のような空間を満喫。

そして日本人はなんだかなんでだかきっと、
知ってるものと知らないものを
シャッフルしたりアレンジしたり
カスタムするのはみんな大好き。昔から好き。
いろんな素材やテクニックを試してみるのは単純にたのしいし。
うつくしいものを作り出すのは純粋にうれしいこと。

(行きそびれちゃったけど)
ミュシャ展も併せてみていたらジャポニズムとかアールヌーヴォーとかの
流れが拾えて面白かったかしら、なんて思いますけど
いろいろ厳しかったのも事実なので、まあまた別の機会にきっと。

ニコール・キッドマンがたいへん美しい作品ですが、
『登場人物のファッションで』
トリックを見破ることができた、
というひとのお話を聞いたこともあり。

知識の幅は見えるものを
増やしてくれるんだなあと思った次第です
(しかし15年前の作品とは!!)



by chico_book | 2017-06-16 02:14 | イベント | Comments(0)

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