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文字どおりの絢爛さ


翌日が必修科目(第一外国語)の試験だった、
そんなしょうもない理由でワタクシは成人式に出ていません。
まあほぼほぼ口実で、基本的に興味がなかったのですが。
(一外落とすと即留年、という緊張感はありました)

実家となにかと距離を置きたい年頃だったし、
『振袖のために貯金しているからね』
と言ってくれていた祖母が
既に他界していたこともあるかもしれない。
アパート暮らしで仕送りをいただいていたから、
わたしとしては遠慮があったようにも思う。
両親からすると、しなくていい
遠慮であったかもしれないけれど。

そんなこんながかさなって、
実は振袖を着たことがありません。
いまとなっては
和装という非日常をイベントとして
めいっぱい経験しておくのはよかったかもしれない、
とも思いますが、まあ当時のワタクシでは
いまの私が想定するほどにはあじわえなかったことでしょう。

母がコミュニティのお見合いマッチングおばさんだったので
「たいせつなものいれ」である引き出しには
いつも一定量の『お見合い写真』がありました。
写真館の名前入りの立派なものと、釣り書きと、
『普段のイメージがわかるように』
と、スナップ写真も少々。やたらとテニスしてました。
昭和だねえ。

いざお見合いの当日になると、主役であるお嬢さんや、
そのご家族のかた、そしてもちろん母じしんも
いっしょになってにぎやかに着付けがはじまりました。
ふすまをしめきった座敷にさまざまな見慣れない
小物が散らばっているのを、すみっこの座布団の上に
ちんまり座って眺めていたものです。
緊張とかあでやかさとか、
いろんな思惑のいりまじる不思議な空気。

なにしろ昭和のお見合いなので、
たいてい行先はホテルで、
ふだんは手に入らないような
おみやげのお菓子がとても楽しみでした。

お話がまとまったあとは、
いわゆる『嫁入り支度』がはじまるわけで。
呉服屋さんが来て反物を広げ、
あれでもないこれでもないと
にぎやかに華やかにもりあがっていました。

媒酌人夫妻として参加する結婚式の当日、、
礼服を着た父が仏頂面で
手持無沙汰にずうっとタバコを吸っていたことも思い出します。
せっかちなひとだったので。
おみやげのカチカチの鯛と、お赤飯とか紅白饅頭とか、
名前入りのお皿とか、そんなことばかり私は思い出してしまう。
ほんとにもう歴史上のできごとすぎて、なんだかおかしい。

そして
おとなになっても、
わたしはきっと誰からももらっていただけない
(それは生きていけないこととほぼ同意でした。
当時の認識では)
どうしようでもどうしようもないよね、
暗澹たる気持ちで、
そんなこんなをながめてもおりました。
昭和だねえ。

なんとかなってますよ、
本当にまあなんとかかんとかぎりぎりでって
レベルですが、
と、昭和のこどもに教えてあげたい。
たぶんいろいろ想定外だけど。
でもそこそこ楽しくやってるよ、って。

それでも昭和のノリにつきあって
振袖着たらよろこんではくれたのかしら
でもきっと
30年も経ったらそんなこと
どっちみちどうでもよくなるよね。
なんて
自分自身のことでは
まったく思い入れなく思うのですが


なんでか感無量になりました。


完璧や……。
キモノのことよう知らんけど
なんだかこれもう完璧や。
いやなんでかっていうか自称ばあやだからね。
わかってるんですけどね。





あの制服を着ていたぴかぴかのお嬢さんが
なんて高校の制服にあうお嬢さんなの!
全日本の滑走順抽選会で
(わたしが)(勝手に)感極まっていた
さとこさんが
こんなあでやかな豪家絢爛たるお衣装の
完璧に似合うはたちのご令嬢やなんて・・・・・・。

おちつきのある朱色と金色
品のいいビーズのバッグといい
ちいさくてかわいい髪飾りといい

あああ神様ありがとうございます。


この週末は全米の結果を見ていろいろ
いかんともしがたい衝撃を受けていたので
(いやだってジェイソンがアシュリーが、そんなのありえない)
ちょっと元気が出ました。
いや気を取り直しました、くらいが適切かしら。

『平成細雪』を興味深く見ていることもあり、
お正月らしい大変な眼福眼福。




B足りてへん、どうするのかなというのを
早々と解決してくれて爽快。

そう言えば市川崑版では鶴子役は岸惠子さんでしたね。
なんとなくお顔立ちの雰囲気が似ているように思います。
フランスにゆかりがあるというのも共通点かな。

三女のぽわーっとした得体のしれない
美しさというのが大変に肝なので、いろいろたのしみです。
(市川崑版では吉永小百合で、
次女の夫(石坂浩二)がどうにも下心がありそうに見えて
ひやひやした)(偏見)
このドラマではそのあたり
丁寧かつ穏当なかんじで安心かな。
ただ時代設定として『芦屋の大水』が
相当するものを思うとちょっとぞっとする。
(それともわたしの考えすぎで台風でいくのかも)

さばけてるんだけどもおっとり上品、
シリアスなんだけどほんのりコミカル
わたしのなかではこちらに通じます。


録画してあるのですが、何度も何度も観る予定。


by chico_book | 2018-01-08 22:39 | フィギュアスケート | Comments(2)

Commented by pinochiko at 2018-01-09 07:01
私も上京していたし、ちょうど留学していたので、地元の成人式というのは出席しませんでした。
振り袖も着たことがありません。興味なかったしねぇ。
19歳のときに、上京先の市の成人式を見に行ったことがあります。
最前列で市長の話を聞いたよ(笑)そして、あぁ、晴れ姿の見せ合いをする場なんだな、って実感したものです。
今になると、そういうイベントを何も考えずに楽しんでおけば良かったか?とも思いますけどね。
当時の私には無理だっただろう、というのは同じ感想です。
でもまぁ、こういうイニシエーション的なイベントはその時はくだらないと思っていても、やっておくのがいいのかな?と感じます。
結婚式とか子どもの七五三なんかもね。
こういうのが一切なかった私はいつまでも大人になれないままの気がしているのですよね。


Commented by chico_book at 2018-01-10 02:06
ぴの様コメントありがとうございます。

そうですね、
地元にいるとまた違ったかもしれません。
わたしの地元も、みんな残っていないから
結局13人くらいしか出席しなかったと聞きました。
(いまはまた違うかもしれません)
ほんと興味なかったんですよね。
でも成人式の日の街中は華やいでいて
たのしいです。見る分にはたのしいし、
和装もあの小物の多さと
じつはそれが理にかなっているのか?
というのを検証してみたくもありますが
なんだその興味の方向性(笑)

しかしいま思い返してみると
『試験があるから』
ってよくその理由とおったなあ。
両親もきっと、そこまで熱意がなかったのでしょう。

わたしも結婚式もしていないので
(友人との食事会のみ。
レストランのひとに写真をお願いしたら
「え、結婚式なんですかコレ」
と驚かれたのを覚えています。
福岡だったのですが、
おみやげのお菓子を
16区のダッコワースにしたのがよい思い出。
ウウ、夜中に食べたくなりました)

わたしもわりと軽々と過ごしてきたので
いまにして思うと
まあやってもいいんじゃないの?
とかゆるく思いますが
きっとまたその場になったら
「いやまあいいよ、そこに欠ける熱量ないし」
みたいなどうしようもないこと
言いだしそうな気もしています。
そんなことゆるゆる考えるのもまたよし。
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