人気ブログランキング | 話題のタグを見る

思いがけずともいえなくもなく

事故の瞬間をなんどもなんども思い出す。
なにしろ日常的にとおる場所なので。

青信号の横断歩道でのできごとなので、
いまはひたすらすべての動く乗り物が怖い。
ぜんぶ自分に向かってきているようで。
青信号で歩行者(私)の通過を待ってくれている車を横目に、
ちゃんと待ってくれているのに、怖いものは怖いので
大丈夫、大丈夫、と自分に言い聞かせながらわたる。

歩道を歩いていても、
後ろから自転車が来ないかどうかきょろきょろきょろきょろ。
なんなら歩行者も怖くはある。

まだ骨がくっついているわけではなく、
いま転んだらたいへんめんどくさくなるそうなので、
万一の接触が怖くてたまらない。
いまは一見で怪我人と分からないので
レジでもたもたしたり、乗り物のなかで『席譲らんね!?』と
圧をかけてこられているような気がして
いろいろしんどい。考えすぎかな。そう思うように心がけてます。
こころがけだけはね。

ネイサンの全米がすごかったらしいので
動画を探していましたところ、夫からの電話で知った訃報。
何故その段階でネットニュースにたどりついていなかったのか、
少し不思議なのですが
時間と情報を共有することができたことを素直に感謝。

橋本治は私の学生時代のアイコンでした。
あと『英文科の後輩に教えてもらった』春樹。
国文生はほんとうに誰一人評価していなかった……隔世の感があります。


簡潔な言葉で折り目正しくつづられる日本語のうつくしさ
独特のくどくどしい明快さ
しかしそれにうっかり疑問なく乗って
読み進めてゆくと
とんでもないところにたどりついてしまう
とほうもなさとその喜びを存分に味あわせてくれる作家でした。
春樹さんと出版社の別荘で缶詰めになった話好きだったなあ。
たしか書いていたのは春樹さんのほうですが。

さっそく『窯変』を再読しはじめました。
なめるようにちびちびと。
厚さのわりに軽くて持ちやすく(いま本の重さに敏感)
余白と行間とフォントがまあなんと目に優しいことか。

91年の出版、写真といい企画そのものといい
よい時代の刊行だったなあとつくづく思います。
それにしても月に一回刊行される1600円とかの本を
買うのに勇気が必要だった学生のワタシにホロリ。
そして買ってくれてありがとう。
おかげで豊かな老後を過ごせそうです。
経済的な話ではありませんが。

とにかくどさどさあるはずの橋本治コーナーが
大混乱なので
(とくに文庫本!! 『恋愛論』がよみたいのに! スタンダールだけ出てきたよう!!!
 あと『花咲く乙女たちのキンピラゴボウ』と
 (文庫じゃないけど)『立ちどまれニッポン』と『江戸にフランス革命を』)
この週末にちびちび書棚の整理をするつもり。
なにをするにもふつうの2倍から3倍も時間がかかる状態なので
はかばかしくはないとも思うのですが。
あと新書をすこしそろえてもいいと思う。ウム。

そろそろ(書棚の)見直ししたいタイミングだったのでとてもよし。
入院がなければ年末年始にするつもりだったわけですし。

とても明るい冬の朝に厳しい寒さの朝に、
明晰な人生を全うした作家のことを思う。
長いこと私の人生の傍らにいてくれた作家のこと。
これもひとつの幸福。

by chico_book | 2019-02-01 07:32 | 日々 | Comments(4)

Commented by pinochiko at 2019-02-01 12:46
事故後の怖い気持ち良く分かります。
私の場合、車同士の事故なのですが。(人身事故じゃないだけまだましですね。)
運転するのが怖くなりますよ。事故現場を通りたくなくなるし、
角を曲がるのも怖い。でも運転しなければ生活ができないですから。やれやれ。
おそらく早めに運転免許の返納をすると思います。向いてないもの。
オンデマンドのバスなんかを上手に利用するおばあちゃんになれるといいなぁ。

時間が諸々を和らげてくれるのを待つしかないですね。
ゆっくりとお過ごしくださいね。

91年。私は大学に入学した年です。
ラジカセとドライヤーだけ持って上京した春。思い出深いなぁ。
Commented by chico_book at 2019-02-02 11:40
ぴの様

あたたかいおことばありがとうございます。
ちこも患部に乗っかってゴロゴロとのどを響かせ、
いたわりの姿勢を見せてくれてます(笑)

なんかとても運転できる気持ではないのですが
(いまは日常的に運転していないということもあり)
そのうち必要になるだろうな、
と覚悟はしているので
そのうち折り合いつけると思います。うーん、たぶん。

左手の怪我なので『右開け』エスカレーターも怖くて、
(空いてるときは右側に乗ってからゆっくり移動とか)
エレベーターはベビーカーで激混みだったりするし、
ううむ、都会はこうなるといろいろしんどいわね、
とも思うのですが
都会でなければ、自分で移動しなくてはならないので
それはそれでハードル高いことですなあ、
なんて思っています。
オンデマンドのバス、というものがあるのですね。
いろいろあるんですね。ほんとにうまくやりたいなぁ。
でも運転も(能力として)出来るニンゲンで
ありたいです。

91年、わたしは家賃15000円お風呂共同の
木造アパートに住んでいた、貧乏な学生でした。
古式ゆかしい『××荘』という名前で。
でも毎日楽しかったなあ。
網戸で寝ていたら、お外から猫がはいってきて
テレビの上でねむっていたりとか!

Commented by pinochiko at 2019-02-04 07:25
猫のゴロゴロは骨密度を高める効果があるって、聞いたことがあります。
チコちゃん、治療してるつもりだったりして!

〇〇荘、いいですねぇ。猫が入ってくるなんて、なんて長閑なことか。
私も家賃15000円の寮に住んでいましたよ。
すごく古かったけど、外国人が設計したらしく、各部屋にラジエーターがあったり、
各階廊下にダストシュートがあったりしました。
Commented by chico_book at 2019-02-06 01:11
か…かっこいいではないですか!!
夫がほんの短期間だけ暮らしていた
サンフランシスコのアパートで、
ダストシュートを見て、
ものすごくテンション上がったのを思い出します。
ラジエーターもいいですよね。
タオルをかけてほかほかにするの大好き。
とはいえ電気代を恐れて
オイルヒーターも活用しそびれていますが。
(エアコン・ねここたつ・電気ひざ掛けはフル活用)
私はどうとでもなりますけどね。ええ、ええ。

○○荘は、15アンペアしかなくて、
うちにしかオーブンがなかったものだから
友人がバレンタインのケーキを
作りにやってきたのですが

オーブンをつけるとほかの電力は使用不可

という厳しい条件がありまして。
真っ暗で寒い中、毛布にくるまってふたりで
『ジー……』
と音を立てて熱く赤くなる電熱線と庫内を
眺めたのを思い出します。
しょうがないのでしりとりとかしてみたり。
ほんとに若いなあ!!

グーグルマップで見たら、
いまは駐車場になっているみたいでした。
ホロリ。

ちこはものすごいドヤ顔でのんのんしてくるので
治療効果に確信があるみたいです。
「私失敗しないんだよね」みたいな(笑)
なんというかわいらしさ。抗えるはずもない。
名前
URL
削除用パスワード