どうもまんがは気合入れすぎてよくないですな!
と言うわけで最近は短編集をよく読んでいると言うお題。
昔は短編集ってなんだか損な気持ちがしてたりしました。
どうせならがっつり長いお話読みたいなー、なんて。
登場人物たちとすぐに別れなくちゃならないと言うのが、さみしかったのかもしれない。
しかし最近は短編集が好き。
時間の問題なのか体力の問題なのか、あるいは長い物語を覚えてられなくなってるのか(涙)
まあそういった要素もあるでしょうけど、ぱっ! と視界が切り替わることが面白いと感じる、今日この頃。
初!堀江敏幸!! 購入動機はジャケ買いですよ! あとタイトルもきれい。
『雪沼』って。。。。雪国にロマンチックな誤解(笑)をもつ九州育ちはついうっかり。
でもあたりだったのでよかよか。
解説 『池澤夏樹』 がトドメですかね。
端正な文章で、ていねいにいろんな人の気持ちを追いかけて、
かすかにつながってゆく物語、雪沼と言う場所の風景が少しずつ輪郭を持って浮かび上がるかんじ。
そして確実に手にする前に、幻のようにふわぁーっと消えてゆく。こういうの好き。
池澤夏樹は、まだ片手くらいしか読んでいない。
『マシアス・ギリの失脚』『ハワイイ紀行』『母なる自然のおっぱい』と、先日話題にした
『ぼくたちが聖書について知りたかったこと』
なんということでしょう! 小説読んでへんやん!!『ステイル・ライフ』すら読んでないとは・・・!
なので、これからさきがたのしみです(気を取り直してみた)
しかしこの短編集はすばらしかったです。
絡まない、絡み合わない、ゆっくりと軌跡を描いてきえてゆく、
人生なんて、それだけのこと。
私はいま、横浜市の(地理的にほぼ)中央部(中心ではない)に住んでいるのですが、
たまに、ぼおーっと言う汽笛が港から響いてくる。
いつも思い出す。高校生のとき、田舎の小さな街にくらしていた。
バスも1時間に1本で、単線の駅まで4キロ(明治生まれの祖母のことばを借りれば『一里』)
映画館のある街まではその駅から更に片道一時間、
そんな街だからとても静かで、夜遅くに通る列車の音が、すごくひびいていた。
それこそ4キロ先なのに。
私はいつも、その音に耳を澄まして、その音を聞くととても安心していた。
ああ、世界はまだ外につながっているって。
いつかあの電車に乗ってここから出て行くことが(選択肢として)私にもまだ残されているんだ、って。
(何があったんだ・・・と言うほどのことはなかったんだけども。たぶん。
まあハイティーンってそういう年頃なのかもしれず)
そんな、不思議な安心感を思い出させてくれる作品。
どんなことがあっても、どんなふうに生きても、きっとそのうちに総て消えてしまうのだと、
だからこそ、その日が来るまでが痛くてきれいでいろどりにみちているのだ、と。
まだなんだか硬い感じの本(と言うか、私の感想文のほうがおかしいのだけど)がつづいたので
私と職場の本読みさんの間で話題になった本がこちら。
『ポトスライムの舟』で芥川賞を受賞した低体温なイメージの津村記久子氏と、
いかにもキャリアなマスコミ人、といった印象が強い深澤真紀氏の対談集。
タイトルに反してなかなか深い。これは男性必見。と言うより働く人必見。
なのでちょっとタイトルが惜しいと思う。
突然職場(のふたりだけで)ではじまった『メイリオ』ブームに、
他の皆さんは首を傾げていらっしゃいます。
※『何かちょっと愉しいことがあると、しんどいときにしのぎやすくなる』
と言う文脈で、おふたりの『メイリオ』フォントへの愛が切々とつづられている箇所があるのです。
クス。
クス、のあとで、おなかのそこからあったかくなる。
▲ by chico_book | 2013-07-27 23:38 | 本 | Comments(0)