上野は好きな街。春夏に行くことが多い気がする。
上野に行くのは、いつもたいてい、美術館がめあてなのでたまたまかも。
あるいは単に、緑の印象が強いせいかもしれない。
好きな街、と言ってみたものの、たぶんたくさんの顔を持っている。
私の知らない顔がたくさんある。
たとえば渋谷の東急百貨店、
そこを境に息をするのさえはばかられるような高級住宅街と、
ドンドンドンドンドンキホーテ♪、が向き合っている、あの不思議。
(わたしは映画か、美術館めあてでうろうろするわけですが)
緑濃く芸術の懐深い上野公園と、御徒町のにぎやかな混沌と、
意外と近くに見えるスカイツリー。実際、近いんですよね。
そして遮るものがない。
そんな上野に行ってまいりました。そっと後押しされた気分もありまして。
カラヴァッジョ展 6/12まで ※公式サイト

6月7日(火)~11日(土)は、午後8時まで開館です!! チャンスチャンス!
夜の国立西洋美術館はまた素晴らしい。闇に浮かびあがるヘラクレス。
土曜の午後、JR上野駅の構造に実はいつまでたっても慣れない。
素直に公園口から出ればいいのだけれど、ちょっとアトレに寄ろうと
思うと混乱する(でも今回で覚えました、たぶんね)
上野はいつもにぎわっている。
動物のぬいぐるみをもって跳ねまわる子供たちをみて
(私の出身地では「とんくりまいよる」と表現します。
ちょっとジャック・マイヨールっぽい…?
いやいやそうでもないか)
そうか、動物園がある場所なのね、と思いかえす。
大きな楽器を持ったひと、バンドメーンなかんじのひと、
お着物の、背筋ののびた老婦人(富司純子さん路線)、
大きい(お高そうな)サングラスに片山さ○き議員ヘアーのマダム、
初々しいデェトの若いカップルちゃんも。
たくさんの人が、上野のお山の森にさくさく入ってゆく。
ついつい芸大の方まで歩きたくなる気持ちのよい空間ですが、
今回はさっくりと国立西洋美術館に。
『祝!! 世界遺産登録』
とのこと。そういえばそうだっけー、なんて。
でもいまひとつ『世界遺産』のありがたみがわかっていませんワタシ。
今回のカラヴァッジョ展は、
カラヴァッジォの作品11点を中心に、
その影響を受けた画家の作品も多数展示。
テーマをそれぞれ
「風俗」「五感」「肖像」「静物」
「光」「斬首」「聖母と聖人の新たな図像」
と言うふうに分けての展示で、展示数は50点余なのでゆったりめ。
大変わかりやすく、興味深く見ることができました。
こういう展覧会で「影響を受けた作家」というと
ややもすると中途半端だったりわかりにくかったり
数合わせ的な印象になったり、さみしくなりがちですが
今回は大変楽しく興味深く見ることができました。
混雑具合もやや混んでるかな? と言うような賑わい。
展示がとてもうつくしかった。暗い室内、
それぞれ濃色の背景の前に展示されており、絵画の美しさが引き立ちます。
たとえば教会の祭壇画は、薄暗い室内のなかにろうそくの光で
ほんのり浮き上がりますが、その印象に近いように思います。
かぼぞい蝋燭の光を反射する鈍い光がひろがってゆく、
それを連想するような照明の静けさ。強い色なのに邪魔をしない。
わたし(たち)は
(一部のまんが読みは、と言うべきかな)
まんがの絵を、写実とは程遠いその絵を
リアルなものとみなすことに何の抵抗もありません。
まんがの絵に対してうまい、とか、下手、とか言及するときに、
そこに写実は基本的に関係ありません。
もちろん写実的でうまい、と言う場合もありますが、
それは絶対条件ではない。
素晴らしく緻密で美しい作画に定評のある森さんも、
キャラクターの絵は写実と言うよりまんがの絵。
読み手として、そこに違和感はまったくありません。
浮世絵や、みんな大好き鳥獣戯画とも通じるのかな。
蛙とうさぎが同じ大きさでお相撲撮ったり、お猿がコスプレしたり、
でも
『いいよねこれかわいいね』
と、自信をもって言いきれる。
なにやっているのか、何を描きたいのかも、するりとわかる。
日本人のアレンジ力と言うか行間読み力と言うか解釈具合、
とでもいえばいいのか、それが写実から遠いものでも、
それでも私たちはそこにリアルを見出せる。
たとえばそれを、
バロックと言えばベルニーニ、いやなんなのあかんよねアレ、
と言うあの足の指先の嫌がりぐあいとか鼻腔の震え具合とか
(注:大理石です)
なんでそこまでやってしまうのん? できてまうのん??
という、あの再現性写実性についてとか、
比較して考えるのはたのしいのです。
のんびりぼつぼつ心のなかで転がしております。
(ベルニーニもカラヴァッジォといっしょにボルゲーゼ美術館@ローマで
たっぷりじっくりたくさん観たので、ついつい連想してしまいました)
カラヴァッジォも、うっとりバッカスにもろ肌脱がせちゃうところとか
(しかも自画像でやっちゃうところとか)
サソリに指を挟まれた少年の神に花飾っちゃうところとか、
ナルキッソスは言うに及ばず。
作家にとって何が大切なのか、何をどう表現したくてこの絵になったのか、
そんなことを考えながら、
『重版出来!』の中田伯さんを思いながら、上野公園を後にしました。
このタイミングで見ることができてよかった。きっと。
神様の神回。にゃんもたくさん。
14:40頃に先生の原稿にとびのる(!!)愛猫マイちゃんがたまりません。

とおりすがりのにゃん。ムギワラちゃんかな。
春樹さんのお父さまが『だんつう』と名付けたのは、
きっとこんなかんじのにゃんだったのでは。

上野のお土産(性格には、上野駅の『のもの』で購入した岩手のおみやげ品)。
ねこ友に進呈するつもり。ちょっとバロックっぽいかな、なんてしつこく強引な。

『やらせ写真には協力しません(ぷいっ)』
(ほんとは、サバ缶なんてとてもあげられないので、
ちこが興味をもたないことは大変ありがたいのです)
▲ by chico_book | 2016-06-05 22:55 | イベント | Comments(6)